ハスターなオリ主と米花町   作:ラムセス_

469 / 469
オマケ:星の精の小学校

 

「1年B組の仲間に新しく加わることになりました。星野星子ちゃんです。さあ、ご挨拶しましょうね」

「くすくす!初めまして、星野星子だよ!星子はね、みんなと仲良くなりたい!」

「ひとまず空いている後ろの席に座ってもらうね。みんな拍手!」

 

 星の精の姿はウェーブの桜色の髪をピンで止めて、クスクスと嬉しそうに笑っている。

 黄衣とニャルラトホテプが考えただけあって、非常に整っていて子役にでもなれそうな将来有望そうな顔立ちだ。

 白い肌が淡く色づいて、お姫様のような愛らしさであった。

 

 クラスの子からわっと質問が飛んでくる。

 前の学校はどこにいたのかとか、そういう他愛無い話だ。

 

 灰原がコナンへと声をかける。

 

「良かったわね。あの子、上手く馴染めそうで」

「ああ。最近ずっと頑張ってたからな」

 

 特別ナラトゥース人間文化速習コース、と題された勉学を終えたのは先週のことだ。

 

 もちろん講師は旧支配者ナラトゥース。

 星の精と人間、どちらの生態と文化にも詳しい彼だからこそできる二週間特別コースだ。

 合格はちまきを締めて、星の精は朝から晩まで頑張った。

 もちろん実践形式でその間は人間の姿のまま。

 

 基本的な家具の使い方、体の動かし方のおさらい。

 遊具の使い方、言葉遣い、トイレの使い方、どのぐらいの力で怪我をするか。

 「星の精」という一人称を「星子」に改めたのも違和感を少なくするためだ。

 

 夜はコナンと遊ぶこともなく爆睡するほど疲れていて、それはもう努力していた。

 

 その甲斐あって、学校はつつがなく過ごすことができているようだ。

 きちんと授業に出るのは初めてのことだが、プリントも勉強もきちんとついていけている。

 歌はちょっぴり音痴だが、なんとなく耳に馴染む。

 まさか自分の音程をそのまま真似ているのでは……と疑いつつ。

 

 とはいえ、まだまだ馴染むのは先のことだろう。

 星の精は社交的な性格をしているから、きっと物怖じせずみんなと仲良くできるはずだ。

 

 お昼は学んだ通りに箸を上手に使うことができたようだ。

 今日は卵の入ったスープとご飯だ。

 星の精は卵が大層気に入ったようだが牛乳が微妙らしい。

 

 薄い味がする……と渋い顔で飲み干している。

 血液と大元は同じはずなのだが、やはり星の精的にはイマイチらしい。

 

 あっというまの初めての学校が終わると、下校の時間がやってくる。

 家が一緒だから、下校のグループもコナンと一緒だ。

 

 少年探偵団の輪に加わり、本当に嬉しそうにずっとクスクス言っている。

 星の精がコナンに笑いかけた。

 

「友達!帰ろ!」

「おう。どうだ、友達はできたか?」

「探偵団のみんな以外も星子はたくさん仲良くした!くす!友達たくさん!」

「歩美も前からの友達だったんだよって紹介したの。星の精ちゃんは可愛いからみんなに人気だったよね!」

 

 歩美の同意を得られ、星の精は鼻高々になったようだ。

 光彦が「星の精ちゃんはコナンくんに似て運動もできますもんね」とニコニコした。

 ハッとした顔になった歩美がパタパタと手を振る。

 

「だめ!コナン君はダメだよ!」

「くす?ダメ?星子は友達とずっと一緒。おんなじ仕事して一緒に暮らすの。きっと楽しい!」

「だめーーーー!!!」

 

 思わぬライバル出現に、歩美は大慌てで叫んでいる。

 灰原が肩をすくめてコナンに流し目を向けた。

 

「どうするのかしら、恋多き探偵さん」

「どうもこうもねーだろ。俺は蘭一筋っつってんだろ」

「あら。星の精は一緒に暮らすつもり見たいよ」

「………それは、その。将来星の精を探偵事務所のバイトとして迎え入れるとか」

 

 星の精の情緒がバイトできるほど育つのはコナンの死後かもしれないが、多少の雑務ならば可能だろう。

 それか黄衣になんとかしてもらうか。

 

 悶々と頭を悩ませていると、灰原がため息をついた。

 

「贅沢な悩みね。まあいいわ。もうすぐアポトキシンの解毒薬も開発を終えるわ」

「!!本当か!?」

「ええ。とはいえ、安全を担保するならもう2年は見たいわね。もしかしたら死ぬかもしれないけど、あなたなら黄衣さんがなんとかしてくれるでしょう」

「そんなロシアンルーレットみたいなことあるか!?まあいいけど。そろそろ本気で留年の危機だし」

 

 コナンは肩を落として項垂れた。

 留年探偵はあまりにもこう、推理に疑問符がつく称号だ。

 帝丹は私立だから融通は効くとはいえ、限度はある。

 

 ともかく帰路へと着く。

 星の精はたくさんのクラスメイトに囲まれて、バイバイと手を振って歩き出した。

 なんとなく子が独り立ちをしたような妙な寂しさを覚えてしまう。

 こんなふうに人間と仲良くできているのが、元は人喰いの種族とは。

 まったくもって、世の中分からないものだ。

 

 コナンの隣を歩美が素早く陣取って、その反対側に星の精がムギュと擦り寄る。

 光彦が微妙な顔をした。

 灰原も同じく揶揄って「両手に華ね。マセガキにもほどがあるんじゃない?」と鼻で笑う。

 

 星の精は特に気にせず、人の体でピースを作って嬉しそうにした。

 

「くすくす!星子は頑張った!」

「そうだな。頑張ったな」

 

 頭を撫でてやると、星の精は頬を紅潮させて満面の笑みでクスクス笑った。

 

 コナンは同じ学校にずっと通ってはいられない。

 でもあと少し、あと少しだけこの子のために小学生を続けようか。

 この子が学校に馴染めるまで、少年探偵団と一緒に成長していけるまで。

 こいつらが、自分無しで困難に立ち向かえるように。

 

 夕暮れに鳥が鳴いている。

 事務所にはいつものように、たくさんの依頼が届いていることだろう。

 難事件もあるかもしれない。悍ましい神話的恐怖もあるかもしれない。

 

 

 コナンは少しだけ笑って、夕日にまた一歩足を踏み出したのだった。

 





番外編、ハスターなオリ主とドラゴンボールを投稿開始しました。
時間軸はエピローグ後のつもり。
https://syosetu.org/novel/412653/
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ハスターなオリ主とジョジョ3部(作者:ラムセス_)(原作:ジョジョの奇妙な冒険)

旧支配者ハスターになった転生者が、ジョジョ3部世界をクルセイダーズ入りして人間のふりしながら頑張って抜け出そうとする話。▼拙作「ハスターなオリ主と米花町」のスピンオフ。▼なるべく本編を読まなくても読めるようにするつもり。▼本編「ハスターなオリ主と米花町」▼https://syosetu.org/novel/384972/


総合評価:11397/評価:8.69/完結:39話/更新日時:2026年03月27日(金) 10:22 小説情報

落ちてきた地球外高度知的生命体とヒーローやることになった件について(作者:緑茶山)(原作:MARVEL)

多重転生し多数の前世の記憶を持つ高村優李の元に、ある日空から地球外高度知的生命体が落ちてきた。見るからに小さなシロクマの形だが、姿が似ているだけで別物らしい。▼そのシロクマによってマジカルパワーを得た優李は、魔法少女になる……ことは無かったが、なんやかんやでアベンジャーズの仲間入りを果たすことになる。▼真面目だったり不真面目だったり、わりかしシリアスにお送り…


総合評価:7334/評価:8.83/連載:95話/更新日時:2026年05月16日(土) 20:42 小説情報

ワイ「やろうと思えば何でもできる不思議パワーが使える種族に転生したから色んなモノ模倣してみるわ」(作者:rikka)(原作:葬送のフリーレン)

目が覚めたら身体が小さくなっていた▼目が覚めたら頭に角が生えていた▼目が覚めたら『魔法』が使えるようになっていた


総合評価:34329/評価:8.8/連載:30話/更新日時:2026年05月12日(火) 19:04 小説情報

ハンター協会の美食料理人(作者:火取閃光)(原作:HUNTER×HUNTER)

美食ハンターとか言う凄く面白い設定があったのに、序盤しか活躍しなかったのでオリジナルキャラを作り2次創作を書いてみました。▼気分転換に書き溜めたプロットを形にしてみました。温かく見守って頂ければ幸いです。▼2026/02/24 19:05頃▼日間ランキング177位を記録! ご愛好ありがとうございます!▼2026/02/26 23:39頃▼日間ランキング58位…


総合評価:4152/評価:7.36/連載:33話/更新日時:2026年04月26日(日) 00:30 小説情報

第四の壁を越えて(作者:タカリ)(原作:HUNTER×HUNTER)

死んだと思ったらハンターハンターの世界に転生した。ゴンの兄だった。▼原作にガッツリ関わる立場になっちゃったけど、別に自重しなくていいよね?


総合評価:5074/評価:7.57/連載:43話/更新日時:2026年05月16日(土) 15:33 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>