【蒼天の剣姫セイラン】
Lv7/光属性/戦士族/ATK2800/DEF2200
レゾネーター+レゾネーター以外の戦士族モンスター1体以上
①:バトル中に相手がこのカードを対象に効果を発動した時に発動できる。その発動を無効にし、このカードの攻撃力はターン終了時まで1000アップする。
②:1ターンに1度、自分の墓地の機械族モンスター1体を装備カード扱いとして装備できる。
③:1ターンに1度、自分の除外されているドラゴン族モンスター1体を装備カード扱いとして装備できる。
④:このカードが戦闘でモンスターを破壊した時、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。
【炎馬指揮官-シルヴァーン】
Lv8 / 炎属性 / 獣戦士族 / ATK2800 / DEF2000
交霊素材:「炎馬」モンスター+戦士族モンスター1体以上
① 交霊召喚成功時、墓地から「炎馬」モンスター1体を特殊召喚できる。
② 自分フィールドの「炎馬」モンスターは攻撃力+500、守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
③ このカードが破壊された場合、自分の墓地から「炎馬」モンスター1体を特殊召喚し、その攻撃力を+1000する。
炎馬シルヴァーンとのバトルが始まる。ソウルボードには加速カウンターが3と表示される。
彼の放つ熱気がのどをひりつかせる。――乾いた空気が肺の奥でひっかかり、吸うたびに胸骨の裏を熱の針が刺す。赤黒い鬣が火鞭のようにはためき、粉砂が燐光をまとって舞い上がる。
シルヴァーンは【炎馬-爆炎走者】を特殊召喚し爆炎走者が手札からモンスターを呼び寄せた。二体のモンスターが体から魂を抜かれる。魂が抜ける瞬間世界が止まったような感覚。彼の手元にあるソウルボードが橙色に光り熱風が吹き荒れる。手綱を握り馬を制御した。
「炎嵐を従え、襲撃の狼煙を上げよ! ノード召喚、炎馬襲来将-ファイアストーム!」
シルヴァーンの前に白い接続点が出現。二体がその中に入り炎の嵐をまとった馬が出現する。白点は無音の裂け目となり、内側から噴出する炎が草地を黒く焦がしていく。蹄が地を踏むたび、乾いた地表が炸裂音を上げた。
(加速カウンターを4から2にして、いきなりノード召喚してきたわね)
(こいつ召喚権追加持ちだぞ)
シルヴァーンは【炎馬-幻影疾駆】を通常召喚し攻撃力を+300させた。ファイアストームの攻撃力は2200。数値が重くのしかかり、汗がにじむ。
額を伝う汗がすぐさま蒸気になって視界を白く揺らめかせる。焦げと獣脂の混じった匂いが鼻腔に張り付いた。来た道を振り返る。ユーリたちはアルカナの東側に逃げている。馬を西側、アルカナ側に向けて走り出させた。ひきつけている間に逃げられているといいが……。
鞍の革が軋み、馬体の鼓動が太腿越しにドン、ドンと重く響く。風切り音が耳朶を裂き、遠くで鐘のような砲声が鈍く木霊した。
「カードを二枚伏せてターンエンド」
「補充狙いか……」
俺はカードを一枚ドローした。親指と人差し指の腹に紙の繊維がざらりと引っかかる。ソウルボードの表示が一瞬、熱で滲んだ。カードをドローしたことで加速カウンター+1。加速カウンターは4から5となった。馬は速度を上げて風鳴り音が耳に響く。
(手札は【霊導戦士セイラン】、【霊導機-スパークメカ】【表霊導-調律師ハルミ】【表霊導の結界】【虚無への導霊結晶】【表霊導の合流】。敵の炎蹄の疾駆を破壊する手段がないな)
(まずは私を特殊召喚しましょう。攻撃力が低いモンスターなら二回攻撃できても意味がないわ)
セイランとの作戦会議で動きを決めた。セイランを特殊召喚し、スパークメカとハルミを特殊召喚する。フィールドにいるセイランとハルミを墓地に送り、セイランから5つの星が、ハルミから二つの星が出現して星の輪を作る。星光が風に撒かれた花粉のように渦を巻き、地表の灰を押し広げる。俺の鼓動と同期して輪が収縮・膨張を繰り返した。
「蒼き空に誓う剣よ、我が意志をその刃に宿せ!正義の煌めき、守護の刃、今ここに顕現せよ──蒼天の剣姫《セイラン》!」
星の輪から銀色の鎧をまとったセイランが現れる。長い水色の髪が春風に揺れて、神秘的な雰囲気を醸し出す。鎧面は空を映すように薄青く輝き、髪先が火の粉を避けるたび細かな水滴の尾が残る。足裏が地を踏む瞬間、薄い翼のような霊光がふわりと浮いた。
【表霊導の結界】を発動し、セイランにバリアを張る。結界は硝子を吹いたときのように内から膨らみ、触れればひんやりとした膜感。熱波が膜に触れて、ぱちぱちと青白い火花を散らす。これで加速カウンターは2となる。シルヴァーンと並走し効果を宣言した。
「【表霊導の結界】によりセイランは効果対象にならない! 行けセイラン!」
「私の剣のさびになりなさい! ファイアストーム!」
セイランのレゾナンス召喚と【表霊導の結界】の発動で加速カウンターは2となる。バトルフェイズに移行。敵のファイアストームに攻撃。セイランの攻撃力は2800でシルヴァーンにバトルダメージ600ダメージを与えた。その後【蒼天の剣姫セイラン】の効果により破壊したモンスターの強化前の攻撃力1900ダメージを与える。ファイアストームはセイランの銀の剣に貫かれて砕け散る。もう一体の幻影疾駆はスパークメカに攻撃させスパークメカが破壊される。300ダメージを受けるがセイランの効果で装備。攻撃力は3300になる。
砕けた瞬間、熱が一拍抜けて逆に肌が粟立つ。破片は空中で灰へと崩れ、雨のように降り注いだ。
「カードを1枚伏せてターンエンド」
【虚無への導霊結晶】を伏せてカードを5枚になるまで補充した。視線を落としカードを見る。
(引いたカードは【裏霊導竜-シリル】【裏霊導竜-ヴァレナ】【冥府の導霊書】【表霊導の護衛陣】か。今引けただけありがたいと思った方がいいな)
セイランと目くばせして次の作戦を伝える。彼女の瞳に微細な金の斑が灯り、了解の意が静かに返ってきた。
『我のターン。ドロー』
加速カウンターが2増えて4となる。アルカナに徐々に近づいている。街道を馬で走り敵情を偵察する。炎馬の軍勢は味方別働隊を撃破してアルカナを包囲し始めた。遠景に城壁の影が滲み、黒煙の筋が空を汚していく。地面の振動が厚くなり、蹄の地鳴りが腹の底で反響した。
(どうするの? このまま助けに行っても邪魔になるだけよ)
(シルヴァーンを倒すしかないだろ)
シルヴァーンは展開を始めた。その間にソウルボードで現状を伝える。文字列が熱で揺らめき、通知音が金属を爪でひっかくように甲高く響いた。
『何をよそ見しているんだ! 我は【炎馬交霊】を発動!』
いつの間にか烈火蹄と未知の二体のモンスターを召喚。そしてデッキの上から二枚のカードを墓地に送った。彼は交霊により、魂を抜き取り混ぜ合わせた。
魂火が渦を巻いて絡み合い、まるで鍛冶場の炉が息を吸い込むみたいに一気に収束する。
『父の血脈と群れの力よ、我が身に集え!交霊召喚-炎を纏いし指揮官、炎馬指揮官-シルヴァーン!』
シルヴァーン本人がフィールドの方へ移動した。赤いオーラを身にまとい幻影疾駆も力を注ぎ増幅させる。ソウルボードを見ると攻撃力が2800から800上がっている。シルヴァーンは自らに力を流し込んだ。テキストには貫通付与と書かれている。背筋が冷えた。赤光は焔の王冠のように頭部を囲み、地面に落ちる影が揺らいで獣の形を変える。
『残印魔法【炎蹄の疾駆】発動! 我の交霊・ノードモンスターは二回攻撃が可能!』
(攻撃力3600。セイランじゃ勝てないな)
(しかも二回攻撃可能。まずいわね)
シルヴァーンはセイランを攻撃するもスパークメカを盾にして破壊を免る。破壊される際に癒しのオーラを俺に吹き込む。熱の層の下にひやりとした清水が流れ込む感覚。肺の痛みが半拍だけ軽くなる。
『ターンエンド』
敵は二回攻撃後の破壊効果を避けるために一回しか攻撃しなかった。カードを引く。敵味方1回ずつターンを渡しあった結果加速カウンターは一度に2つ増える。加速カウンター6。【霊導機-マイクロギア】を手札に加えようとしたとき、右側から人の気配が近づいた。
草の擦れる音が一音、呼吸が一拍。汗の匂いが風に乗る。
(敵が近づいているわ!)
墓地からセイランの危険を告げる声が聞こえる。右を見ると敵兵士が近づいていた。刀を抜き首を薙ぐ。刃が骨に触れる鈍い抵抗。温い飛沫が頬に散り、すぐ熱で乾いた。
「人間を殺せ! よくも我らの戦いを邪魔したな!」
「人間界で戦うからだろ」
刀が首の肉を裂く感触を伝えてくれる。敵は目を閉じて大地に伏せた。ソウルボードを見ると加速カウンターが5になっていた。敵兵の死体をにらむ。邪魔が入ったがバトルに戻る。フィールドにモンスターはいない。ライフは7400対5500と有利だが、敵陣に交霊モンスターのシルヴァーンが存在するのが厄介だ。
背後では蹄と足音が交錯し、砂塵が薄茶の幕を作って視界を削る。ユーリたちが逃げたか分からないが前を向いてバトルに意識を戻す。
「手札にある【裏霊導竜-シリル】の効果発動! このカードを除外することでこのターン除外されたモンスターを交霊・レゾナンス素材として使用できる」
「レゾネーターモンスターを除外してレゾナンス召喚か。俺自身の攻撃力を超えてみろ!」
ヴァレナをフィールドに呼び出し、【虚無への導霊結晶】を発動。ヴァレナを除外してシルヴァーンを破壊。そしてシルヴァーンの攻撃力分2800ダメージを相手に与える。残り2700。シルヴァーンは破壊される際に墓地に手を突っ込みファイアストームを復活させる。その後墓地に送られながら赤いオーラを流し込み攻撃力を1000上昇。幻影疾駆と合わせて3200となる。虚無結晶が割れる音は、澄んだ鈴の余韻のあと急峻に途切れた。赤光が泥のように流れ、墓地がわずかに脈打つ。
「【裏霊導竜-ヴァレナ】に【裏霊導竜-シリル】を共鳴! 静寂の銀嵐よ、霊導を歪めて顕現せよ!レゾナンス召喚! 来い──裏霊導竜シルヴァリオ!」
ヴァレナから飛び出した三つの星がシリルの二つの星と輪を作り銀色の竜が出てくる。召喚後ヴァレナとシリルをデッキに戻してシャッフル。【冥府の導霊書】を発動しハルミを墓地からデッキに戻し一枚ドロー。引いたカードは【表霊導の呼び声】。【表霊導の呼び声】を発動して、【蒼天の剣姫セイラン】を墓地から特殊召喚。ライフを500回復。7900となる。シルヴァリオとセイランを呼び出したことで加速カウンターが1となる。
銀の鱗が波打ち、竜が息を吐くたび冷気が炎の匂いを洗い流す。喉のひりつきが薄れ、指先の震えが消えた。
弓矢が横から飛んでくる。咄嗟に刀を抜き、弓矢の進路をそらした。アルカナをみると破裂音とともに地上側で砂煙が立つ事態となっていた。さらに弓矢が飛んでくる。弓矢をたたき落とす。手に伝わる衝撃の軽さ。狙われているわけじゃなく流れ矢か。ソウルボードを見る。5分だった持ち時間があと30秒になっていた。シルヴァリオで守備表示の幻影疾駆を破壊。
「攻撃力上昇効果はこのターンだけ。次の私たちのターンで仕留めるわよ!」
乱入者を恨みながら【表霊導の護衛陣】と【表霊導の合流】を伏せる。マイクロギアを守備表示で通常召喚してからターンを終了させた。手札0になったからシルヴァーンのターンのエンドフェイズに補充される。シルヴァーンがドローしたことで加速カウンターが4となる。矢羽の唸りが耳のすぐそばを掠め、結界の膜で音が鈍く跳ね返った。
『私の復讐心はこの程度ではない。次の手を見せてやろう!』
「何をするつもりだ!」
目の前に勇者と思しき膨大なバトルエナジーを持った敵が現れる。刀を抜きスピードに乗せて斬る。首を振りぬき地面にたたきつけた。馬を返してもう一度斬る。エナジーの奔流は熱霞の柱となって立ちのぼり、斬撃でそれが霧散する。鉄臭い風が頬を撫でた。近接攻撃をしたことで加速カウンターが3となる。
『どこを見ている!』
敵は残印魔法【炎馬再臨】を発動。ソウルボードを見ると、墓地にあるカードをアストラルデッキに戻す。素材を除外して交霊召喚するようだ。シルヴァーンは墓地にある烈火蹄と【焔角の斥候】を除外。墓地が赤熱し、角の影が地面に焼き付く。戻されたカードの軌跡が火線となって空を走った。
『私自身を墓地から復活させる!』
「これで振り出しに戻ったわね」
セイランが嫌な顔をしていた。シルヴァーンがモンスターゾーンのモンスターと並走する。さらに【炎馬-爆炎走者】を通常召喚し、シルヴァーンがいるとき限定で発動するドロー効果を発動し一枚手札に加えた。焔の尾が二条、地面に蛇行の焦げ跡を描く。
「強い。強すぎる」
「これが炎馬族の末裔。大型モンスター二体は厳しいわね」
さらにモンスターを召喚してファイアストームと二体のモンスターを接続点でつなげる。白い結節点が増殖し、まるで炎の神経網が組み替わるように脈動する。
『炎馬を統べる覇将よ!戦場を焦土と化し、すべてを焼き払え!ノード召喚、炎馬覇将-グレートブレイザー!』
ファイアストームからさらに進化したモンスターが召喚される。グレートブレイザーは俺のフィールドにあるモンスターをすべて破壊する。灼熱の咆哮が空気の層を押し潰し、音が一瞬遅れて鼓膜を打つ。地面の陰影が一気に白み、影が消えた。
(あのカード、フィールドにある炎馬モンスターの攻撃力を+500する効果を持っているわ!)
(やっかいだな)
横から銃弾が飛んでくる。馬の速度を調整し銃弾を避ける。攻撃力4000と攻撃力3500。ダイレクトアタックされると負けてしまう。頬を掠めた弾が熱風に乗って遠ざかり、耳内で残響がキンと跳ねた。
『バトル! ダイレクトアタック!』
「速攻魔法【表霊導の合流】! 手札を一枚捨てて【蒼天の剣姫セイラン】を墓地より特殊召喚!」
守備表示のセイランを場に並べる。加速カウンターは1つ減り2となる。【表霊導の合流】より保護結界が流れ、セイランを守る。結界膜が複層になり、薄氷のような亀裂模様が走ってはすぐ自己修復した。
『戦闘破壊耐性か。ダメージを受けてもらう』
セイランの守備力は2200。グレートブレイザーとシルヴァーンの連続攻撃。3100ダメージを受ける。その後シルヴァーンがもう一度セイランを攻撃して1300ダメージを受ける。エンドフェイズになるとシルヴァーンは破壊され、墓地から【炎馬-焦熱豪騎】を守備表示で特殊召喚した。視界の端で数字が赤く瞬き、鼓動が一段乱れる。砂の味が舌に広がった。後少しで敗北だ。緊張から汗がにじみでる。
だが俺の剣は折れていない。カードを5枚になるまで補充。新たな手札を携え決戦の幕が上がる。