コードギアス 戦場のライル   作:meitoken

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暫く本国でゼロの同行=本編を見守る感じです。

ちなみにティーナはメインヒロインではありません。あくまで、本国における数少ない味方の一人で心を開ける親戚です。

尚、作品としての出来については多分下手くそです。


WARFARE-2『仮面の男、ゼロ』

エリア11、旧日本で総督を務めていた第三皇子クロヴィス・ラ・ブリタニアが死亡した。そのニュースはブリタニア本国に衝撃をもたらした。そして、まもなく犯人が逮捕された。名誉ブリタニア人として軍に所属していた枢木スザク……日本最後の首相、枢木ゲンブの息子だ。

 

ライルはその資料を読んで、首をかしげる。

 

逮捕したのはブリタニア軍を純血のブリタニア人のみで構成すると考える純血派……エリア11でそのトップとなっているのはジェレミア・ゴッドバルト。辺境伯家の一族で、あのアリエスの離宮で警護隊に勤めていたという。

逮捕したのは名門貴族、逮捕されたのは日本最後の首相の息子。あまりにも出来すぎている。クロヴィス統治下のナンバー2だったバトレー・アスプリウスはクロヴィスが暗殺されたシンジュクゲットーで責任を追及され、逮捕されたという。

 

「どう思う?」

 

横にいたメガネの青年に問う。中性的且つ知性を感じさせる風貌でライルと違う方向性で令嬢の人気が高い彼はフェリクス・D・ヴィオレット。ヴィオレット伯爵家の息子で、軍学校の同期だ。学生時代から色々な意見をもらい、皇族というこちらの身分に遠慮しないところがライルは好きで、卒業後に軍を率いることとなった際には真っ先に彼に声を掛けた。

 

「バトレー将軍の逮捕そのものは責任問題としては妥当なところでしょう。」

 

「ということは……問題は枢木スザク?」

 

「ええ、ナンバー2だったバトレー将軍も更迭されたとなれば、実権は純血派がにぎります。エリア11内における名誉ブリタニア人制度の廃止および彼自身の躍進にも繋がるでしょう。」

 

なるほど……その実績を持って各エリアでも名誉ブリタニア人制度に大きな制限を掛けるための足がかりにする。そうなると……

 

「枢木スザクは生贄にされた訳か。」

 

「日本最後の首相の息子が軍人……犯人としてこれほど適役はいないでしょう。」

 

 

 

話を聞いていたゲイリーもため息をついた。

 

「彼が犯人であるかないかなど、この際関係ないでしょう。名誉ブリタニア人制度廃止の是非についてはさておき、私でもそうします。」

 

ゲイリーはブリタニア軍人として、貴族として名誉ブリタニア人まで軍属とするのは否定的だ。リスクが高すぎるからだ。もし万が一、一斉に蜂起でもされれば鎮圧は出来るだろうがその場合の被害は想像がつかない。

 

だから、『フォーリン・ナイツ』の創設にも反対したのだ。平民出身者を親衛隊に迎え入れるのならば、ゲイリーも反対はしない。だが、ライルの決意は固く……現在の制度を継続するのであれば相応の厚遇もナンバーズに必要と主張したのだ。政治に多少なりと通ずるゲイリーとしても、先を見据えるその考え方は否定しきれなかった。だから…最終的には了承した。階級面の権限は流石に複雑になりすぎる。だから、ライル軍において名誉ブリタニア人の歩兵にはハンドガンとナイフは勿論、アサルトライフルも持たせている。もっとも、予備マガジンの数をブリタニア人将兵の3分の1という条件下でだが。

 

KMFにしても、グロースターのペイントを目立つ白にしたのは万が一にも離反された保険だ。ライルは反発したが……

 

『殿下、彼らには自分が撃たれても文句は言えない立場であるという認識を持たせるのも必要です。准尉待遇でKMFの搭乗が出来るだけでも破格の待遇なのですから…』

 

これだけの待遇なのだから、離反された場合の備えは必要だ。

 

ライルはあの頃、ブリタニアに新しい風を吹かせたいと言っていた。が、『フォーリン・ナイツ』設立間もない頃には流石に彼らは信用しきれない、と言う様子でライルにはっきり言う者もいたのだ。

 

そうした者達が本当に反旗を翻したら……ライルは本気で彼らを斬ることが出来るのか、という不安もゲイリーが反対した理由の一つである。

 

ここでゲイリーは思考を戻す。

 

「恐らく、枢木スザクは遠からず処刑されるでしょう…そうなれば、殿下の人材発掘も滞ります。いっそ、エリア11の総督に志願成されますか?」

 

「え?」

 

「殿下、貴方のお考えを実践するために総督に就任するのも一つの道です。総督の権限内で名誉ブリタニア人を含むナンバーズの人権や生活保障を成功させれば、本国を動かすきっかけにもなります。」

 

フェリクスからも指摘され……ライルは数秒考え込む様子を見せた。

 

「…分かった。するだけしてみよう。」

 

 

 

申請して間もなく、エリア11では枢木スザクを軍事法廷へ連行するパレードが催された。しかし、ここで思わぬ事件が発生した。ゼロと名乗る仮面の男が現れ、自らがクロヴィス暗殺の犯人であることを公表、つまり犯行声明を出したのだ。ゼロは正体不明の装置と『オレンジ』という単語で純血派を手玉にとり、見事に枢木スザクを救出してのけた。純血派の躍進の第一歩は、仮面のテロリスト…ゼロの華々しいデビューに利用されてしまったのだ。が…ライルの疑念は別にあった。

 

「本当にジェレミア卿が賄賂の類を?」

 

ライルの疑念はそこだった。

 

茜色の髪の美女…クリスタル・ウィスティリアはその困惑には一部同意していた。ジェレミアのナンバーズへの認識こそクリスタルやライルとは真逆だが、その手の汚職の噂は聞いたことがない。

 

「分かりませんが、我々の知らないところでという可能性もありますね。」

 

そう、大貴族であればあるほど権益を守るのに必死になりやすい。それが行きすぎれば、あのジュリアの事件のような暴挙に走ることもある。

 

「だが…バトレーに続いて、ジェレミア卿も記憶の混乱……?」

 

シンジュクゲットーの事件で、バトレーら幕僚達は当時の取り調べについて記憶の欠落を訴え、枢木スザクを釈放した上に逃走の幇助までしたジェレミアも同じ言い訳をしていたという。

 

「言い訳にしては…妙だ。」

 

「シンジュクゲットーですが、サザーランドを奪われたパイロット達も同じ証言をしていたそうです。」

 

いくら何でもおかしい……暗示か薬を使ったのだろうか?

 

そして、もう一つ。不可解なこと…むしろ、この事件の最終的な結末だ。

 

なんと、信じられないことに枢木スザクは予定されていた軍事裁判に出頭してきたのだ。ライルから見れば、異常としか思えなかった。

 

「せっかく助かった命だぞ……自分を犯人に仕立て上げて殺すための裁判に出頭するなんて。」

 

「いえ、ある意味正解かもしれません。」

 

フェリクスの回答にライルは思わず、彼の方を向いた。

 

「どういうことだ?」

 

「あのまま逃げて、ゼロと共にブリタニアと戦う選択肢も彼にはあった。ですが、敢えてそれを拒んだのはこのまま自分が逃げてしまえば、クロヴィス殿下殺害の共犯にされてしまう。そうなれば、貴方もお分かりでしょう?」

 

そういうことか……少なくとも、ゼロによる犯行声明がなされた以上は彼のクロヴィス殺害容疑は曖昧になる。だからといって、逃げれば共犯になってしまう。そうする理由は…他のイレヴンが火の粉を被るのを防ぐため……彼はそれを防ぐために出頭したのでは?

 

そうだとすれば、理屈は分かる……だが、どのみち反ブリタニアの象徴となり得る首相の息子を生かしておくのだろうか?

 

噂では、現在でもブリタニアだけでなくE.U.と中華連邦も高く評価する日本軍人、畑方源流の孫息子と植民地政策に協力している財閥の息子もエリア11の軍にいる。そちらも犯人として最適だが、ゼロの犯行声明がある以上はもう同じ手は使えない。ゼロの正体が彼らだとしようにも、また出てこられれば逆効果だ………いずれにしても、今ライルにとって一番興味をそそられるのは。

 

「……会ってみたいかな。」

 

「殿下?」

 

クリスタルが問いかけ、ライルは「何でもない。」と応えた。

 

 

 

エリア11への次の総督は第二皇女コーネリア・リ・ブリタニアということになった。既にエリア18を成立させたコーネリアは準備を進めている。

 

〈流石に早いですね、姉様。〉

 

コーネリアはライルと通信で今後のことを相談しており、ライルは一度本国へ戻るとのことだ。

 

「お前こそ、そろそろ総督になって腰を落ち着けてはどうだ?」

 

〈そう思い、赴任しようとしたエリアの総督になったのは貴女です……それに、考え直せば人材発掘という観点からすれば、私としては動きやすい方が好都合です。〉

 

人材発掘………優れた人材は軍でも社会でも多いに越したことはない。だが…

 

「名誉ブリタニア人のKMF部隊、お前は区別に背いているのだぞ。」

 

〈国是は大事ですが、それに拘っていて有用な人材を損なうのは本人にとっても社会にとっても損失です。それに……〉

 

「それに、なんだ?」

 

〈それに……今後ともこの政策を続ける以上、遅かれ早かれナンバーズ出身者も積極的に起用しなければ体制の維持は困難です。〉

 

「そのために、現在の国是に背くというのか?」

 

が、ライルはまだ納得していない。

 

〈私が申し上げたいのは、人的資源の問題です。ブリタニア人が全てのナンバーズより倍以上の働きが出来るわけではありません。どこかで、ナンバーズに関する制度を改めなければ、いずれ占領政策への不満という風船が破裂します。風船が破裂してからでは遅い。〉

 

つまり…これはその試みというのが義弟の言い分のようだ。国是そのものもどこかで改めて、名誉ブリタニア人達を中心に社会全体の改革を進めなければならない。あの庶民出身者の事件当時は貴族への反発心が先走っていたが、今は自分なりの政治方針を持つように至ったようだ。それは喜ばしい…

 

「分かっているとは思うが各エリアの統治は総督の権限内だ。そして、その統治は本国によって定められている。お前のナンバーズ採用とて本国の政治家や兄上が恭順政策の一環として認めているが、基本的には極めて稀なケースだ。それを忘れるな。」

 

〈はい……それと、ユフィも副総督に就任されるそうですね。無理をしないようにと、姉様の方からお伝えください。〉

 

「ああ…分かった。伝えておく。」

 

通信を切り、コーネリアは義弟の考えに思考を巡らす。あの事件をきっかけに彼は庶民出身者だけでなく、ナンバーズ出身者にも採用を広げると主張した。本国の貴族達のようにナンバーズ全てがブリタニア人より下、等とは思わない。だが、我々は統治する立場だ。積極的に戦線へ送るべきではない。

 

命を懸けて戦ってこそ、我々は統治する資格があるのだ……

 

ライルもそこは同意見であるが、行きすぎれば有用な人材の発見が遅れて、下手をすれば反ブリタニア勢力にも流れると主張していた。しかも、あの事件で貴族への偏見が根付いてしまい、『区別を言い訳にした寄生虫共からは誰が彼らを守る?』と聞かされたこともある。恐らく、ライルなりに防波堤になろうとはしているのだろう。前線へ出る以上、人種や爵位より実力が大事でそれを磨く機会を与えるという主張も分かる……

 

全てを肯定することは出来ないが、だからといって排斥しようなどとは思わない。

 

「全く……気難しい弟だ。」

 

 

 

その後、コーネリアが総督として、妹の第三皇女ユーフェミアが副総督として着任する直前に小さな事件が起きた。ゼロを取り逃がした純血派がナンバー2のキューエル・ソレイシィを首謀者に首魁のジェレミアを粛正しようとした。ゴッドバルト家も名家だが、ソレイシィ家もかつては帝国最強の十二騎士『ナイトオブラウンズ』を輩出したこともある名家だ。その意味でもジェレミアの粛正は小さくない意義を持つ。だが…その粛正に枢木スザクがシュナイゼル直属の特別嚮導派遣技術部、通称特派で開発された第七世代KMFランスロットで介入、更にユーフェミアも続けて介入してその場を諫めた。

 

記録を見たライルは精鋭揃いの純血派が駆るサザーランドを全く寄せ付けないランスロットとそれを乗りこなす枢木スザクの技量にも、その行動にも驚かされた。

 

「生身の人間がいたとはいえ、ケイオス爆雷の盾になるなんて。このブレイズルミナスがなければ、死んでいたぞ。」

 

「……殿下のお嫌いなタイプなら、ナンバーズがブリタニア人を守るのは当然といいそうですね。」

 

フェリクスの茶々を軽く睨み、ライルはデスクに眼を戻す。

 

「連中の理屈はともかく……尚更会ってはみたいね。ゼロと枢木スザクに…」

 

それからしばしした後、本国でクロヴィスの国葬が行われることとなった。大きなクロヴィスの写真の前に98代皇帝である父シャルル・ジ・ブリタニアが立つ。

 

〈人は…平等ではない。生まれつき足の速い者、美しい者、親が貧しい者、病弱な身体を持つ者、生まれも育ちも才能も……人間は皆…違っておるのだ。そう…人は、差別されるためにある。だからこそ人は争い、競い合い、そこに進歩が生まれる。不平等は、悪ではない。平等こそが悪なのだ。〉

 

クロヴィスの死とはまるで関係の無い話が行われ、次に皇帝はブリタニアと同じく世界を三分する二つの国家と自国を比較する。

 

〈権利を平等にしたE.U.はどうだ?人気取りの衆愚政治に坐しておる。富を平等にした中華連邦は怠け者ばかり。だが、我がブリタニアはそうではない。争い競い、常に進化を続けておる。ブリタニアだけが前へ!未来へと進んでいるのだ。我が息子クロヴィスの死も、ブリタニアが進化を続けているという証。〉

 

シャルルの言葉にライルは同調できる部分があった。勉強でもスポーツでもライバルがいれば互いに競い合い、お互いに記録が伸びる。自分の部隊でもその場でスカウトした者を除けば現地の名誉ブリタニア人の兵士に自分と戦ってもらい、その眼鏡に適うという目標のために競わせている。

 

だが…ジュリアはどうなる?

 

家が庶民であったが故に、死に追いやられた彼女……彼女の能力は自分より上だった。生きていれば騎士候位を得ていたかもしれないのに。生まれ故に敵と戦い、周囲と競い、地位を得る機会を奪われた彼女。その機会すらもらえないナンバーズ………

 

軍を率いるようになってから…いや、それ以前からライルは見てきた。庶民だから、ナンバーズだから機会を奪われる。果たしてそれが良いことなのだろうか?それでは進化ではなく衰退を生むのではないか?

 

たとえ、完全な平等ではなくても……少しでも平等に近い社会を作れれば…1回限りでも機会がないよりは良いはず。

 

だから、ライルはブリタニアを変えようとした。生まれではなく、能力や才能があればそれを活かし伸ばす事の出来る社会を、国を作ろうと。ナンバーズでも庶民でもその人物が優れていればその力を取り入れて新しい風を吹かせれば国も更に発展するはずと、いずれはその多様性でもって人種や身分間の確執を解消すると信じて。

 

〈闘うのだ!競い奪い獲得し支配しろ。その果てに、未来がある!!オール・ハイル・ブリタニア!!〉

 

 

 

事後処理と今後の行動計画を議論する間に状況は動き、ゼロは自らの組織『黒の騎士団』を立ち上げた。エリア11最大の反ブリタニア勢力『日本解放戦線』がカワグチ湖で行われたサクラダイト国際分配会議を襲撃、一部人質を殺害した暴挙に対してゼロが介入。人質を救出して、自らの組織結成を宣言。その理念は『イレヴンでもブリタニア人でも、武器を持たない者の味方』。

 

〈力あるものよ!我を恐れよ!力なきものよ!我を求めよ!世界は…我々『黒の騎士団』が裁く!!〉

 

「所謂正義の味方、か。」

 

それからのゼロは宣言通りだった。汚職政治家、警察、軍隊を手当たり次第に断罪。更には半ブリタニアを名目に租界の民間人を巻き込むテロリストも攻撃して、イレヴン達から熱狂的な支持を受けるに至った。

 

「エリア11では中立寄りのイレヴンが彼らに靡きつつあるようです。この調子では、主義者が賛同するのも遠くないでしょう。」

 

主義者……ブリタニア人でありながら現在のブリタニアの在り方に否定的な見解の人間の総称だが、ライルも広義で言えば主義者だろう。が、現実問題としては厄介だ。主義者の中には貴族も少なからず居る。皇族とそれに連なる貴族達が強い力を持つことを良く思わないまたは各国への侵略戦争に否定的な貴族…後者については軍や政府関係者の中にもいると考えられるほどだ。そうした貴族達の中には各エリアの衛星エリアへの昇格を妨害するべく、E.U.や中華連邦と結託する動きもある。

 

が、ライルにとっては別の問題が深刻だった。過去に戻った気分にする麻薬リフレインがエリア11に蔓延しつつある。イレヴン達にとっては現実逃避の手段として見做されるのだろうが……この麻薬について問題は…

 

「よりによって警察が結託しているとはな…!」

 

あろうことか、警察がゲットーへのリフレイン蔓延に協力しており、警察用に払い下げられたKMFナイトポリスまで横流ししていたのだ。先日、その売買ルートの一つが『黒の騎士団』によって潰されて公表されたのは本国でも話題となり、エリア11では租界の住民ですら好意的な意見がある。実際、ライルとてこの手の事件に警察が協力していた事実には憤りを禁じ得ない。

 

同時に、ここまで大規模な蔓延は海外…ほぼ確実に日本の隣国でもある中華連邦の工作だろう。無理もない、中華連邦にしてみれば喉元に刃を突きつけられたようなものなのだ。なんとしてもエリア11の衛星エリア昇格は阻止したいところだろう。

 

しかも、エリア11には日本軍の残存勢力である『日本解放戦線』までいる。枢木ゲンブ首相の自決で内政が混乱して、日本軍が充分な戦力を残して降伏したために当時の日本軍人で構成された組織はいくつかある。

 

「……露払いくらいはした方が良いか。」

 

改めて、ライルはシュナイゼルを通じて皇帝にエリア11への遠征を具申した。

 

 

 




次回から、ライルはエリア11に行きます。

掲示板時代のアイデアなどもここに出てきて、日本やE.U.、中華連邦でも自分で考えたのが出てきます。
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