宇宙人が地球にやってきた。
何故彼らは地球に来たのか。


※宗教、政治的にちょっと危険な内容もあります。ご了承ください。

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ちょっとやばい話

 

 

 

 

 宇宙人は居る。

 

 宇宙人は地球にやってくる。

 

 それは何故?

 

 

 

 

 

『ラベリング作業が完了した』

 

『地球文明への開示を実行する』

 

 

 

 その日、地球は閉ざされた。

 

 黄金に輝く光の壁。それが、地球各地の人類生息域を閉ざしたのだ。

 

 光の壁は近づくとゆっくり押し返され、やむを得ず通過せざるを得ない物体……航空機や船舶などの通過は一度許可したが、一度停止したそれが通ろうとするのは徹底的に拒絶した。

 

 また、いくつかの国は軍事兵器によって光の壁を破壊しようと試みたが、悉くが失敗に終わった。その過程で、まあ、いくつかの悲劇と呼べる出来事も起きるのは必然である。

 

 

 

 ある国は自ら放った核の光で平らになった。

 

 

 

 ある国は国民が互いに殺し合いを始めた。

 

 

 

 そして光の壁で世界が閉ざされて三日後、壁の中央部分にある都市に、円盤が襲来し、様々な国の言語でこう告げた。

 

『我々は宇宙人である』

 

『地球はこれより、我々の管理下に置かれる事になる』

 

『我々は、互いに利益をもたらす関係でありたいと思う』

 

 

 

『その前に。我々にとっても、地球文明にとっても不要な存在を消去する』

 

 

 

 いくつかの紛争地が宇宙船から放たれた光で平らになった。

 

 

 

 多くの国の要人は、正直ちょっとほっとした。

 

 

 

 それ以降は、基本的に宇宙人はおとなしかった。

 

 いくつかの国はミサイルを撃ち込んだりヘリで兵士を送り込んだが、宇宙人はそれらに対して反撃は行わなかった。

 

 ミサイルは効かないし、乗り込んできた兵士は隔壁に阻まれて立往生、結局しょんぼりとヘリにのって地上に帰った。

 

 やがて地球人類の癇癪が一通り落ち着いたのを見計らって、宇宙人は行動を再開した。

 

 まずは、資源の配給。彼らがつぶした国交や資源輸入の大体として、彼らは気前よく石油をはじめとする各種資源を各国に提供した。

 

 それらは膨大な量に上ったが、宇宙人からすれば些細なもの。ヘリウムなどは宇宙にちょっと出ればいくらでも手に入るし、石油なんかは船のなかにプラントがある。プランクトンを太陽光で培養して、それらに圧力をかけながら加工することで、10年~20年もかければいくらでも作れる。宇宙人は計画的なので、常に潤沢な量の資源を船の中で回していた。

 

 地球人類なんてちょろいので、ちょっとそうした資源をちらつかせる事ですぐにおとなしくなった。

 

 いくつかの国はもっとよこせと騒ぎたてたけど、それは想定内だったので、宇宙人はすぐに対応した。

 

 

 

 いくつかの国が平らになった。

 

 

 

 そこまでくれば、地球人類も宇宙人にどう対応すればいいのかちょっとだけ理解し始めていた。

 

 彼らは温厚だし、寛大だ。ただし、彼らがそうであるのは“人類”だけだ。

 

 暴力的で、浅慮で、独善的で……非知性的なふるまいをする二足歩行の生命体を、彼らは“人類”とはみなさない。

 

 その認識が、地球人類に十分にいきわたったころ。

 

 宇宙人は、ようやく地球人類と交渉を始めた。

 

 

 

◆◆

 

 

 

 そして日本。

 

 時の総理大臣は、首相官邸で宇宙人の使者と対面していた。

 

 宇宙人の使者は、一見すると日本人の少女に見える、黒髪の女性だった。勿論、これが見た目だけなのはよくわかっている。

 

 彼らは、会話する相手の人種に合わせた姿で現れる。

 

 ある程度、地球人類の宿痾……人種差別について、理解している事の証左だった。

 

「ええと、本日は、どうも……」

 

『単刀直入に言う。我々は、貴方が我々と交渉するに足りえる知性と理性を持ち合わせていない、と判断している。が、そちらの日本国内における立場を尊重し、こうして対面の機会を作っている。我々が、我々の望む人員と対面するには、日本国の政治システムは不完全だ。我々は、日本国を交渉相手として認識している』

 

 総理大臣のあいさつをぶっちぎって、問答無用で使者が向こうの意見を叩きつけてくる。

 

 口は全く動いていない。

 

 総理大臣は脂汗をハンカチでふき取りながら、言葉もなく頷いた。

 

 彼が総理大臣に就任したのはひと月前の事だ。前の総理大臣は口を開く前に使者にレーザーらしきもので灰にされている。

 

 会話に応じてくれているだけマシだった。

 

「それは……どうも。それで、本日は一体どのようなご用件で……」

 

『それについては謝罪する。そちらの対応を考慮した場合、有意義な日程を設定する事を期待するのは不毛であると判断した。我々の希望する優秀さを日本国の政治システムに求めた場合、我々は再び整理を行わなければならなくなる。それは不本意である』

 

「それは、どうも……」

 

 つまり、宇宙人は日本の官僚……というか、政治家の優柔不断でなあなあに引き延ばしがちな政治的対応にひどくお怒りらしい。

 

 長年一方的に殴られる立場であった日本にとって、物事をなあなあにするのは一種の処世術であったのだが、その必要もなくなってからも続けていたのは確かに、悪い癖だといわれても仕方がないが。

 

 総理大臣は、少なくとも今現在日本国の立たされている状況を理解していた。

 

 地球人類は、敗北したのだ。ある日突然飛来した宇宙人相手に、戦う事無く。

 

 世間では頭にひまわりが咲いているような人間たちがデモを繰り返しているが、彼らは残念ながらそれを理解する知性を持ち合わせていない。

 

 外国、侵略者に敗北するとはそういう事だ。

 

 生殺与奪の全てを奪われ、気まぐれに殺されてもおかしくない。さながらハンティングショーの標的のように、人間狩りがあってもおかしくないのが今の地球だ。

 

 こうして、形だけでも対談に応じている事が、奇跡といってもいい。

 

『再び謝罪しよう。我々の想定よりも、貴方は状況を正しく理解しているようだ』

 

 総理大臣はぎょっとした。

 

 もしかしなくとも、自分の考えが読まれているのだろうか。

 

 いや、それはそうだろう。何せ相手は宇宙を渡るだけの技術力をもった宇宙人だ。対面してる相手の脳スキャンなんて容易い事かもしれない。

 

 脂汗をふき取りながらも、総理大臣はむしろちょっと安心した。震えて口が回らない事を考えれば、相手がこっちの考えを勝手に読み取ってくれるのは非常に助かる。

 

 何せ誤解が無い。

 

『そこまで便利なものではない。我々としては貴方の発言内容を尊重する』

 

「そ、それはどうも……」

 

 そこまで甘くはなかったようだ。

 

「それで、最初に戻りますが。本日のお話とは……?」

 

『日本国内への対応を決める関係で、総理大臣に話をしに来た。一つ、貴方の質問を受け付ける。それによって、日本国内への対応を考える』

 

 総理大臣は胃がキリキリしてきた。

 

 さっき、じきじきに対面に値する価値と能力がない、と言われたばかりである。

 

 そんな自分の発言で、日本国民の生命がかかっているとなってはたまったものではない。

 

 正直、熟慮したい。また後日、という事にしたい。

 

 だがそれを許してくれる相手ではないという事も、彼は十分わかっていたし、わからせられていた。

 

 30秒ほどの考慮。

 

 結局、彼は、ずっと気になっていたシンプルな疑問を投げつけることにした。

 

「……ずっと、気になっていたのですが」

 

『うむ』

 

「貴方達は、一体地球に何を求めてきたのですか?」

 

 そう。

 

 それが、総理大臣が総理でなかったころからの疑問であった。

 

 彼らは、常軌を逸した技術力を持っている。そしてその技術力で、いくらでも資源を生み出すことができる。彼らにおよそ不足するような物はなく、光の壁で寸断された内部で国民がこれまでと変わらない生活を送る事が出来ているのはそのおかげだ。

 

 少なくとも、彼らは地球から何かを得ている様子はない。

 

 それでは話がおかしい。

 

 彼らは最初、こういった。『我々は、互いに利益をもたらす関係でありたいと思う』と。だが現状、地球人類はいくらかの危害を加えられ、一部は恐怖にさらされているものの、宇宙人の利益となっている訳ではない。

 

「貴方達には、資源も、技術も、住む場所もある。我々には、貴方達に何か与えるほどの豊かさがあるとは思えない。一体、何故……?」

 

『評価基準に達する質問だ、総理大臣』

 

 即座に返ってきた答えに、正直総理は脱力のあまり椅子から転げ落ちそうになった。

 

 どうやら、及第点は貰えたらしい。国民への責任は果たせたという事か。

 

『総理大臣。我々が求めているのは、労働力だ。こちらの受け入れ準備が完了し次第、日本国民から志願者を集い、要求水準に達した者を我々の方で雇いたい。勿論、無報酬の奴隷ではない。雇われた者達には、現代社会でいう所の“ホワイト企業”としての待遇と、十分な報酬を約束する』

 

「ろ、労働力? なんでまた」

 

 総理大臣は、今も頭上に浮いているであろう宇宙船を脳裏に思い浮かばせて困惑した。

 

「あんな巨大な宇宙船を動かしているのに、人間なんかが必要なのですか? 機械か何かで十分なのでは……」

 

『迂闊な発言は推奨しない。我々は、加点評価式ではない』

 

 総理大臣は口を紡いだ。今のは迂闊な発言だった。

 

『機械を、機械で整備、維持しようとすれば、そのための機械が別に必要になる。それらをこなすための制御システムもまた。それらは、膨大なマージン料を払わねばならない』

 

「はあ……特許が高い、という事ですか?」

 

『その通りだ。いくらでも資源が入手できる我々の文明スケールにおいて、もっとも価値があるものが技術料、特許だ。ゆえに、母船の維持には膨大な運用費が発生する。それを、知的生命体の雇用で軽減する』

 

「つまり、貴方達は地球に……求人に来た、という事ですか?」

 

『肯定する。我々の評価水準では、日本国において平均的なサラリーマンの処理能力に対する地球での評価は、同程度の処理能力を持った制御システムのマージン量と比べると、およそ数百倍の差が存在する。貴方達地球人類は、地球で働くよりも我々の船で働く方がはるかに多くの利益を得る事が出来、我々はそれによってそれ以上の運用費の削減を実行できる。これは極めて、互いにとって有益な交易となる』

 

 使者が手を広げると、その手の上に無数の紙の資料が出現する。

 

 どうやらプレゼン資料らしい。

 

 まさか宇宙人がそんなアナログなプレゼン資料を持ち出すとは思わず固まった総理大臣の前で、宇宙人の使者はふんす、と鼻を鳴らし、セールストークらしきものを始めた。

 

『これは商談だ、総理大臣。我々は、我々の要求水準を満たす範囲において、地球人類の能力を高く評価している。可能な限り高く買おう、決して買いたたきはしない。これは奴隷貿易ではない、ヘッドハンティングだ。お互い、一儲けしようではないか』

 

 

 

 

 

 

 

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