TS転生憑依闇堕ち(無自覚)精霊姫様は原作を知らない   作:むーちゃん

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呪術3期が始まったので初投稿


第2話「マイクロビキニ着たコックカワサ○ってなんだ?」

「帝国? ああ、ゴミクソでカスみたいな国なのです。さっさと滅んだ方が人類のためなのです」

「口悪ぅ」

 

 カレンは思っていた倍くらい辛辣な評価が返ってきたことに思わず苦笑いをした。

 

「わたしが帝国出身なのは知ってるのです?」

「いや初耳だけど」

 

 アーサーはいきなり出てきた新情報に思わず振り返った。

 

「わたし元々傭兵やってたのですが」

「知ってるぞ、名の売れた傭兵が王国軍に引き抜かれたと当時話題だったからな」

 

 グラッドは知っている話をドヤ顔で披露し。

 

「傭兵になるきっかけが、地元の豚貴族に誘拐されて孕まされそうになって逃げたからなのです」

「ぐぼぉ」

 

 無事に脳破壊の憂き目にあった。

 

「ちなみに豚は半殺しにしたのです。おかげで帝国では指名手配犯なのです」

「えぇ……」

「まあ王国の勇者パーティー所属になったので無罪放免、というか治外法権みたいなものなのです」

 

 カレンはこれが勇者パーティーでいいのかと不安に思った。だがとても今更なので気にしないことにした。

 

 

「魔力の多さが遺伝するのはみんなも知っての通りで」

 

 馬車に乗っての移動中。

 手持ち無沙汰なのか、合法指名手配ドSロリであるプリステラは、己の生まれ故郷について語り始めた。

 

「どこの国も、貴族が魔力持ちってことが多いのですが」

「まあ権力者が武力を持ってないとどうにもならないしな」

「帝国は特に魔力至上主義というか……魔力の独占が強い国なのでして」

 

 彼女の肩の上に漂っている人をかたどった白い霧──霞の精霊が彼女を慰めるように顔の周りに霧を伸ばす。それに応えるように指で相棒を撫でた彼女は続きを話していく。

 

「貴族以外の家の魔力持ちがたまーに生まれるのですが、帝国はそういう人の存在を認めようとしないのです」

「……ん?」

「『貴族でない魔力持ちは、闇の精霊に通じる罪人である』。それがあの国で大っぴらに言われている戯言なのです。ま、ただの建前で誰も信じてないのですが」

 

 そう話す彼女は心底誰かをバカにしたような表情をしていた。つまりいつも通りの表情である。

 

「それで、誘拐か」

「なのです」

 

 重すぎる彼女の過去にビクンビクンしている大男を足蹴にしながら、アーサーの言葉に頷くプリステラ。

 

「魔力の独占……魔力が貴族の特権であることを維持していたい、と」

「ついでに雑に扱っても誰にも怒られない、魔力持ちの孕み袋おもちゃも確保できて一石二鳥なのです。死ねばいいのに」

 

 割かし悍ましいことを軽ーい調子で言っている。カレンはそこら辺はそこそこゆるい王国に生まれて良かったなあと心底思った。

 

 

「……そんな国が、闇の精霊と内通の疑惑ありなんて、全く笑えないな」

「まさかの自分が罪人ってオチなのです」

 

 

 そう、今彼らが向かっているのはかの悪名高き帝国。

 

 カレンが周囲に目を向ければ、そこには豪華な馬車がズラリ。ちゃんとした王国の使者が乗っているものだ。

 

 目的は『精霊姫』失踪の顛末の説明と探索の要請──というのは建前。

 本命は闇の精霊の影がチラつく大国の調査、そして会敵した際の殲滅だ。

 王国は初手で勇者パーティーという最強の暴力機構を切ったのである。

 

「こんな事してる場合じゃないのに……」

「王の勅命だぞ、口を慎めアーサー」

 

 白タイツに包まれたご主人様の美脚に踏まれて蘇った駄犬の言葉はスルーされた。勇者はいつだって愛しの姫様に夢中なのだ。

 

「姫様も帝国にいるかもしれないわよ」

「よし、気合入れていくぞみんな」

「……はあ」

 

 カレンはこれが勇者でいいのかと疑問に思った。とても今更なので気にしないことにした。

 

 

「実際姫様はどこにいるんだろうな」

「さあ……けど、もし帝国にいて、わたしと同じ扱いを受けてるのでしたら」

 

 合法ロリは遠い目をして、有り得るかもしれない未来を思い描いた。

 

「帝国は今頃、精霊の怒りを買って滅んでるかもしれないのです」

 

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 俺、X(旧Twitter)のことをTwitterって呼ぶんだ。Xって読みづらくない? 声に出したらエックスだぞ。四分の三○ックスだぞ。一般成人男性としていいのかそれで。

 

『…………? (うーん)』

 

 公共の場でセック○を大声に出していいのはマイクロビキニ着たコックカ○サキだけなんだよ。マイクロビキニ○ックカワサキ。いやマイクロビキニ着たコックカワサ○ってなんだ? 

 

『…………(ふるふる)』

 

「──い、話を──」

 

 コ○クカワサキにマイクロビキニ着せて誰が喜ぶんだ……? ああいうのは巨乳爆乳に着せて目の保養にするもんじゃないのか。実際着てるやつなんかいない? いいんだよそんなの。俺達は現実を見てるんじゃない、夢を追いかけているんだ。

 

『…………(ちっぱい)』

 

「──い加減、こっ──」

 

 ふむふむ? クロちゃんはひんぬー派か。それもまたよし。俺はデカイ方が好きだけど、今は多様性の時代だからね。趣味嗜好は人それぞアイエエエエシャベッタアア!?!? 最初の言葉それでいいんかクロちゃん!? 

 

『…………』

 

 ここに来てダンマリ。いや無理だよ、もう誤魔化せないよそれ。大丈夫、話せば分かる。この世の中ケツとタッパのデカイ女がタイプだと赤の他人と真の兄弟になれるんだから。ほら、話せよ、楽になるぜほら──

 

「──僕ちんの話を聞け!!」

「僕ちん」

『…………!?』

 

 やべえ、無視してたのにあんまりにもあんまりな一人称で反応しちゃった。

 

 意図的に意識の外に放り出していた現実へ戻ってみれば、そこは阿鼻叫喚の大惨事。

 

 まず視界に入るのは肉だ。これ以上なく肉。肉塊が蠢いてる。クロちゃんじゃないよ、もっと醜い肉。辛うじて一周したベルトの上に五段くらいぶよぶよとした贅肉が乗っかった生き物? が目に入る。

 次に鳴き声。ぶひぶひ僕ちんって鳴いてる。僕ちん……(笑)。

 そして最後に俺の周り。楽しく昼食を召し上がっていたお客様共が衛兵に転がされてる。武装した奴らには逆らわないようにね。ヒメちゃんとの約束だゾ♡

 

 うーん。へいSiri、これどういう状況? 

 

 

「貴女は指名手配されています。ご同行願います」

 

 衛兵Aさん説明せんきゅー。ふんふんなるほどね。

 

「いや知らん。帰ってもらって、どうぞ」

「ふんっ! シラを切ってもどうにもならんぞ! 僕ちんには確かな証拠があるんだからな!!」

「知らんて」

 

 鼻息の荒い豚のじっとりとした目線が姫様の黄金比ボディラインをなぞる。きもい。鳥肌立ったわ。ぺっ。マッドなサイエンティスト君と一緒に岩に潰されてこの世から消えろください(過激派)。

 

 だがだいたい理解した。

 この豚はどこぞの貴族的な権力者で、衛兵もそっち側。

 噂に聞こえる超絶ぷりちーきゅーてぃー姫さまを一目見ようとはるばるご来店なすったと。可愛いって罪ね。

 

 そんで噂通り可愛かったから連れて帰ってドュフフなことをしようとしている、と。

 

 うへぇ〜、今どきそんなベタなことする人居るんだあ。おじさん困っちゃうよ〜。ん、死ぬべき。(大迫真)

 

「だいたい貴様、なんだその服は!」

「え? イケてるっしょ」

「何故そうまでして肌を隠す! 何かやましい事があるんじゃないのか!」

 

 豚が喚いてる。うるさ。

 

 ちなみに今の俺は酒場『火精の巣床』指定の制服に、黒のロングブーツとロンググローブ装着のイケイケスタイル。元々の制服だと太ももとか腕が見えてね、主にジジイ共の視線がヤバかったんだ。やましいのはお前の頭だってな、ガハハハ。

 

「オラッ脱げっ!」

「いやちょ」

 

 ガハハしてたらいきなり俺の右腕グローブに手をかける豚。

 セクハラ!! コンプラ違反!! ホットライン一直線ですよこれは!! 覚悟の準備をしておいて下さい!! 刑務所にぶちこまれる楽しみにしておいて下さい!! いいですね!! 

 

「──なっ」

 

 なんですか! 俺の美ボディに見惚れてるんですか! 男の人っていつもそうですね! 女の人のことなんだと思ってるんですか! 

 

「貴様、なんだその腕は」

 

 ……あっ。

 そういやちょんぎられた腕真っ黒なままだった。

 

 やっべ。

 

「これはその、事故で……」

 

「ッ、闇の精霊の気配!?」

「拘束、早く拘束しろ!」

「あのこれ誤解──」

「黙れ人類の敵がッ」

 

 あっあっあっ。

 体が(地面に取り押さえられて)磔になっていくよォ〜!? 

 

「あ、え、僕ちんは何すれば」

「ピグゥ様は下がっていてください!」

 

『…………(ふるふる)』

 

 いや呆れてないで助けてクロちゃん!! 

 

 

「闇の精霊との内通者に違いない、このまま連行する! こいつは地下牢にでもぶち込んでおけ!」

 

 

 あぁ〜逮捕の音ぉ〜! 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「ぐ……くそっ、あいつら好き勝手やりやがって……」

 

 衛兵を連れ立った貴族──実はここ一帯の領主一族の息子である──が、看板娘を拉致して城へ帰っていてしばらくして。

 

 衛兵にボコボコにされていた酒屋の主人と利用客達は、貴族の横暴に腸が煮えくり返っていた。

 

「ヒメちゃんが闇の精霊と繋がってるだと……?」

「あんないい子がそんな事するわけないだろ!」

 

 彼らの愛する看板娘(就任数週間)がいきなり拉致されたのだ。

 しかも拉致したのは非常に評判が悪い豚野郎。やれいきなり現れて町一番の器量の娘を連れ去っただの、女の奴隷を買い漁っては殺しているだの、そういった噂ばかりが流れる極悪人だった。

 

「あの豚がヒメちゃんを連れ去るための口実に決まってる!」

「早く助けてやらねえと……!」

 

 しかし悲しいかな。

 ここにいる彼らはただの一般人。

 魔力も持たないただの人間では、多少なりとも魔力を持つ衛兵とそれを従える貴族には勝ち目は無いのだ。

 それを身に染みて分かっている彼らは、歯噛みしながら何か策がないかと考え──

 

 

「もし」

 

 

 ──酒屋の入口にいつの間にか立っていた、フードを被った人物に気がついた。

 

 

「現体制に不満が、おありであれば」

 

 

 僅かに見える口元に優しい微笑を携えながら、その人物は地に転がる彼らに向けて手を差し伸べた。

 

 

「私達に力を貸してくださいませんか?」

 

 

 言っていることはテロリストであった。




○闇の精霊との敵対関係
・記録に残る人類史全てにおいて、闇の精霊と人間は敵対関係にあるとされる。
・訓練された人間は、闇の精霊の気配をある程度感じとることが出来る。
・闇の精霊の支配者とされる『闇の精霊王』は過去一度も討伐されたことがない。(封印はされてた)
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