ホテルコルテシア・東京…お客様に最高のおもてなしをするホテルの中のホテル。
この物語は、そのホテル従業員である山岸尚美と元刑事である新田浩介が…ただのんびりいつも通りにするだけの話である!!
因みになぜか初手で同棲始めてるぞ。




どうもこんにちは、こんばんわ。
東野圭吾さんのマスカレードシリーズの二次創作作品です!
時系列はマスカレードゲームの直後、基本男女バディもので恋愛要素はないのですが、そこらへん我慢できなかったという訳です。

キャラブレが許せる方だけ見てください。

ではでは!

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てなわけで、マスカレードゲーム終了直後からになります。
キャラブレ、喋り方など絶対に違和感があると思いますがご容赦ください。
では!


序章

 ホテルコルテシア東京…日々様々なお客様が泊まりに来る高級ホテル。

 ネットの、それもかなりコアな人からは”世界一安全なホテル”と名誉でもあり不名誉でもある気がする称号が付けられたのを知ったのは刑事時代最後の事件の時だった。

 

 その称号も、自分達がこのホテルで起こりかけた殺人事件を未然に防いだことに起因するものだったが、この話は今は良いだろう。

 このホテルの総支配人、藤木からの呼び出しとその内容に面食らってロビーへと戻って来た新田浩介(にったこうすけ)は改めて全体を俯瞰するように顔を上げた。

 綺麗な調度、1つ1つがおもてなしの心を感じさせる色合いのロビーは1カ月前まではある意味戦場だった。

 もちろんあくまでも比喩ではあるが、それがここにきてまさか別の意味を持つことになるかもしれないなんて誰が思っただろうか。

 

「どうされましたか、新田さん」

 

 少しぼうっとしていると、総支配人室から共に出てきてお見送りに来てくれた女性…山岸尚美(やまぎしなおみ)が訝し気に首を傾げていた。

 2人とも、初めて会った時に比べると歳を重ねたが彼女の女神のような美しさと自信は磨きがかかっていた。

 

「いえ、なんでも。それにしてもまさかあんなことを頼まれるなんて」

 

 尚美の顔を観察していた、などと口が裂けても言う事ができず代わりに先程の藤木の話を話題に出す。

 内容は、今度新設される警備部、その課長を新田に任せたいということだった。

 このホテルでは過去に3度、殺人未遂が起きた。

 その全てに新田はフロントスタッフに化け、解決へ導いた。しかし三度目の時に一般人…つまり尚美に怪我を負わせてしまった事で責任を取り辞職したのがつい最近の話だ。

 

「先程も言いましたけれど、私は新田さん以外にその役目は考えられないと思います」

 

 そして、そんな新田を拾うように藤木は警備部の課長を新田に任せたいと言って来た。

 正直直ぐに返事出来ない話ではあったし、言葉に詰まったのだけれども尚美は清々しい笑顔で

 

『ようこそ、ホテルコルテシア東京へ』

 

 などというものだから既に浩介の退路は絶たれていたようなものだった。

 

(あの笑顔はずるいと思う)

 

 その時の尚美の笑顔が嘘偽りのない、あんまりにも良い笑顔だったせいか浩介はそのスカウトを即答で受けてしまったのがさっきの話。

 

(俺はどこの高校生だ)

 

 女の笑顔で直ぐに意思決定しまう自分の様を嘲笑したが、それを遮るように尚美は半歩先で振り返った。

 

「そうと決まれば私も準備しなければなりませんね」

「準備…?それじゃあ」

「はい、一度ロサンゼルスに戻ってこちらに帰る準備をしたいと思います。」

 

 尚美は先の事件で警察との連絡の為に、ホテルコルテシアロサンゼルスからこっちに来ていた。

 だから尚美の本来の職場はロサンゼルスにある。

 しかし、今回の件で元々ロサンゼルスに行くのは期間限定だったのもありちょうどいい機会だという事でこちらに戻る事にしたのだろう。

 

「でもさっきは悩んでいるって」

 

 尚美がさっき浩介にこの話をした時は帰るかどうかを悩んでいるというものだった。

 向こうで磨いたスキルを此方で発揮したい気も、向こうでやり直したことがあるかもしれないと。

 けれどもなぜか帰る事になっている。それではまるで――

 

「悩んでいましたけれどね、新田さんが来るなんてこれからのコルテシア東京が更に楽しくなりそうじゃないですか」

 

 だから帰るという。

 きっと尚美にはそれ以上の意味は含んでいない筈の言葉なのに、都合の良いように解釈してしまうのは男の性なのだと思いたい。

 

「そうですか、でもそれなら送ってもらった方が早いんじゃ」

 

 輸送費に金はかかるが、わざわざロサンゼルスにまで行く必要はあるのかと聞く。

 尚美の事だ、既に向こうの友人とかもいるだろうに…と思った時には彼女の意図が分かり思わず口を塞いだ

 

「申し訳ない、挨拶は必要ですよね」

「そう言う事です。それに、持って帰れるものは自分の手で持って帰りたいですから」

 

 はにかんだ笑みに浩介は頷くしかなかった。

 そこで尚美は何かに気がついたように口を半開きにして固まってしまった。

 ホテルマンらしからぬ表情に、浩介も首を傾げる。

 しかし、考えてみれば当たり前の事が問題としてあった。

 

「どうしました?」

「いえ、向こうで買った食器類や置物の輸送を頼むときの送り場所をどうしようと思いまして」

「ああ…確かに、それは問題だ」

 

 ロサンゼルスに行く前は尚美も当然近辺に部屋を借りていた訳だが、ロサンゼルスに行く際には解約している。

 解約しているから長期休暇中のの現在はここでホテル暮らしをしているのだ。

 

「確かご実家は地方の方…でしたよね」

 

 以前、彼女がこのホテルに就職する事を目指した理由を聞いた時に聴いた覚えがある。

 正確には彼女が受験する時の話だが、遠方からじゃないと宿泊する事は無いだろうという辺りから言うと尚美は頷いた。

 

「はい」

 

 その顔には彼女には珍しく”面倒臭い”と書いていた。

 浩介も同じ立場なら同じことを思ったかもしれない。

 もちろんホテルに送る事も彼女は考えていたのだろうが、それは自分の中で却下したのだろう。あくまでも”お客様”の為の預かりサービスだと思っているのかもしれない。

 

 だから次案としては実家に一度送って、こちらでの新居へ送ってもらうという二度手間。

 否、なんなら最悪一度戻って来いと言われるかもしれない。それは今わけあって御免こうむりたかった。

 少し悩んだ尚美だったが、次の瞬間には何事も無かったかのように微笑んだ。

 

「ごめんなさい、行きましょうか」

 

 それはそれとして、今は浩介のお見送りだ。

 2人はロビーを抜け、入り口へ足を進めて…浩介は妙案が思いついたように立ち止まった。

 

「新田さん?」

「山岸さんが良ければ、俺の部屋に送るというのはどうでしょう」

「え?」

 

 目を丸くした尚美の更に珍しい姿に、浩介はしてやったりと笑みを浮かべたのだった。

 

 1週間後、浩介の家のチャイムが軽快な音を鳴らした。

 警備部についての資料を見ていた浩介が出ると、そこに立っていたのはつい1週間前にロサンゼルスに一度戻った尚美だ。

 隣には、1つの段ボールとスーツケース。尚美は非常に気まずそうにしながらも言った。

 

「それでは…お邪魔します」

 

 なぜこうなったと、浩介は一昨日位に起きた悲劇の影響でやって来た山岸尚美その人を見ながら思った。

 とどのつまり――

 

 ——なぜ、彼女が自分の家で住む事になったのだろうか

 

 浩介と尚美のドタバタ同棲が始まる(始まらない)!

 


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