ただただ、全てを食べる男。


AFOが魔王なら邪神の様な男。



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「ただいま〜…」

 

自宅に帰り鍵を閉める。

普(・)通(・)の生活の中で帰宅後のいつもの行動。

変わらない、普(・)通(・)。親の求める普(・)通(・)。

 

押さえつける自我、自分自身。

当時は気が付かなかったけど

それが良くない事ってことは後で知った。

 

正直、親のことは苦手だった。

だけど嫌いじゃなかった筈なのはこ(・)の(・)事(・)件(・)で(・)理(・)解(・)で(・)き(・)た(・)。

 

「…?」

 

鼻を掠める匂い。

好きな、匂い。

 

ダメなのに、でもなんでするのか。

この匂いが好きなのはダメなのに。

 

匂いを辿ってリビングに入る。

 

理解は、出来ない。出来なかった。

赤い好きなモノ。好きなモノの匂い。

でもそれがナ(・)ニ(・)なのかは薄々わかった。

 

「え?…ぇ…」

 

内臓、血液、筋肉、皮膚。

全部、真っ赤なリビング。

しっかり言うならば親(・)の(・)内(・)臓(・)や(・)血(・)液(・)、(・)肉(・)片(・)が(・)飛(・)び(・)散(・)っ(・)た(・)リビング。

 

血の匂い、血の臭い。

臭(くさ)く 香(かお)る匂(にお)いの真っ赤な液体。

 

好きだけどダメな液体。

好き(きらい)だった親の大好きな匂い。

 

その中で、家族で食事をするテーブルに

ナニカがいる。

 

「うーん、フツウ。フツウ過ぎる」

 

自分の親ではない。

その血みどろの中で何事もないように血(・)の(・)滴(・)る(・)肉(・)塊(・)を普段使っているカトラリーで食べている知らない人。

 

よく覚えている、

黒髪に黒い瞳、細身の筋肉質な身体の男。

肉を頬張る時の鋭い歯。食べ物を絡めとる長い舌。

 

「あ、おかえり」

 

漸く、気付いたのかその人物はナイフとフォークを乱雑に置き立ち上がる。

 

「君、ここの家の娘だよね?名前は?」

 

緩い口調だが口の周りには血が付き、口からは血の(好きな)匂いがする男に近づかれる。

 

逃げられない。

 

ゆっくりとだけど確実にこっちを観ている、観察しているその瞳。

それに見られた時、本能が「動くな」と叫ぶのが分かるほど

ソイツはコチラを観ていた。

 

「あっ…ぁ…、ゎ…わた、しは」

 

言葉が詰まる。

名前を言って良いのか、

言わない方が良いのか、

言いたくない、

言うべき、

お父さんとお母さんは、

なんでどうして、

言うべき、

コイツは誰、

殺される、

言わなきゃ、

言うんだ、

言え、

言うんだ!

生きろ‼︎

言いたくない、

生きろ!!!

なんで、

生きろ!!!!

 

生存本能が、吠える。

 

 

「わた、し…私は渡我被身子(トガヒミコ)、ですっ…」

 

立ち竦み混濁した思考の中、自分の名前を言った。言ってしまった。

 

「へぇ、トガヒミコちゃんというんだね」

 

男の顔は俯いて見れなかったけど、笑っているのはわかった。

 

 

 

 

「君さ、我慢してるよ、ね?」

 

その時、「何を」と「なんで」の二つが混ざって何も言えなかった。

 

「何も言わなくて良いよ。ただ分かるんだ。好きなものを我慢する気持ち。我慢しろと、言われる圧迫感。僕もそう言われてきたからね。だけど我慢は無理なんだよ。生物学的にね。人間は我慢しろと言うけど生命は我慢ができるようには出来てないんだ。社会は我慢しろと言うがそれで本能を抑えつけてはいつか反動、破綻が来る。ならさ、我慢しない方が良いんだよ。僕は我慢しなくなって色々なオ(・)イ(・)シ(・)イ(・)モ(・)ノ(・)を知ることが出来た。だから僕はぜーんぶ食べたい。みんな、みーんな。美味しそうだから、食べたい」

 

男は捲し立てながら私に近づく。私は動けなかった。

 

「美味しそう…でもまだ君は食べごろではないね」

 

男は私の顎を掴んで

 

「だからこれは…印を付けないと、ね?」

 

そう言うと男は私の、

 

唇の左端を噛み。

 

「ッぁあ"ぁ⁉︎」

 

そのまま引き千切った。

 

 

 

 

左唇は左頬の四分の一ほどの皮膚と一緒に持って行かれた。

 

だけどそれだけじゃなかった。

 

「うーん?これだけじゃ足りないか?」

 

「い"っ…ぇあ?」

 

「食べ掛けだって、もっとわかりやすくしないと。ね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何時間経ったか分からないけど。

 

私はヒーローに保護されました。

 

 

 

 

全身に数(・)十(・)箇(・)所(・)の(・)咬(・)み(・)傷(・)を付けら(マーキングさ)れて。

 

 

 

もう、普通じゃいられない。

私はアイツを、あのヴィランを赦さない。赦せない。

 

普(・)通(・)は(・)塞(・)ぎ(・)込(・)ん(・)で(・)し(・)ま(・)う(・)のかも知れない。

 

 

 

 

 

だけど、だけども。

 

 

 

 

 

「私はアイツを殺したいのです」

 

それが私の志望動機。私の、私だけの。

 

「復讐のためのヒーローアカデミアです」

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

…

 

 

……

 

 

 

ぅ…う…ぁあ…

 

 

 

美味しかった、これはこの後楽しみだ。

 

 

……ぅ…ぃ……

 

 

あ?あぁ、僕の名前を言ってなかったね。

 

 

 

…

 

 

 

僕の名前は喰ヶ崎刃食(くいがさきばしょく)。

 

みんなからは『カニバル』って言われているよ。

 





この作品は9年前に書いてた作品のセルフリメイクです。

きゅ、9年前!?コワ…

リメイクと言うよりリビルド、再構成ですね。

ごめんね、トガちゃん。筆が乗ってしまったよ。

思い付いたから取り敢えず吐き出しました。

気が向いたら続きを書きます。

書く、かもです。

感想、欲しいれす。

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