ベル・クラネル人生上映会   作:如月悠

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人生上映会

その時、僕は目を覚ました。

真っ黒で、何も見えなくて、誰もいない。神様もリリもヴェルフも命さんも春姫さんもリューさんもどこにもいない。

 

どこ、どこなの?こわいよ、くらいよ。

 

そう弱音を吐きそうなくらい、なぜかここはとてつもなく怖い。

 

『恐れないでくださいね、ベル』

 

「!!だれっ!?」

 

誰もいないはずの空間から声が聞こえてきた。息遣いも、気配も、視線も感じなかった。なのに、どうして?と、思ってしまった。

 

『怯えないで、落ち着きなさい』

 

「…………ティ、オナ……さん?」

 

『違うわよ』

 

先程とは違う声、でも確かに知り合いの少女の声がした。天真爛漫な彼女からは考えられない落ち着いた声が自分に向かって放たれる。

 

『これは、あなたの焦り、落ち着きなさい』

 

「…………ふぅ……」

 

頭がスッキリする。視界が広がる、途端に見えてくる人たちがいた。それは、七人

 

『どうですか?見えますか?』

 

「……みえ、ます……?レフィーヤさん?」

 

『違いますよ、ベル(兄さん)

 

「?……兄さん?」

 

見えたのは、知り合いでしか無かった。いや、でも少し違った。レフィーヤさん、ベートさん、がレスさん、ティオネさん、ティオナさん、リューさん、そして、アイズさん。

 

『私たちは貴方の知り合いに似ているだけあって、その本人たちではありません』

 

「……なるほど……?」

 

『ふふ、信じられない、という顔ですね。ベル、今貴方の知り合い達は劇場に居ます』

 

「……劇場?」

 

『はい』

 

アイズさんに似ている人が1歩前に出て説明をしてくれる。アイズさんより表情豊かで物腰が柔らかい人、だと思った。

 

『演目は───ベル・クラネル人生上映会』

 

「!!?」

 

『とある私たちの知り合いが勝手に画策したことです。あなたのすべてを見せるつもりですよ』

 

「……その人はなんで、そうしようと」

 

『簡単です、貴方が駆け抜けた軌跡を、知って欲しいから。そんなエゴ』

 

アイズさんに似ている人はそういった。

 

『ですが、その上映会にあなたをさんかさせるつもりがない。全てを知る権利はあなたにもあるはずなのに、見せるつもりがない』

 

「……だから?」

 

『賢いですね、だから───私たちは、貴方にとあるとのをみせたいんです。私はアリアドネ、あなたを勝手にここに連れてきてしまって、すみません』

 

微笑んでくれた。アイズさんに似ている人の名前をアリアドネ、といった。ん?アリアドネ?

 

『あなたの軌跡を見せるなら、自分のも見せられることを考えないあの人が悪いんです。』

 

唇をとんがらせて、そういう。

 

『二本立ての構成を考えているんです。あなたの軌跡と比べると短い話かもしれませんが、ご容赦くださいね、ベル』

 

「…………演目は?」

 

そう口が開いていた。アリアドネさん達は優しく微笑んで言った。

 

『……最初の演目は、道化の話、勝手に謳う、愚かな道化師のお話です。』

 

そして、言う。

 

『第一の演目、『真実(アルゴノゥト)』』

 

と、その瞬間、僕の意識はシャットアウトした。

 

 

[newpage]

 

 

 

「もう、やめてやれ」

 

ザルドは言った。アルフィアに、するとすごい剣幕でこちらを睨んでくるアルフィア。

 

「なぜ辞めねばならん」

 

ヘスティア・ファミリアでさえ、もうドン引きの域だった。肋骨は何本折れ、酷い顔になって、もう反抗すらしてなかった。というか、ベルがあの後ダンジョンに夜どうし潜ってボロボロになった、というところでアルフィアはまたヒートアップした。

 

「ここでは人は死なん、私の病も、お前の毒も起こってないだろう。まだ息がある。そういう世界だとわかったはずだろう?」

 

アルフィアの意見は死ななきゃ問題ない、ということらしい。とんでもない女だぁ、なんて初めて彼女と接するものたちですら、顔を顰めていた。

 

「ベルの活躍を見逃すぞ」

「……やめよう」

 

あっさりと手を引いた。ザルドは分かっていた。ベルのことを自身の妹(メーテリア)と少し重ねてしまっていると、知っていた。

 

『───待ちなさい、そこのパルゥム』

 

だが、丁度ベルは出てなかった。

 

「チッ」

『袖にしまったナイフ、それを見せて欲しい』

『リュ、リュー?』

『……何故ですか?』

 

モニターの中のリリは自分に声掛けた妖精にそう問う。

 

『知人の持ち物に似ていたので、もし良ければ確認させて欲しいのですが』

『生憎ですが、これは私のものです。あなたの勘違いでしょう』

 

反論させないようにその場から立ち去ろうとした。けれど、潔癖高潔の生真面目エルフがそれを見逃してくれるはずもない。

 

『抜かせ』

 

場が軋んだ。リリの顔に焦燥が滲み出ていた。

 

『……ッ!?』

『【神聖文字(ヒエログリフ)】が刻まれた武器の持ち主など、私は1人しか知らない』

 

とんでもない圧で脅す。モニターの中の少女がギョッとしているのが分かる。

 

「リオン、なんか……怖くなってる?」

「あの時本当にビックリしました、リュー容赦ないから」

 

二人の知己はエルフに少し視線を送る。

 

『動かないでください』

 

リリが動こうとしたその時

 

『警告はしました』

『いぎっ!?』

 

林檎が弾けた。

 

「えげつね〜」

「あなたが教えたことでしょうが!?」

「アタシはこんなことできねーよ」

「嘘をつくなぁ!?」

 

リリの顔が歪むのが目に見えてわかった。

 

『ふぎゃあ!?』

 

そして、逃げるリリ、追うリュー。困惑ばっかりシル

 

「あの時は死ぬかと思いました」

「君が悪いだろ」

「だな」

「分かってるんですよ!そんなこと!」

『リ、リリ!?』

『ふ、ふぁ……?』

 

ベルの足元に大きな音を立てて転ぶリリ。

 

「……リオン、やりすぎ」

「わ、私はいつもやりすぎてしまう……」

「リュー、大丈夫よ。リューはやりすぎだけど、まちがってはいないのだから、ね?」

「アストレア様に泣きべそかいて抱きつくかー?」

「ライラッ!!」

「あらリオン、そんなにアストレアに甘えるようになってたの!?羨ましいわ!!」

「不敬だ!不敬です!とっても不敬です!」

「リュー様が、おもちゃにされてる」

 

先程まで苦い顔をしていたリリはおもちゃにされてるリューをみて、微笑ましそうにしてる。

 

「リリルカ!?その目をやめなさい!今すぐっ!」

「春姫は感動しております!」

「春姫っ!?ヴェルフ!止めなさい!彼女たちを!」

「ふざけろぉ!なんで俺なんだよ!」

「命でもいいですから!」

「じ、自分は遠慮したく……ぷっ」

「笑いましたねぇ!?」

 

さっきから騒いでばっかりのリューを微笑ましそうに見ているヘスティア&アストレアファミリア。

 

『リュ……リュー!食べ物をあんな風に使っちゃダメ!お母さんに怒られるよ!?』

『それは、困ります……』

『あのぅ、そろそろ説明して貰えると助かるんですけど……』

「あれね!恐らく……これは、あれで、あれなのね!」

「勢いだけで喋るな、恥をかくだけだ」

「輝夜が心做しか冷たい!?」

 

そんなことを言っていると

 

『クラネルさん。あなたは今、あの黒いナイフを持っていますか?』

『あ、そうだった!?二人とも、上から下まで真っ黒なナイフを見かけませんでしたか!?』

 

思い出したかのようにベルはいう。リューとシルは視線を交わし合う。そして、黒刀の切れ味なんてないナイフを出す。

 

『これですか?』

『──うああああああああああああああああああああああああああああああぁっ!!』

 

凄まじい大声量が夕焼けの空を貫く。

 

『ありがとうッッ!!本っ当にっ、ありがとうございますっ!!』

 

その時、少年は妖精の手を包む。

 

「「「「あ、ヤバい」」」」

 

アストレア・ファミリア+アーディの声が揃う。かなりの潔癖症、同性でも少数しか触れず、触られそうになったら弾くリューの手を男が触れようものなら、とこの後の展開を予想した。

 

『……クラネルさん、その、困る。このようなことは私でなく、シルに向けてもらわなくては……』

「「「「は?(え?)」」」」

『リューなにいってるの!?』

 

受け入れている。それだけで、アストレア・ファミリア+アーディを混乱させるのは容易だった。

 

「えっ、えええええええええええええええええ!?つ、つまり、この子がリオンの!?」

「おまえ、むっつりだとは知ってたが、年下、それも14歳になんてな」

「……事案か?事案だな、逮捕しろ」

「やったわネ!リオン!でも意外だわ!年下好きなんて!リオンの年齢から逆算したら七歳差!さすがの私でもびっくりだわ!」

「トドメを指したな、アリーゼ」

「───うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

悶絶するリュー、当たり前だ。今まで考えないようにしていた、シルの伴侶とかいって、好きじゃないと思いつつ、これはどうなのか?なんて考えていたのに、まさかまさか、アリーゼ達にこんなふうにバレて、前みたいに言い訳することが出来ない。だって公開告白──

 

「ぁ……ああああああああああああああああああああああああああああああ!!私を殺せぇ!!いや!私が死ぬ!」

「ちょっ!?リオン!?」

「バカ!ここじゃ死ねねぇつっただろうが!?バカやめろ!?」

「止めるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

羽交い締めにされ、喚い続けるリュー。アーディは本当にまじで焦ってる。

 

 

 




あとがき

めっちゃ短いけど、すみません!
ここのシーンめちゃ好きで、リューさんがかっちょええってなったシーンすね。

アニメの方が好きだけど、今回は小説の方を見て書きました!コインをバーンってすごいですよねぇ
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