ダーザインの休憩所にて
<櫂>…あー…
夏休みだってのに何も起きねぇなぁ…
<櫂>中学生の夏休みだぞ。
おっぱいの1つや2つは
そろそろ出てきてもいいはずだろ。
<ましら様>人生ナメんな。
何もせずそんなもん出るわけなかろう。
<ましら様>お前が退屈と言う事は
お前を見ているワシは更に退屈なのだ。
早く何か行動してワシを楽しませろ。
<櫂>何か行動って言われてもな。
きっかけみたいなのがあればいいけど。
<謎の声>…ふ、ふふふ…
<櫂>おっぱいか!?
ついに出たのか!?
<ましら様>そんなのいきなり出てきてたまるか。
<タケシ>…ふふふ、やはりロローシュは最高だな。
勝ち誇った相手に一発逆転の策。
こんなに気持ちのいい事はない。
<櫂>・・・
<櫂>(…昼間っから寝転がってお菓子を食べて
黒いコートを翻した男がかっこいいポーズで
高笑いしてご高説を垂れるアニメを観ている。)
<櫂>(…哀れだ、なんて哀れなヤツなんだ。
日々をマジメに送っている俺ですらこうだから
コイツの青春は寂しく薄暗い物に違いない。)
<櫂>(コイツは俺が何とかしてやらないと死ぬ。
誰とも関わらず一人でアニメを眺めたまま死ぬ。
なんて可哀想な生き物なんだ。)
<櫂>・・・
(…やれやれ、しょうがない。
ここは俺が一肌脱いで救ってやるとしますか。)
<ましら様>…面白くなってきたな。
<櫂>よぉ、お前さっきから何観てんだ?
<タケシ>うぉぉ、ビックリしたぁ!?
なんだお前、誰だよ!
何で脱ぎながら話しかけてくるんだ!
<櫂>これは一肌脱いでるイメージだ。
お前も中学生なんだろ?
俺は葉沼櫂、仲良くしようぜ!
<タケシ>ひ、一肌脱ぐ…?
い、意味がわからんが俺様は友人などいらん。
お前みたいにデリカシーのない奴はお断りだ。
<櫂>(あー、いるわー。
話しかけても一人が好きだと言い訳しながら
教室の端で寂しい青春送るヤツいるわー。)
<櫂>そう言うなよ。
俺も結構アニメとか観るんだぜ。
呪術改戦とかSPY&FAMILYとか。
<櫂>ヨルさんおっぱいでっけーよな!
思いっきり揉んだり挟まれてみてぇー!!
で、お前の名前はなんてーの?
<タケシ>…【黄昏 -タソガレ-】だ。
…俺はお前みたいな
アニメの観方をしてる奴が一番嫌いだ。
<櫂>まぁ聞いてくれよタソガレ。
俺もこう見えて暇しててさ。
ちょっと現状を変えたいんだよ。
<櫂>タソガレもそういう所あるだろ?
今よりもちょっとだけ前向きに生きたいとか
少し特別な冒険をしてみたいとか、そういうの。
<櫂>中学生同士でそういう悩みを共有して
意見を出し合っていきたいってだけだよ。
似てないからこそ意義があるって思わないか?
<タケシ>…まぁそれくらいならかまわんが
お前みたいな奴に関わるとロクな目に遭わんと
俺様の勘が告げてるんだよなぁ…
<タケシ>一応聞いておくが
お前はどんな風に現状を変えたいんだ?
<櫂>モテモテになりたい!
中学生の夏なんだしさ!
そういうのの1つや2つはあるべきだろ!?
<櫂>あっ、別にR-18を求めてるわけじゃないぜ?
いきなりそういうのも大歓迎だけど
若いうちしか出来ない純愛もしたい!
<櫂>そのためにファッションには気を使ってるし
教室じゃ洋楽とか聞いてアピールしてるんだぜ。
男は日々の姿勢と努力が物を言うんだ。
<櫂>タケシは教室でラノベだろ?
洋楽を聞かなきゃモテないし
出来てもオタク友達だけだぜ?
<タケシ>…俺はお前みたいに
女にモテたくて生きてるわけじゃないし
友達もレベルの合うヤツがいないだけだ。
<櫂>1人でいるなんて何も成長しないと同じだぜ。
まずは俺の友達を紹介してやる。
その後で女にモテるための改造をだな。
<杏樹>で、そういうあなたはモテてるの?
<櫂>(う、うぉぉ!?
なんだこの高級そうな人形がそのまんま
動いてるみたいな女の子は!?)
<ましら様>…この娘にもわしのような存在が憑いておる。
いや、憑いておるというよりは
そやつの所有物となっておるな…。
<櫂>(えっ!?俺と同じ!?
それって俺の運命の相手って事!?)
<ましら様>どっちも不幸なだけだろうが。
何で前向きに考えるんだ。
<杏樹>タケシ先輩、この人だれ?
<タケシ>中学生のバースセイバーだ。
それ以上は俺にもよくわからん。
それで何の用だ、杏樹。
<櫂>ばっ、おまっ!
こんな美少女様になんて口の利き方を!
<杏樹>ん、これ…。
<タケシ>…なになに…?
カップル限定の限定スイーツ…?
<櫂>か、カップル限定のスイーツ!?
<タケシ>俺様に連れていけと?
<杏樹>うん、明後日行きたい。
<タケシ>わかった、明後日だな。
正午過ぎにここに集まって行くぞ。
それでいいな?
<杏樹>うん、それでいい。
<櫂>(・・・)
<櫂>(俺の運命の美少女と
太った冴えない少年がデートを約束している。)
<櫂>(これがNTR!?)
<ましら様>(初対面で他人だ。)
<杏樹>じゃタケシ先輩、また明後日ね。
<杏樹>・・・。
<櫂>初めまして、葉沼櫂です。
僕と同じくらいなのに優雅で気品に溢れていて
大人びた雰囲気が素敵ですね。
<杏樹>…悪意はないみたいだけど
先輩をいじめるなバーカ。
<櫂>・・・。
<櫂>今のは夏の日差しが見せた幻?
<タケシ>何を訳の分からん事を言ってる。
今のは太刀花杏樹というバースセイバーだ。
<タケシ>一度だけ杏樹を押し倒した事があってな。
その日から責任を取れと
何かと俺の所に来るようになって…
<櫂>押し倒したぁ!?
タ、タソガレさん!?
<タケシ>なんでいきなりさん付けなんだ。
何かある度に来るようになって
こっちはいい迷惑してるんだぞ。
<櫂>(か、彼女じゃん…!
それ完全にマーキングされてんじゃん!
あんな美少女がタソガレに…!?)
<タケシ>…どうした?
何で急に黙るんだ?
<櫂>(…あ、あれだな。
お金持ちのお嬢様っぽい子だったし
きっとそういう強引なのに弱いんだ。)
<櫂>(タソガレはたまたま上手く行っただけ。
そう、俺がコイツより劣ってるわけじゃない。
運だ、運が悪いだけだ。)
<ましら様>(必死杉ワロタ。)
<櫂>そういやタケシって呼ばれてたな。
タソガレタケシが本名なのか?
<タケシ>黄昏は称号だ。
人は俺を黄昏の魔術師と呼ぶからな。
<櫂>本名を知ってたら呼ぶわけないだろ。
<タケシ>ぐっ…そうだな。
<櫂>俺の事は櫂でいいから
俺もタケシって呼ぶぞ。
友達だしいいだろ。
<タケシ>勝手に友達認定するな。
俺はお前から嫌な予感しかしてないんだぞ。
<櫂>ところでタケシ。
さっきの杏樹ちゃんとは同じチームなのか?
<タケシ>いいや、違うチームだ。
<櫂>だよなー!
同年代の女の子と同じチームなんて
そうそう上手い話はないよなー!
<櫂>どうせタケシのチームはおっさんばっかりだろ。
可哀想だなー!
うちにはハルさんっていう美女が…
<アリア>あ、タケシ君。
ちょっといいかな。
<櫂>(う、うわぁ!?
男が脳内妄想する理想の女医イメージが
そのまんま出てきたぁ!!)
<タケシ>なんだアリアか。
俺様に何の用だ?
<アリア>宿題はちゃんとやってるの?
進捗状況を聞きに来たのよ。
<タケシ>ちゃ、ちゃんとやってる。
お前に心配されるような事じゃない。
<アリア>何言ってるのよ。
急に任務が入る事だってあるのよ。
早い内に終わらせなさいって言ったでしょ。
<アリア>もうっ!
今週の木曜日は空けておいたからね。
付きっきりで宿題を見てあげる。
<櫂>(こ、こんな清楚で美人のお姉さんと
付きっきりで宿題を…!?)
<タケシ>くそぅ、余計なお世話だ。
<アリア>ダメッ!
私には大人として君を監督する義務があります。
来ないと怒りますからね、いい?
<タケシ>わ、わかった。
行けばいいんだろ行けば。
<アリア>よろしい。
じゃ、待ってるからね。
<アリア>あ、キミはタケシ君のお友達かな?
<櫂>初めまして美人のお姉さん。
清楚でインテリジェンスを感じさせる
白百合のように素敵な方ですね。
<アリア>ふふっ、難しい言葉を知ってて偉いね。
急に話に割り込んじゃってごめんね。
タケシ君と仲良くしてあげてね。
<櫂>・・・。
<櫂>よし、バッチリ好印象を与えたな。
<ましら様>まるで相手にされとらんかったぞ。
<タケシ>何を訳の分からん事を言ってる。
今のはアリアというバースセイバーだ。
<タケシ>俺と同じチームなんだが
ああやって何かとお節介をかけてくるんだ。
全く、こっちはいい迷惑だ。
<櫂>おまっ、ふざっ!
ふざけんなよお前ぇ!!
<タケシ>なっ、なんだよ…
ど、どうして急に怒鳴るんだよ。
お、落ち着けよ。
<櫂>(そうだ、落ち着け俺!
うちのチームだってハルさんって言う
女神がいるじゃないか。)
<櫂>(美人のお姉さんが1人いるから何だ。
ハルさんの笑顔を思い出すんだ。
ぐへへ、よし落ち着いた。ぐへへ。)
<櫂>ぐへへ、わ、悪ぃ。
驚かせるつもりじゃなかったんだ。
ただチームの仲間を悪く言うのは良くないだろ。
<タケシ>ま、まぁそうだな。
確かに褒められた事じゃなかったな。
<櫂>うちのチームはさ。
ハルさんって言う女神とテツさんって人、
それになんと喋るアザラシがいるんだぜ。
<櫂>おもしれーだろ?
少し変わってるけど俺にとって大切なチームだ。
タケシだって同じだろ?
<タケシ>そうだな、うちも悪くないチームだ。
例えばロロって女は年上ぶって口煩いが
俺に弟のように接してくれている。
<櫂>(お姉さんキャラ!?)
<タケシ>それにりゅーって娘もだ。
竜人の人懐っこい子供でな。
俺の事を穿った目で見ずに懐いてくれる。
<櫂>(竜っ娘の妹キャラ!?)
<櫂>おまっ、ふざっ!
ふざけんなよお前ぇ!!
<タケシ>ま、またか!?
一体何なんだお前!!
<櫂>うちはハルさんって女神がいるけど
残りは社会不適合者のおっさんと
不気味なアザラシなんだぞ!!
<タケシ>さっきは大切なチームって言ってただろ!?
社会不適合者とか不気味とか言うなよ!
<櫂>社会不適合者とアザラシいらねぇ!!
俺にも美人女医と年上のお姉さんと
人外妹キャラを寄こせよ!!
<ましら様>お前追い詰められると
なかなか面白い性根が出るな。
<藍>あ、タケシさん。
ちょっといいですか?
<櫂>(う、うわぁ!?
今度は純度の高い正統派美少女だぁ!!)
<タケシ>ああ、杏樹の妹か。
俺様に何の用だ。
<藍>はい。
今度私達と海に行く約束についてですが…。
<櫂>(う・み!?
うみって夏の定番のあの海!?
夏休みに女の子達と一緒に海に!?)
<タケシ>ああ、あの話か。
どうにも気が乗らんな。
パスしていいか?
<櫂>(き・が・の・ら・な・い!?
女の子達と海に行くんだぞ!?
女の子と胸と尻が複数形なんだぞ!?)
<藍>そんなの困ります。
タケシさんがいないとダメなんですから。
<櫂>(…なんか知らんが
タケシが絶好の機会を手放そうとしている。
これはチャンスなんじゃないか?)
<櫂>(俺がタケシに成り代わってしまえば
女の子達からモテモテになれる!!)
<櫂>綺麗なお嬢さん、こんにちは。
僕はこの夏で最もホットな
アトラクションと話題の葉沼櫂です。
<藍>は…はぁ…
初めまして、太刀花藍と申します。
<櫂>その日は10万人が集まるドームで
ライブの予定だったんですが
たったいま10万人がキャンセルして空きました。
<藍>えっ、10万人が一斉にですか!?
<櫂>タケシの代わりに俺はどうですか?
君達を夏の日差しよりホットにしてみせますよ。
<藍>えっと、お気持ちは嬉しいのですが
これはタケシさんでなければ
ダメな事ですから…。
<藍>…それとまだ何日に行くか教えてませんよね?
<櫂>どうして!?
俺とタケシの何が違うって言うんですか!?
<藍>えっ、そう言われましても…
私達に必要なのはタケシさんなので…。
<櫂>ちくしょう!どうして!!
どうしてどいつもこいつも
タケシ、タケシ、タケシなんだ!!
<ましら様>アミバみたいな台詞を言うな。
<タケシ>代わってやれるもんなら
代わってやりたいくらいだよこっちは。
<櫂>俺だって男になりたい!!
<藍>!?
<櫂>俺はただ…
ひと夏の体験をして
大人の階段を昇りたいだけなんだ!!
<藍>・・・
<藍>…わかりました。
よろしければ櫂さんも一緒に
私達と海に行きませんか?
<タケシ>…俺様が行くのは決定事項か。
<櫂>…でも君達が求めてるのはタケシで
俺はお呼びじゃないんだろ?
<藍>そんな気後れしないで下さい。
私が櫂さんのパートナーになって
一緒にお付き合いしますから。
<櫂>えっ、パートナー!?
俺なんかでいいの!?
<藍>はい、もちろんです。
先ほどの宣言、とってもかっこよかったです。
<藍>その日は思う存分、男になってください。
私達2人で一緒に
大人の階段を登っちゃいましょう!
<櫂>(・・・)
<櫂>(天国にいる父さんと母さん。
産んでくれてありがとうございました。)
<櫂>(俺、こんな可愛い女の子と
ひと夏の恋をして大人の階段を登ります!!)
<藍>私もペアは初めてです。
不束者ですがよろしくお願い致します。
<櫂>大丈夫、俺も初めてだけど
脳内トレーニングしまくってるから!!
<ましら様>そろそろ頭突き以外の
まともな頭の使い方を覚えた方がいいぞ。
<タケシ>テンションがおかしいぞコイツ、大丈夫か?
<藍>頑張りましょうね!
<櫂>はい!!
数日後
場面はどこかのファンタジー世界の船上。
<魔物>GYAAAAAAAAA!!!
<櫂>・・・
<ダーザイン司令官>勇敢なるバースセイバーの諸君。
危険な任務をよくぞ引き受けてくれた。
<櫂>・・・
<ダーザイン司令官>君達の任務は目の前にいるモンスター
デスニクエグリ100体を全滅させる事だ。
<櫂>・・・
<ダーザイン司令官>デスニクエグリはその名の通り
凶悪な爪で肉をえぐってくる強敵だ。
<櫂>・・・
<ダーザイン司令官>非情に凶悪なヤツだから気を付けてくれ。
諸君らの健闘を祈る。
<櫂>・・・
<藍>頑張ろうね、櫂君!
一緒にひと夏の体験をして
大人の階段を登っちゃいましょう!
<櫂>・・・
<タケシ>俺様は能力を活かして
後ろで立ってるだけだからな。
後はお前らが勝手にやれよ。
<藍>はい、もちろんです。
タケシさんは後ろで見てるだけで大丈夫です。
<杏樹>…櫂くんの反応がないけど大丈夫?
<藍>全力で敵に集中してますね。
凄い気合です。
<杏樹>…そうは見えないけど…
<櫂>・・・
<櫂>・・・なんで・・・?
デスニクエグリとの戦闘が始まる。
<櫂>・・・な・ん・で・だぁぁあああああああ!!
櫂がデスニクエグリを一撃で吹き飛ばしバトル終了。