妹と幼馴染が強すぎるので、釣りと料理スキルに極振りしたかったです(手遅れ) 作:初見さん
「かなで! 今日は私の家で遊ぼうー!!」
「ダメ! かなでは私と遊ぶの!!」
「兄さん……助けて……」
「お前は俺と遊ぶんだろ?」
「兄さんまで!?」
笑いながらモテモテだなぁと言ったのは本条楓の兄であり、白峯理沙の幼馴染である本条紅葉。かなでという男は紅葉の親友であり、自分の妹と幼馴染にモテモテの人間である。
「良かったじゃねぇか、お前が笑顔になれて」
「確かに兄さん達と出会ってぼっちからは避けられたけど……こんなハーレム展開は望んで……」
「「かなで?」」
「ます。はい」
はっはっはっ、と大声で笑う紅葉は妹と幼馴染にあまり親友を困らさないでくれとお願いする。
「困らせてはいないよ、楓と私、愛した人が全く同じだっただけ……そう、これは幾億年前の運命で結ばれた関係……」
「ねぇ、かなで。こんな厨二病より私と遊ぼうよ」
「誰が厨二病だ! 泣き虫よりマシでしょ?」
「なにをー!!」
「「喧嘩すんな(しないでよ)」」
なんだかんだで仲がいい4人である。
☆
「そんな訳でカナデの春を応援したいのですよ」
「まるで漫画みたいな展開だが……まぁ、コウヨウの気持ちもわからんでもないな」
時はNWOゲーム内まで進む。紅葉はコウヨウというプレイヤー名で、楓ことメイプルが作った【楓の木】ギルド内の兄貴分、大楯使いの玄人クロムと会話をしていた。
「全く、早く選べばいいのに……」
「まぁ、そういう気持ちもわかるが、お前も生半可な気持ちでカナデが選んだら納得はしないだろ?」
「まぁ、そうですけどカナデならどっち選んでも幸せになれますよ」
話はカナデが早く選べという話にはなるが、クロムの言葉を聞いて納得は出来た。ふと、コウヨウの言葉にクロムが疑問を抱く。
「カナデの春は応援したいのです、カッコ2度目」
「そういえばお前の春はどうなってんだ??」
はぁ? とクロムの言葉についタメ口で聞いてしまうコウヨウ。それに気がついてすぐ口を閉じたが、クロムは気にしてないと笑った。
「ほら、ユイちゃんがずっと待ってんだろ? あんだけアピールされておいて待たせているのも……」
「い、いや、ちょっと待ってくださいよ!? ユイは現実世界の人間じゃない……」
「ユイは現実世界にいますけど??」
コウヨウの言葉に突っ込んだのはクロムが話した大槌使い、ユイマイ姉妹の姉の方マイである。ユイとマイはコウヨウがゲームを始めてから師弟関係を組んでおり、コウヨウの化け物じみた強さから戦いの戦術や教えを請うた双子だ。
最初こそ師弟関係ではあったが、しばらくしてからその距離は縮まり、最終的には妹であるユイがコウヨウ好き好きLOVEちゅっちゅという小指立てる関係にまで進展し始めたのである。
「いや、ゲームシステムじゃないのはわかってるって……」
「ユイはずっと貴方を想ってますよ? でも、コウヨウさんとは現実世界ではどこにいるかもわからない完全なる赤の他人って言うこともあって、最近は少し遠慮気味になっています」
「うっ……ま、まぁ……そうなるよな……」
実を言うとユイが持つコウヨウへの想いとコウヨウがユイに対して持つ想いは一緒。【楓の木】全員が、それを知ってはいるのだが、ユイとコウヨウは同じ地域であるとか学生とか、そんな情報は一切無い。もしかしたらユイは北の最北端で、コウヨウが南の最南端の可能性だってあるのだ。
「現実で会えないのは確かに辛いよなぁ……」
「かと言って俺とユイが住所やら本名やら言うのはちょっとセキュリティ的に……」
大問題である。だからこそ、その一歩が踏み出せないのだ。少し悩んだコウヨウに対して……
「師匠! 好き好き! 大好き!! ゲーム内でもいいから結婚してください!!」
「お前なんてことを大声で言ってんだ!?」
「クロムさん、私とお出かけしましょう!」
「え? マイちゃ……」
「ユイ! ファイトだよ!!」
ほのかちゃんみたいな応援の仕方をしたマイはクロムの手を引いて、そのまま走っていった。嵐のような勢いで去った2人のせいで、ギルド内には白い髪にピンクのメッシュ、可愛らしい桃色のシャツに白いスカートを着た綺麗なお人形の様なユイと白装束の完全対喧嘩決闘イベントモンスター専用の最強装備(【魔王】討伐時に装備を全部合成したのでこれしかない)コウヨウの2人だけになった。ユイはコウヨウの目をまっすぐ見て伝えた。
「師匠……いや、コウヨウさん。今度、私とお姉ちゃん、家族でここに旅行に行きます。日程はこの日です」
「旅行……って、ここマジで近い場所だな……」
そう言ってユイはメッセージでコウヨウに旅行先を伝えた。何のつもりだとコウヨウは聞くが何となく言いたいことは分かる。
「コウヨウさんが来れるなら、ここに来てください。そしたら私たちの住所はバレずに、オフ会が出来ます」
「正気か? お前……俺なんてただのそこら辺にいる学生だ。現実で会っても、お前のおメガネにかなうかなんて……」
「コウヨウさんが……紅葉さんが良いです」
ユイの言葉に自分の髪を少し触りながら困った顔をするコウヨウ。正直、逃げてもいられない。どうせなら一度だけ……会ってみよう……ゲーム内の人と会うなんて、妹達がなんて言うか分からないが……
「はぁ……ユイ……」
「はい!」
「もしも会えたら……——を言う。それを合言葉にしよう」
「はい!! なら、——言ってください。私がその答えを返します!」
「分かったよ。飯くらいなら……奢ってやる」
「愛してます!!」
「げんきんな奴だな」
「お魚が良いです!!」
「現実のこの辺りだと寿司しかねぇじゃねぇか」
そう言いながらも、コウヨウは困った顔をしながらユイと笑った。そして……
「お兄ちゃん……行くの?」
「あぁ……ケリをつけてくる。えっと……楓」
「どうしたの? お兄ちゃんがしたいなら家は任せてよ!」
「かなでと理沙の3人でヤるのは良いが、責任は持てよ」
「私たちの事なんだと思ってるの!?」
なんて事を言うんだと楓は突っ込むが、あの様子だとそうなるのも時間の問題なので紅葉は伝えておいた。その後、交通の便を利用してしばらく目的地まで歩きながら、紅葉はユイ達のことを思い出す。
「俺は結構ユイマイに引っ張られたな。最初は楓と理沙が強過ぎたから不貞腐れて釣りしてただけだが……アイツらが俺を導いてくれたのも確かか……」
紅葉ことコウヨウのシンデレラストーリーを語るにはユイとマイは欠かせない人物である。彼女達と出会い、戦い、遊び、釣りして、ご飯食べて、モンスターにユイマイが食べられかけて、コウヨウが全力で助けるという事もあったが、今はユイもマイもコウヨウがいない時にイベントで蹂躙して名を馳せる強豪プレイヤーになった。その中でも最近ユイがミィのスキルを刀で防ぎ、大槌で勝利を収めたとかそんな番狂せの話もミィとユイ本人から聞いたのもあり……
「本当……強くなったよ……アイツらは……」
ふと、立ち止まると、見覚えのあるような無いような、黒髪のツインテールが二つ。ゲームでは色が違うのだが、紅葉は笑ってその2人に近づく。2人の間に少し背の高い女性がいるが、きっと……
「あの……すみません……」
「え?」
「私達に何か……?」
「えっと……『二刀一流は』……その続きを教えてくれませんか?」
そう言って紅葉は1冊の五輪書を2人に見せた。背の高い女性は困惑していたが、2人の少女は目を輝かせて、そのうちの妹の方は……
「『私の相手になりませんよ……』会いたかったですよ、紅葉さん!!」
「お前言う様になったな。初めまして、ゆい、まい」
そのまま彼を抱きしめて大喜びしたのである。
「ヨンウォニー!!!」
「「マイ(お姉ちゃん)はしゃぎ過ぎ」」
「いや、コウヨウさんとゆいに言われたく無いよ!?」
結局その後はどうなったかは紅葉のみぞを知るのだが、一つ言えることは双子と紅葉がより親密になったのは言うまでも無かったという。
「紅葉さん!! 遊びに来ました!!」
「え!? 紅葉誰この可愛い女の子!?」
「おう、入れ入れ」
「お母さんからお魚の差し入れです!!」
「みなさんで召し上がってください!」
「おう、ありがとう。捌くし焼くから……楓、かなで呼んでこい! 魚パーティするぞ!!」
「え? どうして……あ、ユイ、マイいらっしゃい!!」
「「お邪魔します姉御!!」」
「呼び方がおかしいよね!?」
「え!? 紅葉とうとう結婚したの!?」
「してません」
「もうすぐです!!」
「嘘つけ」
「でも、ゆいと紅葉さん親公認ですよね?」
「紅葉さん、私離しませんからね!!」
「うっ……かなで、早く来い! 頭解剖するぞ!!」
「お邪魔しま……なんか兄さん僕の事斬ろうとしてなかった!?」
かなでかいぼうであそぼうよ。土器土器したいじゃん誰だって。これがまた新しい、紅葉達の日常であった。
「かえでお姉様って呼びますね」
「ゆいはそうだけどまいは楓の義姉だから呼び捨てな。まいお姉ちゃん」
「何でさ!?」
「えっと、それじゃあ……紅葉……君?」
「「お姉ちゃん!!」」
「あれ? 紅葉さんとユイが可愛すぎるなぁ……」
「まい!? 私がお姉ちゃんだよね!?」
「そうですね……楓」
「あ、なんか興奮するからまいはそのままでいいかも」
「「「おい待てユル百合」」」
紅葉理沙かなでは突っ込んだ。楓はしばらくまいにベタ惚れだったという。
「紅葉師匠」
「なんだよ?」
「私と永遠の時間を、共に生きましょうね」
「理沙、仲間いるぞ」
「誰が貧乳厨二病だ」
「言ってねぇよ……ゆい」
「はい!」
「愛してるぞ」
「ふぇ……!?」
「あ、ゆいがお兄ちゃんのストレートにKOくらった」
最終話なのに別次元の話持ってくるのが私です。今回はかなでが理沙と楓に惚れられていたら紅葉はゆいまいと結ばれてたんだろうな(サラッと二股)の話でした。
今までの閲覧ありがとうございました。またなんか気が向いたら別の作品でお会いしましょう。