異世界TRPG ~命知らずな奴らと行く異世界探索譚~   作:@7281mo-mu

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~始まりの村~ 2

 いきなり襲われたり、幻聴が聞こえたり、虎の子のポーションが容器ごと消えたりといった訳の分からない現象にあった俺だが、とりあえず怪我人?を運ぶことにした。

 白髪女の身長はそこまで高くなく、問題なく彼女を運ぶことができた。

 

 その後が問題だった。

 見知らぬ女性を連れてきた俺に見回り前に会った方ではないガキ共を筆頭として騒然したため、その対処に滅茶苦茶時間がかかった。

 どいつもこいつも…俺が行き遅れになりかけてるから襲っただのと馬鹿みたいなことほざきやがって……!

 そんなに俺、信用無いのか?

 

 そして何故このタイミングでリアちゃん(大人しめの少女)を結婚相手に進めるんだ、リアちゃんのおふくろさん!?頭おかしいのか、あの子まだ10歳だぞ!

 ……まぁ、そんな感じで村人達へと事情を説明した俺は、いきなり人に蹴りかかってくる危険人物を自警団詰め所にある檻へと入れておく。

 あの木々を破砕したドロップキックのことを考えると、檻に入れていても心配だからいつでも取り押さえれるように警戒を続けよう。

 

「だからお前らも真面目に監視してくれよ、今回はマジで危険な相手だからな」

「ホントかぁ?こんな美人でカワイイ子がそんな好戦的だなんて信じられんぞ」

「見間違いなんじゃねぇの?」

「いや、お前らには現場見せただろが、木々が盛大に破壊されてる現場を」

「「「だから言ってんだよ」」」

 

 いや、まぁ、ぱっと見で普通の美女にしか見えないし、実際にあの蹴り見てなかったら信じられないのも無理ないか…。

 だが、俺は絶対に忘れんし油断せんぞ。

 そう心に決めてすぐ、牢屋の中にいる白髪女が目を覚ました。

 

「うぅ……こ、ここは……?」

「目が覚めたか」

「―――ッ!お前は、あのNPC!」

「え、えぬぴーしー?……いや、それよりも体は大丈夫か」

「体……HPが回復してる……」

「えいちぴー?……さっきからよく分からんこと言ってるが、傷に関しては俺が治療しておいた。アレはやり過ぎた、すまん」

「え、お前この子に何やったの」

 

 同僚の言葉をスルーして、俺は白髪女に頭を下げた。

 いくら不意打ちで殺されかけたとしても……いや、俺こいつに殺されかけたのに何で謝ってんだよ。こっちに過失無いじゃねぇか。

 そう思った俺は、頭を上げて不意打ちしかけたことの事情を聴いてみる。

 

「だが、あんな殺意マシマシで不意打ち仕掛けたのは許さん。何を企んでんだよお前、オークより気性荒いじゃねぇか」

「な、お、オーク……。いえ、仕方ありません。確かに私の行動であなたに迷惑を掛けてしまいましたし、反省すべきことです」

 

 ん?…予想に反して殊勝な態度だな。

 もしや、森に遭難して正気を失っていた可能性も……。

 

「……ですが!私はあなたを傷つけようとしたわけではないんです!ただ、情報を教えて貰おうと交渉(物理)しようとしただけなんです!」

「おい、交渉の後ろになんか含んでんだろ。それと、お前まったく反省してないな!?」

 

 こいつの目は「私は悪くないんです!」、「早くここから出して」と訴えてきている。無駄にキラキラした庇護欲を抱かせる青色の目で、俺達…じゃないな。俺の同僚達を見つめている。

 こいつ……俺のことを見てないな。

 恐らくだが、事情の知らない同僚達をご自慢の美貌で同情を買おうとしているのだろう。

 だが、こいつらはそんなに甘い奴らじゃないぞ。

 確かに日頃はグータラしてるが、腐ってもこの村を衛兵の代わりに守って来た自警団の一員だ。怪しい奴に誑かされるほど低能じゃない。

 しかも、全員が妻子持ちである。いくら顔のいい女だろうが、一途な相手を持っているこいつらに通じるわけがない———。

 

「「「はい、信じます!」」」

「おい同僚!?」

 

 こいつら、あっさりと信じやがった……!?

 

「よく考えれば、こんな華奢な人が人に殴りかかるなんてありえない」

「もしそうだとしても、何かただ事ではない理由があったはず……!」

「我らはあなたを信じましょう!」

「みなさん‥…ありがとうございます!」

 

 あまりにもあんまりな光景に、俺は呆然と立ちつくしていた。

 そんな俺に、白髪女は視線を向けて……誰にも聞こえないような声でボソリと一言囁く。

 

「……ざまぁ(笑)」

 

 ク ソ 女 ・・・!!

 

 

 

「みなさん、初めまして。私は冒険者のラピス・ホワイトと申します。ここよりさらに辺鄙な所から来た冒険者で、あまり世情に詳しくないですが、どうかしばらくの間よろしくお願いします」

「おい、よろしくな嬢ちゃん」

「泊まるなら家の宿においで、安くしとくよ!」

「ほっほっほぉ、村長であるワシもお主を歓迎しよう」

「ありがとうございます!みなさん、すごく優しくて素晴らしい人です!」

 

「・・・」

 

 白髪女改めラピス・ホワイトは、村のみんなに挨拶すると、不自然な程に受け入れられていた。

 何故だ、俺らの時はもっとこう…疎外感的な物があっただろ。それなのに、こんなあっさり受け入れられるって…アレか?性別と顔か、庇護欲を持たせる容姿だからかくそったれ!

 そんな自棄にも似た複雑な感情が胸に渦巻いていると、同僚A(馬鹿)が話しかけてきた。

 

「おいバンカ、なんだ嫉妬か?お前が連れてきた女がもう村のみんに受け入れられて悔しいんか?」

「……いや、そんなんじゃねぇよ」

「言っとくがアレは、お前の影響もあるんだぜ。お前って言う元余所者が働き者だったっていう前例を作ったから、この村にはもう余所者に対して警戒心なんてほとんでねぇよ。お前の頑張りが村のみんなの考えを変えたんだ、誇っていいぞ」

「……そうか」

 

 嬉しいけど今じゃねぇ…!

 できればまだ警戒心持っといて欲しかったなぁ~!

 ああもう、全部がままならねぇ。

 あの白髪女の思い通りに事が運んでる気がしてムカつくし、戦ってた時の謎の音とか魔法みたいな現象とか、考えることが多すぎる!

 自宅に戻ってじっくり考えたり調べたりしたいが、あの女から目を離すのは危険な気がする。

 かといって、他の奴らに監視を任せても、あの女に誑かされた馬鹿3人が真面目にやるとは思えないし、あの女の異常性を知らない奴が半信半疑で探ったとしても。成果は期待できない。むしろ、危害を加えられたり始末される可能性がある。

 なにせ、初っ端なで人に殺人キックくらわせてくる危険人物だからな。

 さて、どうしたものか……。

 そう悩んでいる時だった。

 

「バンカ、駆け落ちした女の人を連れて来たって本当かー!」

「ようやくバンカに春が来たー?」

「ば、バンカさん…?婚約者ができたって本当なんですか……?」

「何をどうしてそんなデマが広がった?」

 

 勘違いしている3人のガキに事情を説明する。

 ちなみにこいつらは、少年がリュートで快活な少女がヒナ、大人しめの少女が7歳年上の男に自分の娘を薦めるイカレタ母を持つリアだ。

 いつもこの3人で俺に絡んでくるので、早い段階で覚えることができた。

 ……思えば、こいつらが最初に余所者の俺を受け入れてくれたんだったな。

 

「……で、そういうわけだから、あの女には近づくなよ、分かったな?」

「「ええ~~」」

「は、はい、分かりました」

「お前ら2人、今回は絶対に駄目だからな?それと、リアは素直に頷いてくれて感謝する。何か欲しい物があったら買ってあげよう」

「えぁ!?」

「「リアばっかりずるいぞ!」」

「お前ら駄々こねてばかりだからだろ!…いいか、今回は本当に駄目だからな?冗談じゃないぞ、気を付けろよ!」

「まぁ、バンカがそこまで言うなら……」

「は~い……」

「よし、善い子だ。じゃ、俺は村長と話があるから行って来る」

「「約束守って(くれ)よ~!」」

「き、気を付けて!」

 

 ガキ共に見送られた俺は、村長の元へと向かった。

 話の内容はもちろん、あの余所者に関してだ。

 一応だが村長には厳重に言い聞かせないと、何かあってからでは遅いのだ。

 何事にも村総出で対処するのは村長の言葉が一番有効だ。だから、この村の命運は村長にあの女の危険性をどこまで伝えられるかが肝になる。

 そう考えた俺は、どうやって村長を説得させようか悩みながら向かった。

 

「村長、あのラピス・ホワイトについて心にとめて欲しいことが……」

「ホワイト殿程に信頼できる人などこの世にはおらん」

「あ、駄目だこりゃ」

 

 

 

 




《技能、信用に成功すると相手の自信に対する警戒心を薄める効果があります。クリティカルをだしたら洗脳できます。無法ですね。まぁ、あなたの場合、ファンブルして警戒心MAXにしてしまった結果、口封じしようとして返り討ちにされたわけですが》
《ですが、最初から警戒心マックスの相手には効果が薄いので注意してください》
《以上、GMからのアドバイスでした》
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