異世界ギルドと言う名の何でも屋~気が付いたら最強ギルド長になっていた~   作:あましのの小説部屋

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第18話ロティ・アテロイド

「ってコトでどうッスか自分の情報は」

目の前にはかつてレヴからの手紙を届けた魔人族がいる

ロティ・アテロイド、ロザ軍幹部の一人であり、唯一隊を持たない魔人

その立場ゆえに、彼は“観察者”と呼ばれている。

戦場にも、会議にも、ほとんど姿を見せない。

ただ、誰よりも早く情報を集め、正確に伝える。

常に笑顔で人当たりの良さに反して冷静であり、その冷静さは時に、敵味方の区別さえ曖昧にするほどだ。

「その前になんでギルドに来てんだよ」

リュカが当たり前の疑問を問う。当然だ、敵陣の真っただ中に単身で乗り込んでいるのだから

「ここは来る者拒まずの場所だからッスからね」

 

「流石に限度があるだろうよ?!」

そうおちゃらけた表情で答え、リュカがツッコむと

 

「んで、何が目的なのよ」

 

フラが本題に戻す。

 

「単刀直入に言うッス。ロザ軍の情報とアルノー隊の勢力の譲渡を引き換えにレヴ・アルノー及びカミュール・カルトナの身柄の解放をして欲しいッス」

 

沈黙が落ちた。

ギルドの喧騒が遠くで霞む。

リュカもフラも、すぐには言葉を返せなかった。

 

「……取引、ってことか?」

 

「裏切り者、ってことね」

 

「ええ、そうッス。でも勘違いしないで欲しいッスよ。自分は誰の味方でもない。勝つ方に『情報』を流すのが仕事ッス」

 

フラの冷えた刃のような言葉にロティは首を傾げ、薄く笑った。

 

「それ、どっちの側から見ても正解ッスね」

 

笑顔のまま、彼の目だけが笑っていなかった。まるで、誰も信用していない瞳。そしてその目が、ゆっくりとシキの方を見た。

 

「シキ・イチヅカ。あなたがどう動くかで、この戦いの形は変わるッス。選び方を、間違えないで欲しいッスね」

 

そう告げると、ロティはまるで風のように立ち上がった。

何も触れていないのに、窓の外の風が揺れた。

次の瞬間、彼の姿は消えていた。

 

「今の、なんだったんだ」

 

リュカが息を吐く。フラは黙っていた。ただ、拳を強く握りしめて。

 

ロティの姿が消えてから、ギルドの大広間には重い沈黙が残った。

窓の外で風が石畳を撫で、誰かの鼻歌が遠くで止んだように聞こえる。

 

「選択か」

リュカが息を吐く。視線は床に落ちたまま。どこか疲れている。

 

フラはいつもの冷めた目つきを崩さないが、拳は硬く握られている。

「私たちだって、早く終わらせたい。だけど、ロティって奴の『情報』自体がどれだけ信用に足るかは別問題よ。」

シキはテーブルに肘をつき、窓の光をぼんやりと見つめる。

彼の答えは早かった。短くて真っ直ぐだ。

 

「僕は終わらせたい。無駄な血をこれ以上増やすつもりはない。もし本当にロザ軍の態勢が崩れているなら、ここが勝機になる。情報を活かして、一気に決めに行きたい」

 

フラは即座に反論する。

「勝つために誰かを信じて裏切られたらどうするのよ?ロティは『勝つ方に情報を流す』と言った。今は手を貸すって言ってるけど、いつ裏切るか分からない。それが一番怖いのよ。」

 

リュカは二人を見比べ、首をかしげる。

「二人とも分かる。シキの言うことも分かるし、フラの言い分も正しい。どちらか一方に偏れば、別のリスクが出る」

 

会議室の空気はどんどん熱を帯びていった。仲間同士の議論はここ何日も続いているが、今回は特に重要だ。ロティが提示した条件は甘いようで危うい。だが時間は味方しない。

 

シキは立ち上がり、顔を強張らせる。

「条件を出す。ロティの情報を受け取る。ただし」

 

声を張るその瞳はいつになく鋭い。

 

「その情報は、まずギルド側で検証する。ロティが示す“ロザ軍の移動”や“アルノー隊の残存位置”を、我々の手で裏取りする。確認が取れるまで、レヴとカミュールの身柄はこちらで預かる。話が本当に真っ直ぐなら、後で相応の交換をする時間はある。勝手に放すなんてことはない」

 

フラは一瞬、目を細めた。条件は甘くない。シキの信念と慎重さが同居した妥協案だ。

 

「それなら――」とフラ。吐き捨てるように付け加えた。

「カミュールの監視は私がやる。この状況で一番危険なのは彼女から目を話すこと、仮面はつけさせない。ロティが本当に情報をくれるかの“確認”は私が行う。万が一の裏切りには即座に制裁を加える」

 

リュカが頷く。

「俺は偵察隊を出す。小部隊でこっそり動いて、ロティの情報の一部を自分の目で確かめる。見込みがあるなら全力で支援させてもらう」

 

シキは静かに皆を見渡し、息を吐いた。決意は固かった。

「分かった。ロティの条件を受ける。だが、約束だ。誰も無意味に死なせない。勝つための最短を探る。ただし、裏切りの兆候があれば即刻方針転換する。捕虜もやむなく切り捨てる」

 

――承諾を示すように、フラが小さく頷いた。リュカも拳を握りしめる。

 

その夜、ギルドは慌ただしく動いた。

偵察班は準備を整え、ネムには監視の輪を引き締めさせた。ロティから受け取る情報は一枚の古い羊皮紙に手早く書き写され、村の地図に赤い粉で印がつけられた。

 

「ロティ、貴方は何をする気なの・・・・」

 

魔人族メディック隊長は一人の同僚を怪しみ、

 

 

「戦場が動くっすよ」

道化の魔人族は静にその時を待つ

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