花がただ、咲く。どこまでも、鮮やかに。目が痛くなるくらい、眩しく。無限に花園が続く。色とりどりの花々。それに手を伸ばすことなく、黒いおんぼろカバンを枕にしてトレーナーは寝転がっていた。少し狭い空を眺め、ただ寝転がる。
「トレーナーさん」
白く光る声がした。トレーナーが振り返ると、そこにはスティルインラブが。彼女は紅茶とクッキーを持ってこちらに歩いてくる。その顔はどこか、不思議そうにしていて。
「!…スティル?」
「…後ろ髪、引かれてますか?」
どれだけの時が経ったろうか。いつからここにいて、いつ来ただろうか。分からない。
分からない彼らに、考える時間なんてものもない。後悔を抱えられるはずなどなかった。
「…まさか。後悔なんて」
「私は…あなたの顔を見て、少しだけ…あります。ユニヴァースさんにも、アルヴさんにも」
だが、少し満たされただろうか。満たされたから、前ではなく隣でもなく、後ろに引かれる。取りこぼした満ち足りないものが白く光り招く。
「そっか……俺も…あるかも」
持っていく存在は今はいない。ただ白く淡く、儚くなった今もどこかでスティルと彼は繋がっていて、感情が伝播する。
隠していた、押し込めていた後悔がふつふつと言葉として表層に現れてきた。
「でしたら、お顔だけ…見に、行きませんか?」
かくして、ほんの少しの間花園を抜け出したのだった。手を取り合い、飛んでいくかのような足取りで。
______
「ふっ…はっ…!」
ここは…学園の?
ええ…私たちがあれだけ走った、あのコースです。
あれは…ネオユニヴァースかな?隣は…エイシンフラッシュ…だったかな。
あら…ここなら、アドマイヤグルーヴさんがいると思ったのですが。…先に、ユニヴァースさんに挨拶、しましょうか
「はぁ…はぁ…っ…ふぅ…ユニヴァースさん、併走、ありがとうございました」
「ううん…ネオユニヴァースこそ、『ありがとう』を言うよ。“ダービー”、頑張って」
「はい!必ずや、栄光を掴んでみせます!」
…ユニヴァースさん、ユニヴァースさん。
「…!」
「…?どうされました?」
「ううん。なんでも、ない。…“愛”は『HPY』らしいね」
…ええ、とても幸せです。ありがとうございました…そして…ごめんなさい。お元気で。
______
あら…あれは…。
アドマイヤグルーヴ…。生徒会室で…エアグルーヴの手伝い?
隣にいる方は…ええと…ドゥラメンテさん?どういう…繋がりなのでしょう。
「すまないな、手伝ってもらって」
「いえ…構わないですよ。早く済ませて、トレーニングをしましょう」
ふふっ…アルヴさん…あんなに嬉しそうに…。
そうだね。……お別れの挨拶、しなくていいの?
えぇ。彼女は…。
「ドゥラメンテ、行くわよ。女王の走り、今日もきちんと教えてあげる」
強いお方ですから。…さようなら。私の…ライバルさん。
______
私は…挨拶したい方を一通り回りましたが…トレーナーさんは?
ん〜…俺は…1人だけ、いいかな?
はい。どなたでしょうか?
後輩を…ね。
「我が君!次のご指示を!」
「デュランダル!ごめんちょっと待ってスイープがね…」
「やだやだやだ!アタシはぜ〜ったい走んだからね!」
お、やってるやってる。大変そうだなぁ。
スイープさん…ですか。これは…確かに、大変そうですね。ですが…大丈夫かと。ほら。
「も〜スイープちゃん!お兄ちゃん困っちゃってるでしょ〜!」
「はい、オル。ドリンクだよ」
「助かるぞ姉上」
みたいだな。なんだかんだ、上手くやってるみたいだ。…こりゃ、声かけるまでもないかな。
…ですが。
いいんだ。後輩だって…思ってたけどさ。あいつのがずっとずっと…トレーナーだよ。俺がもう、声をかけられないくらいに。
…トレーナーさん。
でも、それでいい。君のトレーナーだけは、譲らなかったから。俺はそれで満足なんだ。本当に。
______
…帰ろっか。
ですね。
帰ったら、何しよっか。
そうですね…。ゆっくり、お花を眺めたいです。そして…そのままお昼寝を。いつぞやのお返しとして、今度は私の膝で…どうぞ。
奇遇だね。俺もそうしたいって思ってた。寝るなら、スティルの膝の上で。
スティルシナリオ、出会った時点で負け確定とかいうトンデモ爆弾シナリオなのを念頭に置いてるとかなり納得できるんですよね。
エ ン デ ィ ン グ を 除 い て
あと納得するのとそれを肯定するのは別なのでそこだけは悪しからず…。
語ると長くなるので控えますがまぁ…ここまで自分の中でシナリオを飲み込むという目的で二次創作したことないので少し困惑しながら書いてますが、ここで綴ったのはその納得できない部分を「俺のスティルはこうしたもんね!!」するために書きました。タイトルはじめ独自解釈まみれなんで解釈を聞きたい方は是非感想に書いていってください。
あともう一点納得できない根幹の部分をぶち壊すためのSSも近いうちに出します。
ちな書きながら聞いていた曲は宇多田ヒカルさんの『beautiful world』です