【アストラルデッキ】
メインデッキとは別に組む特殊デッキ。
交霊召喚・レゾナンス召喚・オーバーレイ召喚・ノード召喚で使用するモンスターをまとめておく。
※主に強力な切り札級モンスターが収録される。
【交霊召喚】
モンスターの魂を抜き出し、他の魂と混ぜ合わせて新たな存在を呼び出す召喚方法。
素材として「特定のモンスター」+「【交霊】系列のカード」が必要。
戦況を一変させる強力なモンスターを召喚できる。
【レゾナンス召喚】
モンスターの魂からレベル分の星を抽出し、共鳴(レゾナンス)させて強力なモンスターを具現化する召喚方法。
レベルの合計と素材条件が合えば召喚可能。
主に精霊との強い絆や戦場の共鳴を力に変える。
テントの布を裂いて踏み込む。熱気と血臭が押し寄せ、視界の奥で空気がゆがむ。
銀の装甲と黒衣の兵たちが剣を構えて並び、その中心に赤衣の巨体が立っていた。
――グラン。
まとう圧は兵士とは異質だった。影が色を奪い、皮膚の奥まで刺すような重圧に鳥肌が走る。仲間も一瞬足を止める。
「……あれが総司令官か」
「アルト、下がるな。俺たちが道を開く!」
軍曹が叫び、横一列に並んだ兵たちが一斉に銃を放つ。
破裂音と硝煙に包まれ、全身の震えが途切れる。俺はその隙に呼吸を整え、グランを睨んだ。
――この一戦が会戦の勝敗を決める。
膝が軋む。だが、後ろにはユーリとシュナイダーがいる。
「アルト。お前がやれ」
軍曹が短く告げた。
返事の代わりに親指を立てる。震えは止まらない。だが視線は逸らさなかった。
「お前が総司令官グランか。俺が討つ!」
低い声が返る。
「勝者が奪い、敗者は血で贖う。それが神の掟だ。少年、貴様の血で秩序を守れ」
(ふざけるな……!)
胸の奥で怒りが燃える。
「バトル!」
ソウルボードが赤く点滅し、ライフが8000に戻る。フィールドのカードが一斉にリセットされ、空気が張り詰めた。
「先攻は私からだ。ドロー!」
グランは不敵に笑う。身構えて、敵の行動を観察する。
「私はレベル4【エクソスの槍兵】を召喚。さらに結界魔法【王の領域】を発動。」
グランはさらにモンスターを召喚し、墓地に1枚のカードを送った。グランの結界魔法は【エクソス】と名のつくモンスターを特殊召喚できるようだ。
「【エクソスの槍兵】に【エクソスの呪術師】を共鳴」
槍兵と呪術師から魂火が抜け、四つ星が二条、輪を描いて重なる。
「戦場で死した槍兵よ。呪術の力で新たな力を得て蘇れ! レゾナンス召喚。【エクソスの騎士】」
槍を持った騎士が空より降り立つ。騎士が槍をふるうと風が吹き荒れ、目を針で刺されたような痛みが走る。体を突き刺すような殺意に半歩下がった。
「契具魔法【王国の宝剣-エクソス】発動。攻撃力を1000アップ」
(攻撃力4000!? アルト、私たちもレゾナンス召喚で反撃するわよ!)
脳内に直接語り掛けてきたセイランに同意する。ソウルボードに敵の攻撃力が表示される。視界が揺らぎかけたが、腕をつねって意識を引き戻す。
「カードを2枚伏せてターンエンド。兵士よ、なぜ剣を振るう。これは神が定めた戦だ。抗うことに意味はない」
「だから黙って征服されろと。ふざけるな! 俺の親はお前らに殺された。無抵抗で殺されてたまるか」
「戦う道を選ぶか。少年、かかってこい全力で相手をしよう」
頭が熱くなる。デッキから乱暴にカードを引き抜く。六枚の手札で反撃の手はずを整える。
(敵の手札は0になったわ。このターンのエンドフェイズまでにどれだけ削れるかが勝負ね)
(ああ、手札を5枚補充されたら一気に勝負をつけられるかもしれん)
「【表霊導の副官カリナ】は自身を墓地に捨てることでデッキと手札から1枚カードを捨てる」
手札から【表霊導の調律師ハルミ】を墓地へ送る。その後デッキから【霊導機スパークメカ】を墓地へ送った。さらに【霊導剣士セイラン】は相手フィールドにのみモンスターがいる場合特殊召喚できる。銀色の鎧を装備したセイランが地面の光輪より出てくる。
「墓地のハルミは、フィールドに【霊導】がいれば蘇る!」
セイランの右隣にソウルボードから霊気が流れ出す。フィールドの右側にハルミが復活する。
「精霊が宿ったカードか。セイランといったか、お前の体に秘めたバトルエナジーは素晴らしい。どれだけの子供を産めるかな」
「気色悪い発言しないで! アルト、反撃開始よ!」
「セイランはお前に渡したりしない。【霊導剣士セイラン】に【表霊導の調律師ハルミ】を共鳴」
セイランの心臓から5つの星が飛び出て、ハルミの2つの星と輪を作る。
「蒼き空に誓う剣よ、我が意志をその刃に宿せ!正義の煌めき、守護の刃、今ここに顕現せよ──【蒼天の剣姫セイラン】!」
銀色の鎧を着た少女セイランが剣を掲げながら光輪より飛び出す。彼女の剣は装飾が豪華になり、光沢も輝いている。
「セイラン、墓地のスパークを装備。敵の攻撃を1000下げてバトル!」
「攻撃力4200だと!? トラップカード発動【デコイ】。【エクソスの騎士】を墓地に送りアストラルデッキから【反逆の騎士】を特殊召喚!」
ソウルボードに【反逆の騎士】の効果が浮かぶ。特殊召喚直後は攻撃を無効化できるらしい。攻撃力は3000――結界の光沢に、鉄壁の意志を思い知らされる。セイランとバトル。セイランの剣と結界がぶつかり、拮抗する。突如剣に光が宿り、結界を破壊。反逆の騎士が切られた。
「なぜ効果が発動しない!」
「蒼天の剣姫セイランは一ターンに一度相手モンスターの効果を無効化して攻撃力を1000アップできる。バトルフェイズをしのぐ作戦は失敗したな」
グランの口から血がこぼれる。俺を睨みつけ、右手を天に掲げた。
めまいで鼓動の音が耳を圧し、膝から地面に崩れ落ちた。右足を見れば、血が川のようにあふれ出す。ソウルボードから処理終了の警告音が響いた。片膝をつきながら振り返ると敵の兵士が倒れながら銃弾を撃ってくる。味方が敵兵の首をはねた。自らの命を投げ捨ててでも撃ってきたことに、体が冷たくなる。
「グランさま、ご武運を……」
敵兵はぼそりとつぶやく。ここでグランを倒せば敵軍は一気に不利に傾く。ソウルボードの時間を確認する。残り15分で決着をつけないとこちらが負けてしまう。歯を食いしばり無理やり立つ。肩を大きく跳ねさせて息をする。
「アルト、すまない! 邪魔してしまった」
「この程度なら問題ない。引き続き頼む」
俺のライフは6000。だが【蒼天の剣姫セイラン】は相手モンスターを破壊した際そのモンスターの攻撃力分のダメージを与える。
「スパークの雷に焼かれなさい!」
セイランは叫びながらスパークの銃口をグランに向ける。スパークの銃口に白光が凝り、視界の中心が灼ける。
「罠カード【殿】発動。手札から1枚カードを除外することでダメージを無効化。」
相手の罠カードから盾を持った兵士が現れセイランの攻撃を防ぐ。直後、敵のアストラルデッキからレゾナンスモンスターである【黒騎士】がフィールドに現れる。【黒騎士】は剣を振り上げる。手札を見て、次の動きを考える。
「【反逆の騎士】が墓地に送られたため、アストラルデッキより【黒騎士】を特殊召喚する。【黒騎士】は墓地にある騎士と名のついたカードの数×300ポイント分ダメージをアップ。そして召喚時相手の攻撃力を半分にして戦闘を行う。」
セイランと黒騎士が戦闘を行う。セイランは黒騎士に一発当てようとしたが防がれ、逆に切られてしまった。相手の現在の攻撃力は3100。戦闘の結果ライフは5000対5800。不利な状況に眉間にしわが寄る。周囲の銃声が鳴りやみつつある。
(静かだな。戦闘は終わったのか?)
「連術魔法【増援】発動」
カードに刻まれた符号が励起する。デッキから光が発せられ、モンスターが現れる。【霊導機ギアワーカー】を守備表示で特殊召喚。ギアワーカーはソウルボードの墓地ゾーンより【霊導戦士セイラン】を取り出し、手札に戻す。
「何度墓地から戻そうと無駄だ」
「それはどうかな? カードを2枚伏せてターンエンド」
「私はエクソス星帝国の将軍、グラン・ド・アルヌ。ここを退けば手に入れた捕虜コレクションを失ってしまうのだ。ここは引けるか!」
足元から流れるバトルエナジーが戦場全体に流れるのを感じる。おそらくエナジー通路の入り口があり、結界魔法の影響を戦場全体に及ぼしている。手を握りしめる。負けられないのはこちらも同じだ。
カードを4枚ドロー。ドローフェイズに入り、グランはさらにドローする。
(敵のフィールドには【黒騎士】のみ。相手は6枚の手札。追い詰められそうね)
脳内でセイランが語りかける。相手は魔法カード【交霊】を発動。空間が歪み、その中に【黒騎士】と手札のカードから飛び出た魂が入り込む。
「騎士謀殺デッキの真の力を見るがいい。エクソスの騎士よ。竜を操り戦場を駆けろ! 交霊召喚【エクソスの竜騎士】」
竜騎士はフィールドのカードをすべて破壊し、竜騎士は切りかかる。
「連術魔法【猛毒】。フィールドに【騎士】と名の付くモンスターがいるとき、そのモンスターを墓地に送ることでライフポイントを1000減らす」
視界が赤くなる。青色の血を吐き、滝のような汗が止まらない。足が震えそうになるが、手を強く握り我慢する。グランは【騎士の帰還】によりライフポイントを半分支払い竜騎士を復活させる。ライフ1000、笑いながら戦いを続行する。グランは不思議に思いながらも、モンスターを召喚する。
「俺は【エクソスの盾兵】を2体召喚。ソウルオーバーレイネットワークを構築。盾兵よ魂をささげ門となれ。オーバーレイ召喚。ランク4【エクソスの門番】! カードを一枚伏せてターンエンド」
門番の守備力は2500。攻撃力は0だが、守備表示のため今は関係ない。デッキからカードを一枚引き、セイランを特殊召喚する。その後効果によりスパークを再度装備。さらに【霊導機マイクロギア】を通常召喚した。
後ろから銃弾が飛んでくる。十数発という弾丸が敵のフィールドをすべて破壊した。
「アルトのバトルを援護しろ! 俺たちの命は捨ててでも勝利するんだ!」
「軍曹、後ろから敵が……」
軍曹は敵兵士のモンスターから攻撃を受け、背中から刃が飛び出てきた。軍曹のライフポイントが0になる。目を半開きにしたまま倒れ伏した。分隊長が死亡した。次に階級が高いのは俺だ。
「分隊員はこれより俺の指揮下に入れ。周辺の敵を掃討せよ!」
5人の兵士が周辺の戦闘を援護する。隊員たちが戦闘に参加したのを見届けた後、バトルを続行する。
「墓地にある【霊導機ギアワーカー】と【霊導機スパークメカ】、フィールドにある【霊導機マイクロギア】を除外。歯車よ噛み合え、鋼の意志を錬成せよ、交霊召喚! 現れろ【霊導機メカニカルフォージ】」
「攻撃力2200だと……」
「グラン様に攻撃したらこのガキを殺す!」
敵兵が急遽バトル中に割り込んできた。左手で少年の首を絞めながらグランの前に立つ。ソウルボードを確認する。自分ターンの時間が残り80秒。兵士のライフは2400。マスケット銃を2発撃つ間に子供が殺される。歯ぎしりする。残弾数を確認しようとすると、兵士が子供の首にナイフを突き刺した。
「助けて!」
「動くな。次はライフを削りつくす」
少年は泣きながら叫ぶ。首から次々と血が流れ、ライフが減っていく。残り時間60秒。敵兵は子供で胴体をかばっている。腕や足を撃ったところで子供で防がれ殺してしまうだけだ。考えようとするが、残り時間40秒で時間がない。マスケット銃を構えようとした瞬間、脇に何かが当たり、敵兵が倒れる。
「アルト、今だよ!」
ユーリが敵兵を狙撃した。敵兵は倒れ伏し子供が解放される。子供は俺の方に逃げ出す。走り出し、子供の前に立つ。グランが引き金を引く。刀の刀身で弾道をそらし、空を切らせる。左手からソウルボードを通して伝わる鼓動が2倍の速度となる。刀を握る手が白くなっていたが、徐々に赤みを帯びていく。
「ユーリ、ライフ回復用の魔法カードは持っているな?」
子供を突き飛ばし、ユーリが受け止める。ユーリは【回復ポーション】を渡し、子供に飲ませる。
「グラン、お前この戦争を早く終わらせたいとか言ってたよな。子供を盾に相手に投降を迫るのが早く戦争を終わらせる方法だと思っているのか! セイラン、メカニカルフォージグランにダイレクトアタック」
「誤解するな、部下が勝手に動いただけだ」
「問答無用! 死ね!」
セイランの剣が閃き、グランの胸を貫いた。ライフが削り切られると同時に、巨体が地響きを立てて崩れ落ちる。
結界魔法が破れ、赤い光が霧散する。敵軍を覆っていた加護は完全に消え去った。。テントの中から外を見ると、逃亡者が見える。シュナイダーたちの方を見ると、戦闘が収束していた。戦場には死体が散乱していた。部隊単位で集まっているようだが、3人だったり2人の部隊が多い。俺の分隊も最終的に軍曹の部隊1人、俺たちの部隊はユーリとシュナイダーが生き残った。
「ユーリ、シュナイダーお前らのライフポイントは?」
シュナイダーは100、ユーリは1200、俺は1000と接戦だった。靴が地面をたたく音が聞こえた。音の方をみると、小隊長が俺たちの方に近寄ってくる。
「小隊長。総司令官グランを倒しました。次のご命令は?」
「この近くに捕虜を収容するスペースがあるらしい。そこの捕虜を救出しにいく。現場では敵と交戦中だが、敵は捕虜を人質に取り抵抗している。ついてこい、捕虜を助けて脱出だ。」
捕虜の多くは女性や子供で周囲の都市から誘拐したとのことだ。【回復ポーション】でライフポイントを回復させて捕虜収容所へ向かう。