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先生が髪を染めたいらしいです。

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先生が髪を染めたいらしい

 

 

「ユウカ、相談があるんだけどシャーレに今日、来てくれないかい?」

 

セミナーで仕事をしていると突然スマホの通知音が鳴り響いた。画面を見るとそこには先生からのメッセージがあった。

先生からの連絡というだけで胸が高鳴る。

それに、当番以外で先生に会えるチャンスが来た。

どんな相談事なのだろう。

手が震えてスマホを落としそうなるのを静止した。

高鳴る心を抑えるのに時間がかかった。

しかし、少し冷静になると書類の束が視界に入ってきた。

それは私の仕事がまだ残っていることを意味する。

今すぐにでも会いに行きたいが、仕事を投げ捨てて先生に会いにいくことは流石に憚れた。

モモトークを開いて、その旨を返信した。

 

「お疲れ様です。まだ仕事が残っているので遅くなってしまうかもしれません。」

 

そう送るとすぐに先生から返事がきた。

 

「そっかー。なら、モモトーク上で相談でもいいかな?」

 

え……。ちょっとそれは…ダメね。

それだと、会いにいける口実がなくなってしまう。せっかくのチャンスなのに。

ネット上でのやり取りするだけで終わらせたくない。

だけど、机にはまだ書類の山が…。

こんなのなくなってしまえばいいのに…。

そう恨みつつ、なんとか直接会えるように私は返信した。

 

「い、いえ!直接会いましょうよ!

相談事でしたら目と目の合う環境の方が計算上良いというデータもどこかで見た気がしますよ!」

 

「へ〜、そうなんだね。でも、相談と言っても大したことじゃないし、ユウカも仕事があるなら無理しなくてもいいよ。」

 

「そんなに量は残ってないですし、少し遅くなる程度です!なので、待っていてください。

すぐに行きますから!」

 

「お〜。ユウカがそこまで言うとは…。

じゃあ、気長に待ってるよー。

無理はしなくていいからね!」

 

「はい!」

 

私の返信を境に会話が止まった。

よし!何とか直接会えるようにできたわ。

私は豪速球で仕事に取り掛かった。

いつもより10倍は処理スピードが早かった気がする。

 

そして2時間も経たないうちに先ほどまで机にあった書類の山は全て処理されていた。

仕事の疲れなど体が認識する前に荷物をまとめてシャーレへと向かった。

 

どんな相談なんだろう。

私を頼ってくれるなんて嬉しい。

何か私じゃないとダメな理由があるのかも…。

先生は私がいないとやっぱりダメなのかしら?

上がる口角を抑えようとしても自然と上がっていってしまう。

こんな顔、誰にも見せられない。

 

 

 

 

 

「ユウカ、私は髪を染めようと思うんだ。」

 

「……へ?」

 

シャーレに着いてウキウキで先生に会いにいったら第一声にこんなことを言われた。

拍子抜けすぎる産声だ。

 

「髪ですか…?何でそんなことを私に…?」

 

「ほ、ほら、髪染めるのってお金かかるし5000円以上するからユウカの許可取っとかないとって思ったんだよ。ついでに女の子の意見も聞けるからね。」

 

なるほどそういうことか。

5000円以上の買い物をするときは私に相談するように言ってあるからそれの相談だったと言うわけね。

それでついでに私の意見を聞こうとしてるわけか。

そう、"ついでに"

ちょっとムッとした。

5000円以上の相談なんかよりも私の意見を聞くために呼んでくれたら良かったのに。

 

「そうですか。私は今の黒のままの方がいいと思いますよ。それに髪を染めること自体に私は反対です。髪を染めたところで雰囲気が違くなるだけでそれに5000円以上使うのに賛同できません。」

 

「…ん?なんか拗ねてない?ユウカ。」

 

「別に拗ねてませんよ?気のせいですよ。きっと。」

 

「いや、拗ねてるって!

何か癪に触っちゃった?ごめんよ。」

 

「まぁいいです。

一応聞いておきますが、何色にしようと考えていたのですか?」

 

「……え。」

 

先生は何か言いづらそうに口をもごもごさせていた。

何か言うことに恥ずかしさがあるようなそんな感じが…。

 

「何か言いづらそうですね。

言うのがやましい色にしようと思っているんですか?」

 

先生はしばらく沈黙した後、小さく口を開いた。

 

「そ、その、青髪にしようと思って…。

ユウカみたいに…。」

 

「ふ〜ん。そうですか……。……ん?」

…………え?は?へ?

青髪?私みたいに?

つまり、私みたいな髪色にしたいってこと?

えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?

顔がみるみるうちに真っ赤に染まった。髪の青さと相まって磁石みたいになってることだろう。

 

「ちょっと待ってください!青髪に!?

私みたいに!?………私みたいに!?」

大事なことは二度言った。

 

「う、うん。さっきは本当のこと言えなかったんだけどユウカが怒っちゃったから嘘つくの良くないかなと思って。」

 

「じゃあ、私を呼んだのはどういう意図が!?」

 

「そ、その、ユウカの髪の色いいなって思って、どういう感じなのか見たくてさ。

写真を送ってもらおうと思ったけど実物を見た方がいいね。」

 

「〜〜〜〜〜っ!」

 

ゆ、有罪!有罪だわ!この人。

私の心臓を爆発させたいという意図しか感じられない爆弾魔だ。

 

「でも、さっき許可しないって言われちゃったから染めるのはやめるよ。」

 

「い、いえ!それは嘘です。

冗談です!さっき拗ねてたのも全部冗談です!」

 

「えぇ!そうだったの!?

でも、さっき髪を染めるのに意味はないって言ってたよね…?」

 

「特例で認めますが、私が言ったら黒に戻してくださいね!」

 

「じゃあ、染めていいってこと?やったー!」 

 

先生ははしゃいでいた。

まるで子供みたいに。大人のくせに。

 

先生の青髪、どんな感じなんだろう。

 

 

 

そして後日の当番の日。

 

「どう?ユウカ?似合ってる?」

 

先生の髪色は黒から私のような深い青色になっていた。

黒髪の時もいいが、こっちではより一層爽やかな雰囲気が出ている。

……かっこいい。

 

「に、似合ってるんじゃないですか?

いつもよりかはちゃんとして見えますよ?」

 

「そう?ありがとうね。

なんかユウカの親族になった気分だよ。」

 

「せ、先生?」

私は両手を目一杯使って顔を隠しながら言った。

 

「どうしたの?」 

 

「私がお金を出すので一週間したら黒に戻してください。」

 

「えぇ、何でよ!?」

 

「私が赤色に染まるからです。」

 

終わり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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