異世界TRPG ~命知らずな奴らと行く異世界探索譚~   作:@7281mo-mu

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今章最終話です


~始まりの村~ 11

 ―――その直前に俺は、手をヌシ様の魔法に向けて紡ぐ。

 

「ウォーターウォール!!」

 

 唯一俺が習得する魔法である水属性の障壁魔法を。

 アイスバーストの軌道上、ヌシ様の頭上付近の、放たれてもすぐにぶつかるであろう場所に。

 

 俺が展開した水の障壁が、アイスバーストに衝突した。

 そして破裂。

 ヌシ様の頭上で、アイスバーストによる氷風が爆発した。

 

「―――!?」

 

 ヌシ様を中心として吹雪が巻き起こり、周囲のあらゆる物が凍てついていく。

 草木や土さえも凍える冷気で白の彫像へと化していく。

 それを暴力的な冷風が抉り砕き、氷の粉として氷風の一部となる。

 そのまま世界を極寒の地へと染め上げていった。

 

 幸いにも俺達からは距離があったため、巻き込まれることはなかった。

 だが、あの範囲内の万物を凍てつかせんと荒れ狂う氷風を見てると、事前に対処法を考えておいて、心底よかったと思えてくる。

 

「ナイスだバンカ。ひさびさに役に立ったな」

「ひさびさでは無いだろうが!俺も少しは活躍してるぞ。例えば斬撃当てたり、時間稼ぎしたりしてんだろうが」

「はいはい。それよりも、ヌシ様ってどうなったんだ?吹雪で見えない……見えてきたな」

 

 やがて魔法の余波が収まり、後には無傷で憎々しげに睨みつけるヌシ様の姿が現れた。

 自分の魔法、しかも上級魔法を受けても傷1つないのは、身に纏う氷鎧のお陰か?

 だが、そのことを考える必要はないかもしれない。

 

 なにせ、そんなヌシ様に対し、攻撃の機会を持ち続けていた奴がいた。

 

「さーて、仕切り直しだなぁ、ヌシ様?」

 

 ラピスが跳躍し、ヌシ様へと得物を叩きつける。

 強烈な打撃により、氷の鎧を粉砕してなおヌシ様自身にも確かなダメージを与えた。

 俺もそれに続いて斬りかかる。

 

「し―――ッ」

「クォッ」

 

 クッソ、外した。さっきからまったく当たらねぇ!?

 

「おいおーい、何やってんだよバンカー、しっかり当てろよ~」

「クオッ!!」

「はい、余裕の回避。当たらなければどうってことないない」

 

 ヌシ様のアイスストライクを余裕で避けるラピス。

 その姿はどこか楽しげで、ヌシ様を完全に翻弄していた。

 流石だな。あの動きを見てると、今のところ戦いにあまり貢献できていない自分が恥ずかしくなってくる。

 

「クォオオ―ン!!」

 

 ヌシ様は緑の輝きを放ち、自身の傷を回復させた。

 再生胞子による回復。ラピスが今与えたダメージがすべて回復された。

 しかも氷の鎧を纏い直しており、再び頑強な防御を備えている。

 

「そぉい、や―――ッと!!」

「クォッ!?」

 

 ……しかし、ラピスの再びの跳躍からの殴打が氷の鎧を砕き、その身にダメージを与えた。

 先程の光景の焼き直し。今度こそ決める!

 

「ハァ―――ッ」

「クォン」

 

 また軽やかな動きで避けられた。

 今のところ、俺って最初以外は回避と魔法の遮断ぐらいしかできてないんだが?

 けれど、ヌシ様は確実に追い詰められていた。

 

 ヌシ様がラピスに対して、尾による薙ぎ払いを行う。

 再度、展開した氷の鎧が砕かれた。だからか、ヌシ様は魔法を撃っても回避か妨害されて、魔力の無駄になると判断したのかもしれない。

 理由は定かではないが、近接攻撃を仕掛けてきたヌシ様に、ラピスは……

 

「―――02でクリティカル。カウンターだ」

 

 完璧なタイミングで回避を行い、反撃を繰り出した。

 鉄の棒がヌシ様の顔面を捉える。

 不意の一撃をくらったヌシ様は、一度転倒したが震えながらも立ち上がろうとする

 ……しかし、限界が来たのか地面に倒れ込み、意識を手放した

 

「……よし、撃破」

「まさか……倒したのか、あのヌシ様を……?」

 

 現実身のない光景に、思わずその場から動けなくなる。

 しかし、ヌシ様の身体から光の粒子が抜け出し、宙に消えていった。その光景を見届けた瞬間、俺は倒れ伏すヌシ様に駆け寄った。

 

「ヌシ様!」

 

 ヌシ様の様子を観察する。

 

 カランカラン……。

 37成功

 

 ………呼吸は安定している。命に別状は無さそうだ。

 手に持っていた中級ポーションを取り出して、処方しようとする。

 だが、この場には俺だけでは無かったことを思い出し、今回最大の貢献者である彼女の方を見る。

 

「頼む、ラピス。ヌシ様に回復ポーションを使っても」

「いいぞ、事情知ってるし、命まで取ったりしないぞ」

「……感謝する」

 

 俺は中級ポーションをヌシ様に振りかける。

 

 カランカラン……。

 応急手当93失敗 2→8

 

 すると、完全ではないがヌシ様の傷が癒えた。

 続けて下級ポーションを持っている分を全部使う。

 

 カランカラン……。

 応急処置84失敗 8→14  

 

 以前、ラピスを治療した時のような回復力は見せなかったが、それでも傷はしっかり癒えていた。

 これでひとまずは大丈夫だろう。安静にしていれば治るハズ。

 そう思った俺は、途端に気を緩める。

 ……いや、その前にするべきことがあったな。

 

「……ラピス、改めて本当にありがとう」

 

 俺はラピスに頭を下げて感謝を伝える。

 彼女がいなければ、彼女が手伝ってくれなければ、俺達は森の異常に気付かずに今も村でのほほんと過ごしていただろう。

 または、ゴブリンの対処に手間取っていたか……。

 何にせよ、彼女のお陰で俺達の恩人…恩獣であるヌシ様をゴ=ミとかいう異形共の魔の手から救うことができたのだ。感謝しかない。

 

「今更何言ってんだ。それより、この後どうすんだ?村に帰るのか?」

「………いや、ヌシ様が心配だ。今夜はヌシ様の住処に泊まって様子を見ることにする」

「なら私も付き合うわ。もしまた暴れだしたら、またぶん殴って止める必要があるし」

「そうか……ありがとな」

「いい、それよりも帰ったら報酬寄こせ」

 

 相変わらずのがめつさに安心感を覚える。

 そうだ、ラピスの要求は正当な物だ。

 だから俺達は、彼女の成したことへ報いなければならない。

 

「分かってる、村長を言いくるめて報酬をふんだくってやるさ」

「おっ、そん時は私も参戦させろ。たまに言いくるめロールをするのも楽しいかもしれんからな」

「またよく分からんことを……」

 

 それにしても、ここまで森を歩いたり戦闘したりで疲れたな。

 俺は疲れでおぼつかない足を動かし、ヌシ様の元へ行く。

 そのまま白いふかふかの毛並みの尻尾に向かって、仰向けで倒れ込んだ。

 

「すまん……流石に疲れた。……しばらく寝る」

「いいけど、起きたら私と代われよ~」

 

 ヌシ様すみません。ですが、少しだけお借りします。

 己の守り神への不敬に申し訳なく思うも、疲労で下がる瞼に耐え切れず、心地よい毛並みの感触と眠気にその身を委ねるのだった。

 

 ・

 ・

 ・

―――――――――――――――

 戦闘フェーズ

 行動順:空狐(ヌシ様)→白→バンカ→空弧

 ラウンド1

《空弧の特性、暴走胞子を発動。このラウンドでの攻撃力を1D3上昇させます》

 空弧(かぎ爪47成功 5ダメージ → バンカ)

 バンカ(回避24成功)

《空弧の鋭い爪がバンカの肉体を引き裂かんと迫る。しかし、軽々とした動きでその爪撃を避ける》

 白(鉄パイプ85成功MA77失敗跳躍62成功 5ダメージ → 空弧)

 空弧(回避85失敗)19→14

《空弧に鉄パイプで殴打する。痛みに体を震わせたが、未だに倒れる気配はない》

 バンカ(刀剣33成功 8ダメージ → 空弧)

 空弧(回避84失敗)14→6

《空弧を剣で斬りつける。胴体に渾身の一撃を受けた空弧は体を揺らし、少しだけふらついた》

 空弧(上級魔法:アイスストライク 9ダメージ → バンカ) MP21→15

 バンカ(回避47成功)

《空弧の上級魔法、アイスストライクがバンカに向かって放たれる。しかし、バンカはすんでのとこで躱すことができた。次のラウンドへ移行します》

 ラウンド2

《空弧の特性、再生胞子を発動。自身のHPを1D3+1D3回復します。空弧のHPが6回復しました》6→12

 空弧(氷鎧 炎以外に+6の装甲獲得)

《空弧が自身の身に冷気を纏わせる。その冷気はやがて形となり、氷でできた鎧を形成した。炎以外の攻撃に対して装甲+6を得ます》

《ふざけてません、マジです。なお、その装甲は打撃、炎、爆発の系統の攻撃を受けるとダメージ関係なく剥がれます。それ以降の攻撃には装甲は適用されません》

 白(鉄パイプ38MA74失敗跳躍97ファンブル 2ダメージ → 白)13→11

《ラピス・ホワイトの跳び殴打は明後日の方角へと飛んでいき、大樹に頭から衝突しました。2D3です、やっと跳躍失敗しましたね。ですが何故最低値……まぁいいです、次行きます》

 バンカ(刀剣93失敗)

《バンカの剣は空を切りました》

 空弧(中級魔法:アイスウォール)MP15→11

《空弧の周囲に耐久4の氷の壁が出現しました。この壁を破壊できなければPLの攻撃は届きません。次のラウンドへ移行します》

 ラウンド3

《空弧の特性、魔活胞子を発動。自身のMPを1D3回復します。空弧のMPが3回復しました》MP11→14

 空弧(尾76失敗)

《空弧は氷の壁の隙間から尾を伸ばし、探索者達を叩きつけようとした。しかし、壁に囲まれていたせいか見当違いの方向へと攻撃する》

 ラピス(鉄パイプ49成功MA63失敗 4ダメージ →アイスウォール)

《身の程を知ったラピスの控えめな殴打が氷の壁を砕いた》

 バンカ(刀剣41成功 14ダメージ → 空弧)

 空弧(回避07成功)

《バンカが鋭い剣撃を叩き込むが、空弧は軽やかな動きで回避する》

 空弧(尾65失敗)

《空弧は再び尾による叩きつけを放つが、誰もいない場所を打ちつけた。次のラウンドへ移行します》

 ラウンド4

《空弧の特性、暴走胞子を発動。このラウンドでの攻撃力を1D3上昇させます》

 空弧(上級魔法:アイスバースト 17ダメージ → 白、バンカ)MP14→10

《空弧は尾を使い、氷の魔力でできた白い玉を練り上げる。そして、上級魔法、アイスバーストが放たれる。全体攻撃の魔法です、回避をする場合は-20の補正となります》

 バンカ(中級魔法:ウォーターウォール)MP11→7

《……バンカは白い玉が放たれる直前に、軌道上に水の壁を展開する。すると、放たれた白い玉は水の壁に衝突し破裂。あなた達の元に氷の息吹が届くことなく術者の周囲を凍てつく零度の風が吹き荒れた》

 白(鉄パイプ45成功MA36成功跳躍36成功 12ダメージ → 空弧)

 空弧(回避63失敗)12→6

《ラピス・ホワイトの跳び殴打が、今度は外れることなく命中する。それにより、空弧の纏っていた氷鎧は砕かれ、本体も防げなかった分のダメージを負った》

 バンカ(刀剣86失敗)

《バンカの剣が空を切る》

 空弧(上級魔法:アイスストライク 12ダメージ → 白)

 白(回避15成功)

《上級魔法の氷塊がラピス・ホワイトに放たれるが、難なく回避することができた。次のラウンドへ移行します》

 ラウンド5

《空弧の特性、再生胞子を発動。自身のHPを1D3+1D3回復します。空弧のHPが6回復しました》6→12

 空弧(氷鎧 炎以外に+6の装甲獲得)

《空弧が再び氷鎧を纏う》

 白(鉄パイプ16成功MA33成功跳躍64成功 12ダメージ → 空弧)

 空弧(回避54失敗)12→6

《飛び殴打が空弧の氷鎧を再び破壊し、ダメージを与える》

 バンカ(刀剣20成功 12ダメージ → 空弧)

 空弧(回避08成功)

《バンカの鋭い剣劇を軽やかな動きで回避する》

 空弧(尾27成功 12ダメージ → ラピス)

 ラピス(回避02クリティカル )

《ラピスは空弧の振るう尾を完璧なタイミングで避ける。カウンターまたはクリチケ獲得です。カウンターの場合は自動成功となりますが、MAと跳躍による補正はありません》

 白(鉄パイプ自動成功 4ダメージ → 空弧)

《空弧にカウンターの一撃が叩き込まれる。震えながらも立ち上がろうとしていたが、とうとう力尽きたのか地面に倒れ込み、意識を手放した》

《戦闘終了です、お疲れさまでした》

 

―――――――――――――――

 ・

 ・

 ・

 

「そんなこんなで、俺達じゃ無事ヌシ様を助けることができたんです」

「おぬし、最後の所業はマジ不敬だから反省しておけよ?」

 

 村長が呆れた様子で言う。

 ……もちろん反省しておりますとも。

 

 俺は今、村長宅にて昨日の調査の報告をしていた。

 今回の件はあまりにも色んな事があり、森への影響も馬鹿にできない程に大きかった。

 高い知能に独自の技術、ヌシ様を一時的にでも暴走し支配できる手段を持った新種のモンスターと遭遇、交戦。それだけでも、この村だけで対応するには手が余る出来事だろう。

 

 ラピスによると、あのモンスターの名前はゴ=ミらしい。

 何ともヘンテコな名前だが、実際戦ってみると、下手したら1体1体が中堅の冒険者や国の兵士に勝るくらいの強さだった。

 ただ、魔法を秘めた筒型の杖(ラピス曰く電気銃)という武器は警戒する程ではない。精々少しだけ体がピリッとする程度。あのくらいならば動きに支障はないだろう。

 だが、接近されたら脅威だった。実際にハサミによる切りつけをくらった身としては、皮鎧を易々と破損させ、傷を与えて来た攻撃力には目を見張る物がある。

 さらに、やつらの纏うバイオ装甲とかいう代物は……非常に厄介だ。刃物を持っていなければ、ダメージを与えることすら難しいぞ。

 

 とにかくだ。

 今まで見たことも無い異形が現れたこの件は、もはや俺達の村だけの問題ではなくなった。

 他の場所でも同様の事例が今、水面下で起こっている可能性があるのだ。

 そのため、村長には今後の対応の方針を決めてもらうため、帰って来てすぐに報告しに来たのである。

 俺の話を最後まで聞いた村長は、自分がすべきことを悟ったのか頭を抑えている。

 これから村長に待ち受けている仕事の多さを考えると気の毒に思えるが、こんなこと対応できるのは村長(この人)だけなので頑張ってもらうしかない。

 

「しかし……無警戒にヌシ様の傍で寝たおぬしらが無事に帰ってこれたということは、ヌシ様は無事に正気へと戻ってくれたということじゃな」

「はい、朝にヌシ様は目を覚まし、無事正気に戻っていました。しかも、一晩寝たらこれまでの傷や疲労諸々が完治した様子でした。ヌシ様曰く、傷や疲労、後遺症も無い完全回復だそうです」

「凄いな、ヌシ様」

「ええ、流石はBランクモンスターという人間が対応できる限界の存在。人間とは生物としての格が違うと改めて思い知らされましたよ」

 

 しかし、ヌシ様自身も自身の回復

 ラピスはそのことに驚いておらず、当然だと言わんばかりの態度だったのが少し気になったが………まぁ、そのお陰で村のみんなを安心させることができたわけだ。

 

 

 実は俺達は昨日、ヌシ様の住処で一夜を明かし、翌朝になってすぐ村に戻ることができたのだ。

 どうやって俺達が深層域から村まで帰ってこれたか。その理由がヌシ様だ。

 

 今朝、正気に戻っていたヌシ様は目を覚ましてすぐ、俺達に事情を聴いてきた。

 なんと、ヌシ様は人の言葉を話せたのである。

 何故かその瞬間、カランカラン……というダイスの音と、精神が削られそうになった気配を感じたが無視した。

 

 ヌシ様が話したことに驚きながらも、タメ口で軽い感じで話すラピスを諫めながら俺は、これまでの経緯、森の異変、ゴ=ミとかいう甲殻類に関することを包み隠さず説明した。

 その結果、事情をすべて知ったヌシ様が頭を下げて感謝と謝罪をくれたのだ。

 それに慌てる俺、助けた報酬を要求しだしたラピスにも温和な対応をしてくれて、さらにお礼を用意してくれることになったのだ。

 この時は、ヌシ様の心の広さに感動すら覚えた。

 俺がこの村で暮らしていてよかったと思えてしまうほどに。

 

「そのお礼の1つとして、俺達はヌシ様に浅層まで送って貰えました」

「それでこんなに早く帰ってこれたのか。‥…ん?1つとして、ということは他にも貰ったのか」

「はい、物ではないですが、こちらを頂きました」

 

 俺は右手の甲を……そこに刻まれた白雪色に輝く紋章を見せる。

 今までの俺の手には刻まれていなかった物。それを見た村長は驚愕し、震える声で紋章の名を絞り出す。

 

「「氷雪の加護」、か……」

 

 紋章。それは、高位の存在へと至った存在が自分の気に入った相手に送る祝福のような物。

 その恩恵による効果は多種多様で、炎の魔法を使えるようになったり、身体が岩より頑丈になったという話も聞く。

 しかし、高位の存在に気に入られるということは簡単な話ではなく、過酷な試練や大いなる偉業を達成した者でないと彼等の目に留まることすらできない。

 そのため、世間では紋章を英雄の証として認識されており、紋章の持ち主は尊敬と羨望の対象として見られている。

 それを俺達は手に入れることができたのだ。

 

 俺達がヌシ様から送られた加護は「氷雪の加護」というもの。ラピス曰く、冷気と氷の攻撃に対して強くなるらしい。

 どうしてアイツが加護の効果をしれるんだ?本当は高貴な身分の人間だったり・・・いや、ないか。

 

「ガンバ、本当によくやった。お前はこの村の誇りじゃ」

「ありがとうございます。ですが、今回の依頼はほぼラピスが解決したようなもので・・・」

 

 ゴ=ミやヌシ様との戦いではあまり役に立てなかったし。

 

「それでもじゃ。ところで、今回の報酬についてなのじゃが「大変だ村長!」」

 

 村長が報酬についての話を始めようとしたとき、部屋に飛び込むように自警団の同僚の1人が飛び込んできた。

 

「どうした、何があった!」

「バンカもいたのか!なら来てくれ、大変なんだ!!」

「待て待て、ずいぶん慌てているようじゃが、何があった?」

「……村の中に、グレゴリベアが、侵入したんです!!」

「!?」

 

 息を切らせて入って来たこいつは、とんでもないことを言う。

 本来の住処で見ないと思ったあのモンスターが、どうして村の中に!?

 まさか、新たな異変が起こったのか?それとも、あの甲殻類の仲間がいて、そいつが報復しにきたのか……?

 嫌な予感を浮かべる俺を他所に、村長は同僚を落ち着かせる。

 そうして落ち着きを取り戻した同僚は村長に事情を聴かれ、やがて神妙な顔つきで口を開いた。

 

「……村共同の畑から、生えてきたんだ」

「またかよ!?」

 

 この村の畑は生命体の錬金装置でも埋まってんのか!!

 そんな悪態をつきながら、俺は自分の愛剣を持って席を立つ。

 

「村長!すみません、席を外します」

「お、おぉ、怪我をする出ないぞ」

「お気遣い感謝します。ナガヤ、行くぞ!」

「ああ、早くしないと、足止めしてくれてるラピス様に申し訳が……」

「あいつもいんのかよ!お前らだけで対処しとけよ、役目だろ……!」

 

 もう1人の恩人にこれ以上、迷惑なんてかけれない。

 そう思った俺とは同僚を連れて、村長の家を飛び出して事件の起こっている畑へと向かうのだった。

 

 

「本当に真面目な男じゃ、次の村長はあいつに任せたいのぉ……」

 

 

 

 思えばよくここまで来れたものだ。

 幼い頃にこの村に来た時は、村のみんなからの評価は良くなかった。

 母が死んでからは村のみんなに認められるよう必死に足掻いたっけ。

 そんな俺は今では村の一員として認められて、さらには紋章まで手に入れた。

 本当に未来というものは分からない物だ。

 

「クッソ、マジでグレゴリベアが畑のど真ん中に!?」

「「「バンカ」」さん!!」

「ガキ共か、何でここにいるのか知らんがとにかくさっさと下がってろ!……そしてラピス、加勢しに来たぞ!!」

「……!バンカか、そこの即落ち2コマした怪我人持ってってくれ!」

「「「お~た~す~け~」」」

「うん、お前らが足引っ張ったことは理解した。普段から鍛錬しっかりとしないからこうなんだギャンカス共!!ナガヤこいつらを連れてけ。俺はラピスに加勢する」

「ちょ、え?」

 

 俺は倒れていた同僚(馬鹿)共を押し付けてから、剣を握りしめて突貫する。

 そして……ラピスに注意が行ってる家屋くらいの大きさの熊、グレゴリベアへの首元目掛けて跳躍し、思いっきり剣を横に振るった。

 

 カランカラン……。

「「「「!?」」」」

「ナイスクリティカル!」

 

 こうして俺の、少し変で男勝りな性格で不思議な戦友と共にやってきた非日常な日々は続いてくのであった。

 

 

 





《これにて今シナリオを終了します。ハッピーエンドです、お疲れさまでした》
《……クリア報酬を獲得しました。まずはSAN値を1D10回復します》SAN35→43
《ハッピーエンド報酬です。名誉村民証を手に入れました。これでこの村の物価が安くなります。揚げ芋食べ放題ですよ、やったね》
《次に、「ヌシ様」救出ボーナス、氷雪の加護を手に入れました。効果は冷気、氷系統に対する耐性+6を得ます。残る紋章の保有限度は1つとなりました。考えて取得していきましょう》
《最後に、装備アイテム、空狐の皮衣を手に入れました。冷気、氷系統に対する装甲+5、それ以外には装甲+1、耐久無限のポンチョです。この時点では本来は入手できない代物ですので大事に使った方がいいですよ。言われなくてもそうすると?そうですか》 
《報酬は以上となります。他の報酬はありませんので、これ以上は欲張らないでください》
《次のシナリオはしばらくすれば開始しますので、それまでは静養することをおススメします。皆さんまた会いましょう》

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