球磨川禊vs安心院なじみ   作:四十三

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ぬ。

 訳が分からなかった。

 

 私自身何が起こったのか分からない。

 今分かることだけを言うのならば、球磨川さんが踵を返して立ち去ろうとしているということだけ。

 

 虚戯告訴(メタフィクション)は?

 あの無差別殲滅現象はどうした?

 なぜ何も起こらない。

 

「『いつまでそこで寝てるつもりなの、鴎ちゃん? 制服汚れるよ?』」

 

 汚れるも何もあなたの螺子ですでに穴だらけなんですが。

 それに動きたくても激痛で動けないん……。

 

 あれ?

 

 

「どこも痛くない……」

 

 

 あの後遺症の激痛がなくなってる。

 なぜだ?

 

 そう疑問を持ちながら体を起き上がらせる私に対し、球磨川さんはこう言った。

 

「『君が修業時に負った後遺症を無かったことにした』」

 

 そう言うのと同時に私に刺さった却本作り(ブックメーカー)も崩れ去りはじめる。

 

「球磨川さん……」

 

 そんな私の呼びかけに立ち止まることなくただ一言。 

 

 

 

「『また勝てなかったぜ』」

 

 

 

 と呟いた。

 

「やれやれまったく、球磨川君らしいね」

 

「安心院さん」

 

「どういうことか知りたいって顔してるね。教えてあげようか?」

 

「え? その言い方って教えてあげようかと言うより教えたいんですよね? それならそう言ってくれないと私あまり空気読まない方だから分からないですけど。周りの人はそういうところ変えた方がいいって、自己中だって言って来るけど、でも実際そんな考えを押し付ける考え方も自己中じゃないですか? あ、いや。別に知りたく無い訳じゃないんですよ、話したいって言うなら私は聞きますしそこまで心は狭くないです。そもそも私は球磨川さんがどうしてこんな行動をとったかなんて完全に分ってますよ。逆に聞きますがあなたは本当にそこのところ分ってるんですか? 知ったかぶりとか恥ずかしいんで辞めた方がいいですよ。合ってるかどうか私が答え合わせしてあげますからどうぞ言って下さい。間違ってても大丈夫ですよ、間違いなんて誰にでもありますから。むしろ間違いを知らない方が人間として未熟なんです、だから私が間違っていたとしてもそれはおかしいことでは無い訳です。そこのところを理解した上で発言はした方がいいですよ」

 

「ははは。面白い面白い」

 

 卍固めを決められた。

 

「あ……がが。お、教えて……ください」

 

 タップ!! タップ!!

 

 

「単純な話さ。球磨川君は、君を助けに行かなかった。つまり、友情を捨てた。君を見捨てた彼は、君からスタイルを教えて貰えなくなった。スタイル修行も必然的になかったことになった。努力をしなかった」

 

 一回拘束解いて!! もう限界!!

 

「だから彼は君に対抗する手段がもうないのさ。そしてそんな彼は、少年ジャンプの三本柱としても大いに間違っている」

 

 友情、努力、そして勝利。

 

 そうか、スタイルを覚えられなかった球磨川さんは嘘戯告訴(メタフィクション)を使わなかったのではなく使えなかったのか。

 

「だから『また勝てなかった』ですか……。まあ、分かってましたけどね」

 

 その後、一通り関節技を食らい続けた。

 

 でもまあ、私の怪我を治して行ってくれたあたり、確かに球磨川さんらしいな。

 

 

「それで安心院さん? 結局のところ今回のお話ってどういうコンセプトだったんですか?」

 

「ん? 今回の話かい? ジャンプでよくあるようなくだらないコンセプトだよ、鶴喰君」

 

「くだらない?」

 

 そう言う安心院さんは悪戯な笑顔を作った。

 

 

 

「今回のお話は、男の子(球磨川)が女の子(安心院)の我が儘に振り回されるっていうよくある、ありきたりなお話なのでした、と」

 

 ちゃんちゃんってね。

 

「ああ……。なるほどですね」

 

 やっぱり、安心院さんにはかなわないですねぇ……。

 

 

 

 

 とまあ、ここまでが「球磨川禊vs安心院なじみ」のお話でしたとさ。

 私、引き立て役お疲れ様。

 

 さてと……、ではあとがきでラストですね。

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