コードギアス 戦場のライル   作:meitoken

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ここから暫くはE.U.のオリジナルキャラとアキトのメンバーで行きます。




WARFARE-32『ユーロピア共和国連合』

時は遡り……皇歴2017年また革命歴228年、ユーロピア共和国連合E.U.は『ユーロ・ブリタニア』領土となったロシアの大都市サンクトペテルブルク奪還のために動いた。しかし、事前に作戦計画を察知したブリタニアに包囲され、エストニアの都市ナルヴァで孤立していた。その支援に向かうのが新設された『w‐ZERO部隊』。KMFを主軸とした特殊作戦部隊だ。

 

その兵士はエリア11成立に伴い、敵性外国人として収容所へ送られて財産も凍結させられた旧日本人、イレヴンたちだ。彼らは政府が日本企業に抱えていた負債を踏み倒すとともに、革命政府の権威をアピールする方便として生贄にされた。

 

辛うじて、難を逃れたのは当時からの政府や財界の要人とその親族、或いは学会の権威だけ。それ以外は皆、イレヴンとして差別されていた。

 

正式な手続きで、ユーロピア市民として認められていた彼らが……

 

 

 

「それを……市民権を餌に入隊、か。」

 

政府は正規国民の戦死による世論の反発を避けるために、イレヴン達を志願させた。死んでも、家族に市民権を保障するために。

 

だが、それ以上に政府が重要なのは保身だ。有力者たちの投票を失って、自分達の政治家生命が危うくなるのを防ぐためにこんな手を打ったのだ。いわば、イレヴン達は捨て駒だ。その捨て駒を用いて、何か戦局を巻き返すことでもできればいいが軍上層部さえそれをやろうとしない。

 

「イレヴンは切腹だ、カミカゼだと叫んで死ぬのが大好き」、そんな偏見だけで作戦を立案して彼らを死なせている。いくら死んでもいいから。

 

「戦争で負けたら、それどころじゃないってなんでわからないのかしら?」

 

首都パリのバーでそんなことを考えているのは背中まで伸びた長い金髪の美女だ。

 

クラリス・ドゥ・ピエルス……統合本部に所属する高官の娘で、自身も軍に籍を置く少佐だ。まだ二十代前半といった顔立ちだが、気品と妖艶さが入り混じった美貌は目を引く。何よりも、その豊満な肢体だ。軍服の上からでも形のいい円を描く巨大な胸に、細くも程よく鍛えられた身体……軍人ではなくファッションモデルや女優といった方がしっくりくる。

 

「よう、んなところで一人ちびちびやってないでこっち来いよ?」

 

声をかけてきたのは、軍人だ。しかし、軍服を着崩してしかもかなり飲んでいるのか酒に酔っているのが見て取れる。

 

「悪いけど、一人で飲みたいの。」

 

「かてえこと言うなって!俺は中尉だぜ!?」

 

「おいおい、金あんのかよ?」

 

「あぁ?俺たちは革命政府の尊厳を守る兵士だぜ!」

 

要は、ただ飲みする気なんだ。となれば、こいつはどこかの資産家か政治家、軍上層の息子か。仲間も、これだ。

今まで、散々こうしたモラルの低い軍人達を見てきたが彼女にとって、重要なのはまさにこれだ。

 

軍隊は今や、上流階級のステータス以外の意味を失っている。何せ、既にロシアの大半が『ユーロ・ブリタニア』の領土となり、大西洋とアフリカ大陸から本国も攻めてきているというのにフランスはもちろん他の国でさえ危機感の欠片もないのだ。

 

時折、そんな国の軍人である自分が何をしているのか分からなくなる。

 

「…本当に、もう帰るの。これ以上飲んだら、明日の公務に差し支えるから。」

 

「あぁん?お高く留まりやがって!いいから、来いって。」

 

掴みかかった男の手首をつかみ、投げ飛ばす。日本の柔道の真似だ。

 

「私の階級は少佐よ?今のは聞かなかったことにしてあげるから、貴方達もほどほどにしなさい。」

 

だが、今のでのびてしまった。ため息をつき、何枚かの紙幣を出す。

 

「そこでのびてる奴と手下の分もあるから、これだけあれば十分でしょ?」

 

「は、はい。ありがとうございました。」

 

「いえ、こちらこそ軍の者が迷惑をかけてしまったわ。」

 

「はあ、もう…」

 

ストレス発散のつもりで飲みに出たのに、これでは逆効果だ。

 

「せめてフィリップがいてくれればな…」

 

親友を思い出しながら、今の状況を思い出す。そろそろナルヴァ撤退作戦が開始するころだろう。132連隊には親友と面倒を見ている新兵の少女がいる。

 

「あの二人、大丈夫かしら?」

 

 

 

エストニア・ナルヴァに籠城した132連隊は撤退を開始。援軍の攻撃によって『ユーロ・ブリタニア』の『四大騎士団』の一つ『聖ラファエル騎士団』の包囲網が崩れ去った。

 

「やっと、帰れるぜ。」

 

「ったく、援軍が来るのがおせえんだよな。」

 

「でもいいんじゃね?キャンプしてたと思えば。」

 

「ああ、それ言えてるな!」

 

「戦争なんて、ちょろいもんだぜ!」

 

つい先刻まで敵に包囲され、そのまま殲滅戦を仕掛けられて死んでいたかもしれないというのに…自分達が危機に陥ったという認識どころか、そもそも戦争をしていたということさえ認識していないかのような体たらくだった。

 

それを通信越しで聞くフィリップ・ポテは深いため息をつく。モスグリーンのショートヘアの好青年は砲撃型のパンツァー・フンメル主体のE.U.では珍しく、鹵獲したグラスゴーに搭乗していた。パンツァー・フンメルの時からそれなりの腕だったという自負はあるが、実際にグラスゴーに乗せてもらっているのは政府要人の父の威光だ。息子がKMF、それもグラスゴーで戦っているというアピールをしたいだけだ。

 

せっかくの鹵獲したKMF、それもグラスゴーやサザーランドでさえも政府や軍上層部は大して実戦経験もない自分の子供を乗せて権力アピールに使っている。KMFの有用性を認めた親友の父でさえ、それを「KMFの有用性をいち早く認めた先見の明を持つ軍人」というブランド作りにしか活かせない。軍人としての発想力はあるはずなのに、それをそんな方向でしか活かせない。それでは無能と同じだ。

 

「俺も、人のこと言えないか。それにしても…」

 

〈なんなんでしょう、あの大穴。爆撃でもしたんでしょうか?〉

 

半年前に入隊し、同じくグラスゴーを任された新兵リラ・ルーベンスは周囲の状況に疑問を抱いた。

 

『ラファエル騎士団』のサザーランドの残骸がいくつか転がっているが、どうも気がかりなのはその付近の大穴だ。爆撃の跡にしては場所が近すぎたり、広すぎたりしている。これではまるで…

 

まさか、自爆?

 

だとしたら…そういえば、イレヴン…軍が旧日本人の志願者を今も募っているという話を聞く。まさかとは思うが………いや、あの上層部ならやりかねないか?

 

父も腐敗した権力者の仲間だ。やりかねない。

 

そして、援軍がイレヴンの少年たちで構成された特殊作戦部隊のKMF隊で、愚かな司令官が自爆作戦をやらせたと知るのは親友のいるパリに帰った後だった。

 

 

 

「これ、本当なんですか?」

 

クラリスは統合本部にいる父ギャストン・ドゥ・ピエルス将軍を問い詰める。先日のナルヴァ撤退作戦で132連隊の撤退を援護したのがイレヴンの少年兵であり、その部隊が一人残してみな自爆してしまったと。

 

「その通りだ。」

 

「っ、どういう了見ですか!しかも、投入されたKMFは新型じゃないですか!」

 

新型のKMFをこんな愚行にしか使わないとは。

 

「クラリス、お前も知っておろう。イレヴン共は死ぬのが大好きなのだ。我々は、大好きなカミカゼをやらせてやったのだぞ?」

 

何が大好きだ!戦争の時、自爆が横行したのは聞いているがそれとこれとは話が違うではないか!!

 

「私が言いたいのはそう言うことじゃありません!一体、何のためにイレヴンの志願者を募っているんですか!?」

 

「革命の尊厳を守るためだ。我がピエルス家は、貴族支配の限界を悟り革命に同調した元公爵家。私もお前も、その責務を果たしているではないか。」

 

何が責務だ!祖先の中には、市民とともに武器を手に戦った者もいる!祖先にならうというのなら、自分も前線で指揮を執ったらどうなんだ!?

 

士官学生の頃、もしかしたらそれより前から詰め寄ったが父は取り合わない。入学の頃には悟っていた。父はこういう人間なのだと。

 

入学したのは自分の意志で、父は反対しなかった。魂胆は分かり切っている。家に箔をつけるためだ。

 

「クラリス、お前はナルヴァ作戦の帰還祝賀パーティーには」

 

「参加もしていない軍人が出るのは場違いでしょう?命令でないのならば、失礼します。閣下。」

 

敬礼をして、クラリスは足早に退室した。このままでは、本当に命令だと言われかねなかった。全く、機嫌が悪い。部下の誰かに酒でも付き合ってもらおう。

 

そう思っていた時、随分と若い二人組が来た。一人は西洋人…もしかしたらブリタニア人?資料で見たことがある。新設された部隊『w‐ZERO部隊』の発案者レイラ・マルカルだ。無能な司令官を追い落として、作戦を成功させた功績で中佐に昇進したという。もう一人はイレヴンだ。黒髪が長く、怜悧な美貌だ。気品にあふれた美貌のレイラととても相性がよさそうだ。

 

クラリスは道を譲り、敬礼する。二人も敬礼で返し、すれ違った。

 

今の子、もしかしてナルヴァの生還者?

 

だとしたら……一体、彼はどんな気分なんだろう?国を奪われ、貿易パートナーのE.U.にも裏切られて…何のために彼は戦う?

 

そして、彼女はどう思うのだろう?国を守るどころか、自分達が戦争をしていることも軍人という自覚さえない15000人と引き換えに死んだ19人を。

 

「132連隊は無傷だが、撤退を援護した『w‐ZERO部隊』は一人を残して全滅、か。」

 

イタリア首都ローマのイタリア州軍司令部でアデルモ・バルディーニ中将はナルヴァ作戦の報告書を読んでいたが……副官はけげんな顔だ。

 

「132連隊は無傷…交戦しなかったということですか?」

 

「そういう風潮が蔓延しているのだ…今のユーロピアは。」

 

そう、今の革命政府にとって戦争はステータス。今や政治家も軍もその大半は隣国がブリタニア領土となれば、次は自分達の番だ。そんな発想さえできないのだ。

 

「そんな連中のために、日本人が。」

 

「…そんな国に来てまで、日本独立の足掛かりを得たいとは貴官も酔狂だな。」

 

来客用のソファーに座るイレヴンの男にバルディーニは冷徹な皮肉をぶつける。

 

「いや、話には聞いていましたが…想像以上でした。」

 

旧日本軍の制服をきたその男は一応最低限の身なりを整えているが、素行の悪さをにじませる。しかし…どこか思慮深さを漂わせている。

 

「エリア11の協力者から、おおよその話は受けている。政府はこの件を了承した。貴官の部隊は私が統括するイタリア州軍外人部隊に編入される。それに伴い、新設の第五機甲大隊の指揮官を引き受けてくれ。」

 

「イレヴンのカミカゼ部隊、の間違いでは?」

 

随行の日本人士官が不信感をあらわに問うが、ソファーの男が手で窘める。そして、男は紅茶を飲み干して。

 

「では海藤隆一大佐、只今をもってイタリア州軍外人部隊、第五機甲大隊の指揮官を拝命いたします。」

 

エリア11から亡命した海藤隆一大佐……エリア11ホクリクであの第八皇子を相手に逃げ切ったその手腕をバルディーニは高く評価していた。逃げ切った、といえば誰でもできそうだが本国で発生した名誉騎士団の事件以外に目立った失点のない第八皇子、しかもその失点さえ自分で片づけた……軍や政府の一部ではブリタニア屈指の人材マニア或いは良識派と評価する声もある。

 

加えて、現在の能力と将来性を踏まえればコーネリア以上になると分析する将官もいる。それを相手に逃げ切るとなれば、相当なやり手。そして、エリア11では七年もの間ゲリラ戦をしてきた。

 

「大丈夫なのでしょうか?イレヴンだから、とは言いませんが……その…」

 

「軍人とは思えない身なりと態度か?」

 

「…はい。」

 

彼の言うことは分かるが、そんなことを言えば今のE.U.軍などもっと酷い。現在の状況さえ、政府は加盟国同士の貿易が滞っている。程度にしか認識できていないのだ。

 

「『ヴェネツィアの鯨』が認めていなければ、私は信用していなかったでしょう。」

 

「政府が作った看板だぞ?」

 

「ですが、実際に海上戦闘で『ユーロ・ブリタニア』を撃退したではありませんか。」

 

実際に撃退したことはある。だが、それはまだ水中用のKMFが少なかったからだ。今本腰を入れて戦えば、絶対に勝てない。

 

しかし、その宣伝効果を言い訳にして難民保護地区を作ってローマの日本人ゲットーからの志願者にできうる限りの便宜を図っている。それが功を奏したか、バルディーニの息がかかった部隊はそれなりの練度と士気がある。だが、それ以上は無理だった。バルディーニを疎んじるパリの統合本部やそちらに幅を利かせるイタリア首脳部が圧力をかけている。

 

「『w-ZERO部隊』と同じ轍だけは踏ませないようにする。」

 

「は!」

 

 

 

ゼラート・G・ヴァントレーン中佐はブリタニア人だ。かつて、シャルル皇帝の即位をめぐる内戦で反皇帝派として征伐された貴族の息子だ。しかし、亡命から間もなく親も保護者も失い、孤児となった。成長した彼は生活の糧を求めて入隊、特異な出自で疎んじられてドイツの外人部隊で捨て駒にされるが、ブリタニアとの戦争で着実に実績を挙げ、26歳の若さで中佐に昇進していた。そして、実績と在籍年数、家柄を振りかざさない態度から人望もあった。

 

そんな彼でも、不快なものがある。今回のナルヴァ作戦などまさにそれだ。

 

「呆れたな…せっかくの新型機をこんな形で捨てるとは。」

 

クレマン・インダストリーの娘が開発に携わっていたという特殊型。アレクサンダという名前以外には純粋な人型であることしか分かっていないが、それをイレヴンが乗るという理由で自爆させるとは。

 

「作戦遂行と民族の偏見の違いも分からぬような司令官の下に着く連中に同情する。」

 

「今に始まったことじゃありませんけどね…」

 

今、士官室のベッドにはゼラート以外にもう一人いた。副官のウェンディ・ミュラー大尉だ。なんでも、上官に失敗の責任を押し付けられてこちらに転属になったという。

 

何度か議論するうちに身体を重ねる仲となり、今では公私ともに信頼できる良い女だ。

 

「しかし、まさか司令官が参謀に作戦の欠陥を喚きたてて銃を向けるとは。」

 

『w‐ZERO』の基地にいるドイツ正規軍の知り合いを経由して聞いた話には呆れてしまう。ゼラートが今まで見てきた無能な正規軍士官でもここまでしなかった。ピエル・アノウ中佐とやら……そもそも、なんでこんなのが中佐になれたのだ?

 

「ハメルの奴も、頑張るよ。素直に尊敬する。」

 

これを送ってきたオスカー・ハメル少佐を思い出す。以前の任務でゼラートの外人部隊を監視しに来た彼は濃い目のグレーの髪に眼鏡のいかにも生真面目な軍人という風貌通りで、軍の改革を志す野心に燃えていた。考え方こそ合わず、何度か酒を飲みかわしたこともある程度だが、信頼できる正規軍人ではあった。

 

「私は、ダメなんですか?」

 

「誰もそうは言っていないだろう。第一、男に嫉妬するな。」

 

不機嫌そうに身体に乗って、大きく形も良い胸を押し付けるウェンディと唇を重ね、ゼラートは彼女を抱いた。

 

 

 




こうしてみると、E.U.は銀河英雄伝説の自由惑星同盟より酷いですね。86のサンマグノリア共和国が近いんでしょうか?しっかりと読んだわけじゃないが、酷いのは聞いてます



E.U.のクラリスはアキトやオズ発表前にE.U.のオリジナルキャラとして出しました。そちら系?といわんばかりですが、KMFの実力はラウンズ並みです。

ドイツのゼラートは亡命貴族の息子…イタリアのバルディーニはスマイラスとさほど交流はないけど優秀な軍人です。

尚、外人部隊というのは掲示板時代のアイデアを採用したもので、イレヴン以外にブリタニアに降伏した国の正規軍や徴兵した兵士などで構成された部隊で…これまた正規軍の盾として使い潰すだけの用途に成り下がった部隊。

どんなに頑張っても、手柄は正規軍のぼんくら共のものです
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