球磨川禊vs安心院なじみ   作:四十三

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五十とか言いつつ実は四十しかないという懺悔は適当に済ませるとして六百考えるとか本当に無理やってみて分かったあの人の化物加減。

 さて!!

 

 ストーリーは移り変わってエクストラバトルのゴングが鳴り響こうとしているこの箱庭学園時計塔下の運動場!!

 

 這よる過負荷の球磨川禊君と主人公に最も近いとされるダークヒーロー鶴喰鴎君。

 

 一体この二人はどのような因果があり今向かい合っているのか!!

 

 運命とは時として残酷な物……。

 苦楽を共にし互いに励ましい合いここまでたどり着いた二人。

 

 その先に待っていたのは、無情な結末。

 

 仲間であったはずの二人は、今こうして敵として互いの目の前に現れた。

 

 血で血を洗うどころではない。

 彼らは涙で血を洗う運命に向かってしまったのだ。

 

 これを残酷と言わずなんという。

 これを無情と悲壮と悲劇と言わずなんと言うのだ!!

 

 だけれど僕は、この二人を見届けなくてはならない。

 

 それがどれだけ無意味なことであろうとそれが僕の役割だというのならば……。

 

 

 それはそうと無意味と言えば僕は悪平等なんて言う立場にいるのだけれど。そんな僕がこうやって誰か個人のことを語るというのはそれこそ無意味じゃないのかな? そもそも僕からしたらみんな平たく同じでつまらないんだからそんな競い合うのもどうかしてるって思うわけなんだよ。良いじゃん、みんな手をつないで仲良くゴールしとけばさ。勝負なんて結局最後涙流し合って抱き合ってればそれでめでたしめでたしなんだろ?

 

 友情パワーかなんかで多勢に無勢で悪い奴とかいう奴リンチしてみんなで偽善に浸ってればいいじゃん。おっとそうだったこういう考えは、めだかちゃんに改心させられたんだった。いけないいけない、ドジっ子安心院さんも悪くは無いけどできればみんなの前では完璧超人でいたいと思うのは、いけないことではないよね? 

 

 完璧超人と言えばキン肉マンあたりが連想されるけどあいつらのビジュアルってすごいよな。いやだってさ……。

 

 

「安心院さん!! 本当に私たちの戦い実況してるんですか!!」

 

「してるしてる。すっごくしてる。僕の実況で今読者の人たちの頭の中は四次元殺法の魅力でいっぱいさ」

 

「してないじゃないですか!! 語り部交代したんですからきちんと仕事してくださいよ!!」

 

 

 小説執筆時のタブーとして突然の語り部変更はご法度なんてものがあるがこの場合は、きちんと章を跨いでいるのだから問題は無い訳だが。

 

 いやはやしかし、まさか鶴喰君にダメ出しを食らうとは驚いたものだよ。

 

「鶴喰君。そう言うが実際のところ君、全く語り部の仕事で来てなかったよね? 地の文がほとんどないじゃないか。あれは小説と言うよりは、台本に近いというものだよ? 君、結局ここがどこなのかも言わないしさ。語り部ならそういう所きちんとしなきゃダメじゃないか」

 

「だから、そういうメタな発言は控えてくださいって言ってるじゃないですか!!」

 

 ヒュー。

 そう言いつつも僕とこんな会話をしながら球磨川君の螺子を全部紙一重で躱すなんて流石だね。

 

「『あれ? おかしいな? 君こんなに強かったけ?』」

 

 いや、これは相性の問題だ。

 球磨川君と鶴喰君では相性が悪い。

 

「ええ、私は強いですよ。だから、私に気を使ってそんな弱いふりしないでくださいよ球磨川さん。あ、もしかしてそれが本気ですか? それはすみません、気が付きませんでした。それならそう言って下さい、手加減しますから」

 

「『ハハハ……冗談』」

 

 鶴喰君のスタイル「挑発遣い」も然ることはがら球磨川君と相性が悪いのは異常性の方だ。

 

 異常性「独楽図解(スピニングアングラー)」

 

 あれで螺子の刺突の威力が半減している。

 地球の自転すら操れる回転操作のスキル。

 刺突時の回転を無くすことにより螺子の殺傷力が損なわれてしまっている。

 

 あれでは人を貫くほどのスピードも威力も出ない。

 それに加え彼には人吉君に見せた先読みの力もある。そんな彼に球磨川君の螺子は当たらない。

 

 これで、「却本作り(ブックメーカー)」は封じられたも同然だ。

 

 そうなれば球磨川君は大嘘憑き(オールフィクション)に頼るほかない。

 

 が……。

 

 

「おっと、足が滑った」

 

「『グッフ……』」

 

「うわぁ、強烈……」

 

 独楽図解(スピニングアングラー)で回転数を上げた回し蹴り。

 あれを食らったらただでは済まないね。

 

 しかもそれだけじゃない。

 彼は「挑発遣い」で正確な判断力を奪い、突進してきた球磨川君の脚を「引っ張り足(オクトパス)」で止めた後、攻撃した。

 

 単純に考えて威力は二倍、なんてものじゃない。

 あれは精神的にも相手を追い込む戦い方だ。

 

 これが「鴎システム」の片鱗か……。

 末恐ろしい。

 

 

「あれ? 球磨川さんどうして大嘘憑き(オールフィクション)使わないんですか? このままじゃ負けますよ?」

 

「『おっと、そうだったそうだった。すっかり忘れてたよ』」

 

 否、当然球磨川君は忘れていたわけでは無い。

 

 使えないのだ。

 

 あまり、認知されていないが鶴喰君は引っ張り足(オクトパス)と言うスキルを持った立派な「過負荷」なのだから。

 

 間違っている物は、無かったことにできない。

 それが、大嘘憑き(オールフィクション)。

 

 螺子、大嘘憑き(オールフィクション)、却本作り(ブックメーカー)。

 

 謀らずも彼は球磨川君のステータスすべてに対抗できる術がある。

 

 天敵なのだ。

 

 

 

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