────僕はメイちゃんから貰った仮面を着けて、四天王の潜む基地へと向かった。
鼻を擽る血と大地特有の匂い。一夜にして築かれたその基地は粗末なもので、警備も杜撰だった。そのため、僕は疑うほど簡単に潜入することができた。
基地には、目を見張るほどの大きくて豪華な屋敷が一つだけあった。
────あれだ。
魔族はプライドが高い、四天王程となればあれくらいの屋敷が当然、それはしかと的を射ていたようだ。
中にはこれまた豪華な椅子に足を組んで座る男と、その周りに鎮座する部下三人の姿があった。
僕は深呼吸をする。
腰に差した三本の刀のうち二本を引き抜く、狙いを定める。
僕は大きく振りかぶり、その刀を投げる。
見事命中したそれは、バレストの頭を貫通していた。────命中。横に控える部下たちは驚き慌てふためく。
僕はその隙を見計らい一瞬で近づき三人の首を跳ねる。
「はやッ…!!」
魔族たちは驚いているようだが、そんなのはお構い無しだ。
「悪いね」
切り捨てた僕はバレストから距離を取る。脳天を直撃したはずの刀は彼自身によって引き抜かれ、傷は直ぐに再生する。
────憎たらしい程の再生能力だ。
再生には限界がある……魔王は違うみたいだけど四天王には限界がある。
僕は腰に携えた刀の内、撃ち合うための強度の高い刀へと持ちかえる。
────居合を打つ。
しかし、いなされる。
凄まじい速度の攻撃を、軽くいなすバレストは正に四天王といえる実力の持ち主だろう。
僕の刀とバレストの刀はつばぜり合いになる。だが、やはり人間と魔族には膂力の違いがありすぎる。僕は押し負けたと見せかけもう一本の刀でバレストの体を縦に一閃する。
「ガァアァァッ!!」
鮮血が周囲に飛び散りバレストは呼吸を荒くする。ブクブクと異様な音を立てながら傷が再生していく。まだ足りないか。
怒りが沸点に達し真っ赤な顔を晒す彼は、今まで力を隠していたのか、信じられない速度で地面を駆ける。
────人間の動体視力ではとても捉えきれない。
僕は瞼を閉じた。
代わりに耳や鼻、全神経を集中させて周囲を探る。今まで培っていた全てを、ここで出しきれ。
僕は────魔王を倒すんだ。
そして気がつく。
ここは……………………………どこだ?
誰かが僕の頭を撫でる。優しい手つきだ。
わからない、わからない、わからない、ワカラナイ。
誰なんだ、このひとは。
────戻ってきた。
そのとき、僕は信じられないくらい集中していた。
バレストの剣は這うように僕の首に近づく。
まるで世界が遅くなったような感覚に襲われる。
刀を剣に沿わせて反らす。
そしてバレストの手首を────
切り落とした。
「くぞぉぉっがぁぁぁああっ!!!あぁぁぁあっ!何なんだ貴様はっ!!」
そう咽びなくバレストに、僕は答える。
忌まわしいあの名前を。
「僕は────僕只の────カイン、勇者に憧れる。たたの凡人だ」
顔を歪める。
「お前さえっ!ぉまえさぇいなければぁぁっ!!」
その言葉すら、僕には遅く聞こえる。
ハハッ!これはいい。
まるで世界から取り残されたような全能感。
そして────
「は?」
────痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
体の節々がミシミシと音を挙げる。あ、これ、やばい、やつ、だ。
「フフッ!!ハハハハッ!!いい様じゃないかっ!人間の癖に!勇者じゃない癖に!そんなに暴れるから体にガタがくるんだろうっ!」
────ここまでか。
これで、終わり。
僕は何とか最後の力を振り絞り、物陰に隠れる。
「ハハッ!隠れたところでお前はもうお仕舞いよ!直ぐに見つけて────」
もう終わりか────
そう思われたとき、勇者は現れた。
せなかからでも感じる圧倒的な力。絶対にかなうわけない最強の力。
僕は小声で囁くように言う。
「あぁ、やっぱり敵わねぇや────『本物』には」
それは、自身に聞かせているのかもしれない。
────諦めろと、そう。
「これで終わりね」
勇者は聖剣を掲げる、すると耐久力に溢れる全ての力が彼女に集中し光輝く。
「くそぉぉおっ!!!がっああ!!!!!ぁいつが居なければっ!」
そんなバレストの悲痛なる叫びに、彼女は冷たく返す。
「見苦しい。弱者の戯れ言」
そうして、バレストは呆気なく両断された。
「はぁっ!はぁっ!」
僕は血塗れの体を何とか動かし進む。
その途中で、どうしてだか僕の瞳には涙が浮かんでいた。
「ハハッ!ハハァッ!あぁ……敵わねぇ、な」
僕は挑戦的な目をしていたと思う。
「このままじゃ、な」
どんどん手がつかなくなっていることに、僕は気がつくべきだったのだ。
* * * * * *
一ヶ月後、カインはその間自身の体を療養し傷を直した。
その頃には、勇者は英雄として祭り上げられ、町は平和と歓声に包まれた。
勇者は次に救わなくてはいけない場所があるからとパレードを断り、その姿も『人々を救う献身的な勇者』という幻想を加速させた。
一方僕はというと、再びあの工房へと訪れていた。
前とは打って変わり、暇そうで剣呑な雰囲気が漂うその工房の扉をノックする。中からはメイちゃんが姿を表し、その姿に僕は顔を綻ばせる。
「おとーさん!前のお兄ちゃんが来たよ~!」
そうして僕はお父さん、もといガレジーさん(名前は教えてもらった)と仕事の話を始めた。僕が体に魔石を埋め込んで欲しいと言うと彼は露骨に嫌な顔をする。
* * ガレジー * *
初めて会ったときから異様な奴だと思っていた。
俺は技師になる前は戦場で戦う武人だった。だから気づいたのだろう、こいつの目は覚悟を決めた輩の目だった。
命を賭けてなにかを成そうとしている者の瞳。それは吸い込まれるように暗く、そして何故か惹かれてしまうものだ。
しかし、警戒心のメイがなついたことから、それは杞憂だろうかと思っていた、のだが。
再び会ったときにそれは違うのだと気が付いた。
前には無かった傷が付き、前よりも存在感が薄いというのだろうか。兎に角まるで死んでいるように生きているという印象を受けた。
そして仕事の依頼だ。内容は『魔石を埋め込んで欲しい』という依頼。
こいつは意味が分かって言っているのだろうか。
失敗すれば死ぬ、それだけでなく例え成功したとしても、埋め込んだ魔石によっては寿命が物凄く減る。
確かに力を得ることはできるだろう、しかしそれは禁忌だ。
俺は断ろうと思った、しかし、こいつ────カインの目を見ていると……どうしても無理の一言が出てこない。
案の定、俺は受け入れてしまった。
埋め込む魔石は莫大なサイズの魔石。この純度なら城が立つ、そんなレベルの魔石だ。
これは一体何の魔石だと質問すると『ドラゴンの魔石だ』と言われた。流石に冗談だと思ったが、この魔石なら……
しかし、これを埋め込むとなれば……寿命五十年は減るだろう。しかし────言ったところでこいつは止まらない。そんな確信があった。
そして俺は手術を行った。そして……端的に言おう────手術は成功した。
カインは今までよりも更に力を手に入れることができ満面の笑みを浮かべた────俺は……何とも言えない
そう────複雑な気持ちだった。
メイは泣いていた。
なんでかは分からない。俺もカインも説明していないはずなのに────
メイはこのあとの出来事を知っていたというのだろうか。
いや、そんなはずはない。
* * * * * *
────彼はどんな人でしたか?メイちゃん。
「不思議なひとでした何て言うか、引き込まれるような魅力があって、でも、それで……」
────成る程、成る程。一体どうしてだか分かりますか?
「何て言うか、優しい雰囲気を持っていたんです……」
────ふむふむ……あの件については……いえ、何でもありません。
* * * * * *
とうとうドラゴンの心臓を入れる為の武器が完成した。その知らせを受けて、僕はドワーフの里へ向かった。
そこへ行った僕が見たのは、信じられないくらち美しい刀だった。
深紅の刀身は、まるで僕を吸い込むように魅せつけてくる。
艶やかな曲線は、どんなものでも切れてしまいそうだ。
僕は思わずその刀を手に取り、まじまじと見つめていた。
「ありがとう、本当に良い仕事ぶりだ……」
僕は敬語も忘れて感嘆の言葉を漏らす。その反応に満足したライルスさんに、更にプラスでお金を払おうとしたのだが……
「おいおい、流石に弟の恩人とも言える人からお金は貰えねぇよ」
と断られてしまった。
その後、僕は宿へと戻って、刀に今まで大切に保存しておいた『ドラゴンの心臓』を押し当ててみる。
すると……少しずつ心臓は刀身に飲み込まれて消えて行く。
全てが入る頃には、それはそれは禍々しい──聖剣に勝るとも劣らない、伝説の刀が誕生していた。
勇者によって四天王が全て討伐されたらしい、その知らせを聞いたのは、僕が碧星(名前をつけた)の試し切りをしているときだった。
────早すぎる。
僕がゆっくり力をつけている間に、勇者はさらに成長している。
僕のような凡人の百歩と犠牲を、勇者は一歩で軽々と飛び越えていく。
歯痒くて仕方がない。自身の無力さが、何より、無能さが。
自暴自棄ともいえる僕は、直ぐに魔王城へと向かった。
────魔王城は禍々しい場所だ。
草木は荒れ果て、漆黒の外壁は光を通さない。
魔王の威圧感が外からでも伝わってくる。僕は今からここの調査を行う必要があった。それは、流石に多対一は厳しいため魔王が単独で行動するチャンスを伺うためである。
持ってきた何日か分の食料と飲み水を隠す場所を見つけ、僕は早速調査に取りかかった。
その結果、今の魔王城はかなり油断があると言うことが分かった。そしてそれは、まだ勇者は来ないだろうという考えているからであった。
その理由は簡単だ、魔王城へのこのことやって来て、もし勇者が魔王に負ければ人類側の敗北は必然。もっと入念に準備をしてくるはずだと高を括っているのだろう。実際その通りたが。
だから勇者はまだ来ないとおもっている。そして僕は、その隙を突く。
魔王は寝るときでも護衛を着けるほど用心深い。
だから僕は常に探り続けた。ほんの少しでも魔王が油断する瞬間を……
待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待ち続けた。
────来たっ!!
魔王が剣を持って屋上へと出た、なんと護衛を附けていない。
僕は後ろで息を潜め、一気に姿を表し攻撃する。
大きく振りかぶったその一撃は魔王の肩目掛けて振り下ろされ────
────魔王に受け止められる。
「フフっ先日から気配を感じてはいたが、特定できなかったのでな。搦め手を使わせてもらったぞ」
嵌められた?
頭が真っ白になる
ガクン──体から何かが吸いとられる感覚が走る。これは……成る程。刀の代償か、それもそうだろう。聖剣と同じ力も何の代償も無しに扱える訳がない。
そう言えばこの感覚は魔石を埋め込んだときと同じだ────てことは代償は寿命ってことか。
感覚から推測するにだいたい五年分位持ってかれたか?
まぁ、でもしょうがない、だって僕は『偽勇者』なのだから。
────本物の勇者のように扱える筈がないのだ。
「覚悟っ!!」
僕はもう一本持ってきていた刀で攻撃する。念のため持ってきておいて良かった。
魔石を埋め込んだことで、僕の動体視力は魔王の攻撃をも見切っていた。剣を受け流し反撃をする、が、やはり魔王は四天王より何倍も強い。
「ガギュルグァガッ!!」
そう意味不明に叫ぶ魔王はどんどん力を増していき、ついに────僕の能力の限界を超え始めた。
僕は四天王と戦ったときの集中状態を発動するための練習をしていた、しかし、今まで一度も成功していない……………
────でもっ!!!
今ここで成功させれば良いだけの話だっ────
深呼吸をする。体を脱力した僕は、魔王からすれば格好の餌食だろう。
たが、それで良い。
僕は瞼を閉じる。そう言えば、前回もそうだったなと感じる。
またここにやって来た。
今なら分かる気がする。
「母上……」
優しく頭を撫でられる。
ペンダントを撫で下ろす。
「ありがとう……でも────」
「もう、いらない」
ペンダントを投げ捨てた。
「来たっ!!」
魔王は手のひらから雷を放つ、僕はその光を────
────切り裂いた。
「なっ!!一体何故っ!!」
魔法を切り裂かれた経験は無いようで、魔王は驚く。
体調万全、視界良好。負ける要素が見つからない。
そう考えていた僕に、魔王が話しかける。
「……なぁ、この世は理不尽だとは思わないか?」
そんな問に、僕は答える。
「あぁ……そうだな……でも…だからこそ………」
僕は言葉を紡ぐ。
「────美しいのだろう」
かなり間を持ってから魔王は答える。
「あぁ、知ってる。俺が支配したくなるのも無理ないだろう?」
魔王は言う。
「だからさぁ────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────死ね」
僕はそれを返す。
「お前がな……」
魔王は背後に無数の火の玉を産み出した。
そして──それと共に一気に近いてくる。
火の玉は僕に射出され、僕はそれを切り飛ばす。
魔王はそれを驚かず受け止め、剣と火の玉の挟み撃ちをしてくる。
「チェックメイトだ」
僕は二本の刀を引き抜いて左手で火の玉を切り裂き、右手で攻撃を受け流す。驚愕する魔王を横目に、僕は刀を魔王に高速で振り下ろす。
魔王は体を仰け反らせてそれを避けようとするが、それすらも想定通り、僕は右手で魔王の首を────
────切り落とした。
「ァッアアアアッアガッッ!!!!!」
魔王が咆哮する。痛みに悶絶する姿は、とても最強の魔王とは思えない。
「何故!!再生しないっ!!聖剣じゃないのにっ!!」
僕は何も答えない。ハァハァと息を激しく切らし、僕は勝利の味を噛み締める。
偽物でも、馬鹿みたいでも、魔王に勝てるんだって。
そう、証明できたのかなぁ……
「父上、母上」
「────ありがとう」
だが、それで終わらなかった。
────気がつく。魔王城が強く発光していることに。
「ははハハッ!!!まさか使うことになるとはなっ!!俺の魔力ならここからでも王国を吹き飛ばせるぞっ!!」
僕はその言葉で理解する。
────自爆だ。
僕は一気に冷静になる。僕は魔王を思いっきり抱き抱え、共に屋上から飛び降りた。
「なっ!何をっ!!」
僕は答える。
「あれってお前の体と城が二つでセットなんだろ?だったら────それを切り離せば良いだけだ」
間違っているかもしれない、しかしそれは魔王の反応を見ればわかる。
「なんなのだっ!!貴様ぁああっ!!」
その問に、僕は堂々と答える。
「僕?────僕はただの████だよ」
僕と魔王はぺしゃんこになって息絶えた。
* * * * * *
彼の居なくなった後の世界は、まさに波乱万丈であった。彼を偽物と凶弾し追い出した王国は、エルフの里やドワーフの里、そしてドラゴン達から攻撃を受けるようになった。
聖剣を持った勇者とやらは突然行方不明となり、人々は顔面蒼白。
そして栄光を誇った王国は滅んだ。元凶は無責任に一人に全て任せ、その上身勝手な行動をした王国の自業自得である。
一説によると、聖剣を持った勇者は実は魔族だったのではないかと囁かれている。
現在は王国以外の人々の集まりがつくられ、それをドワーフやエルフ、果てやドラゴンまでもが支持をし始め帝国が完成した。
人々はこの逸話から学び、一人だけではなく皆で考え、協力して生きて行くという考えを持つべき、というのが主流である。
そして、誰もが勇者様のように逆境に負けず何事にも一生懸命に過ごすべきである。
めでたしめでたし。
かくして────魔王は倒され、今の世界は平和になったのです」
一人の女性が子供達に読み聞かせる。
穏やかな風が教会の中へとふく。
この逸話は誰もが知る有名な絵本で実話だ。支配に苦しむ人々を救った彼の話は様々な人々によって受け伝えられ、今日にいたるまで語り継がれてきた。
素晴らしい功績を築いた彼は様々な人から尊敬され、帝国最英雄賞を授与された。
この絵本は、限りなく実話に近い物語である。大昔の宰相が人を手配し情報をかき集め、彼についての辞典や功績も称える本が何冊も出版された。
彼の最後の戦いについては独自の解釈なども加えられているが、概ねその通りである。
魔王によって支配されていた土地も、緑が芽吹き始めた。美しい彩りが世界を輝かせ、勇者によって守られた景色が今ここにあるのだ。
この帝国に住む人々の誰もが言う。
「ありがとう勇者様」
と。
その思いが、天国の勇者さまへと届くように、カインが魔王を討伐した日は『魔王討伐記念日』とし必ず休日にするようになった。
その絵本の題名は彼がいつも自身を偽勇者と呼んでいたことから────
─────偽勇者英雄談。そう名付けられた。
しかし、今は誰も彼を偽物なんて呼びはしない。
そんな人がもし居たとしても、口にした瞬間に罵倒の対象となるだけだろう。
なにせ彼は『本物の勇者』なのだから。
「めでたしめでたし。だってさ」
僕は『偽勇者奮闘記』を朗読する。
いやー、こう思うと僕はいろいろな人に迷惑をかけてきたなぁ……
「あぁ……何て言うか…、嬉しいなぁ」
涙がポロポロ溢れてくる。
心に欠けていた大切なものがピッタリ僕の体に満たされていく感覚を得る。
僕が目を覚ましたのは、本当にさっきの出来事であった。先程まで魔王城にいたはずの僕は、草原の上に寝転んでいた。
僕は大きく息を吸う。
「あ~風が気持ちいなぁ~」
これを、この平和を、僕が守ったのだと思うと考え深い。こんなにも世界は美しい、次は戦いじゃなくてゆったり生きよう。僕は心からそう思った。
僕はなんてちっぽけなんだろうか。もう魔王とか勇者とかどうでもいい……今は、そう、いつかは無くなってしまうなら。今くらいは……
少し……ゆっくりしたいな……もう、疲れちゃった……
僕は草原の上でゆっくりと眠りに着いた。真っ白に燃え尽きた。彼は……もう全てを出しきったのだ。残りカスはいつか消えて無くなる。
完全燃焼しきった彼に、二度と休みは訪れない。だから────そう、今くらいは────
あまりにも幸せな夢────
これはきっと、神様が彼に見せた────
────最初で最後の救いだったのだろう。