転生した兄弟姉妹、透き通る世界に転移する   作:五式荒鷲 

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もう、4月が目前に迫ってきました(前回の投稿から3ヵ月以上経過)。


閑話:ロナーヘルメット団本部にて

アビドスで先生達がカタカタヘルメット団前哨基地を襲撃した日の夜。

 

~ロナーヘルメット団本部・団長室~

 

 ロナーヘルメット団本部の団長室ではロナー、運び屋、セラがそれぞれ持ちよった酒とつまみを丸テーブルに並べて囲むように椅子に座っている。

 

「んじゃ再会を祝して、乾杯!」

 

「「乾杯!」」

 

 ロナーの掛け声と共に酒やジュースの入ったコップを掲げてお互いにコップをぶつけると、三人はコップの飲み物を一口飲む。

 

「かぁぁぁぁッ!ウォッカもいいがウィスキーもやっぱいいな!」

 

 そう言ってロナーはつまみのスモークチーズを頬張る。それを見ながらセラはビーフジャーキーを食べてビールを煽り、運び屋はあたりめを食べながらコーラを少しずつ飲む。

 

「ああそうだ、兄さん。モシン・ナガンの使い心地と“ヘッドハンター”*1の性能はどうだった?」

 

 飲んだばかりなのに既に顔がほんのり赤いロナーが運び屋に提供した武器と弾薬を使用した感想を聞く。

 

「そうだな、銃に関してはボルトアクションだから連射できないのとマガジン容量が少ないところ以外は問題ない。変な癖もないし扱いやすかったぞ。弾薬に関しては、文句のつけようがない。不良生徒を一発で必ず気絶させれたからな」

 

「そうか、そりゃ良かった」

 

「だが、何でモシン・ナガンなんだ?SVD(ドラグノフ)とか、セミオートライフルがあったろう?」

 

「確かにSVDSやSVU-Aがあったけど命中精度の高い銃を希望したのは兄さんだろ?SV-98は俺専用に調整してたからそれ以外だとモシン・ナガンしか無かったんだ」

 

 そう言ってウィスキーをグラスに注いでストレートで飲むロナー。そして二人の会話を聞いていたセラはロナーに向かって問う。

 

「モシン・ナガンは分かるけど、ヘッドハンターって何?」

 

「S.T.A.L.K.E.R. Anomalyの大型Mod、Escape From Pripyatに登場する7.62×54mm弾の特殊弾だ。頭部に命中させれば一撃で相手を倒せる」

 

「へぇぇ………ん?」

 

 スタルカーの説明を聞いて、セラは理解したがその直後に首を傾げる。

 

「どうした?」

 

「いや、『一撃で相手を倒せる』ってことはさ、生徒は気絶で済んでも“普通の人”の頭に弾が当たったらどうなるの?」

 

 セラの疑問にロナーと運び屋は顔を見合わせて頷き合うと、セラに顔を向けて答える。

 

「「君のような勘のいい女は嫌いだよ」」

 

殺すぞ?

 

「「すいませんでした」」

 

 ふざける二人にセラはベルトの右側に取り付けたホルスターからスナノーブS&W M500を取り出して脅す。さすがにふざけすぎたと思って二人はすぐに謝った。そして、二人はセラに正座させられて尋問を受けることになった。

 

「あの、セラ?今は祝いの席だから後ででも『カチャッ』はい!黙ります」

 

 ロナーが話題を逸らそうとするも、セラは無言でM500のハンマーを下げた事で諦めるしかなかった。

 

「で、そのヘッドハンターは人に当たるとどうなるの?」

 

 セラの質問にロナーはガクガクブルブルと震えながら答える。

 

「頭部にあたると……弾けます」

 

「弾ける?」

 

「はい。スイカに、その、セラが持ってるその銃の弾丸を、当てた時と同じように」

 

有罪(ギルティ)

 

「待て待て待て」

 

 銃口をロナーに向けるセラに運び屋が間に入って止める。

 

「何?言っとくけどクーリエ兄さんも同罪なんだけど」

 

「実は俺とアルチョムで色々実験してたんだ!」

 

「実験?」

 

「ああ!それぞれの世界にある武器やデバイス、クラフト能力とかな!」

 

 運び屋がセラに現時点でロナーと共に実験して得られた情報を伝える。運び屋のPip-Boyをロナーが使えない事やロナーの持つ特殊弾の設計図と対応するアーティファクト素材があっても運び屋のワークショップにある製造設備では作れない等をセラに伝える。

 

「じゃあ、ヘッドハンターの使用も実験の一環だってこと?」

 

「そうだ。俺とアルチョムで使用した場合の違いがないか確認するために」

 

 ジト目で運び屋の話を聞いたセラはロナーの方に顔を向ける。

 

「で、違いは?」

 

「さっきの兄さんの話からして違いは今の所無い。もう少し実験内容を変えて試す必要はあるけど」

 

 セラは二人の話を聞いて溜息を吐くと、M500をホルスターに戻す。

 

「取り敢えず、生徒に後遺症とかは残ってないよね?」

 

「ああ。今日、アビドス高校でヘルメット団に撃ったが後遺症が残った生徒はいない」

 

「分かった、この話はここまで」

 

 セラはそう言って自分の席に戻る。ロナー達も立ち上がって痺れた足をほぐしてからそれぞれの席に戻る。

 

「クーリエ兄さん、何か強い酒ない?」

 

 席に戻った運び屋にセラが聞くと、Pip-Boyを操作して所持品を調べる。

 

「そうだな、ラム酒はどうだ?それ以外だとスピリタスもどきしかないけど」

 

「スピリタスもどきってなんだよ」

 

「純度100%のアルコール」

 

 ロナーの問いに答えながら運び屋はテーブルにラム酒を出現させてセラに渡す。セラはビールを飲み干したコップにラム酒を注いだ後にサイダーを入れたサイダー割で一気に飲む。

 

あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙、効くぅぅ!

 

「おぉい!一気に飲むな!」

 

「あはー♪一回やってみたかったんだよねぇ♪」

 

 一気に酔っぱらうセラに、今度はロナーが溜息を吐く。セラはまたサイダー割ラム酒を作っている間に運び屋がセラが乗ってきたFT-17について質問する。

 

「そういえば、FT-17に載せてるエンジンはなんだ?明らかに本来のエンジンとは違うのが載せられてるみたいだったが」

 

 運び屋はFT-17の拡張されたエンジンルームに搭載されたエンジンについてセラに聞く。セラはサイダー割ラム酒を一口飲んで酔って若干呂律が回っていない口で答える。

 

「あ~、ミーティアのしぇてる~」

 

 その言葉に運び屋は聞き覚えのある名前に首を傾げ、隣でウィスキーを飲んでいたロナーは思いっきり吹く。

 

「うぉ、汚ねぇ!突然どうした?」

 

「ウエッホッ、ウエッホッ。おい、ミーティアって“ミーティアエンジン”*2の事か?」

 

「ミーティアエンジン?……あ!ミーティアエンジンってスピットファイアに載せてた航空機用のマーリンエンジンを戦車用にしたエンジンか!」

 

 思い出した運び屋の言葉に頷くロナー。そして、二人はFT-17の異常なスピードの理由に納得する。本来のFT-17に載せているエンジンは40馬力しかないのに対し、ミーティアエンジンの馬力は600馬力。単純計算で15倍の馬力があるのだ。

 

「てか、どうやってそんな高出力エンジン持って来たんだ?」

 

「クロムウェルから~はじゅしてのしぇら~」

 

「ああ、納得。なら、車体側面の円筒状のタンクは予備燃料タンクか」

 

「せ~いか~い」

 

 セラは製造したクロムウェルからミーティアエンジンを外してFT-17に載せたようだ。また、航続距離確保のため、車体側面に予備燃料タンクを取り付けたりと改修を施している。ちなみに予備燃料タンクはソ連のT-34に搭載されている予備燃料タンクを参考に再設計したものを取り付けている。

 

「なぁセラ、お前いったい何両の戦車を作ったんだ?」

 

 冷や汗をかいてコップの中のウィスキーを見つめながらロナーがセラに聞くが反応がない。ロナーがセラに視線を向けると、テーブルに突っ伏していた。運び屋が近付いて調べると酔っぱらって眠ってしまったようだ。

 

「戦車を何両作ったかに関しては後で聞くしかないな。それに時間もそろそろ頃合いだ」

 

 そう言って部屋の壁に立てかけてある時計に運び屋、続いてロナー目が向ければ午前0時を過ぎていた。運び屋はセラを抱きかかえてソファーに向かい、寝かせる。そしてロナーと運び屋はテーブルの後片づけをしながら話をする。

 

「兄さんは戦車持ってるの?」

 

「一応、戦前の博物館に残されていてレストアできた各種M4シャーマン九両と何故か設計図が存在するM110 203mm自走榴弾砲一両がある。自走砲に関しては量産可能だ」

 

「マジか。あぁ、俺も戦車欲しいなぁ」

 

 後片付けをしながら運び屋を見て呟くロナー。そんなロナーに運び屋はあっけらかんと答える。

 

「シャーマンならいいぞ」

 

「ホント!」

 

 運び屋の返答に喜ぶロナーだが、運び屋は「ただし」と前置きを置いて告げる。

 

「砲弾は無いし、機関銃の弾薬もM2重機関銃の.50口径弾しか提供できない」

 

「え?なんで?」

 

 ロナーの問いに運び屋は説明する。

 

 まず、砲弾に関しては300年以上前のものであることと核戦争で設計図が恐らく消失しているため、運び屋自身で製造できないこと。

 機関銃の弾薬に関しては、M4シャーマンに搭載されている機関銃はM2重機関銃とM1919中(汎用)機関銃二~三挺。そして、M1919の弾薬は30-06(7.62×63mm)弾に対し、運び屋が持っている弾薬は.308口径(7.62×51mm)弾のため互換性が無く使用できない。

 

「てことは、砲塔の銃架に搭載してるM2重機関銃だけしか使えないってことか」

 

「さらに言えばシャーマンの確か二両がM2重機関銃用の銃架が無いし燃料も無い。燃料に関してはこっちの世界で手に入るはずだから問題ないだろう。一番の問題は砲弾とM1919の弾薬確保だ」

 

「でも、ブルアカのアニメじゃ“プーマ”*3が登場してたから、探せばあるんじゃないか?」

 

「あったとしても値段が高い……いや、ブルアカに登場する戦車が第二次世界大戦レベルの車両だったから案外手に入りやすい、のか?」

 

 運び屋は自身の前世と今世の技術レベルとブルアカ世界の技術レベルを思い出して考察する。そして、戦車に関してはブルアカの方が技術的に低いことを思い出して砲弾と弾薬が入手しやすのではないかと予想する。

 

「まぁ、無理ならセラに頼めばいいだろ」

 

「え?なんで?」

 

 運び屋の呟きに同じ質問をする。運び屋は溜息をついて説明する。

 

「セラの乗ってきたFT-17に搭載された機関砲に使われている弾薬が13.2×92mm TuF 弾だった。この弾薬は第一次世界大戦中に開発された弾薬だ。それにFT-17に載せたミーティアエンジンをクロムウェル巡航戦車から載せ替えたって言っていただろ?そして、セラの持っているS&W M500 は2000年代に開発・製造されたリボルバーだ。それらを踏まえてクロムウェル巡航戦車も戦力化することを前提で製造したと仮定すれば、セラは第一次世界大戦から2000年代までに登場した戦車用砲弾や機関銃、拳銃の弾薬も製造できると思う」

 

 運び屋の説明を聞いてロナーは納得する。「ただ」と運び屋は再び前置きを置いて言う。

 

「セラの立場(ヴァルキューレ警察学校公安部特別顧問)とアルチョムの立場(ロナーヘルメット団団長)を考えれば、難しいと言うか無理じゃないか?」

 

 方や警察組織、方や犯罪(多分)組織に所属してる身である。一応、ロナーは運び屋と同じくシャーレの臨時顧問だがそれはそれ、これはこれである。

 

「だから表立って製造・提供はできないと思うぞ」

 

「……地道にブラックマーケットとかで探して手に入れるしかないかぁ」

 

 ロナーは遠い目をしながら呟くと再び溜息を吐いた。

 

 

 

 

 

 それはそれとして、運び屋からM4シャーマンを三両提供してもらったのだが。

 

*1
7.62×54mm“Headhunter”マッチ弾

7.62×54mm弾の高精度バリエーションで、フラットノーズのため中・長距離で高い集弾性を誇る。この弾は、正確さと精度が重要な競技用射撃に使用されるため これらの弾はすべて全く同じになるように慎重に作られている。フラットノーズ弾は、優れた重量配分とターゲットにきれいな穴を開けるために設計され、最大限の空気力学的性能を保持するためにプラスチックプラグが先端に付けられている。装甲貫通性能には欠けるが フラットノーズに よる衝撃の強さは致命的な脳震盪を引き起こすのに十分である。実際にスナイパーによると、この弾丸でヘッドショットをするとターゲットの頭部が致命的にへこみ、ほとんどの場合即 死すると言う。このような弾丸を適切に使用するには、高いスキルが要求される。(原文ママ)

*2
ロールス・ロイス ミーティア

ロールス・ロイス社が戦車用のエンジンとして航空機用のマーリンエンジンを元に開発・生産した高出力エンジン。

*3
Sd Kfz 234/2 “Puma”

第二次世界大戦中のドイツで開発された8輪重装甲偵察車 Sd Kfz 234 のバリエーションの一つ。武装は5cm KwK 39/1戦車砲が一門、同軸機銃にはMG42一挺。




実は2月の上旬にほぼほぼ完成してたんですが、次女パートが中々思いつかず。今日、次女パートなしの他3人だけのを新しく書いたら6時間足らずで書けてしまった。

レッドウィンター連邦学園のキャラの癖が強くてセリフを捻出できんかったのも大きいです(無能作者)。


長男
→次男に戦車を提供するが次男が選んだ三両で大丈夫か心配しながらアリウス分校に帰宅。

次男
→長男から戦車を三両(M4A3E2“Jumbo”、M4A3(105)HVSS、M4A3E8“Easy Eight”)提供してもらった。それぞれ盾、火力支援、遊撃に使用しようと考えたが、のちに弾薬の確保(それぞれ75mm砲、105mm砲、76mm砲)と運用に苦労することになる。

長女
→翌日、無事二日酔いになる。

次女
→5階建の豆腐建築マンションが完成する。(完成を祝した祝賀会が工務部で開かれ、特大のバケツプリンを作った。もちろん、卵と牛乳、砂糖をふんだんに使っている)
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