歴史のひろい話   作:高島智明

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この短編集は一旦、完結と致しましたが、新たに思いついた短編を投稿致します。


出生の秘密?

歴史上の何人かの人物には、出生に秘密が在るとの異説が囁(ささや)かれる場合が在る。

 

例えば、フランス王ルイ14世が、その1人だという説が在る。

14世の両親、ルイ13世と王妃は不仲で、20年以上も実子に恵まれなかった。

それがある時、強引とも思える偶然から同衾し、生まれたのが14世だとされる。

 

この顛末(てんまつ)には、早くから疑惑が唱えられた。

本当に14世は13世の実子だったのか?

特にこの疑惑を助長したのが、当時の情勢だったとも言われる。

13世に男児が生まれなければ、王位継承者は兄王や其の側近たちと不仲だった13世の弟、ガストン・オルレアン公爵と成る。

それだけは避けたい13世と側近たちが、王妃の拒否する夫とは別の”種馬”をあてがい、生まれたのが14世だとするのだ。

 

更には、この異説は所謂(いわゆる)「鉄仮面」伝説とも結び付けられたりした。

14世の”実父”の実子が”この”秘密をネタに、14世を脅迫しようとした。

これに激怒した14世の秘密命令で件の人物は逮捕され、14世との血縁を証明する顔を仮面で隠され、秘密の囚人にされたのだと。

 

だが「仮面の男」の本名とされるユスターシュ・ドージェという人物は、確かに14世の幼馴染で、かつては寵愛される側近だったが、後には素行不良で宮廷を追放され、黒ミサ事件や詐欺事件で何かと問題の人物だった。

もしも自分が国王に似ている顔をしていたなら、それをネタに詐欺を働く位はしかねず、その結果、かつての寵愛する側近だけに専制君主の逆鱗に触れかねない人物だったのだ。

 

では何故、そんな人物が国王の側近だったのか?

国王それも幼君と、よく似た人物が幼馴染で側近である可能性は在り得る。

そう「影武者」だ。

 

国王とも成れば、ただでさえ暗殺の危険は在るだろう。

しかも14世の場合は、具体的な敵が居た。

ガストン・オルレアン公爵。

彼にしてみれば、14世が夭折するか、あるいは13世の実子では無いとして王位失格と成れば自分に王冠が転がり込んで来るかも知れない。

ガストン公爵にしてみれば”この”異説が都合が好かったのも、史実なのだ。

 

この様に「出生の秘密」が在るとされる人物の周辺を探ってみると”その”方が都合が好い敵対者が見付かるものなのだ。

 

例えば日本史では、豊臣秀頼に「出生の秘密」が在るとされる異説も在る。

 

成程、秀頼の「父」豊臣秀吉には正室のほかにも多くの側室が居たが、長く実子に恵まれなかった。

それなのに、晩年と言って好い年齢に成って、淀殿との間にだけに秀頼と其の兄の2児に恵まれた。

そこに疑惑が在るとされるのだ。

秀吉は不妊であり、淀殿は不義では無かったかと。

 

だがしかし、秀吉には織田信長の部下だった当時に、夭折した実子に恵まれたという説も在る。

また、秀吉の側室たちの多くには政略がらみで送り込まれた者も少なくなく、秀吉の淀殿に対する溺愛振りは、当時から有名だった。

 

そして、秀頼が秀吉の実子では無く淀殿が不義で「バカ母」だった“歴史”が、都合が好い者たちも存在した。

豊臣氏の天下を簒奪した者たちである。




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