怪我をしたから遅れて田舎から出たけど幼馴染がとんでもないギルドを作っていた   作:蓮太郎

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第八話 そして翌日

 

 都に来て1日が経った。

 

 俺ことソウ・ウルファンはアマージョと共にギルドに戻った際に、アラタがすっごく詰めてきたがのらりくらりと互いに躱し、俺は正式にギルド『ライブラリアウト』の一員になった。

 

 まあ、まだ見習いという立場ではあるが手を抜かず頑張っていきたいと思う。

 

 長距離移動で疲れていた俺はケーキを食べたせいか既に眠く、なんか既にギルド内に用意されていた俺専用の部屋で眠ることになった。

 

 アラタ含むギルドメンバーは全員ギルドで寝泊まりしており、完全に家のような扱いになっている。

 

 そこに住人が1人増えてもおかしくなく、いや、常に用意されていたとかなんとか。

 

 過保護すぎやしないか、と思うが初めの好意には甘えておく。

 

 どうせ後で結果を出さないといけないのだから、今くらいしっかり休んで万全にしておかないといけない。

 

 ダンジョンに潜る際に寝不足だったり疲労が取れなかったりとかで動きが鈍って死にました、みたいな言い訳が通用する世界じゃない。

 

 たとえ2度目でも死ぬのはごめんだ。

 

 生きて栄誉をとってゆっくり生きたい!

 

 だからロマンを求めると同時に今を激しく生きるんだ。

 

「じゃ、ソウは僕とロック、アマージョと一緒にダンジョンに潜る」

 

「なんで?マスターは仕事残ってるんじゃ?」

 

「山積みの書類が待ってるぞ?」

 

「待って、待って、今日この日を楽しみにしてたんだから今日は勘弁して?ねえ、ねえええええええ!」

 

「あのアホ、責任逃れはいつもの事か」

 

「団長…………」

 

 重大な責任以外からは逃げ腰なのは相変わらずか。まあわかる、地味な仕事はしたくないのは全員一緒だと思う。

 

 俺も元気があまり余ってるから体を動かす方が好きだ。命がかかるとはいえこうして発散できるのだからある意味天職か?

 

 モンスターやらスキルやら魔法やらが存在する世界だから多少は野蛮な方が良いのかもしれない。

 

 そんなこんなでずりずりと引きずられて執務室と紹介された部屋を通る廊下へと消えていくアラタを見て苦笑いをする。

 

  笑うしかないだろあんなの、成長してるのかしてないのか分かりづらい。

 

「ま、団長はいつものことだ。それよりも予習はしてきてるんだろうな?」

 

「今日は表層のみって話だろ。ベテランがついているとはいえ流石にいきなり深い所に潜る訳には」

 

「え?」

 

「え?」

 

「え…………?」

 

 なんでこの二人は疑問形になってるんだ?

 

「初心者がいきなり冒険するのはダメだろ。どれほど腕があっても徐々に鳴らさないといけないのは基本じゃないか?」

 

 なんで普通の事を言ったら驚くんだよ。

 

 俺の発言に二人とも絶句したように驚いているが、基礎中の基礎ではないのだろうか?

 

 どれほど序盤にレベルを上げても最初は低レベルのモンスターと戦ってそこそこ経験を積んでいくものだろ?

 

 空想のゲームだってそんな感じなんだから、現実はもっと慎重にするべきだろ。

 

「そ、そうか、そうだな、うん」

 

「…………私達に任せたのはそういうことね」

 

「何で勝手に納得しているんだ?」

 

「「何でもない」」

 

 息ぴったりな不良騎士と魔女は未だに困惑しているようだったが、どうにかダンジョンへ行くことが出来た。

 

 ダンジョン、ずっと名前だけであったが都のど真ん中にある魔窟。

 

 それを中心に国を建てようとするのは思えば異常であるが、スキルやダンジョンの恩恵を受け強くなった者にとっては楽園に等しい。

 

 何故なら恵みを一心に受け止められるからだ。

 

 そして、終わりもまた最初の苦痛だけで済むのだから。

 

 ある程度ダンジョンを潜って戦果を得て引退、なんてのが続いているから目に見えた功績があるだけで、散っていった命は数知れず。

 

 いつかは俺もその散った命になるのかもしれない。

 

 それでも明日を求めて頑張るぞー。

 

「でだ、許可証は持っているな?」

 

「もちろん、忘れるはずがない」

 

「ダンジョン内で無くしたら手続きが厄介なの。絶対に無くさないでね」

 

「分かってる」

 

 ダンジョン法律の基本は既に叩き込んである。ならば、後は戦い得て帰るのみ。

 

「よし、生きて帰るぞー」

 

「ハードル低いなおい」

 

「当然のことだから低くて当然だろ」

 

「…………それもそうね」

 

 何か新鮮なものを見たような顔をされ、不服ながらも俺たちはダンジョンへと足を進める。

 

 見た目こそ大きな穴ではあるが、中は異様に広く、迷路のような空間になっている。

 

 専門家曰く、星の大いなる力が働き無限に広がる空間が出来ているのだとか。

 

 ただ、そこで資源が生まれるのはいいが灰汁のようなものとしてモンスターも産まれるとのこと。

 

 地上にもモンスターは居るが、ダンジョンほど強くない。

 

 あ、『国崩し』のような一部例外はある。

 

 そういう特例以外は間違いなくダンジョンの方が強い。

 

「お、気配が四つ。この小さくて醜悪そうななのを隠してないとなるとゴブリンか」

 

「そうね、ゴブリンよ」

 

「くっせえだよなあいつら。さっさと終わらせようぜ」

 

 ざっ、ざっと気配と共に足音が聞こえる。

 

 人間を舐め腐ったゴブリンだ、何故かいつも相手の力量を把握せず見つけ次第襲いかかってくるモンスターの代表例。

 

 一体一体は弱いが集団だと厄介とされており、地上でも集まり過ぎれば一種の災害と認定されることもしばしば。

 

 ダンジョン表層であれば地上と大して変わらない。

 

 ロックがいう通りさっさと片付ける。

 

 なので息をギリギリまで吐いて止める。

 

 そして動きがほぼ止まったのと同じのゴブリンに駆け寄り叩き切る。

 

「ぷはっ、とりあえず4匹」

 

 俺が速く、相手が遅いのをいいことにゆっくり高速に狙いを定めて首を断つ。

 

 大抵の生物は首と胴が離れたら死ぬので消耗を少なくするためによくやる技のようなものだ。

 

 え?地上ではオークは細切れにしたって?

 

 まあ、あの時は暇だったし…………

 

「ヒュウ、やるじゃねえか。いやー、素でこれか」

 

「新人さん、その調子で調子に乗らず君の動きを見せてね?」

 

「おー、頑張るぞー」

 

 自分1人だと何かと欠点は見ずらいのだが、格上の誰かが見てくれていたら話は変わる。

 

 村にいた頃は誰も俺の速度についていけず、技術も気づいたら皆を上回り戦いを教えてくれる人がいなくなった。

 

 ロックは最初はアレな感じだったが見守るモードに入ってるし後ろから「試練だー!」って襲うようなこともないだろう。

 

「おい、今失礼なこと考えたか?不敬だぞ?」

 

「ロックったら、貴方の騎士の身分は既に剥奪されたじゃない」

 

 なんか後ろでヤジが飛んできたが気にしない。

 

「今度は向こうの分かれ道に潜んでるな。ちょっと行ってくる」

 

「おう、死ぬなよー」

 

「頑張ってらっしゃい」

 

 なんだか放任主義な感じを出してるけど、一応監督役みたいな形ですよね?

 

 下手なことさえしなければ何とかなりそうなので、次は角待ちするゴブリンを切ってこよう。

 

 誰かが言った、ゴブリンに慈悲を与えるべからず、と。

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