※今話は第三者視点です。
謝罪。
研究員さんのコスチュームについて書くのを完全に忘れていたので、今書きます。大変申し訳ありませんでした。
上半身:防火、防水Yシャツ。地面すれすれまでの白衣(ちょっと萌え袖)
下半身:夏はミニスカ。冬は長ズボン。色はどちらも黒。ミニスカの時には、気分で二―ソックスを履く。
靴:ローファーに見えるスニーカー。裏は、出し入れ自由のスパイクになっている。
手:マフィアとかが着けるみたいな黒い手袋。手にぴっちりで骨が少し浮き上がる感じのやつ。
概要:布系は、全て髪の毛を使っている。(ルミリオンのコスチュームを燈矢から聞いてそうした)
「ぎい、あっつ………!」
でろりと外に飛び出していた研究員の右目がハービンジャーを睨んだ。
レーザーに飲まれた研究員は、恐るべき形相をしていた。
左腕が焼き切れ、顔の右目付近はごっそりと抉れてなくなり、全身が完全に炭化していた。
「…は? なんで生きてんだよお前…。はあ、チートが…」
手の敵が、路傍の石を見るような目で研究員を見ている。
まあ、普通に考えれば死んでいるも同然の傷だ。死んでいない方が逆におかしいのである。
「新品だってのに…焦げてしまったな…」
研究員は焦げた白衣を脱ぎ、ハービンジャーの顔面に向けて投げつけ、駆け出した。
ハービンジャーはゆっくりとした動きで自らの視界をふさいでいる白衣に触れた。すると、真っ黒こげだった白衣が再び燃焼しだし、すぐさま灰になって消えた。
研究員はそんなこと気にもせずに、右手にアノマリー076”アベル”の力を発現させ、ハービンジャーに殴りかかった。
だがハービンジャーは、研究員がそうするのが見えていたかのように拳の軌道上に手のひらを置いた。
ハービンジャーの手のひらに、研究員の拳が衝突する。
「っは、硬いな。お前」
研究員が息を吐きながら言う。かたやハービンジャーは、薬物をキメた後の様にかっ開かれた目玉で研究員を射抜く。
ハービンジャーは、手をゆっくりと握り、研究員の拳を包み込んだ。すると、研究員の手がいきなり凍結し始め、右腕全体を覆ってしまった。
「なんだお前は? 氷に炎。まるで轟だな。だが、体の頑丈さもかなり目を引く。轟のような複合ではないな。まさか、人間じゃないのか? お前」
研究員は言い終えると同時に、自身の右腕に噛みつき凍った右腕を噛み砕いた。
手の敵が驚きを隠せずに声を上げる。
「はっは! お前、両腕ともイカれちまったじゃねえかよ! 弱ぇなあこれが金の卵?! 笑わせるぜ!」
痩せた腹を抱えながら、敵がそう笑う。だが、次の瞬間にはその顔を強張らせた。
その理由は、賢明な読者の皆様ならわかることだろう。
研究員の腕が根元から生え、元通りに治ってしまったからだ。無論、それだけではない。炭化していた体も、融解していた顔面も、全て元通りに復活する。
ハービンジャーは静かにそれを見つめ、手の敵は絶句してから首を掻きむしり始めた。
「………はあ? こんなんバグだろ…! なんだよお前…!」
研究員は手の敵には反応せず、再びハービンジャーに殴りかかった。今度は076のみではなく、アノマリー096”シャイガイ”の瞬発力と速度も取り入れ、先ほどよりも攻撃力の増した拳で。
どごん。と重い一撃がハービンジャーに襲い掛かり、皮膚に亀裂が走る。
しかし、ハービンジャーの小柄な体躯(とはいっても、研究員と同じくらいだが)はそれでも後退すらしなかった。
研究員は間髪入れずにもう一度逆の手でハービンジャーをぶん殴ってから、納得したような顔で頭を横に振った。
「…アノマリーを二つも結合させて殴っているというのに、たじろぎもしないのは疑問だったよ。だが、よーくわかったよ。なるほどな。下衆が」
研究員は口を開くなり一呼吸でそう言うと、顔に青筋を一つ刻んだ。
「どうやら、コレを私が人間じゃないといったのは、事実だったようだな。一体何だと言うんだ。この死体に刻み込まれている奇怪にして吐き気を催す個性の羅列は」
研究員は不機嫌そうに顔をしかめながら、手をハービンジャーに向けてかざし、衝撃波を発生させた。ハービンジャーの体が木の葉の様に吹っ飛ぶ。
いまだにイラついた様子で首元を掻きむしっている手の敵を睨みながら、研究員は言った。
「向こうの脳みそもだ。死体…しかも、大量の個性が無理やり刻み込まれている…なるほど。さながらサンドバックだな」
「…なんでわかんだよ…くそチートが。ああそうだよ。あれはオールマイト専用のサンドバック。怪人、脳無さ!」
「脳無…ぴったりの名前だな。極めて気色が悪い」
研究院が言い終えると同時に、ずっと向こうの方に見えている火災ゾーンの壁が爆ぜた。
それを研究員が確認した次の瞬間には、ハービンジャーの拳が研究員の眼前に迫っていた。
「――っ」
研究員は言葉を発する暇さえなく、背後に勢いよく吹っ飛ばされた。
地面に顔面から落下した研究員の左側の顔面はまるごとなくなっており、そこから血が流れ出るが、やはり一瞬でその大怪我は治癒された。
「…くそったれ。痛くないわけじゃないんだよ…」
悪態をつきながら研究員は起き上がった。
「オ、前。おーな、じ? 再、再再。再生………、も、ち?」
ハービンジャーが首を180度ぐりんっと傾けながら、研究員に問う。
研究員は小さく舌打ちしながら指の関節を鳴らしつつ、言葉を返す。
「お前と一緒にするな。下劣な傀儡風情が。生憎、私は逝き損ないの屑に興味はないんだ」
研究員は思い浮かぶ限りのありったけの悪口を込めて言った。
さかさまの視界で、ハービンジャーは研究員を眺めている。
つうっと汗が伝うのを、研究員は確認した。
背後で聞こえる、何かを地面にたたきつけている音。見なくても分かる。先陣を切った相澤が脳無に敗北し、殴られるか何かされているのだろう。
それが終わったら、あの脳無は研究員に向かってくるはず。
雑魚敵たちは相澤がおおかた倒してくれたといえ、手の敵。黒いモヤ。脳無。それにハービンジャーを一人で相手取るのは、不利という言葉では表しつくせない。
どうするべきか、研究員が思案しているうちに、黒いモヤの敵が戻ってきて、手の敵に話しかけているのが目に入った。
距離がそれなりにあるため、会話の内容は聞き取れなかったが、手の敵が苛立ったように何かを言っていることだけは理解できた。
手の敵がものすごい形相でモヤの敵を睨んでいる。
「あー ゲ バーだ 帰ろ 」
少し声量が上がったらしく、薄らと会話が聞き取れるようになり、その内容に研究員は心底安堵した。
ハービンジャーにばれないようにこっそりと振り返ってみると、背中がなくなっている13号という絶望的なものが映った代わりに、入場ゲート付近に居たはずの飯田がいなくなっていた。
モヤによってどこかに飛ばされている可能性もあるが、恐らく逃げおおせたのだろうと判断した研究員は、再びハービンジャーを見た。
その瞬間。
「でもその前に………奴らの矜持をへし折って帰ろう……!!」
手の敵が手を振りかざしながら、研究員の奥……正確には、水難エリアに居た緑谷たちの方向へ走り出した。
「なっ…! 緑、やっ?!」
研究員が避難を促そうと叫ぶが、凄まじい速度で走ってきたハービンジャーに顔面をわしづかみにされて押し倒されてしまった。
逃れようともがくが、ハービンジャーのパワーゆえに一向に脱出できない。
敵の手が緑谷たち少しずつ近づいていくのを、研究員はただ眺めることしかできなかった。
長らくお待たせいたしました…。ようやく投稿できました。
詳細については、活動報告の方でしているので、よろしければそちらをご覧ください(露骨な宣伝)
次回もかなり長くなってしまう可能性があるので、ご了承ください。
こんな投稿頻度が終わっている本作を見ていただき大変ありがとうございました。(not最終回)