幻想世界のからくり主従   作:K+#ガソ林

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第1章 予言と災厄
ネムの素材集め(髪の毛)/大盗賊団メルシュ


「と言うわけだエリオット。白城蜘蛛の糸について知らないか?」

 

「と言うわけも何も、いきなり上がり込んで何を言ってるんですあなたは。」

 

 セクエンスはネムを新しく作るために素材集めをしていることを話した。

 

「そう言う事情でしたか。ですが私にはさっぱりです。というか、今はとっても忙しい時期なんですよ。大量の魔王級モンスターの素材が卸されて、それの対応にかかりきりです。他を当たってください!」

 

───────────────

 

「で、俺のところに来たってことか。」

 

 テセウス港の冒険者ギルドだ。受付のテイルは元魔王級冒険者。素材には詳しいだろう。

 

「新しくネムを作るために、妥協はしてられないからな。」

 

「俺の聞いた話だと、ネムがからくり士でお前はただのからくりじゃなかったっけ?」

 

「故あって逆転した。」

 

「まぁ、あんまホジホジ聞く気はねぇ。しかし運が良かったな。ちょうどいい話があるぜ。」

 

 なんと、王都ディルフィニアで魔王級モンスターの素材オークションが行われるらしい。ミノス島のスタンピードの影響で魔王級の素材が値崩れする前に売り切ってしまおうと言うわけだ。

 

「金はあるか?」

 

「ある!」

 

 最高級の素材───「白城蜘蛛の糸」。ふわふわでさらさら、汚れず痛まない、まさに最強の繊維だ。同じ種のドラゴン級ですら、数年前に確認されたきりというほどの希少さを誇る。正直、このオークションにそれが出品されているとは考えにくい。だから今回は、それに準ずるものを手に入れられれば十分だ。

 

「魔王級の白城蜘蛛の糸も出品されるらしいぞ。」

 

 全財産を持ち込んで勝負だ。

 

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 久しぶりに王都ディルフィニアへ黒騎士が姿を見せる。

 

「あ、あれは…黒騎士ワラキア!?」

 

「知ってるのか?」

 

「あの黄昏ネムのからくりだよ。でもネムが近くにいないな…。久しぶりに顔見たいな…。」

 

「…お前女房いるだろ。」

 

「ジャンルが違う。」

 

 黒騎士の姿で来たのは失敗だったな。服でも買って変装しよう。変装は慣れてないが、いつも顔なんて出してないから問題ないだろう。

 

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 統率個体の肉体は本当に人間を模している。鎧を外せば、ただの人間のようにしか見えない。姿見の前に立つ。

 

「とはいえ、顔が自分の形じゃないのは違和感があるがな。」

 

 知らない顔だ。多分この顔の持ち主が最も魔物を殺した天敵(人間)なのだろう。

 

「オークション会場へ行くとするか。」

 

 持ち金は星金貨4枚と金貨120枚。

 星金貨1枚で金貨300枚である。

 

───────────────

 

 世界はエクスリ大陸、ミナミスラ大陸、ニルス大陸、魔大陸で構成されており、素晴らしいエルガン王国はエクスリ大陸の沿岸部に位置する。

 素晴らしいエルガン王国から南西すると広い砂漠があり、そこには大盗賊団メルシュの縄張りがあった。

 

「…おい、盗賊。殺されたくなければ、俺たちに従え。」

 

「ひ、ひィ…!?」

 

「返事がなければ殺すが。」

 

 その盗賊団は、大量の岩巨人によって襲撃を受けていた…。巨人たちには矢や剣、魔法すら効かず、根城にしていた古代の遺跡は破壊され、団員は皆地面に転がっている。

 

「ありえない。魔物が、人間を従える?そんなの前例がない…!」

 

「そりゃ、魔物じゃねぇからな。俺たちスラムル族は立派な民族だよ。」

 

「スラムル、族…!?聞いたことがない!」

 

「…もう伝わってねぇのか。この国の建国に携わった6の氏族の名は。」

 

 素晴らしいエルガン王国は、人間と理性的な魔物達によって作られた王国であったのだ。しかし、現在の素晴らしいエルガン王国は紛れもなく"人間の国"である

 

「となると、うちや他の所の子孫達も族滅されてそうだな…。まぁまだ判断早いか。」

 

「おい、これ見ろよボス。」

 

「ん?」

 

「これこれ、オークションがあるらしいぜ。魔王級の素材だとよ。魔王って言葉も安くなったなァ。」

 

「んん〜…ふむ。」

 

 作戦の企画書だろう。大盗賊団メルシュは王都ディルフィニアで行われるオークションに乗り込むつもりだったのだ。

 

「ほう、王族が来てやがんのか。それも国王!いいね!」

 

「だろ?ちょうどよく、盗賊の皆さんがいらっしゃるし、作戦通りにやってもらおうじゃないの。」

 

「お、俺たちを…都合よく使おうってのか…!?」

 

「この国作ったのは俺たちだぜ?都合よく使われたのは俺たちだよ。ま、お前らがやるのは警備相手に突っ込んで来るぐらいでいい。王様に触れさせたら何するかわかんねぇし。」

 

「そこ大事だよな。うん。」

 

 岩巨人達は和気藹々と団欒する。大盗賊団メルシュに抵抗の余地はない。

 

「とりあえず俺たちはゴーレムってことでいいよ。」

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