異世界TRPG ~命知らずな奴らと行く異世界探索譚~   作:@7281mo-mu

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《ゴブリンの地下集落に潜伏しています。ですが、5分以内に移動しなければ見つかります。そのため、戦闘を避けたければ技能、忍び歩きを……。は?油を撒いて火をつける?》
《……いいでしょう認めます。ゴブリンの地下集落に油を撒き、火をつけて盛大に炎上させました。ですが、ゴブリン達は死亡確定ですがあなた達も焼死する可能性もあることをお忘れな………事前に想定していたため、火が広がる前に逃げれたと?……いいでしょう、では、火が広がる前に逃げ切れてかDEX(素早さ)×5で判定します失敗したら巻き込まれて焼死です》
 白28 バンカ21
《で、では、あなた達は無事に地上へと続く階段に辿り着けました。ですが、あなた達を逃がさないと火の手を逃れたゴブリン達が後を追いかけてきます。3回のDEX対抗です。1回でも失敗すれば追いつかれ》
 白(中級魔法、ウィンドウォール)MP8→4
《・・・》
《ごぶりんたちは かぜにはばまれ おってこれませんでした》



~始まりの村~ 6

「といいうことがあり、ゴブリンの集落を撲滅してきました」

「何やっとんのじゃおぬしら」

 

 俺は今日のことを村長へと報告しに行った。

 村長はちょっと現実を受け止めきれない顔をしていたが、無理ないと思う。

 だって今回は異変の元凶の手掛かりを掴ませる為に俺達を送りこんだのだから。

 しかし、帰ってくるなりゴブリンが森の浅層で集落を作ってて、それをたった2人で殲滅したという現実身のない話を聞かされたのだ。思考が空の彼方に旅立つのも無理はないと思う。

 

「……つまり、ゴブリン被害の方はもう考えなくていいと?」

「いえ、外に討ち漏らしがいる可能性もありますし、元凶を倒せてないので警戒は続けた方がいいですね」

「じゃよなぁ……」

 

 村長が頭を抱えているが、俺もその気持ちは分かる。

 俺達は確かに今日、浅層にあった集落を潰した。これで今以上のゴブリンの繁殖は阻止できたはずだ。

 だが、ゴブリンの出現は異変の1つでしかなく、姿を消したヌシ様の件が解決していない。

 加えて、ゴブリンの集落があった石造りの階段と広間。あれは完全に人工物だ。

 ゴブリンは確かに地下をにも住むし、集落も作る

 しかし、天然の洞窟や廃墟のような元からあった場所に住み着くため、自分達で1から棲み処を作るなんてことは滅多にない。

 それに、ゴブリンが集落を作る理由は、周囲に利用できる廃墟等がない場合での雨風を凌ぐため。1から石造りの建造物を造るなんて芸当ができる程の頭は持っていない。

 

 もしそんな事があり得るなら、それはゴブリン共には指導者がいる場合。ゴブリンを屈服させ従える程の強さを持ち、石造りの技術を教授できる知恵を持った存在が確実にいる。

 

「バンカよ、今日はよくやってくれた、おぬしに頼んで正解じゃった」

「光栄です」

「後でおぬしには給金に色を付けて渡す。……それと、もう1つ頼みがあるんじゃが……」

「分かってます、完全な原因の究明を務めさせてもらいます」

「話が早くて助かったわ。明日、村の防衛から何人かを浅層域でゴブリンの残党狩りへと向かわせる。なので次は、中層域へと向かってくれぬか?」

「……俺達は今日、浅層域をすべて探索したとは言えませんが、もういいのですか?」

「構わんよ。……そろそろ、おぬしらに任せきりにするのは悪いと思っておったしな」

 

「もちろん、追加の報酬も渡す」と言葉を続ける村長。

 ……おぬしら、ってことは白髪女にも引き続き調査をさせる気か。

 あいつは無償でやってくれる感じはあるが、それは別として、便利屋のように扱われるのは嫌がりそうなんだよな。

 もし受けさせたいなら、それ相応の報酬を提示して交渉する必要があるだろう。

 

「村長、白髪女への報酬は」

「ホワイト殿には追加で物資を支給する、おぬし同様にな。明日の日が昇り始める頃に倉庫へと来い」

「了解しました」

 

 そこからは村長と軽い雑談をして解散した。

 もちろん、白髪女にもこのことを伝える。

 

「てことで、引き続き依頼を受けてくれるなら、明日倉庫に集合することになったがどうする?」

「行くに決まってるだろ」

 

 報酬の部分を聞いて即答した白髪女の目は、欲望に塗れたギャンカス共と同じ目をしていた。

 

 ・

 ・

 ・

 

 夜の番を終えて就寝した俺は、翌日の日が昇る前に目を覚ました。

 ちなみに、昨日の夜は白髪女の姿を見ていない。恐らくは宿で休んでいたのだろう。

 そんなこんなで俺は、朝早くに支度を終えて倉庫前へと向かった。

 

 カランカラン……。

 

 そして現在、ここにいるのは俺1人。他の人は誰も来ていないようだった。

 そのまま倉庫前で他の人を待つ。それから数分も経たないうちに、カツカツと足音が聞こえて来た。

 

「おはようバンカ、相変わらず早いのぉ」

「村長、おはようございます。俺以外にはまだ来ておりません」

「見れば分かるわ。それよりも……」

 

 村長が倉庫の近くにあった、草むらが生い茂っている場所を見る。

 すると、ガサリ……と茂みの揺れる音がした。

 ……って、

 

「……お前ら、何やってんだ」

「「ば、バレてた!?」」

 

 そこにいたのは、リュートとヒナのガキ2人だった。

 いつも一緒にいるリアだが、今回はいないようだな。

 とりあえず、そこで何をしていたのかを聞く。

 

「おい、お前らここで何してた」

「え、ええっと……そう、かくれんぼしてたの!」

「そうそう!俺達、昨日からずっと隠れてたんだ」

「はぁ?2人一緒の場所で、今の今まで乳繰り合ってたってか?」

「「ち、乳繰り合ってない!!」」

 

 こいつら乳繰り合うって言葉の意味を知ってんだな。マセガキ共が。

 てか、嘘ついてるのもバレバレだ。今の今まで隠れていたとしたら、絶対に保護者を中心に村中「子どもが行方不明だ~」とかの騒ぎになってる。

 そうなってないってことは、こいつらは昨日しっかりと家に帰っていたってことだ。

 目を細めて2人を見つめると、冷や汗を流して目を逸らす。

 

「どうせお前ら、倉庫に忍び込もうとしてたんだろ」

「「ギクッ!」」

「村長から聞いたぞ、許可取れなかったんだってな。この倉庫は実質的に村長の物なんだから、不法侵入すると衛兵に差し出すことになるぞ」

「ご、ごめんなさい……」

「俺達、中が気になって……」

 

 この村に俺達自警団はいるが衛兵はいない。

 しかし、月に一度の頻度で街から衛兵が見回りに来て、村の状況や犯罪を犯した者がいないか調査しにくるのだ。

 その際に、この前白髪女を入れてた檻に放り込んだ犯罪者を引き渡す。

 だから、こいつらに衛兵が何か分かってるし、これ関連の脅しは効く。

 ……効くんだが、俺の脅しは想像以上に効いたようで、2人の目が涙で潤んできた。

 やばいと思った時には遅く、今にも何出しそうな雰囲気。村長が、『何やっとんじゃ、おぬし』と言いたげな表情を向けてくる。

 何とかしなけらばと思い、泣き止ませようとするが、生憎俺はガキ共に絡まれることはあれどあやし方なんて知らず、どうすればいいか分からず四苦八苦するしかできない。

 涙目で謝る2人の姿が俺の焦りを加速さえ、どうすればいいだと頭を悩ませてると……。

 

「すまん遅れ………皆さん、おはようございます。それと、ごめんなさい遅れました」

 

 白髪女が来たようだ。

 ナイスタイミングだ、さっそくこいつらを宥めて貰おう。

 

「来たか、すまんがこいつらを頼む!」

「ラピス姐ぇ―――!」

「お姉さま~~!!」

 

 白髪女が来たことを察知したガキ2人は、一目散に彼女へと駆け寄る。

 突然の状況に少し動転している様子だったが、慣れた様子で2人の子供を宥めている。

 ……なんか、俺の後始末させて申し訳ないな。

 

「バンカ、情けないぞ」

「す、すみません……」

 

 村長の言葉にぐうの音も出ない。

 と、とりあえず、2人を宥めてくれたことの感謝を伝えよう。

 

「あー白……ホワイト、2人を宥めてくれたことを感謝する」

「別にいいですが、何があったので?」

「こいつら、俺達が倉庫のカギを空けた後、忍び込もうと隠れてたんだよ」

「「ごめんなさい……」」

「それで注意したら泣き出して」

「この有様と」

 

 俺の話を聞いた白髪女は、少しの間思案して、何かを思いついたのか村長に話しかける。

 村長はその言葉を聞いて、目を閉じて考える素振りをする。

 数秒の思案の後、目を開けると首をコクリと動かして何かを首肯した。

 それを見た白髪女は、再びガキ共に声をかける。

 

「村長に許可貰ったよ、私や大人から離れない約束をしてくれるなら倉庫に入ってもいいらしいけど、約束できる?」

「「分かった、絶対する!」」

「そっか、なら物を壊したりしないよう気を付けようね。それじゃあ、行こっか」

「「はい!」」

 

 ……どうやら白髪女は、村長相手にガキ共が入れるよう説得したみたいだな。

 そんなことを今更ながら理解した俺は、白髪女に急かされて再び倉庫の中へと向かった。

 一昨日ぶりの倉庫は、相変わらず武具とかアイテムとかで溢れていた。そんな光景が新鮮なのか、ガキ共は目を輝かせて見渡している。

 こいつら、街にあるらしい武器屋とかアイテムショップみたら同じ反応しそうだな。

 

「それと2人共、お姉さんの探し物を手伝ってくれるかな?」

「「分かった!」」

「……それが狙いか」

 

 白髪女の抜け目のなさに呆れてると、村長がにこやかな顔で全員に告げた。

 

「では2人共、この倉庫の中から欲しいと思う物を選び、ワシの前に持ってきてくれ。最大5つまでにしてくれよ?それ以上は村長としても困ってしまうからの。……子供らには別で用意するから、今は手伝いだけじゃ。分かったな?」

「分かりました」

「了解です」

「「はーい!」」

 

 こうして俺達は、再び倉庫の物を漁った。

 

「……で、今度はお前の方が魔法本を手に入れたのか」

「いや、まさか村長が許可をくれるとは———待て、今度はってどういうことだ」

 

 俺達は村長の倉庫にあった物資を運んでいる。

 あの場で許可を貰った物だけを持ち出して各々の住む場所に置き、明日の調査に持っていけるよう整理するために。

 まぁ、アイテムボックスという出鱈目な物を持ってる白髪女は、適当に積め込めばいいだろうがな。

 

「てか、何でお前だけは5つも持ち出し許可貰えてんだよ。俺なんか2つしか許可出なかったんだぞ。しかも理由が『何かお前に渡したくない』とかいうふざけた理由だし……!」

 

 しかもその1つがただの鉄の棒というふざけた物だ。

 確かに鉄製の棒でも殴ればゴブリンは倒せる。

 だが、他にも剣とかメイスとかのちゃんとした武器あっただろ。何で武器ですらないただの鉄の棒を選んだんだよ、こいつ……?

 

「へぇ………そういう感じで影響出てるんだ……」

「おい、何だその意味深な言葉は」

「気にすんな、それよりも今回の探索も私とお前の2人だけなのか?」

「あぁ、正直すまないと思っているが、他の面子は村の防衛と浅層域でゴブリンの残党狩りをするらしい。だから俺達の方に割ける戦力が無い。悲しいが人手が少ない村の動かせる戦力をすべて費やしての結果だから吞み込んでくれ」

「いや、まぁ別にいいけど……それよりも、聞きたい事があるけどいい?」

 

 他に何が聞きたいんだ?

 そんな疑問を抱いた俺に、白髪女が真剣な面持ちで言う。

 

「最近、変なモンスター見かけなかった?」

「変なモンスター?」

「すっごい気色悪かったり、グロかったり恐ろしかったりする奴ら。例えば二足歩行する犬顔とか、ぶんぶんと飛ぶエビとか」

「ふむ……」

 

 気色悪いモンスター?

 二足歩行の犬顔はコボルトだと思われるが……えびって何?

 少なくともこの辺りにはコボルトも()()なるモンスターなんて生息していない。

 素直にそう伝えるか。

 

「……いや、見てないな」

「そっか……」

 

 俺の言葉を聞くと、何やら考え込み始める。

 その後は白髪女の泊まる宿に着くまで互いに会話はせず、到着したら何かをすることもなくすぐ解散した。

 一体、白髪女のあの質問には何の意図があったのだろうか。

 

 ……そういえば、あいつって森の方から出てきてたよな。

 なら、その道中でゴブリンや今言ったコボルトとえびに出会った可能性が……!

 ………いや、そもそもえびって何なんだよ。

 明日、あいつに聞いてみるか。

 

 こうして俺は自宅へと荷物を置き、寝支度をして就寝した。

 そのまま夜は更け……翌日が来た。

 

「いよいよか……」

 

 俺達は日が昇る空を見上げながら、南門前に立っていた。

 お互いの準備は万端だ。装備をしっかりと揃えており、いつでも出発できるだろう。

 

「頑張って来いよ~~!」

「バンカさん、頑張ってください!」

「「頑張れ―――!!」」

「後ろは俺達に任せろ~~」

 

 村の方からは、たくさんの村の仲間が声援を送ってくれている。

 そんな彼らに手を振り返す。

 すると、「お前は引っ込め~~!」というこれまた温かい声援を受け取った。

 ハハ、もげろ。

 

「準備はできたか」

「もちろんだ」

 

 白髪女の頼もしい返事が聞こえた。

 その声に頷き、俺達は異変の元凶が待ち構えているであろう森の中層域……いや、ヌシ様の住処である「深層域」を目指して足を踏み入れるのだった。

 

 ・

 ・

 ・

 

 ―――――――――――――――

【マジで雑な中層域の地図】         

           西━東

    ↑浅層域へ     

| 1 | 2 | 3 |

      運河

| 4 | 5 | 6 |

    ↓深層域へ

 ―――――――――――――――

 

 

 「……なぁ、もっと凝った地図は作れないのか?何だこの1分で書けそうな適当な地図」

「仕方ないだろ、誰にとっても見やすく作ったらこうなったんだ、大目に見てくれよ。それはそれとして、どのルートを通っていく」

 

 この中層域には様々な脅威となるモンスターの縄張りが多くある。

 普段は縄張りの外に出ないため、浅層域に出没することも村を襲うこともないが、この先の深層域に行くためには必ずどこかのルートを通らなければならない。

 しかも、その途中には森を区切る様に巨大な運河が流れているため、どこかで船か何かを用意する必要がある。

 それについては、村長が用意してくれた人が6人乗れそうな船があるから問題ない。

 白髪女のバックに、何十倍もの大きさの船がスルスルと入るさまは驚いたが……。

 

 その運河の先にも3つの区間があるが、基本的にまずは1,2,3のいずれかの区間を通れば運河へと辿り着けるので、まずはそれを決めるのがいいだろう。

 ということで、俺達が今から取る選択肢は、区間1,2,3のいずれかのルートを取るかだ。

 

「それだけじゃ判断できん、もっと説明プリーズ」

「ぷりーず?」

「情報が足りないから寄こせって言ってんだ、1,2,3とかにはどんな違いがあるんだよ」

「お前……自分がこの森を抜けて村に来たって話、もう忘れてるよな……」

 

 いやまぁ、少しは説明してやるか。

 

「区間1はウルフってモンスターの縄張りだ。普通のオオカミよりも大きな体躯を持っていて、集団で襲い掛かってくる厄介な奴らだな。なので、この場所を通るのはオススメしない」

「ふ~ん。……ゴブリンとどっちが強い?」

「ウルフに決まってるだろ、ゴブリンなんか餌でしかねぇよ。ゴブリンが最近まで村を襲わなかったのは、そこに縄張りを作ってるウルフが一因でもあるんだからな」

「そっか、次の2は何かいんの?」

「やけにあっさりと………まぁいい、区間2は特に決まったモンスターの縄張りがあるわけじゃない。強いて言うならば、いつもヌシ様が村付近まで来るときの道、獣道だ。普通の獣道とは違って、人間が複数人通れるくらいの広い道幅が広がっている。だから、この道が一番オススメだ」

「……一応聞くけど3は?」

「ヒールビーっていう治療効果のある蜂蜜を作るモンスターが生息してるな。その蜂蜜を舐めるとポーション並みの治癒効果を持ち、肌に塗ると切り傷が癒える上に味も美味な魔法の蜂蜜。そのため金持ちにとって高値を出して手に入れたがる、垂涎物の高級品だ」

「よし、3で行くぞ」

 

 案の定、こいつは蜂蜜に喰いついて来た。

 相変わらず現金な奴だ。だが、残念なことに区間3の説明は終わっていない。

 とりあえず、白髪女へと説明の続きを教える。

 

「……だが、そこはグレゴリベアという巨大な体躯の化け物熊が縄張りにしてる。強さはウルフ30匹の群れを1体だけで返り討ちにできる。そのため、この道は危険だから止めた方が」

「関係ないね、さあ行くぞ!」

「ウッソだろ、お前……!?」

 

 苦言を言おうとするが、お前に拒否権など無いと言わんばかりに全力疾走で区間3へと向かう。

 ……今この森では何が起こるか分からんことを忘れてないだろうな、あの白髪女(バカ)。

 しかたがないので、俺も急いで後を追い区間3へと向かうのだった。

 

 

 

「・・・」

 

 ・

 ・

 ・

 

「まったく……お前はもっと慎重に進め、何が起こるか分からないんだぞ」

「それはどうでもいいとして、ヒールビーの蜂蜜ってどこで採れるんだ?」

「聞けよ」

 

 白髪女の危機感の無さに呆れる。

 それは、グレゴリベアというモンスターがどういう存在なのかを知らない故なのか、それとも、遭遇しても問題なく切り抜けれる自信があるのか分からない。

 何にせよ、こいつには一言言っておかなければならないようだ。

 

「白髪女、今回の目的は把握してるのか?」

「してるしてる。確か、ヌシ様っていうモンスターの様子を見てくるのが目的だったよな。なら、多少の寄り道くらいいいだろ。それに、ここを通ってもいけるんだし」

「俺は今、蜂蜜の入手を試みることを時間の無駄だと思って言ってるんだが……。それに、ここはさっき言った通りグレゴリベアの縄張りだ。多少腕に覚えがあるようだが、人間にも強さに限度があるから油断すんな」

「心配いらんだろ、聞き耳で判断するし」

「……何だ、その聞き耳とかいうのは」

 

 カランカラン……。

 白14成功 

 バンカ47成功

 

 そろそろ白髪女にたまに口にする謎言語の意味を問い詰めようとしようとしたのだが、ここで最近になってよく聞くようになったダイスの音が鳴る。

 何だ、今度は何に反応した?

 咄嗟に武器を取り出して周囲を警戒する。

 ……しかし、一向に何も出てこないし音もしない。

 気のせいだったのか?

 

 そう思った直後だった。

 

「……ッ!おいバンカ、あれって……」

「何だ、何か見つけたか!」

 

 白髪女が何かを見つけた。

 俺は白髪女が指さす方を見て、その正体を確認する。

 それは………大きな蜂の巣だった。

 

「敵じゃねぇのかよ!」

「おい、あの蜂の巣ってヒールビーって奴らの巣か」

「……あぁ、そうだよ。俺も久しぶりに見たが、間違いないな」

 

 新米の頃に連れられらが、その時に見た物と同じだ。

 当時は発見してすぐにグレゴリベアに見つかって追いかけまわされたから採取できなかったが、今回は周りに何もいなさそうだ。

 俺自身もラピ…白髪女同様にヒールビーの蜜が気になる。

 警戒は緩めないが、この機会を逃すのはもったいないから諫めるのは止めておこう。

 

「俺が周りを見ておくから、さっさと蜂蜜採取しておけ」

「へぇ、止めないんだ」

「……いいから早くしろ、グレゴリベアが出る前にここを抜けたい」

「へいへい」

 

 白髪女は手慣れた手つきで、ヒールビーの巣から蜂蜜を採取していく。

 流石は自称冒険者といったところか、自然物の採取が手慣れている。

 危うげなく瓶2本分の蜜を採取して、自身の懐に入れてから戻ってくる。

 

「終わったか」

「見れば分かるだろ、それよりこの蜜って実際いくらで売れんの」

「そうだな…‥大体30万G(ゴールド)くらいって、そんなことしてる場合じゃない。モンスターに見つかる前に早く進むぞ」

「グレゴリベアってヤツか、どんくらい強いんだ?」

「Cランクだ」

「ほ、ほ~ん………」

 

 白髪女はランクを聞いた途端、微妙な顔をした。

 こいつ、もしやよく分かっていないな。

 

「ちなみに、ゴブリンがEランクで亜人系がDランク、ヌシ様がBランクとかだったはずだ」

「なんだ雑魚か」

「どうしてそうなる!」

 

 こいつ、本当に冒険者なのか?

 冒険者にとってランクは生存する上で重要な判断情報だろう。

 Cランクは普通、中級以上の魔法を習得していない人ではどうしようもない相手だって知らないのか、こいつ……?

 ……そういやこいつ、魔法覚えてたな。

 

「とにかく、さっさと抜けるぞ」

「はいはい、仕方ねぇな」

 

 しぶしぶといった様子で俺の後をついてくる白髪女。

 そのまま俺達は、俺の先導の元に区間3を抜けた。

 その道中、グレゴリベアに出会わないどころか、気配すら感じることはなかった。

 

 

 

 

 ・区間C → 運河

 

 区間Cの森を無事に抜けた俺達は、運河の見える川原に辿り着いた。

 目の前には巨大な運河が、広大な森の中域を遠くに見える向こう岸とこちら側で分断するようにゴウゴウと音を立てて流れていた。

 俺達の目的地はこの先の向こう岸にある森の、さらに奥深くにある。

 そのため、この運河を渡るのは必須だ。

 だが、この運河を渡るには泳ぎでは無理だと悟る。渡るには船が必要だ。

 

「てことで、ラピス。村長から借りた船を出してくれないか」

「はいはい、了解了解」

 

 俺の言葉に応じて運河に近づく白髪女。

 すると、カバンに手を突っ込んで小型の船を取り出して水面に浮かべる。

 やっぱこいつの力、やべぇな。

 

「ほら、さっさと乗るぞ」

「お、おう」

 

 促されるままに乗る。

 ……さて、漕ぐか。

 

「なぁ、これどうやって進むんだ」

「漕ぐに決まってんだろ、当たり前のことを聞くなよ」

「……やっぱこの船、魔術とかかってたりしないか?例えば、自動的に向こう岸まで進むとか」

「そんな便利な魔法ないし、そもそも船の魔道具なんて高級品を買えるか。文句言ってないで、漕いで進むぞ」

 

 そう言って俺がオールを渡すと、不服そうに受け取る。

 

「ラピス、お前って船の漕ぎ方知ってるか」

「知ってるわ。それとお前、私をいつの間にか名前呼びになってっけど、何でだ~?」

「……進むぞ」

 カランカラン……。

 白04クリティカル 

 バンカ17成功

 

 ラピ…白髪女の言葉を無視して、船を漕ぎ始める。

 すると、グンッ!と船が大きく前に進んだ。

 

「この程度、楽勝だァ―――ッ!」

「うぉっ!」

 

 白髪女の奴、船を漕ぐのが想像以上に上手い!

 力任せの様に見えて、ちゃんと技術面での上手さを感じさせる見事な腕前だった。

 こいつ、やっぱり只者じゃないな(n回目)。

 

「もう3分の1を超えた……!」

「よし、この調子で行くぞ」

 

 せーので2人揃ってオールで漕ぐ。

 

 カランカラン……。

 白78失敗 

 バンカ86失敗

 

 すると、さっきまでの腕前が嘘のように拙い漕ぎになった。

 ……俺含めて。

 そのせいでボートは進むことなく、その場でぷかぷかと留まったままに……。

 

「おい、そっちちゃんとしろよ」

「いやお前も下手になってんだろ、さっきの関心を返せよ!だけど俺も失敗したからごめんな、もう1回やるぞ!」

 カランカラン……。

 白95失敗 

 バンカ87失敗

 

 今度は船がその場でくるりと一回転。

 

「「失敗した!」」

「も、もう1回だ」

「「そいっ!」」

 カランカラン……。

 白94失敗 

 バンカ89失敗

 

 もう一度くるり。

 

「また失敗した―――!」

「も、もももう1回……、次こそは」

 今度も息を併せて船を漕いだ。

 

 カランカラン……。

 白13成功

 バンカ03クリティカル

 

 ―――すると、俺の腕が覚醒した。

 さっきまでの下手さが嘘のように巧みなオール捌きを発揮し、船が最初と同様に大きく前進した。

 

「な、なんだ……いきなり俺の腕が、自分の物だと思えないくらい巧く動いたぞ……!」

「それがクリティカル効果だろ。それよりも何か嫌な予感がするんだけど、何でか知らないか」

「知らない……って言いたいが、この運河にも水棲モンスターが住んでるし、そいつが襲って来る可能性もあるっちゃある」

「そっか、なら後ろに見えるあのぶくぶくは件の水棲モンスターのものだな」

「え」

 

 後ろの水面を見ると、水面には黒い影が映っていた。

 それを認識した瞬間、水面から影の正体が飛び出す。

 大口を開けた悪魔の様な形相の巨大魚、モンスターフィッシュだ。それが5匹、俺達に向かってきていた。

 

 カランカラン……。

 白48成功

 バンカ66成功

 

「くっそ、バンカさっさと進むぞ!」

「いや、迎撃した方が」

「馬鹿、船の上でいつも通り戦えるわけないだろ。早く漕げ」

「―――ッ、すまん」

 

 確かにモンスターフィッシュが後ろにいるとはいえ、まだ距離があるから逃げるまでの猶予がある。ラピスの判断こそが正しい。

 自分の不甲斐なさを自覚しながら、剣の柄に伸ばしかけた手を戻してオールを握り直す。

 そのまま一気に漕ぐ―――!

 

 カランカラン……。

 白78失敗

 バンカ17成功

 

「あやべ、失敗した」

 

 ラピスの声と共に、船が止まった。

 

「は?……うわっ危なっ!?」

「マジですまん、それと魚が来るぞ!」

「!」

 

 俺は咄嗟に船の縁に捕まり身をかがめ、急停止した船から弾き飛ばされないようにした。

 だが、獲物が止まったという襲撃の機会を逃がさんとばかりに、モンスターフィッシュ×5は俺達に襲い掛かって来た……!

 




《前回と同様に5回ふってください。また、子供達の手助けによりラピス・ホワイトの技能に+20の補正が付きます》
 カランカラン……。
 白(65成功、32成功、45成功、40成功、22成功) 
 バンカ(67失敗、82失敗、27成功、68失敗、02クリティカル)

 NEW所持品
 白
 ・魔石
 ・下級ポーション
 ・マナポーション×2
 ・鉄の棒
 バンカ
 ・中級ポーション
 ・中級の魔法本・風


《それにしても、この2人クリティカルとファンブルの頻度、多すぎやしませんか?因果律やらを弄るの大変なんですよ?》
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