コードギアス 戦場のライル   作:meitoken

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ここでメインヒロインにして、ハーレム第一号です(笑)。

ちなみに最近の転生ものが大嫌いで、近いものでも「聖剣学院の魔剣使い」が例外という位に嫌です。

だから、難易度高い完全なオリジナル主人公本編沿いなどにしました。

ちなみにオリジナルのKMFはR2の時間軸までお預けで、ライルは当分はグロースター(コーネリアの色違い)です。


WARFARE-4『イレヴン』

ライルは犯人達と被害者達を政庁まで護送した。ライル個人としては処刑してやりたいが、犯人および客の罪状については、ナンバーズを扱った売買はエリア特法という壁のために裁けない。そうである以上は、他の罪状を徹底的に洗い出して厳正な裁判に掛けて、社会的な打撃を与えるしかなかった。

 

幸い、政庁や警察への贈賄や他の方面からの収賄という罪状に加え、政庁内部の協力者も芋づる式につり上げることができそうで、そちらにはコーネリアも総督の権限の範疇である程度協力してくれることとなった。犯人達をコーネリアに預けた後、ライルは被害者達のコンテナへ向かった。

 

「私はブリタニア第八皇子、ライル・フェ・ブリタニア。貴方達の扱いに関して、コーネリア総督より全権を委ねられています。しばし、この政庁に滞在してもらい、然るべき措置を取った後にゲットーへと送り返す予定です。また、名誉ブリタニア人となる事を望む方は滞在中に進言してください。我が国の不正の陳謝として称号を得られるよう、努力する事を誓います。」

 

イレヴン達がざわめくが、大半は最初から信じていない眼をしていた。その目は何度も見ている……採用しようとした名誉ブリタニア人達からも向けられていた眼だ。人間としてではなく、物として売られそうになったのだ。そんな国の皇子を信じるはずがない。それでも、ライルは彼らのために自分に出来る事をするつもりであった。

 

一泊おき、ライルは全員に呼びかける。

 

「では、まずそこで名前、住所を明記し、案内の兵士の誘導に従ってください。兵士の詰め所を手配してあります。またも窮屈な思いをさせてしまいますが、食事と毛布の手配は済ませてあるので、辛抱をしてください。」

 

指示を終えた後、兵士達に急かされる形でイレヴン達が続々と移動していく。コンテナの中から出てきたのも含め、五十人は下らないと聞いていたが、その通りであった。どこから攫ったかは知らないし、警察や政庁にも協力者がいたとはいえ、よくこれだけの人数を政庁の目を盗んで確保した物だ。

 

クロヴィス兄様の政策が今問題視されていたのを差し引いても…これだけのことを……自らの私腹を肥やすためなら皇族までをも食い物とするとは……あの時と同類の貴族への怒りが込み上げてくる時、

 

「おい!早く出てこい!」

 

急に兵士の荒々しい声がコンテナの奥から聞こえた。ライルは気になり、コンテナの入り口から顔を覗かせる。

 

「どうした?」

 

彼の声に気付いた兵士が気付き、背筋をただす。

 

「殿下、この娘が動こうとしなくて…あとはこの者だけなのですが。」

 

彼らの言う通り、一人だけだ。少し興味がわき、兵士の間に入って話題の人物を見る。長く伸びた栗色のストレートに鼠色の瞳が特徴的な少女だ。外見からしてユーフェミアとさほど変わらない年齢に見える。少女はライルの顔を見た途端身体を縮め、壁にすり寄ってしまう。完全に脅えてしまっている。

 

「先ほどからこの調子で……」

 

「……少し、外してくれないか?」

 

ライルは兵士を下がらせて少女の前で片膝を着く。

 

「大丈夫…何もしない。私は味方だよ。」

 

出来るだけ優しく呼びかけ、手を差し出す。すると、少女は少し気を許したのか、おそるおそる手を取った。

 

 

 

ライルは少女をコンテナから連れ出し、署名をさせた後倉庫まで連れて行こうとしたが、急に少女が自分の服を掴んだ。

 

「どうした?」

 

尋ねても答えず、ただ服を掴んでいる。ライルはもしやと思い、もう一度問う。

 

「私から、離れたくないか?」

 

少女は黙ったままただ頷いた。部下達が横で「ワガママな。」と言っているが、よほど怖かったのだろう。

 

「仕方ない……この子は私の部屋で預かる。総督には後で私が直接報告する。」

 

与えられた部屋に連れてきたライルは備え付けられていたポットに茶葉とお湯を入れ、紅茶を入れた。カップに注ぐと同時に心地よい香りが漂ってくる。

 

「砂糖とミルクは入れるか?」

 

「あ、ありがとうございます……いただきます。」

 

ようやく口を開いたか。少女は砂糖を一杯入れておそるおそる口に運ぶ。毒など入っていないというのに随分と警戒しているが、普通そうだろう。

 

「美味しい…」

 

「そうか、それは良かった。」

 

少女が紅茶を飲み終えるのを待ち、飲み終えたところでライルは口を開いた。

 

「君の名前は?」

 

「有紗。飯田有紗です……」

 

「……良い名前だな。」

 

 

 

飯田有紗は自分の生い立ちを話してくれた。ブリタニアによる日本占領で親兄弟、親戚の全てを失い、住んでいたハラジュクゲットーで似たような子供たちと肩を寄せ合い、大人達に助けられながら生きてきた。そして今から一月半前に租界近辺を通ったところをあのオークションの主催者に目をつけられ、ヨコハマに連れてこられたと……

 

「そうか…すまない、嫌なことを思い出させた。」

 

言っていてライルは自己嫌悪に見舞われた。皇族という立場の関係上、ライルは祖国の繁栄が他国を蹂躙することで成り立っているのを理解していた。そして、そのために植民エリアとなった国々の人間が苦しんでいるのも。幼い頃から憧れていた帝国最強の十二騎士『ナイトオブラウンズ』の一人『ナイトオブナイン』ノネット・エニアグラムと共に戦場に立つことを夢見て軍学校に入り、上位で卒業しすぐに戦場を駆けることとなった。ゲットーの現状を生で見て知ったのはそれから暫くしてだ。幼い頃、教師に質問した各エリアの反抗の理由を見て、幼い疑問がより大きくなった。

 

それを目の当たりにした彼はナンバーズのために、そして彼女のように庶民だから認められない者達のために何かしたいと思った。考えた末に自分がたどり着いたのはナンバーズのみの部隊、『フォーリン・ナイツ』だ。

 

が……すぐにブリタニアに反発する者によって偽善だと非難され、同時に軍でも疎んじられるのを知ってしまい、自己満足だと痛感させられた。そして、どんなにナンバーズが認められるように頑張っても彼女のような人間を見ると偽善だと再認識させられる。

 

しかし……だからといって、やめるわけにはいかないしそんなのは許されない。始めたからにはやり通さなければ……

 

ライルは心を整理し、有紗の顔を見る。

 

「…有紗、君は名誉ブリタニア人になる道と、ハラジュクに戻る、どちらを選ぶ?」

 

「え?わ、判りません。一応勉強はできているけど……働く先もなくて。」

 

またもや傷をえぐってしまった。そんな自責の念がライルの胸を刺す。

 

「……とりあえず、しばらくはここにいると良い。その間じっくり考えてくれ。私は君やあの商品となった人達のことを総督に報告してくる。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

有紗が深く頭を下げるのを見てライルは幼い頃の記憶を思い出す。あれは幼い頃、ユーフェミアに会いに来たときに彼女の帽子が突風で飛ばされて木に引っかかり、取れなくなって泣き出したユーフェミアのために帽子を取ったときに礼を言われた時だ。

 

人に心から感謝されたのはこれが何度目かな?そう思いながらライルはクリスタルを呼んだ。

 

「何か?」

 

「ああ、すまないがこの子に合いそうな服を持ってきてくれないか?同じ女性の君の方が彼女も抵抗はないだろう。」

 

「はい。」

 

クリスタルは頷いて退室した。そしてライルは有紗を向く。

 

「君が着る服は彼女が持ってきてくれるから、それまでの間にシャワーを浴びて身体を洗っておきなさい。」

 

 

 

飯田有紗はシャワーを浴びながら先ほどの少年…ライル・フェ・ブリタニアの端正な顔を思い出す。彼が日本を、両親を奪ったブリタニアの皇子。シンジュクで多くのイレヴンを殺したというクロヴィス総督や現在のコーネリア総督と違う印象のある人物だ。

 

私と大して変わらない歳なのに……軍隊を率いている。

 

そして、意図は分からないが助けてくれた上に便宜を図ろうとしている。彼に何か礼をできないのだろうか?

 

そう考えながらシャワーのコルクを閉めて有紗はシャワールームを出た。ちょうど良いタイミングで先ほどライルが呼んだ女性が部屋に入ってきた。短めにカットされたあかね色の髪と瑠璃色の瞳に加えて軍服の上からでも分かる豊満な胸とあわせて同じ女でも揺らぎかねない妖艶な美女だ。

 

「あら、ちょうど良かったわ。殿下に言われて持ってきた服よ。」

 

「ありがとうございます。えぇと…」

 

「クリスタル・ウィスティリア、殿下の親衛隊に所属しているわ。」

 

「飯田有紗です……あの、殿下にお礼をしたいんですけどどうすれば良いんでしょう?」

 

有紗の問いを聞いたクリスタルという女性は少し考える素振りを見せた。

 

「そうね…変に取り繕おうとしたりしないで、ただ素直な気持ちであの人には十分だと思うわ。」

 

「そうですか…」

 

 

 

ライルはコーネリアに事の次第を報告した。しかし、案の定コーネリアの反応はゼロを見逃したことに対する糾弾であった。くどくどと文句を言われ続け、ようやく解放されて部屋に戻った時…ライルは眼に入ったものを見た。

 

「何の真似だ?」

 

部屋で有紗がバスタオルを蒔いた状態で待っていた。その顔が羞恥と恐怖に染まっているのは一目瞭然であった。

 

「あの…殿下に助けていただいたお礼をしたくて。私、その……経験はないですけど殿下に満足…」

 

言い終えるより先にライルは有紗の頬を軽くはたいた。有紗が呆然と頬を押さえて見てくる。

 

「そんな事のために作戦を展開したわけでもなければ、そのために連れてきたわけでもない。」

 

有紗が「でも…」と見上げてくる。最初に見た時にも感じたことであったが、オークションの商品になるだけあって顔立ちは良く整っており、バスタオルに覆われている胸もクリスタルに比べれば劣るもののかなり大きく、形も良いので男としては目に入ってしまう。ライルは平常心を保ちながら言葉を紡ぐ。

 

「とにかく礼をしたいというのならもっと違う方法にしてくれ……その格好は…刺激が強い。」

 

ライルに言われて有紗が自分の胸を見下ろし、可愛らしい声を出しながら慌ててタオルできつく覆って背中を向く。

 

「戻る前に君も含め保護したイレヴン…失礼、日本人達の食事が回ったのを確認しておいた。ブリタニアの料理が君の口に合うかは分からないが、ちゃんと食べておけ。」

 

「…はい。それと……無理に日本人って言わなくても…」

 

「考えておく。」

 

 

 

クリスタルは部屋の外でこっそりとライルとあの有紗という少女の会話を聞いていた。自分とはまるで大違いの態度だ。クリスタルもジュリアと親しく、お互いがライバルのようなものであり、クリスタル自身もライルに惹かれていた。だが、ライルは貴族の自分ではなく庶民の彼女を選んだ。それは別にかまわない。

 

「まだ、引きずっているのですね?」

 

彼女が死んだ後、自らも傷つきながらクリスタルは傷心のライルを訪ねて彼を慰めようと身体を提供しようとした。彼にならば身体だけでなく女としての全てを捧げたい、と本気で思っていた。だが、拒絶された。

 

『傷の舐め合いみたいな形で君と関係を持ちたくないし…お互いのためにならないだろう。』

 

ジュリアを殺されて周りが「待っていました」と言わんばかりに婚約や新たな騎士、自身が補佐官にと言った話を持ちかけられて自分以上に傷ついているのにクリスタルの事を考えている。

 

「自分の事を少し考えてくださいよ…」

 

『フォーリン・ナイツ』の事もそうだ。ジュリアが庶民故に認められなかったようにナンバーズ故に認められない者も多い。ならばそれを変えるとライルは言ったが、根本にあるのは彼なりの皇族としての責任感に純粋な善意………そして復讐だ。

 

だから、好きになった。呆れる位に優しく、傷つきやすい彼を。だが…彼女は気づいていた。自分の中にある歪みに……

 

 

 

一時間ほど経過して有紗の食事が運ばれてきた。倉庫にいる者達の分も含めて相手がイレヴンだからといって手を抜いた料理を作らないように釘を刺しておいた事もあり、パンと牛肉の入ったシチューと色取り取りの野菜が盛りつけられたサラダと言った平凡な料理にコーヒーのセットが運ばれてきた。更に二時間後にライルの分の食事も運ばれてきた。こちらは食べやすいのを前提にしたサンドイッチと鶏肉のスープだ。オークションの主催者及び関係者と商品のイレヴン達のリストを見ながら食事をとるライルの前に湯気が立ったティーカップが置かれた。

 

「私が入れました。」

 

「そうか……ありがとう。」

 

ライルは紅茶を一口飲む。その瞬間、鼻に入った香りと風味がライルの舌と鼻を刺激した。

 

「……美味いな。離宮にいた頃入れてもらった紅茶より上だ。」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

有紗が顔を赤くして頭を下げる。

 

「そんなに堅くならなくて良い。それより、もう寝なさい。商品になっている間は怖くて身体が休まることなんて無かっただろう?」

 

「はい…」

 

「大きいかもしれないが、私のベッドを使って良いよ。私はまだ済ませなければいけない仕事がある。」

 

 

 

フェリクスはエリア11の名誉ブリタニア人及び庶民出身者の兵士のリストを確認していた。このエリアでもライルはあれを行うはず。ならば、少しでも早くまとめておかなければならない。

 

それに、幕僚達に先を越されたら何をされるか。ライルの補佐官達の多くはライルの方針には非協力的だ。彼らは優秀だが、貴族故に特権意識が強い。データの改ざんとまでは行かなくともリストには手を抜きかねない。ゲイリーは当初に比べればマシだが、他の補佐官達は……

 

「今更、庶民だからと言っても、既に庶民で皇妃なんてとんでもない事例があるわけですから。」

 

 

 

有紗は目を覚ました。あの後、ライルはベッドを使えと言ったのでその言葉に甘えてベッドで眠った。そして、後に眠ったと思われる人物はどこで…と周りを見回し、その姿を見つけた。どうやらライルは備え付けられているソファーで毛布を被り眠っているようだ。有紗は小さな好奇心に駆られてゆっくりとライルに近づいて行く。

 

「可愛い…」

 

顔立ちは女性のように整っているが、まだ幼さが残っている無防備な寝顔だ。しばらく寝顔に見とれていたが、その自分に気づき慌てて離れる。

 

どうしよう……まだお礼をできてないけど。

 

クリスタルは自分の素直な気持ちで表せばいいと言った。しかし……自分にできることと言えば……

 

そこへ、一人の少年が入ってきた。昨日、チラリと見かけた従者だろうか?

 

「…寝込みを襲うにしては、既に朝ですよ?」

 

「ち、違うの!えぇと………何か、お礼できないか…って。」

 

従卒の少年はじっと、こちらを見つめる。いや、どちらかと言えば疑っている?

 

「……殿下の方針には馴れていますが、お命を狙うならばこの場で兵を呼ぶくらいは僕でもできますよ?」

 

「違うから…」

 

「…でしたら朝食の準備を手伝って頂けますか?凝った宮廷料理はあまり食べたがらない方で、一般家庭出身の方の意見も欲しいですから。」

 

 

 

ライルはジュリアを見つけた………血を流し、倒れている。呆然と、彼女に触れると……彼女が目を開き、顔に手を添えた。

 

生きていてくれた?

 

そう、安堵した次の瞬間……

 

よくも…よくも、私を騎士にしたな?お前が私を騎士に選んだせいで、私も、両親も殺された……

 

呪詛……ライルへの……自分のせい、そうだ。ライルが彼女を騎士に選びさえしなければ……

 

ジュリアを突き飛ばし、後ずさるライルの後に誰かがいた。振り向くと…母と……着飾った女達がいた。中には、騎士の男達もいる。

 

ライル、この中から貴方に相応しい人を選びなさい。

 

殿下、あんな平民より私とお食事でも。

 

この私こそ、殿下の騎士に相応しいと自負しております。

 

殿下、何卒私の息子を親衛隊に…

 

いやだ!いやだ!見たくない!聞きたくない!

 

目をつぶって、耳を塞ぐがジュリアの呪詛と母や群がってくる貴族の呪いの歌が耳に入ってくる。

 

起き上がったライルは部屋を見回す。そうだ、エリア11の政庁に用意された部屋だ。

 

「…くそっ、これで何度目だ?」

 

あの事件で焼けたジュリアの遺体を見て、絶望と後悔が襲った。そして、群がってくる貴族と母の手先…………もう一年経つというのに………ずっと、同じ夢だ。

 

シャワーを浴びて、気を紛らわせたところでライルは有紗がいない事に気づいた。

 

まさか……政庁の何者かが?だとしたら、あの保護したイレヴン達にも!

 

飛び出そうとしたところで、エクトルが食事を持ってきた。

 

「殿下、お早うございます。」

 

「あ、ああ……いやそれより!エクトル!昨日保護した彼女は!?政庁の何者かが姉様の目も盗んで何かしたんだ!!奴らのことだから、イレヴンに何をしようと…」

 

 

 

やはり…あの事件が酷いトラウマになっている。父が皇妃に紹介する形で彼に仕えるようになった男爵家子息のエクトル・バルテレミーは、ライルに仕えるようになって二年になる。

 

元々貴族嫌いと噂されていたが、ジュリア・ボネットの事件でそれがより悪化している。ゲイリーを初めとした部下達は大丈夫だが、それ以外となると違う。否、これはもはやブリタニア人不信だ。

 

バルテレミー家の親戚に当たる息女達を宛がおうとする動きがあったが、エクトルはそれを止めた。一人で泣いて、自分を酷く責めているのを見てしまった。そんな人に対して……いくら何でも下劣すぎて見えた。

 

「殿下、落ち着いてください。彼女は私と一緒です。」

 

「……え?」

 

後ろから飯田有紗がやってきた。

 

「何かご恩をお返ししたい、と言ってきたので。少し朝食を手伝って頂いたのです。」

 

「あの……」

 

ライルは呆然としていた……

 

「そうか、すまない。見苦しいところを見せた。」

 

「いえ…お気になさらず。」

 

二人の間に微妙な空気が流れ、エクトルは話を前に進めようとする。

 

「彼女、有紗さんは料理が上手ですよ。ゲットーで所謂炊き出しなどをしていたそうですけど、本当に上手です。」

 

「いえ、ただの家庭料理ですから……それに、バルテレミー様の方が。」

 

「……それ、やめてくれませんか?僕は貴族でも、年下ですよ?」

 

「え?……それじゃあ…エクトル君?」

 

「それでお願いします。……殿下、せっかくですからたまにはお客様とご一緒にいかがです?」

 

エクトルはいつもの手慣れた手つきでコーヒーとパン、ベーコン、サラダを用意する。とはいえ、パンはいつもと違う。自分が見張る、という形で彼女にも参加させた。料理が得意だと言うから、一部やって貰うと彼女はパンを卵と牛乳に付け込む、所謂フレンチトーストを作っていた。しかも、工夫しようとミルクティーをつけた。1つ頂いたが、中々によく出来ている。

 

「……ご一緒にいかがです、と言いながら既に二人分用意しているじゃないか?」

 

ライルは半ば呆れた口調で受け入れた。

 

「さあ、どうぞ。ここはレディファーストで。」

 

「あ、はい…でも、イレヴン相手に…」

 

「イレヴンでも女性は女性、レディファーストです。殿下も、そうでしょう?」

 

「…まあ、ね。」

 

 

 

半ばエクトルが押す形での久しぶりの誰かとの朝食……たまに行うパーティーと違う。慎ましいが、軍学校の食堂で先輩やフェリクスと一緒に食べていたあの頃みたいだ。

 

「あの…どうでしょうか?そのフレンチトースト、私が作ったのですが。」

 

「よく出来ているよ。濃いめの紅茶とミルクでつけたと聞いたけど……日本人の食卓はこういうメニューがあるものなのか?」

 

「そうですね……外国の文化との交流が多かったと聞きますから…ステーキのソースも日本の調味料をベースに作るというのもありますし。」

 

「なるほど…料理などに国境はないという考え方か。」

 

「かもしれませんね。……私からも良いですか?」

 

「なんだ?」

 

「殿下とエクトル君、皇子様と側仕えにしては距離が近そうですが?」

 

「……彼は私の軍学校卒業と同時にに仕えることになったんだ。母の知り合いの男爵家当主の紹介でね。」

 

他愛のない話をするこの時間はライルにとって、とてもよいものだった。

 

 




ライルは良い意味でも悪い意味でも善良な貴族のお坊ちゃんというイメージです。ただ、それだと完璧すぎるから歪みはこのようにあります。そして、ジュリアの死とそれを喜ぶ貴族共の悪夢。ルルーシュも昔、こんな夢を見たのではないだろうか?

普通なら、こういう政庁内部の不祥事も浮き彫りになった以上、いくらコーネリアや保守的な政庁の貴族でもライルの決定に口は挟めないと思います。尻拭いしてもらったわけだし。

前書きにあったライルのグロースター、掲示板時代は角が違う形でしたが、想像しにくいのとバランスも悪いからコーネリアと同じに修正しました。一応、設定も後ほど。

尚、クリスタルの中にある黒いものは結構先になります。
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