………ゑ?個性?SCPだけど?   作:ヘビーなしっぽ

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USJ事変 その1

 

個性把握テストから数日後、入学早々ヒーロー基礎学の実技をするということで、私たちは今バスに乗っていた。

テスト以降、色々で済ませていいかは分からないが、色々あった。

今日は救助訓練を行うらしく、相澤先生が言うには三人の先生で今回の授業を見るらしい。

数日前に行われた戦闘訓練でコスチュームがイカれた緑谷以外は、全員がコスチュームに身を包んでいる。

 

バスの中は、生徒たちの喧騒が満ち満ちている。

 

「緑谷ちゃん、私思ったことは何でも言っちゃうの」

 

適当にあたりを見回していると、蛙吹が緑谷に声をかけているのが目に入った。

 

「はい!? 蛙吹さん?」

「あなたの個性、オールマイトに似てる」

 

聞き耳を立てている分際でなんだとは思うが、中々に的を射た質問のように思えた。

確かに、増強系という面では、似ているというのは間違いない。もしも蛙吹の前で増強系のアノマリーの力を使っていたら、あの質問を受けるのは私だっただろう。

 

そう思っているうちにも、切島が話に割り込んでいる。

なんでも、オールマイトは体を壊さないだろう。とのこと。

 

「しっかし、シンプルな増強型はいいよな! 出来ること多いし派手で!」

 

蛙吹の話題が燃え尽きたらしく、切島がそう言いだした。

話によれば、緑谷は入試で巨大ロボを吹っ飛ばしたらしい。確かに多種多様で便利だ。

 

「でもよ、派手さで言ったら爆豪と轟じゃね? 一発でわかる大火力って感じで」

「でも爆豪ちゃんすぐキレるから人気でなさそうよね」

「んだとコラ! んなもんすぐに出したるわ!」

 

上鳴、蛙吹、爆豪の順で言葉を発する。

 

「ある意味すげぇよな、この付き合いの短さでクソを下水で煮込んだような性格って認識されてんの」

「テメェのボキャブラリーは何だ殺すぞ!」

 

などと騒いでいるうちに、相澤先生の注意を受け、バス内は少し静かになるのだった。

 

 

 

 

 

「すっげー! USJみたい!」

 

誰かがそう叫んだ。

 

到着した施設には、なんとも維持費がものすごそうな場所がたくさん立ち並んでいる。確かにテーマパークに見えなくもない。

そして目の前には、宇宙服を着たヒーロー…13号先生が立っている。

 

「ここはあらゆる事故や災害を想定し、僕が作った施設ですその名もUSJ(嘘の災害や事故ルーム)!」

(((((まじでUSJだった!)))))

 

USJ…ああ、どこだったか、確か大阪かどこかにあるっていう…。

 

「スペースヒーロー13号!」

「私好きなの13号!」

 

緑谷君と麗日がテンション高めにそう話している。

ヒーローについては、私も事前に調べている。13号は、災害現場で幅広く活躍するヒーローとのこと。

 

「それでは僕の方から小言を一つ、二つ、三つ…」

 

…話が長いから割愛しよう。

要約すると、危ない個性もちゃんと使えば人救えるよ。みたいな感じだった。

 

「以上!ご清聴ありがとうございました!」

 

13号先生の話が終わると、飯田がブラボー! と連呼しながら手を叩いていた(無論クラスメイトも)

 

「っ!ひとかたまりになって動くな!」

 

と、突如として先生が私達に呼びかけた。なにやら、USJの中央の噴水らしきものの近くを睨んでいる。

私も目を凝らして見てみると、そこには黒いモヤの中から下卑みた笑みを浮かべる男たちが歩いてきていた。

一目見れば、あれが何か。すぐに想像がついた。

 

「何だありゃ?もう始まってるぞってパターン?」

「いや、今日は災害への対処法を学ぶ授業だ。ということは…」

 

私は思わず、柄にもなく声を上げた。

 

「あの愚図どもは、敵…だろう? 相澤先生」

「……そうだな。全くもってその通りだ。勝手に動くなよ」

 

相澤先生は首肯しながらそう言った。

瞬間、生徒たちが困惑したように声を上げた。

 

「敵!? あいつらここがどこか分かってきてるのか!?」

「先生! 侵入者用のセンサーなどは?」

「もちろん設置してますが…」

 

なるほど。電気系統の個性の持ち主がいて、邪魔をしているらしいな。

 

「13号。生徒を連れて避難開始しろ! 上鳴! お前も個性使って連絡試してみろ!」

 

相澤先生がいつも首に巻いている薄汚い布を摘まみ、黄色のゴーグルをつける。

 

「先生! 一人で戦う気ですか!」

 

緑谷が相澤先生にそう叫んだ。

確かに、抹消ヒーローであるイレイザーヘッドの戦闘スタイルは個性を消してからの捕縛。多対一は不利と言えよう。

 

「緑谷、よく覚えとけ。一芸だけじゃヒーローは務まらん」

 

相澤先生は言いながら、走って階段を下って行った。

 

「行きますよみんな! 着いてきてください!」

 

13号先生がそう言った瞬間に、ズズッ、という何か嫌な音が聞こえてきた。

音の発生源から、黒モヤが現れ、出入り口を覆い隠すかのように肥大化してみせた。

 

「させませんよ」

 

モヤに黄色い切れ目が浮かんだかと思うと、そう言った。

 

「どうも初めまして、我々は敵連合、今回雄英高校に侵入させていただいたのは……平和の象徴、オールマイトに息絶えていただきたいと思いまして」

 

あの高速移動。明らかにワープ系の個性。おそらく、体のモヤを使って対象をワープさせるものだろう。

 

「私の役目は、貴方達を散らして、なぶり殺す!」

 

モヤがそう言った瞬間、モヤが一気に巨大化して私たち全員を飲み込んでしまった。

そして、モヤがなくなったかと思うと、私は先ほど相澤先生が走っていった噴水の近くにいた。

その瞬間、私はいきなり重力に裏切られた。体が横に倒れる。腹の上がずしりと重い。何かに押し倒され、のしかかられているようだ。

 

衝撃で思わず瞑っていた目を開けると、そこには灰を含んだ雪のようなグレーの髪を長く伸ばした女性がいた。

だが、一目見ただけでわかる。その姿は明らかに異常だ。

皮膚はところどころ継ぎ接ぎになっており、真っ白いものや真っ黒の皮膚が見える。

着ている服は、周りの敵たちと全くに使わない純白のワンピース。

そして、何より目を引くのは、その目だった。まるで、あの子のものによく似ている。

 

「おおおおおおお前。お前お前お前。ししし知ってるぞそう知ってるぞ。あれをそう、とうとうとう……!」

「何を、言っている…お前は?」

 

突如として喋りだした彼女は、なにやら訳の分からない事を抜かしだした。

と、横で何かが動くのが目についた。

見れば、そこには顔やら体やらに手をつけた水色の髪の男と、脳みそがむき出した筋骨隆々の黒い男が立っていた。

敵。彼女も合わせて、三人。

相澤先生は別の敵たちの対処で手一杯。私が三人を抑えなければいけないのは、目に見えていた。

そう考えていると、突如として手の敵が声を上げた。

 

「あ? あー…ハービンジャーが動いてるってことは、お前か」

 

ハービンジャー? お前か、だと? どういうことだ?

困惑する私なんかよそに、手の敵は話を続けた。

 

「…俺を恨むなよ。お前。恨むなら、そんな呪物みてえなモン作った先生を恨めよ。……やれ。ハービンジャー。脳無」

 

言われた脳がむき出しの敵と、継ぎ接ぎが動き出した。

脳無と呼ばれた敵は、一直線に相澤先生へと向かて走って行く。

 

「相澤先生! 横だ…!」

 

相澤先生に対して注意をしようとして、私は途中で言葉を切った。いや、切らされた。

 

「おおおおま、お前。お前お前。よく、もよくも」

 

私の腹の上に乗っていたハービンジャーと呼ばれた敵が、私の首根っこをひっつかんで宙に浮かせている。私の目でも追えないとは、なんというスピードだろう。

敵は、いまだに不明瞭な言葉を繰り返している。

 

「よく、よくよく、よくも、よくも、とう、とおや。とおーや。とおやを…!」

 

なんだと、燈矢だって?

酸欠になりかけた脳を必死に回す。この敵と燈矢に、一体何の関わり合いがあるのだろうか。

私が聞く前に、敵は言った。

 

「燈矢を、おおおおお返、せ!!」

 

返せとは一体どういう了見だろう。なぜ彼の名前を知っているのだろう。

色々と聞きたいことはあったが、彼女はそれを許してはくれなかった。

がばり、と彼女の顎が90度裂けたかと思うと、その喉の奥の方に、なにやら明かりが覗いている。ぱっと見、炎を圧縮したもののようだ。

 

「っ、まず…!」

 

言い切る前に、私はハービンジャーの口から発射された炎のレーザーに飲み込まれた。

 

 





さて、ハービンジャー対研究員さん。頑張りますね
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