ウマ娘 ブラス・トレーサー   作:takapon960

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いよいよブラス・トレーサーの起承転結の転部分である【6章:サイゴの一戦】が始まります。
この章でブラストレーサーの最大のテーマ、そしてインシルカスラムというオリウマがなぜウマ娘されるかに至った最大の理由を描写していきます。
気合入れて書きました。ぜひ読んでください。


6章 サイゴの一戦(東京大賞典編)
第79話


ーーー67ーーー

 

アメリカウマ娘が帰国し、12月も後半に入る。

 

理事長室で、森内トレーナーは今回のチャンピオンズカップの報告をしていた。

 

「1着の報告が出来ず、すまない理事長。やはりアメリカの壁は高かった」

 

それを聞いて秋川理事長はばっと扇子を広げる。

 

書かれていた文字は"感謝"だった。

 

「謝る必要など微塵もないともッ!君たちはこれ以上ないほどの成果を上げてくれた!」

 

「約束しようッ!今後はダートの地位向上を……」

 

そこまで言いかけて秋川理事長は固まった。

 

インシルカスラムが「……あのさ。そんなにお願いされても、アタシはダートの拡張とか全然興味ないんだけど」と言っていたことを思い出したのだ。

 

ダートの路線を芝と同じように押し上げ、地位を向上させることが果たしてダートウマ娘にとって最良の選択と言えるのだろうか?

 

森内トレーナーはそれを察して苦笑いした。

 

「フッ、路線整備は急がなくても俺たちは文句など言わん。精一杯の応援さえしてもらえれば十分だ」

 

「勿論だとも!君とインシーの行く先をこれからも追いかけ続けよう!」

 

秋川理事長は閉じた扇子でビシッと森内トレーナーを指した。

 

 

今年もいよいよ大詰めを迎えた。

 

多くのウマ娘にとって大一番であり総決算となる有馬記念ももうすぐ近い。

 

そして、ダートにおいても、大一番であり総決算となる東京大賞典が開かれる。

 

クラシックのダートウマ娘を引っ張るインシルカスラムはもちろんのこと、これまで対戦したガルディアコダンやフルセイルサルート、そして直接対決は初となるテンカバスターとの四つ巴になりそうだ。

 

森内トレーナーはインシルカスラムの練習を見ながら、インシルカスラムのラップタイムを計り、それを用紙に記入していく。

 

インシルカスラムもこれで8戦目。

 

流石にシニア級のベテランほどではないが、走り方のコツはかなり掴めているだろう。

 

また、東京大賞典は大井レース場の2000m。

 

初めての距離でもなければ初めてのレース場でもない。

 

インシルカスラムは経験の差で後れを取ることはないだろう。

 

唯一、懸念点があるとすれば。

 

「インシー、脚の調子はどうだ?呼吸は苦しくないか?」

 

森内トレーナーはインシルカスラムの様子に気を使いつつ尋ねる。

 

「平気!アタシが2連戦するからって心配しすぎ!みんなやってるだろこれくらい?」

 

インシルカスラムは脚をくるくる回して問題がないことをアピールする。

 

……しかし。

 

ベテランの森内トレーナーの目はごまかせない。

 

インシルカスラムは、走ってから呼吸を落ち着けるまでの時間が少し長くなっている。

 

前走から疲れを少し持ち越しているのだろう。

 

東京大賞典までには全快はしそうにない。

 

「(パフォーマンスには問題がないだろうが……)」

 

だが、今更やめる、なんて選択肢は1か月前に捨てた。

 

「よし。練習はこれで終わろう」

 

「え、これでいいの?」

 

「実力は十分だ。後はコンディションを整えることに力を入れていくぞ」

 

「……まあいいか!アタシが強いのは分かり切ってることだしー?」

 

「俺も保証する。そうだインシー、この後は少し早いクリスマスと行こう。デカいケーキでも食べて東京大賞典に備えてくれ!」

 

「やったー!トレーナー大好き―!」

 

 

 

この森内トレーナーの練習方法には、何の問題もない。

 

コンディションを整えることに注力し、ケガや不調のリスクを減らす、名トレーナー。

 

みんなそう思うはずだ。

 

 




一見この話、大一番前の日常シーンに見えますが、この1話だけで不自然な点がいくつか存在すると思います。

・まだクラシック級なのにサイゴの一戦?シニア級は?
・なぜ「最後の一戦」ではなく「サイゴの一戦」?
・最後の意味深な3行は何?わざわざ再確認することか?

6章、7章ですべて明かしていきます。
おや、もう1つ不自然な点が浮かびましたね。

・【6章:サイゴの一戦】なのに7章があるの?
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