異世界TRPG ~命知らずな奴らと行く異世界探索譚~ 作:@7281mo-mu
「我が村の特産品ですじゃ」
「お~、ポテトチップスだ!私の故郷でもよく食べたんですよ」
「そうなのですか、在庫はまだありますので、おかわりが欲しければ言ってくだされ」
村長が白髪女に洗脳されて軽く絶望してたら村長の家に招かれた俺は、揚げ芋を齧る白髪女を横目に村長へ話を進めるように促す。
だけど村長はこちらを見てくれない。クソが。
「……さて、ホワイト殿に尋ねたい事があるのだが、よろしいかな」
「もぐもぐ……はい、大丈夫ですよ。どんなことが聞きたいですか?」
「ほっほっほぉ、ではまず1つ。―――ホワイト殿は何者ですかな?」
村長の様子が一変した。
さっきまでの好々爺といった雰囲気は潜められ、地上を観測する鷹のような鋭い目つきに変わった。
その豹変ぶりに、白髪女も動揺している。
……まさか、村長!
「え、ええっと……さっき言った通り、冒険者で……」
「どこの冒険者ですかな?冒険者を名乗るには資格とライセンスが必要であり、それを取得した支部もライセンスに記載される仕組みとなっております。……もう一度聞きます。ラピス・ホワイト殿は、どこの支部で冒険者になったのですかな?」
そ、村長ォオオオオオ!!
やっぱりあんたは白髪女に警戒心を抱いていたのか!
流石だ、他の平和ボケ連中とはワケが違う!
白髪女を見ると、冷や汗を流して動揺を隠しきれていない。
そうだ、このままこの女の身元を洗いざらい暴いてや―――
「……なんてな」
「「え?」」
「ただの年寄りの戯れですじゃ、気を悪くしないでくれ」
「え、ああ!そうですか、びっくりしてしまいましたよ。あはははは……」
「村長……?」
村長の言葉に絶句し、何とも言えない表情になる。
あのまま追及してもいいはずなのに、なんでそこで誤魔化したんだこの爺さんは……?
そんな予想外の行動に動揺している俺だが、その対照的に動揺から持ち直った白髪女は朗らかな様子で会話を再開させた。
「村長もお人が悪いですね、あまり意地悪な事を言わないで欲しいですよ」
「そうかそうか……では、本題に移るとしようか」
「え?本題……?」
「そうです、
「………」
「どうしましたかな?」
「いえ、何でもありません!どんな依頼でもこなしてみましょう!」
村長の頼みに安請け合いする白髪女を見て、俺はやっと村長の狙いを察した。
成る程な、村長の狙いは恐らく……。
「おぬしには、森の異変の調査を行って貰いたいのです」
俺も微かだが感じた森の異変に対する調査だ。
「村長、どうして俺の言葉を信じてくれたんですか?」
「だっておぬし、すっごく真面目だし誠実だし、何より勘もいいからの。信じてみたわ」
村長の言葉に思わず涙が出そうになる。
俺の仕事ぶりを評価してくれていた……!
「それに、ワシ自身も今の森の様子に覚えがあるし、念のため調査しておきたかったのじゃよ」
「…そうなんすか、俺の言葉を真に受けただけじゃないんすね」
「当たり前じゃ、ワシ村長じゃぞ。1個人の言い分だけ聞いてどうする。今回は判断材料がいくつもあったからこそ、こうして早急な判断ができたんじゃ。いつかおぬしも身に付けるように」
「は、はい」
俺は村長の言葉に軽く感動を覚えていた
これが大人の考え方なのか……敵わないな。
俺もまだまだなようだ。いつか俺にできるようになれと言われても、そんな判断できるようになる自信が持てない。これから精進しなければ……!
「それに、おぬしの言い分だとあの娘、蹴りで木々を砕く怪力じゃぞ。下手に刺激してあの場で暴れ出れられるのは嫌じゃったし」
「……あ!」
「なんじゃおぬし、失念してたのか。自分で言った事じゃろうに」
「すみません……」
呆れた様子で俺のことを見る村長に思わず体を縮こめらせる。面目ない……。
少し気後れしながらも、まだある疑問を聞いてみる。
「それと村長、わざわざあの女に依頼した理由はなんですか。あの反応を見ると、絶対に冒険者ではないでしょう」
「そんなもの、誰だって分かるわ」
すみません、うちの村のほとんどが騙されてるんですけど。
「ともかく、依頼で森の調査に向かわせることであの者の目的を探ろうと思っておる」
「ですが、あの女が真面目にこなすとは思えないのですが」
「そこは大丈夫じゃ、監視役を用意する」
「監視役ですか、それは誰にするのです?」
あの女の身体能力を見た限り、下手な奴を同行させれば死体も残らず始末される可能性がある。比喩抜きでな。
だから、2,3人であの女にも対抗できる奴を同行させる必要が………この後の展開予想できた。
「なぁ、バンカよ」
「……はい」
「お主にラピス・ホワイトの監視役を頼んだ」
「……了解、しました」
案の定、俺は白髪女の監視役として同行することになった。
でもまぁ、実際に白髪女と戦ったのは俺だけだし、現状で俺以外の適任はいないだろう。
だから、この村長の判断は正しい。
後は、俺以外のメンバーが気になるが、この有能な村長ならば適任者を見つけてくれるだろう。
これで俺の生存率も上がるってものだ。
「時間は1時間後、あの者は村の森側の門前で待機させておるからの、頼んだぞ~」
村長はそう言うと、軽い足取りで去って行く。
そんなお気楽げな様子に、俺は僅かだが不安を感じるのだった。
その数時間後、俺と白髪女の
……あの爺、俺に面倒事全部押し付けやがった!?
・
・
・
村長が白髪女の監視役を俺1人に押し付けたせいで、女の形をした死が隣を歩いている状況になって少し経った頃、現在は野生動物とか雑魚モンスターくらいしか出てこない森の浅い場所にいる。
白髪女は今のところ、俺を始末しようとはしてこない。
ただ、何かを探すように視線を周囲の木々へと彷徨わせ、耳を澄ませていた。
まさか、本当に何かの調査をしてるのか、この女……?
勇気を出して聞いてみるか。この女の真意を探るのも俺の役割だからな。
「なぁ、あんたは何をやって」
「あ」
白髪女に疑問をぶつけようとした瞬間、カランカラン……、という音が鳴った。
またあの音だ……。何この女と一緒にいる時だけに聞こえる不可解な音。
この音は一体何なんだ?
「へぶっ!?」
そう思った直後、白髪女が盛大に転んだ。
「何やってんだ、お前……」
「ぐっ……でも、1ダメなだけマシか……」
「1ダメ?……まぁいい、それよりもお前はさっきから何を探ってるんだ?」
よし、この機会に全部聞いてしまおう。
そう思い、俺はその場で立ち止まって話を続けた。
白髪女も俺の考えを悟ったのか、すぐに立ち止まり話を聞く態度になる。
……俺を見る目つきが変わった。
さっきまで俺を見る目は「いつか鏖殺する予定の豚を見る目」だったが、今この瞬間は「何か有益な情報が得られるかもしれない書物」を見る目に置き換わっていた。
やっぱこいつ、信用ならねぇわ。
「……さっき言った通り、私は私の使命に必要な事をしてるだけ。お前に言っても分かんないだろうし、面倒だから言わないでおく」
白髪女は、さっきとはまったく違う雰囲気となっていた。
まるで、男連中の中に囲まれて育った少女のような男らしさを感じる。これがこいつの素か。
「随分遠慮の無い話し方するな。他の奴らにはもっと丁寧だったろ」
「隠しても意味無いし、いつかリベンジする予定の相手だから、今更
「ろーるぷれい?相変わらず、意味不明な単語並べるなよ」
「ほら、言っても通じてない。気にするだけ無駄だぞー、ニート予備軍」
「誰がニート予備軍だ!自警団もちゃんとした仕事だ!」
白髪女はそう言うと、これ以上話しても意味が無いと言うように、再び前を向いて歩きだす。
今はこれ以上、情報を引き出すのは無理そうか?……いや、もう少し粘ろう。
そして、次にかける言葉を考えていたその時。
カランカラン……。と音が響いた。
またあの音だ。そう思った瞬間、急に前方の草むらから生物の気配を感じ取った。
しかも、久しく感じてなかった害意のある視線……いや、数時間前に感じたなこんな視線。
ともかく俺は戦闘態勢に入り、白髪女にも声をかける。
「敵だ」
「分かってる」
白髪女の手には、俺とやり合った時にも持ってた鉄製の棒が握られていた。
いつの間に取り出した?……いや、今はそれよりも、こちらへと迫る害意を剥き出しにしてる奴らを排除するが先決か。
そう思い直して、気配の迫る方へと剣を構える。
そこから出てきたのは、5匹のゴブリンだった。
冒険者ならば新人でも倒せるし、1匹だけなら10歳の少年でも殴り殺せる程度の力しかない雑魚モンスターの代名詞。
だが、数が多いと連携し、様々な道具を使ってこちらを嵌めてくるため、群れると非情に厄介なモンスターだ。
そんなモンスターが5匹。構成は剣が2、盾が1、弓が2か……。警戒は必要だが余裕だろ。
「俺が3匹持つ、2匹任せても―――」
「よーしっ!マーシャルアーツ込みで消し飛べぇえええッ!!」
「はぁあああ!?」
あいつ、無策で突っ込みやがった!
棒1本片手に向かって来る白髪女に対して、ゴブリン共は不意を突かれたかのように動きが少し遅い。
だが、盾役ゴブリンが狙われた仲間を庇おうには十分な時間があり、鉄の棒による振り下ろしを迎え撃とうと盾を構え―――
「グィ―――」ぐちゃ
「「「「グギィ?」」」」
―――盾がひしゃげて、持ち手のゴブリンは木っ端みじんになった。
ゴブリン共は壁役の仲間が一瞬で肉塊になった事に呆然と立ち尽くしている。
だが、俺はこの女が木々を粉砕した場面を見たので、今更ゴブリンを粉砕したとしても驚かない。
……いやまぁ、少しは驚いたけど動きを止める程では無いので、そのまま呆然とする剣持ちゴブリンAに斬りかかる。
「グギャ!?」
「よし、仕留めた。後3匹……」
「汚物は撲殺だ―――!」
「だから1人で突っ込むな―――ッ!」
数分後……。
「うらぁッ!!」
「ゴギッ!?」
白髪女の鉄パイプが最後のゴブリンの顎をかち上げて容赦なかち上げた。
うわぁ……顎が凹んでやがる。なんて怪力なんだ。
だが、これでゴブリンは全部倒し終えたな。
「後は、気絶してる奴も仕留めて……」
「グギッ!?」
「もう仕留めたぞー」
既に白髪女の手によって、気絶中のゴブリンは頭を踏み砕かれていた。容赦無いな。
俺もやろうとしていたのだが、ここまでの所業は流石にできない。
こいつ、どれだけ殺しに躊躇いが無いんだ。……いや、どれだけ
「ぐっ……1減少」
「そして何でさっきから謎のダメージ受けてんだよ。……って、そうだ討伐証明!耳は砕いてないだろうな!?」
「ん?……耳は無事だ、血で汚れて汚いけど」
白髪女は足元のゴブの残骸から、血で汚れた耳を拾い渡してくる。
恐る恐る受け取り、腰に下げている素材入れ用の袋に入れる。
帰ったら選択しなきゃならねぇな……。
「よし、じゃあ帰るぞ」
「帰るって、まだ森に入ってそこまで時間経ってないんだけど」
「それでもだ、いいか?この森は元々ゴブリンが人間の生活圏近くの浅い場所に大規模な棲み処を作るまでいたんだ。それを危険視した今の村長は数十年前に冒険者に依頼して、ゴブリン共の掃討が行われた。それ以来、ゴブリンは森の深いところでしか活動しなくなった」
お陰で俺達の村にゴブリンが来ることはなく、村への被害は精々野獣が畑を荒らすくらい。そんな平穏な日々を送っていた。
「それって、森の奥で繁殖しなかったのか?」
「その心配は無かかったさ。なにせ、この森の「ヌシ様」がゴブリンを間引いてくれてたからな」
「ヌシ?」
「ゴブリン掃討の後、冒険者の1人が森に住む力あるモンスター……「ヌシ様」と交渉したんだ。対価として1年に1度、農作餅とかの捧げ物を捧げることで、ゴブリンのような害あるモンスターが村へと近づかないようにしてくれるっていう契約を結んでいたから、これまで何事もなく過ごせていた。……稀に、流れのモンスターとか魔族がしばらくうろつくことはあったがな、それもしばらくすれば治まっていた」
俺達自警団は代々、万が一にヌシ様の目を逃れて現れたモンスターの対処を任せられていた。または、森とは反対側にある北門から押し寄せて来た魔王軍からの籠城戦等々もある。
一度だけ経験したが、あれはしんどかったし、途中でヌシ様が助けに来てくれなければ危なかった。
「だが、ゴブリン達はこんな浅い場所に現れた。これは明らかな異常だ。ヌシ様の身に何かがあった可能性がある」
「……分かった、そういう事なら素直に従うよ」
「あぁ、助かる」
念のため、ゴブリンの
「バンカがもう帰って来た!」
「お、お帰りなさい」
「何か面白い物あった~?」
「すまんガキ共、村長に知らせなきゃならん事があるから話してる暇はない」
「「え~~」」
ブーブー言うガキ共を放置して、俺達は村長宅へと向かう。
「村長!村長!急いで知らせたい事があります!」
「お~バンカ、早かったのぉ~」
「ゴブリンが出ました、しかも5匹の武器持ちが」
俺の言葉に、のほほんとした様子で出てきた村長の顔つきが一瞬で真剣な物に変わった。
「……バンカ、中で詳しく話せ」
「分かりました」
「それと、ラピス・ホワイト殿はどこに?」
「……は?」
後ろを見ると、さっきまでいたはずの白髪女の姿は消えていた。
いつの間に‥‥‥!
「……仕方がない、おぬしだけでもいいから中へ入れ」
「失礼します」
生まれて初めてかもしれない村長の家へと入る。
中は他の家とはそう変わりないが、クッション?と頑丈で高品質な机がある。そこらへんが他の家と違って村内の権力を感じさせる要素だと思えた。
前回、白髪女との対面で使ったものとは違う、村長達がもてなし会談をするために使う専用の代物だ。決して余所者や素性の知れぬ怪しい者との対面では使わない。
そんな椅子へと座る様に促され、緊張しながらも腰を下ろした。
「そういえば、おぬしはこれらを見るのは2度目か」
「はい、籠城戦の後に村長方に認められた時以来です」
「あの時はおぬしがいてくれて心底助かったよ。村の者の為に命を懸けて戦った者に敬意を払うのは当然のことだろうて」
村長の奥さんがお茶を持ってきてくれた。
会釈をして受け取り、既に口を付けて味わっている村長に習って飲む。
……うん、良い茶葉だ。
「……では、詳細を話してくれんか?」
「了解しました」
俺はゴブリンと遭遇した件と、俺自身の考察を含めてすべて話した。
それを聞いた村長は、顔を歪めて思案する。
この顔はあれだ、厄介ごとに対してどうすべきか悩んでる顔だ。
「うぅむ……やむ負えぬか」
しばらくの思案の後、村長がそう呟くと顔を上げる。
……この顔も見たことあるな。というか、さっきも見た人に命令を下す上司の目だ。
俺の父が部下に対して行っていたのを覚えている。
「バンカよ、おぬしには偵察に行ってもらいたい」
「ゴブリンの巣の捜索に加え、戦力の把握。それとヌシ様の安否を調べに行ってこいと言いたいので?」
「正解じゃ、頼んだぞ」
「俺も村の一員ですし、全力を尽くしますよ。その分の労力に見合った報酬はしっかりとくださいね」
「それならば約束しよう、報酬は色を付けて払うぞ。給料日にな」
仕方がないが、これも自分の居場所を守るためだ。素直に受けよう。
……そういえば、今度こそ確認しなければならないことを忘れるところだった。
村長に質問する。
「村長、今度こそ俺以外の面子も同行するんですよね?」
「いや、今度もラピス・ホワイト殿だけに同行してもらう」
「……それは、万が一の時の為ですか?」
「今度は把握してくれたか。そうじゃ、おぬしを捨て駒にするつもりはないぞ?ただ偵察に戦力の半分を投入して、守り手が少ない状態で村の防衛ができるとは思っておらんからな」
そりゃあ、あの平和ボケ連中からさらに戦力削ったら心配になるのは分かるが……俺(と白髪女)だけというのも不安なのには変わりない。
武装したゴブリンが出てきた時点で、ゴブリン共はどこかの人間を襲っている可能性が高い。自分達だけで作ったのだとしても、それはそれで知能の高い上位種かゴブリンを従えている悪意を持つ者がいることは明白だ。
しかも、長い年月を1体で村を守ってくれていたヌシ様相手に、未だに倒されていない存在。それを2人だけで偵察するというのは、流石に自信を持てない。
もしかしたら、白髪女はそいつらの斥候的役割を持っていて、不意を打たれて始末されるかもしれない。
せめて何か支援が欲しい。そう思って、村長にダメ元で頼んでみる。
「その代わり、村の物資はある程度なら持って行っていい。ホワイト殿にも含めてじゃ」
俺が支援を願い出る前に、村長の方から出してくれた。
これなら安し―――白髪女にまで出すと言ったか、この爺さん!
「いいんですか?あいつに村の物資を渡して」
「構わん、今は非常事態であるかもしれんからの。それに、報酬の一部として扱うから村の損失は最低限となるだろうな………多分」
「多分って……」
でも、これ以上言ってもどうにもならんだろうな。そんな予感を感じた。
だってこの村長、頭が回るくせに変な所で想定が甘いと言うか、想定通りに行かないことが多いんだよなぁ……。前回の防衛線でも作戦としては完璧だったけど、増援が来て許容量がオーバーして突破されそうだったし。
それも結局、ヌシ様のお陰で(略)。
そんな感じで村長との会談を終えた俺は、このことを白髪女に伝えるために村長宅を後にした。
……そういや、白髪女って一体どこに行ったんだ?
「ホワイト、話があるんだが―――何やってんだお前ら!?」
俺はとある主婦の方々の情報を頼りに白髪女のいる場所に向かうと、そこには子供達と一緒に巨大なイノシシを運んでいる白髪女の姿があった。
「バンカー!見ろよ、俺達がラピス姉ちゃんと一緒に倒したんだぜ!」
「ちょっと 違うでしょ。ほとんどお姉さまが戦ってたじゃない!」
「帰りたい……」
リュートは誇らしげにイノシシを指さし、ヒナは白髪女をお姉さま呼びして幼馴染の言葉を否定し、リアは目からハイライトが消えており、白髪女から距離を取っているようだった。
そして、件のイノシシを運搬している白髪女は、どことなく落ち込んでいるようだ。
……何があった!?
てか、それえよりも……イノシシ持ってるってことは!
「おいお前ら!まさか、森に入ったのか!」
「違うぞバンカ、俺達は畑にいたぞー」
「なら、そのイノシシはどこで仕留めた」
「「「畑から生えてきた(きました)」」」
「畑か。……畑?」
何を言ってるんだ、こいつら……?
トンチキなことを
すると、白髪女は気まずげな顔で言う。
……ッ、そんな顔できるなら俺に襲い掛かって来た時にもしろや。
「実は、リュート君とリアちゃんと私が目星でファンブル出して、この世の摂理とか因果律が歪んで強制エンカウントで戦闘が勃発してしまって……」
「だから何言ってんだお前ら……?」
とにかく、危ないことはするなと叱っておく。
ガキ共は相変わらずブーブーと文句言ってるが、今の森は冗談抜きでヤバイことが起こってんだ。よく言い聞かせておく。
「……という状況で、今の森はマジで危ないから行くなよ。分かったか」
「「でも村の中でもモンスターに襲われたぞ(よ)?」」
「待てや!その情報は聞き逃せないぞ!?どこで遭遇した!」
「畑の中でゾンビと遭遇した」
「畑でゾンビ!?墓地じゃなくてか!」
ゾンビは死した者の屍に怨念や死したことへの無念とかが溜まって生まれるモンスターだから、基本的には多くの遺体が埋葬されている墓地で生まれやすい。
なので、毎年墓地では聖職者を呼んで悪しき物を祓って貰ってるので、とっぽどの限り墓地からは生まれない。
それが畑?……なんだ、誰かが畑に死体を違法埋葬したってか。
別の事件勃発してんじゃねぇか!?
「それに関しては大丈夫、問題ない。なにせキッズ三連星による3ファンブルから生まれた疑似的自然発生した存在だから、事件性とかはまったく無い」
「だからマジで何を言ってるんだ、お前は……?」
い、いや、でもまぁ、ゾンビは自然発生した個体も稀にいると言うし、イノシシが埋まってるトンチキな畑からなら生まれても不自然じゃないのか?
……いや、そもそも畑に埋まるイノシシって何?
「と、とりあえず、俺は同僚達にそのことを話してくるから、そこを動くなよ白髪女!「は?」後でお前に話があるからな」
俺は白髪女+子供×3にそれだけ告げると、すぐに自警団の詰所に向かって駆けだした。
走ったのですぐに到着し、中に入ってまたギャンブルをしていた同僚に向かって言う。
「お前ら、仕事だ。いい加減業務中のギャンブル止めろ」
「なんだよ〜、今いい気分なのにさ。……うぃっく」
「俺の小遣いがガガガガ……よ、嫁に殺される……!」
「ハァハァ……ラピスさんマジ女神」
「駄目だこいつら、なんとかしないと……」
村長、ホントにこの酒カス、敗北者、キモい奴に村の防衛任せてもいいんすかね?
だが悲しいことに、こいつらの実力だけは本物だ。1人でゴブリン10匹と戦っても生き残れる実力はある、多分。腕が鈍ってなければ万が一にも有り得るてくれるだろう。
とりあえず、さっき起こった
「さっき村共同の畑からゾンビとイノシシ生えてきたから、ちょっくら調べてきてくれないか?」
「「「何言ってんの、お前……?」」」
……そう聞きたくなる気持ちは分かる。
戦闘フェーズ
行動順:白→バンカ→ゴブリンズ
ラウンド1
白(鉄パイプ63成功MA23成功 11ダメージ → 盾ゴブ)
盾ゴブ(受け流し+20補正100ファンブル 倍化により22ダメージ)
《盾ゴブは盾ごと粉砕されました》
バンカ(刀剣08成功 6ダメージ → 剣ゴブA)
剣ゴブ(回避54失敗)
《剣ゴブAは気絶しました。他ゴブは現実を受け入れられず呆然としており動けないので、次のラウンドへ移行します》
ラウンド2
白(釘バット68成功MA56成功 10ダメージ → 弓ゴブA)
弓ゴブA(回避29失敗)
《弓ゴブAは鉄パイプの振り下ろしで頭蓋骨を砕かれて死亡しました》
バンカ(刀剣66成功 8ダメージ → 剣ゴブB)
剣ゴブB(回避18成功)
《バンカは剣ゴブBに斬りかかるが避けられる》
剣ゴブB(刀剣97ファンブル)
《剣ゴブBはバンカに反撃するが、足がもつれさせてしまい転倒し、2ダメージくらいました》
弓ゴブ(弓矢99ファンブル 2ダメージ → 剣ゴブB)
《弓ゴブBは矢を放つが倒れていた剣ゴブBに誤射してしまう》
ラウンド3
白(キック32成功MA94失敗 ダメージ6 → 弓ゴブB)
弓ゴブB(回避45失敗)
《ラピス・ホワイトの蹴りが炸裂したが、弓ゴブBはギリギリのところで持ちこたえました》
バンカ(刀剣+20補正 自動成功 12ダメージ → 剣ゴブB)
《バンカは転倒している剣ゴブBに剣を突き立てる。剣ゴブは死亡しました》
弓ゴブB(弓矢22成功 ダメージ4 → 白)
《弓ゴブBの弓矢がラピス・ホワイトに放たれる。しかし、ラピス・ホワイトは弓ゴブAの死体で攻撃を防いだ》
ラウンド4
白(鉄パイプ53成功MA05成功 10ダメージ&必中 → 弓ゴブB)
《ラピス・ホワイトのフルスイングにより弓ゴブBの顎は粉砕され、死亡しました》
《戦闘終了です》