どうしてこうなってしまったのか?
こうなった責任を取るべきは誰なのか?
今後は、どうすればよいのか?
物語は起承転結の「転」に入ります。
第92話
ーーー80ーーー
表彰式が終わり、もうすぐ来年がやってくる。
インシルカスラムにとっては、長い長い病院生活の始まりだ。
「うっ、久々に食べたけどやっぱりまずいっていうか味しない……」
インシルカスラムは病院食に文句を言いながらもこれしか食べる物がないので微妙な顔をしながら食べ進めていく。
実はインシルカスラムは幼少期にも病気やケガで病院のお世話になることは多々あり、病院食を食べるのはこれが初めてではない。
だが、子供だった当時から味がしないけど嫌々食べていたものは、学生になってもやっぱり味が薄くて嫌だった。
しかもインシルカスラムは今や現役のアスリートウマ娘で、症状は脚のケガであって体調には全く問題がない。
子供のころに比べて、食欲に至っては別に問題がないどころか超が付くほど旺盛だ。
人間用の病院食じゃ腹1分目にもならない。
インシルカスラムはさっさと病院食を掃除するように食べてトレーを手の届く机に置くと。
……さあ、何をすればいいのだろう。
もちろん、トレーニングなんかさせてもらえるわけがない。
「……寝よ」
することがないのに起きていてもしょうがない。
インシルカスラムはまだ日が高いのにカーテンを閉めて横になり、目を閉じてしまった。
次の日。
インシルカスラムは起き上がった後、すぐに再び横になるが全然寝られなかった。
当たり前だ。さっきまで寝てたのだから。
……さあ、寝られないなら何をすればいいのだろう。
「あーあ。なんか暇潰せるものないかな……」
インシルカスラムは近くにあった本棚から本を読んだり、松葉杖をついて特にあてもなく病院を歩き回ったり、待合室のテレビを見たりしてみるが。
本は流行を過ぎた漫画や小説ばかりだし、病院を歩き回ったところで面白いものなんてない。
テレビも興味を引くチャンネルはあまりやっていなかった。
早々にあらゆることに飽きたインシルカスラムはまたベッドに横になる。
何もすることがない。
個室が割り当てられているので誰かと話すこともない。
ところで、インシルカスラムの最も嫌いなことを覚えているだろうか。
"退屈"だ。
勉強、ハードなトレーニング、苦痛を伴うこと。それこそ脚の痛みなんかよりも。
"ヒマであること"が何よりも耐えられない。
ベッドの上で横になっているだけ、なんて3か月どころか、2日で限界だ。
「あ゛ー!ヒマだヒマだヒマだー!!」
とうとうインシルカスラムはバタバタと暴れだして鬱憤を晴らしだす。
暴れだして当たった腕が近くにあった本や松葉杖をなぎ倒した。
「もう眠たくないんだよー!何かさせて―!」
暴れまわった反動で、包帯が巻かれてある左足までも不必要に動かしてしまい。
ビキッ、という鈍い痛みが走る。
「いだっ、いたたたたたた……!」
「大丈夫ですかインシルカスラムさん!?」
その瞬間、扉が開いて心配そうなナースがやってきた。
ガシャガシャガシャーンという音を立てて、痛そうにしている声が聞こえたら何かあったのかと思うだろう。
「あっ……いや、なんでも、ない……です……」
インシルカスラムは退屈が嫌で暴れまわっていただけとはとても言えず、ナースに言葉を濁した。
インシルカスラムでやってみたかったことその3.
こいつは、絶対、病院で暴れる。