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この作品は未完成です。
最後まで読むことで物語は完成します。
貴方の手で物語を完成させて下さい。

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この物語は最後まで読んだ貴方の解釈で姿を変えます。
主人公がどうなったのかも貴方次第。
そしてこの物語の真意を気付くのも貴方次第です。




その者は醜かった。

 

その醜さは自身が自覚する程、その者は鏡を見ず、水面を見ず、硝子すら見ず、外に出る時には必ずフードを深く被り自らの姿を見せず見ないように徹底していた。視界の端に映り込む自らの姿に、吐き気を催す程嫌悪していた。

 

その者が立ち寄った古道具店にて一枚の鏡を見つけた。

緑の蔦のような装飾が絡み、くすんだ銀色に鈍く光っていた。

値札はついていなかった。店主は「好きに持っていけ」とだけ言っていた。どこか不気味なその鏡をその者は離すことが出来なかった。

 

 

 

その夜、その鏡を机に立て掛け眺めていると、ふと口が動いた。

 

「……この世で一番美しい人を見せてくれ」

 

誰に言った訳ではない、独り言のつもりだった。けれどその鏡は答えた。

 

銀色の鏡面が揺らいだかと思うと1人の女性が映し出された。白い肌、端正な顔立ち、引き込まれそうな瞳。その者が出会った人間の中で最も美しい人であった。

 

その者はその女性を見た瞬間、憎しみで顔を歪めた。

自身とは違い、見目麗しい姿。

胸を裂かれそうな思いも無さそうな顔。

苦しみから涙を流した事の無さそうな瞳。

その姿全てが憎かった。

 

気付けば銃を握っていた。なんの躊躇いもなく銃を鏡に向け引き金を引いた。

乾いた音が部屋に木霊する。鏡は割れておらず、鏡には何も写っていなかった。

 

翌日、号外が配られた。その一面にとある女性の訃報が載っていた。紛れもなく鏡に映った女性だった。

恐怖より、胸の奥に高揚が広がった。

 

 

 

その者はその晩から取り憑かれたように鏡に問いかけた。その度に映った人間に銃を発砲した。

翌日には訃報が届く。それを確認する度に胸の奥をなんとも言えない快感が支配した。

 

次の日も、その次の日も。

日課のように鏡に問いかけては銃を向けた。

美しいものは次々と消えてゆく、その者は部屋の中で淡々と作業をこなす機械の様に繰り返していた。

 

 

 

 

 

日々は淡々とすぎて行った。

新聞の切り抜きを積み上げ、その束は不気味な厚みを出していた。見れば見るほど胸の奥に高揚が広がるようだった。

 

鏡の前に腰を下ろし、問いかけ、突き立て、眠る。

 

気付けば、その者の日常はそれが生活の全てになった。

 

その鏡と出会ってからどれぐらいの月日が流れただろうか。

数ヶ月なのか、数年なのかもはや誰にも分からない。ただ、厚さをました記事は古びた匂いを発するようになっていた

 

 

 

------

 

 

ある日いつものように鏡に問いかけた。

 

「この世界で一番美しい人を見せてくれ」

 

鏡はいつものように答えた。その者は映された者に銃を向けた。

いつものように、ただ淡々と作業をこなすように、引き金を引いた。

 

次の日、訃報が流れた。しかし、その夜に銃声は響かなかった。

次の日も、その次の日も銃声が鳴る事はなかった。

 

鏡が最後に映したのは一体誰だったのか。

その翌日から銃声が無かったのは何故だろうか。

鏡が壊れたのか。

誰も映さなくなったのか。

 

それはきっとその鏡に問わなければ分からない。

 

鏡は今も問いを待っている。覗き込むあなたを──




最後まで読んでいただきありがとうございました。

あ〜あ、鏡を完成させてしまったね
映っちゃったよ

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