ダイヤモンド達にカットされたくない雑魚エスパー ~姉萌え漫画に巻き込まないでくれるかな?~ 作:信頼できる語り手
原作:DCD
タグ:R-15 オリ主 残酷な描写 男主人公 超能力 田口ケンジ エスパー DCD Diamond Cut Diamond 淀君凛子
エスパーって実在すると思う?
ほら、『エスパー9』って番組が昔あったじゃん。ゴールデンタイムに放送されてた、自称超能力者の小学生達が出てたヤツ。
覚えてる?いや、7年も前の事だから覚えてないかな?親戚のオジサンは『7年前は最近だろ』とか言ってたけど、現役高校生には分からない感覚だ。
ちなみに、世間ではヤラセと思われてたらしいエスパー9だけど、僕は半分くらいガチなんじゃないかなーとか思ってるんだよね。
何故、そう思うかって?ふふふ……それは簡単だよ。
──僕も、
ああ、勘違いしないで欲しい。エスパー9には出演してないよ。実は応募しようか迷ってた時期もあったけど、他の小学生達の力を見たら自信なくしちゃって。
ぶっちゃけ、サイコメトラーとか透視少年は眉唾にしても。スプーン曲げ少女とか、天才念動力者とか、同じ物理現象系のエスパーと自分を比べちゃうとさ……。
あ、勿体ぶるほどでもないから先に言っておくけど、僕の力は『体表の周りに厚さ1センチの膜を生成する超能力』だよ。
勝手に付けた能力名は『セーフティスキン』。……呼ぶ機会も呼ばれる機会もないけどね!
便利ではあるよ。手袋なしでも膜で汚れ防止できるし。僕が馬鹿だから思い付かないだけで、役に立つ場面もあるかもしれない。
でもね。やっぱり、どうしても思っちゃうわけだよ。
もっと雑に強い能力が欲しかったー!
ってね。
だって、能力バトルとか憧れるじゃん。電撃とか炎とか出したいじゃん。
膜って。膜って、君。
とりあえず、エスパー9のような連中と出くわしたら、僕みたいな雑魚エスパーなんて何もできずにボコボコだろうね。
絆創膏を買う必要がないのだけは、お財布に優しくて素晴らしいよ。
だから、まあ。
雑魚エスパー、危うきに近寄らず。そんな人生を送ってきたわけ。
「……淀君。僕、帰って良いかな?」
「良いわけないでしょう。あと『さん』が抜けているわよ」
魅惑の魔女、淀君凛子。エスパー9の1人である彼女に超能力がバレるまでは。
「半径30メートル。ようこそ、私の絶対領域へ♡」
ヤバい光景を見てしまった。
「……何なりとご命令ください、淀君様」
「私に傅く男の姿……堪らないわぁ。滾っちゃう♡」
銀髪の女子高生が屈強な男性を跪かせ、ゾクゾクと興奮に身を震わせている。何を見せられてるのかな、僕は?
「あら、どうしたの?貴方も私に傅きなさい」
「えぇ……」
銀髪のツインテールちゃんから、何か空気読めてない奴みたいな目で見られた。映画の撮影現場に間違えて入った時って、こんな気持ちなのかもね。
「あの……僕まだ台本とか渡されてないんだけど、飛び入りでも参加した方が良い?……ですか?」
「はぁ?」
にしても、この娘。どっかで見た事ある気がするんだよなぁ……。それも、ずっと前に。
勿論『大きくなったら結婚しようね』と将来を誓い合った相手なんかじゃないし、そもそも僕は女友達が少ない。逆はがない状態だよ。紳士的に振る舞ってるのに酷い話だね。
じゃあ、美人だし有名人かな?でも、僕ってあんまりテレビ観ないしなぁ。エスパー9終了のきっかけになった放送事故を見て以来、特に生放送はトラウマで……。
……エスパー9?
「えっ、もしかして……!エスパー9の、淀君凛子!?」
「あら、私を知っているのね。良い心がけだけど、『さん』を付け忘れていないかしら?」
「え、マジで!?本物!?」
僕は思わず小躍りした。
「大ファンです!サインください!」
「私のファン?他にも派手なエスパーはいたでしょう?……執行夕闇とか」
淀君凛子が僕に探るような視線を向けてくる。夕闇?
「……あっ、スプーン曲げの?ごめん、僕、淀君にばっかり注目してたから、他の人はうろ覚えで……」
にわかで申し訳ない。超能力の性能ばっかり気にして、1人1人のパーソナリティーまで覚えてないや。最推しの淀君以外。
「淀君が一番可愛かったし……って言うとスプーン曲げの人に失礼かな……?」
数秒の沈黙。淀君は手で顔を覆って俯いた。そして、ゆっくりと顔を上げる。
「……。『さん』を……。いえ、今は良いわ。原理は分からないけど、貴方には私の男性限定魅了能力『テンプテーション』が効かないようね。体質かしら?」
「魅了能力……?そんなものなくても、淀君は充分に魅力的だけど……」
急な話題の転換に少し戸惑ったけど、エスパー9の時の設定について言ってるのかな?ファンの前で夢を壊さないでいてくれるとか、プロ意識の高いタレントだね。
だけど、気にしなくて良いんだよ。実は、僕が淀君を推してた最大の理由は、絶対にヤラセだと確信していたからなんだ。
化け物じみた超能力を持ったエスパーには、絶対に、絶対に関わりたくないからね。好感よりも面倒な気持ちが勝る。
その点、仕込み100%にしか見えない淀君は素直に『可愛いな』と思えたよ。会えて良かった。
「貴方。私の下僕にしてあげるわ」
「え、やったー!喜んで!」
「……って言ってたわよね、貴方」
「そ、そうだっけ?淀君の記憶違いじゃないかなぁ……。あはは……」
「……潰すわよ?」
「何を!?」
悪いニュースと悪いニュース、どっちから聴きたい?
オーケー。1つ目は淀君が本物のエスパーだった。目の前で友人を操られたら信じるしかないよ。
証明の為に半裸踊りをさせられた彼(プライバシー保護の観点から匿名)には涙を禁じ得ない。尊厳破壊ってこうやるんだなぁ。ごめんよ、僕は無力だ……。
まあ、この時点で淀君に対する好感度は地に堕ちたよね。
しかしねぇ……本当にヤバいのはここからだよ。なんとなんと、淀君はスプーン曲げの人をブチっとコロコロしたいと言い始めた。
そんな鍋パみたいな感覚で、ガチの犯罪行為に誘わないでくれるかな?もう、僕には君が外道だという事以外、何も分からないよ……。
そもそも僕、雑魚エスパーだから!淀君のテンプテーションは偶然相性が良くて効かなかっただけだから!
君達エスパー9とは、ダイヤモンドと石ころくらい超能力のレベル差があるからね!粉々にされちゃうよ!
「待ってなさい、執行夕闇!」
「お家に帰りたいよぅ……」
こうして、僕──