キュアプリズムこと虹ヶ丘ましろのアイドルのような表情と時折見せる大人びた表情に、キュアスカイことソラ・ハレワタールの頭が壊れる話です。
青空に光が差し込み、戦場に白き光粒が舞い散った。
その中央に立つ少女――虹ヶ丘ましろは、変身の掛け声を響かせる。
「ふわり広がる優しい光! キュアプリズム!」
光の帯がしなやかに弧を描き、ましろの身体を優美に彩る。スカートがふわりと広がり、髪が光沢を帯びながら背中で揺れる。
そして決めポーズ。両手を顔の横に掲げ、軽く斜めに顔を傾けた瞬間――。
まるで舞台照明を浴びたアイドルがカメラ目線をしたかのような、完璧すぎる「アイドルスマイル」。
「………………ッ」
横で変身を見ていたキュアスカイ、ことソラ・ハレワタールは、言葉を飲み込んだ。
いつもの仲間のはずなのに、いま目の前にいる彼女は完全に「別の存在」だった。
(……か、かわいすぎますましろさん……っ! な、なにあれ……どこのトップアイドルですか!?)
胸の奥で叫びながら、ソラは慌てて背筋を正した。敵が目の前にいるのに、心臓が不規則に跳ねる。
「……スカイ、いくよ!」
「は、はいっ!!」
呼びかけられて飛び上がる。声が裏返ったことに気づき、さらに耳まで真っ赤になるソラ。
しかし幸か不幸か、敵の怪物はすでに突進してきており、気づかれてはいなかった。
■
戦闘は続いた。
スカイは拳を叩き込み、プリズムは光弾を放つ。
だが心は、どうしても数分前の変身シーンへと引き戻されてしまう。
拳を振るうたびに浮かぶのは、あの“アイドルスマイル”。
(……落ち着け……落ち着くのですソラ・ハレワタール! ましろさんは仲間! 仲間なのです!)
心の中で必死に叫びながらも――。
(でも……かわいすぎるんです……! 反則です……! あの顔……!)
殴った拳よりも胸の高鳴りのほうが強烈で、息が上ずるのを抑えきれなかった。
■
「やったね、スカイ!」
「……は、はい!」
怪物を吹き飛ばし、戦闘は一旦終了。
勝利の余韻のなか、キュアプリズムはふっと微笑み、こちらを振り返った。
……その笑顔がまた、眩しい。
今度は戦闘後の安堵感が混じった、しっとりとした笑顔。
それが逆に落ち着いた色香をまとっていて、ソラの心を直撃する。
(……な、なんですかその……表情は……! ちょっと……大人びすぎませんか!? い、いや、あれは……! あれは少し……えろすぎる……っ!)
――そう、ほんのわずかだが、プリズムの笑顔には、見てはいけない大人びた香りが滲んでいたのだ。
内心で両手をばたばた振るソラ。
外面は必死に笑顔を作ろうとするも、こめかみに汗が滲み、顔は火照りっぱなし。
「……ソラちゃん? 顔、赤いけど大丈夫?」
「っ!? い、いえっ! あの……戦闘で熱くなっただけですっ!!」
食い気味に否定。
しかしましろは首をかしげ、じっと見つめてくる。
(わあああああやめてくださいその視線! 直視できません! かわいすぎます! アイドルです! いや女神です!!)
「……ほんとに?」
「ほ、ほんとですっ!」
笑顔で誤魔化そうとするが、どうしても視線が泳いでしまう。
ましろの方はそれ以上追及せず「ふふ」と笑った。
その笑みさえも、ソラの脳を完全に溶かしていくのだった。
戦闘が終了し、二人は屋上の休憩スペースで息を整えていた。青空が広がり、軽く吹く風が心地よい。
ましろは、光をまとったまま軽く伸びをする。
その仕草――指先から肩、腰のラインまで、どこかモデルのポージングのようで、無意識にアイドル的な魅力を漂わせていた。
「ふぅ……今日も勝ててよかったね」
「……はい」
スカイ、心の中で再び動揺する。
だが、今回は戦闘の緊張ではなく、ましろの“日常の自然な仕草”によるものだった。
(な、なにその腕の動き……肩から腕へのラインが……かわいすぎます! いや……エロい……!)
目の前のましろは、くるりと振り返り、ぽんと手を腰に当てた。
その瞬間、ソラの視線は無意識に腰のラインに引き寄せられる。
しかも、笑顔は戦闘中よりさらに柔らかく、天真爛漫な少女らしさと、大人びた色香が混ざった不思議な魅力。
(……ああああっ……これ以上は心臓がもたない……ましろさん、どうしてこう……どっちも備えてるんですか!?)
スカイは必死に呼吸を整え、俯くふりをして目線を逸らす。
しかしましろは気にせず、手をぱたぱたと振って笑う。
「ソラちゃん、何か考え事?」
「え、ええっ!? い、いや、別にっ! ただ風が気持ちよくて……」
口から出た言葉は完全に嘘だった。
心の中は完全に暴走状態。
(……風のせいじゃないです! 顔が赤いのも心臓がバクバクなのも、ぜんぶましろさんの表情のせいですっ!)
ましろは無邪気に笑いながら、ふわりと髪をかき上げた。
その動作がまた、ソラの理性を揺さぶる。
(髪……首筋……ああっ……なんですかその仕草……かわいい……いや……エロい……!)
その瞬間、ソラの頭の中で“アイドルスカウター”が勝手に作動したかのように、数値化できるなら「かわいさ」と「色香」が跳ね上がっているイメージ。
目の前のプリズムは、無邪気さと艶っぽさの二重人格のような存在に見えてしまう。
「……ソラちゃん?」
「はっ! え、ええっと……い、今……別のこと考えてませんっ!」
赤面しながら必死に弁解するも、言葉の説得力はゼロ。
ましろはにこりと微笑み、肩をすくめる。
「ふふ、分かってるよ、ソラちゃん」
――ましろのその一言で、ソラの理性は完全に崩壊した。
頭の中で、「かわいすぎる」「大人っぽすぎる」「アイドルすぎる」というフラグメントがぐるぐると回転する。
■
その後、休憩スペースで軽くお茶を飲みながらの会話でも、ソラの動揺は続く。
ましろがティーカップを持つ手の仕草、口元を拭う指先の動き、微笑む角度――
どれもこれも、ソラの理性を試す“誘惑のトラップ”のようだった。
(……ちょっと待ってください……ただお茶飲んでるだけなのに……かわいすぎてどうすれば……!?)
ソラの脳内は、すでに言葉にならない叫びで満たされる。
「かわいい……いや、エロい……ああっ、もう!」
ましろはそれに気づかず、軽やかに話しかける。
「ソラちゃん、今日の戦い、私たち二人で完璧だったよね」
「……は、はい……!」
戦闘の自信に満ちたましろの笑顔――それもまた、かわいすぎる罪。
ソラは拳を握りしめ、心の中で叫んだ。
(も、もうダメです……ましろさん、アイドルすぎます……表情エロすぎます……! でも……守らなきゃ……! 戦うんです私!!)
理性と本能の戦いの中で、ソラは必死に笑顔を作り、ましろの前で平静を装う。
だが、内心の暴走は止まらない。