心に病を抱えた先生と、空崎ヒナのお話。


人は、助けが必要だと思う。

みんな、支え合って生きている。

先生は、変わったと思うよ。



あなたもこの小説で変われる事を、或いは変わりたいと思う事を、願っております。


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あなたに、伝えたくて。

 

 

 

きっかけは、幾つもあった。

 

 

 

 

 

「、、なに?また学校の話?はいはい、、へー、そうなの、、」

 

プルルルル

 

 

「あっ、ちょっとアンタ静かにしてて。」

 

 

 

「もしもし、、○○ちゃん!ふふ、そーなのよ〜、、」

 

 

彼女は、いつも電話に夢中だった。

 

 

 

「、、、」スタスタスタ

 

 

「、、、?」

 

 

 

 

 

「は〜、、早くあのグズと別れたいわ〜、、」

 

 

「でもグズその2が居るから、、養育費とかも、、」

 

 

 

 

 

「、、、」

 

 

 

私達は、常に互いを呪いあっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、君、言ったよね、、」

 

 

「私の事、幸せにするって。」

 

 

「この最新作のバック、、欲しいなぁ、、」

 

 

「君なら、私を幸せにしてくれる?」

 

 

彼女は、よく抱きつく人だった。

 

よく愛を囁き、それを確かめようとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「、、なんだ、無理なんだ。」

 

 

「じゃあここで終わり。君も、私も。」

 

 

「せめて最期まで、、愛してあげるね?」

 

 

 

私達は、決して不幸ではなかった。

 

 

ただ、ちょっと、自分が道を違えただけだ。

 

 

 

 

〜 〜 〜

 

 

 

 

「、、、」スタスタスタ

 

 

私、空崎ヒナはシャーレに訪れていた。

目的は先生の手伝い。

 

 

「先生、、きちんと寝ているかしら。まぁ私が言えた事でも、無いのだけれど、、」

 

 

 

先生はまるで人形の様な人だ。

 

 

 

誰にも柔らかく微笑み、決して表情が崩れない。

 

そういう物に疎い私でさえも、はっきりと分かる程にかっこいい顔だと、、思う。

 

 

まるで作り物の様な精巧な顔に、多くの生徒は様々な想いを抱えているらしい。

 

 

 

 

 

「先生、その、ありがとうございました!」

 

見ると先生と何処かの生徒が話していた。

 

 

先生の手を握り、覆っている。

 

 

 

「先生、あの、、その、、えいっ!」

 

その生徒は決心した様に、先生の胸に飛び込んだ。

 

 

 

、、一応ここは他の子達もいるのだけど、、

 

 

 

「、、ふふ、元気だね。」

 

だがそんな事をしても先生の顔には変化がない。

 

 

 

 

 

「、、むすー、連れないの。じゃあね!先生!」

 

私の横をその生徒は駆けていった。

 

 

 

 

私はシャーレに入る。

 

 

「先生?来たよ?」

 

 

静かなシャーレに、独り。

 

 

 

先生はどこへ行ったのだろう?

 

 

 

 

「、、ぅ、、、ぉぇ、、」

 

 

何処か遠くで、くぐもったような声が聞こえた。

 

 

 

 

「先生、、、?」

 

 

「そこで何してるの、、?」

 

音のした方へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、、はぁ、、うぶっ、、おえっ、、」

 

先生は、そこにいた。

 

 

 

「、、、!?先生、、!?」

 

 

 

「ぇ、、ぁ、?ひな、、?」

 

恐怖に満ちた顔が、見えた。

 

 

 

 

 

「な、なんで、、ダメ、見ないで、、!」

 

その声は、拒絶に満ちていた。

 

 

 

 

 

「、、、分かった。落ち着くまでゆっくりしてて。」

 

なにかはわからないが、今の先生は拙い。

 

 

 

誰とも会ってはいけない気がする。

 

 

 

 

部屋の電気を消し、先生は外出中だという事にしておいた。

 

その旨を伝えるメモも、目に付くところに置いておく。

 

 

 

 

今は、、一人にしておこう。

 

先生の秘密を知った私は、心のモヤを感じながら帰った。

 

 

〜 〜 〜

 

 

ゲヘナに帰って、仕事をして、、帰宅した。

 

ご飯食べて、掃除をして、お風呂入って、、

 

 

あとは寝るだけ、、ベッドに座った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベットで横になっていると、否が応でも思い出す。

 

先生のあの様子、、初めて見た。

 

 

 

具合が悪かった?何かの病気?

 

 

いや、きっと違う。

 

 

 

 

先生は、見ないで、と言った。

 

 

恐らく誰にも知られたくないのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、、」

 

 

「先生、、大丈夫かな、、」

 

 

「、、、」

 

 

 

ピロン!

 

 

 

モモトークだ。誰から、、?

 

 

ーーーーーーーーー

 

【先生】+1

 

ーーーーーーーーー

 

 

「、、先生。」

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

   先生

   〔ヒナ、起きてる?〕>

 

 

<〔うん、どうしたの?〕

 

 

   先生

   〔少し、話したいことがあって。〕>

   〔その、、通話してもいい?〕

 

 

<〔いいよ。〕

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

「多分、、今日の事かな、、」

 

 

暫くすると、着信音が鳴った。間があったのは、先生は葛藤しているから、、かもしれない。

 

 

 

 

 

私は、ゆっくりと応答ボタンを押した。

 

 

 

 

 

 

「もしもし、、、、ヒナ?」

 

 

「こんばんは、先生。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええっと、、まず、ごめんね。今日は、その、、あんな事になってしまって。」

 

 

「別に、気にしてない。大丈夫だよ。」

 

 

「、、ありがとう。それで、、ヒナには見られた事だし、伝えておくべきかなって。」

 

 

 

 

 

 

 

「、、女性恐怖症?」

 

 

「うん。昔からね。」

 

 

「ちょっと待って、、じゃあ先生は今まで怖いのに皆んなと接してきたの、、?」

 

 

 

先生は、、シャーレの当番、学園の仕事、、毎日女性と接している。なのに、、女性が怖い?

 

 

 

 

「いや、何でもかんでも怖いって訳でも無いんだ。」

 

 

「ただ、、怖くなる行動があるんだよ。」

 

 

「、、それは、きいても、、?」

 

 

今まで、私の行動が先生を怯えさせていなかっただろうか。知れればこれからは配慮できる。

 

 

「うーーん、、例えば、だよ、、」

 

 

 

 

「スキンシップとか、距離が近かったりとか、、そういうのは、怖いかな、、」

 

 

「、、みんなが悪い訳じゃ無いんだけどね。言い出せない意気地なしの私が悪いんだし。」

 

 

「先生、、」

 

 

、、成程。あの子は手を握って、抱きついていた。先生が嫌がる事だらけだ。だからあんな拒否反応が、、

 

 

「その事を、他に知っている人は、、?」

 

 

「誰も、、ヒナだけだね。」

 

 

「私、、だけ。」

 

 

自分の心を、誰にも伝えられないなんて、、どれだけ辛かっただろうか、、想像もできない。

 

 

 

 

 

、、、じゃあ何故先生は私に話してくれるのだろう?先生がキヴォトスに訪れてからかなりの時間が経っている。今まで誰にも話せなかったなら、、

 

 

 

私にも、言えないのでは、、?

 

 

 

「あ、、ヒナ、ごめんね。いきなりこんな事話しちゃって。困惑するよね。」

 

 

「別に、これから私への態度を変えるとか、そんな事はしなくていいから。気にしないで。」

 

 

嘘だ。気にしなくていいならこんなに悲しい声色の筈がない。声が震える筈がない。

 

 

 

「ねぇ、先生、、?」

 

 

「なんで、私には話したの、、?」

 

 

「え、、?いや、だからアレを見られたから、、」

 

 

先生は本心を隠している。確信できた。

 

 

 

きっと、、本当の、先生は、、

 

 

 

 

「それなら気分が悪かったとでも言えるでしょ?誰にも言えなかったのに、なんで私だけ、、?」

 

 

「、、別にヒナだけって訳じゃ、、」

 

 

「先生、私はこの事は公表すべきだと思う。ちゃんと話して、みんなに理解して貰うべき。」

 

 

「それは、、ちょっと、、」

 

 

「、、それも、イヤ?誰かに、知られたくも無い事なの?なら尚更なんで私には伝えたの、、?」

 

 

「、、、、」

 

 

 

 

 

 

 

 

「多分だけどね、、先生は助けてもらいたいんじゃない?」

 

 

「先生の心は休まる事がなくて、奥底で助けを求めてるのよ。なんで私にしたのかは、分からないけど、、」

 

 

 

「だって、、先生、声が震えてるよ。電話越しでも、分かるくらい、、」

 

 

 

「、、ぇ、そ、そんな、、」

 

 

「ねぇ、話してみて。先生は今何を考えてる、、?」

 

 

「大丈夫。私は先生を嫌ったりしないよ。」

 

 

 

「、、、」

 

 

 

「ごめん、、もう切るね。」

 

 

「、、っ。待ってっ!せんせっ!」

 

 

 

ツーツーツー、、、

 

 

 

「、、、先生、、」

 

 

〜 〜 〜

 

 

 

「はーっ、はーっ、はーっ、、」

 

 

どうしようもなく弱い自分に、吐き気が襲ってくる。

 

私は女性恐怖症だ。ずっと、ずっと昔から。

 

 

 

 

 

 

私の事を常に蔑み続けた女性。

 

私を愛して、それ以上に自分を愛していた女性。

 

 

 

そんな人は、ここにいないと分かっているのに。

 

 

 

 

まるでずぶ濡れの服のように、脱ぐ事も叶わずひたすら私にのしかかる。体が凍えるような記憶。

 

 

 

「うぷっ、、おえぇっっ、、」

 

 

 

今日もそうだ。あの子にはなんの咎もない。ただ純粋に、自分と仲を深めようとしてくれただけだ。

 

 

 

それでも、、それでも、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(あはっ、、首、締めてあげる、、きもちーでしょ、、私と、一緒だね。)」

 

 

「(ほら、ぎゅー、、幸せ、だね?)」

 

 

 

「(ねぇ、アンタは、私に着いてくるわよね、、?ほら、手を握ってあげるわ。昔みたいに、、)」

 

 

「(あああっ!!何よ!結局アンタもそうだ!あんのグズと一緒!アンタのせいで、、アンタなんか、、)」

 

 

 

「(アン#なんか#まなけ##よか##、、)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「、、、、」

 

私は、独りぼっちだ。改めて、そう感じた。

 

 

 

「は、ははは、、」 

 

心が嫌に鼓動を立てて、生きている証左を示してくる。うるさい、うるさいうるさい、、

 

 

ヒナとの通話を切ってしまったのは、少しだけ後悔した。あの子は、私を理解してくれようとしたのに、、

 

結局私は逃げることしかできない。

 

 

あの子と会った時から、不思議なものを感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私なんかより何倍もかっこよくて、目は透き通っていた。繊細な所もあって、でも自分で立ち上がって見せる。

 

 

あぁ、きっと私は、憧れていたのかな、、

 

 

でも、ヒナにも、みんなにも、迷惑はかけられない。これは私の問題だから。

 

 

 

でも、なんだろう。

 

 

 

孤独なんて、いつも感じて来たのに。

 

 

 

 

今日は、いっそう寂しい。

 

 

 

 

 

心にぽっかりと穴が空いて、、そこを冷たい風が通っていく。

 

 

 

どくどくと唸る心臓とは裏腹に、思考は冷たく冷静で。何処までも自分に嫌気がさす。

 

 

逃げ出してばかりで、人を頼る事も自分で解決する事もできなくて。ただただうずくまってばかり。

 

 

 

、、なんだか疲れた。

 

 

 

私はふらつく足取りでシャーレ屋上へと向かう。

 

 

さっき「切った」から、血が溢れて床を汚す。

 

 

 

 

キヴォトスの夜空は、満点の星空だった。街の灯りと合わさって幻想的に見える。

 

 

喉の奥が渇いて、体の末端が痺れる。もう、目を開けているのも辛い。手すりに寄りかかった。

 

 

この星空は、私には似合わない。

 

 

 

 

 

暫く何も考えずに、血が失われる感覚に没頭した。

 

 

まだ生きている感覚と、段々と死んでいく感覚。二つは私を何処か安心させる。させてしまう。

 

 

ふと立ち上がり、シャーレの下を見下ろす。

 

 

 

遥か下の地面が、その先の世界が、私にはまるで天国にも地獄にも感じられた。

 

 

 

「助けを求めてる、、か。」

 

 

ふとヒナの言葉が蘇る。

 

 

 

あぁ、そうだよ。ヒナ。私は誰かに、手を差し伸べてもらいたかった。誰かに、私を知って欲しかった。

 

 

でも、現実は残酷で、、優しい。

 

 

 

私を救ってくれるヒーローは何処にもいなくて。でも、居なくても、、私は道を進んだ、、進めた。

 

 

だがもうその道は途切れた。真っ暗で、今にも落ちてしまいそうだ。寒い、、

 

 

 

 

 

 

 

「ヒナ、、怖いよ。」

 

 

か細く、呟いた。

 

 

 

「ヒナ、、疲れたよ。」

 

 

私が憧れた、ヒーロー。

 

 

 

「ヒナ、、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助けて、、、」

 

 

 

ゆっくりと、空中に身を投げ出す。

 

ひゅうっ、、と、強い風が吹いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生っ!!!」

 

 

シャーレのガラスを破って、ヒナが飛び出して来た。そのまま、小さな腕で受け止められた。

 

 

ヒナの翼が大きく広がり、風を受けて切る音が聞こえる。

 

 

 

そのまま、空を泳いだ。

 

 

 

〜 〜 〜

 

 

「はあっ、、はあっ、、」

 

先生を受け止めて、少し空を滑空して、何処かで地面に降りた。

 

 

 

「先生、、助けるよ。私も、助けてもらったから。」

 

先生のか細い声。確かに聞こえた。

 

 

 

あの後、すぐに家を飛び出してシャーレに向かった。

 

あのままだと先生に二度と会えない気がしたから。

 

 

 

「先生、、帰ろう?」

 

 

「そしたら、、お話しよう。」

 

 

「大丈夫、、大丈夫だからね、、」

 

 

先生には傷があった。多分、偶然できたものではない。

 

応急処置を済ませ、背負って歩く。

 

 

 

先生が起きたら、叱らないと。

 

先生は、自分は要らないって、考えたのかな。

 

 

 

先生が居たから、みんな生きてる。楽しく過ごしてる。そんな日常の為に、動いてくれる先生が居るから。

 

 

でも、そんな先生が苦しんでいるだなんて、、

 

 

「絶対に、助けるから、、」

 

 

〜 〜 〜

 

 

「、、、ん、、」

 

ゆっくり、目を開けた。

 

 

「先生、、起きた?」

 

側で見守ってくれている、誰かがいる。

 

 

「、、、ヒナ。 、、なんで、、」

 

 

「先生、、びっくりしてるかも知れないけど、答えて。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「、、なんで、、なんで、あんな事したのっ!!」

 

 

「なんでっ、、一人で消えようとするのっ!!!」

 

 

「どうして、誰にも話してくれないのっ!!!」

 

 

 

 

「、、、」

 

 

 

「先生、、言ったよね。助けてって。」

 

 

「もっと、大きな声で言っても良いの!生徒に頼っても良いの!吐き出して良いの!だから、だから、、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一人で行こうと、、しないでよ、、」

 

 

 

「ヒナ、、」

 

 

 

「辛い時は辛いって言ってよ、、誰も、先生の事を嫌いになったりしないよ、失望しないよ、怒らないよ。」

 

 

「こんなにぼろぼろになるまで、、一人で抱え込まないでよ。自分を、、嫌いにならないでよ。」

 

 

 

私の言葉を受け止めて、先生の顔が歪み始める。瞳が潤んで、今にも泣き始めてしまいそうだ。

 

 

 

「ひな、、わた、わたし、、」

 

 

 

先生の背中が震える。今までの恐怖を、押し留めていた感情がどろどろと溢れて流れていく。

 

 

 

「大丈夫。私も、みんなも、先生が大好きだから。どんな先生も、受け入れるから。」

 

 

 

断りを入れて、先生の背中をさすった。その体はとても冷たくて、暖めてあげたかった。

 

 

 

「ごめん、、ごめんっ、、」

 

「うっ、、ひぐっ、、」

 

 

 

「泣いてもいいのよ、先生。泣きたいなら、、」

 

 

 

「ひなっ、、みんなっ、ごめんっ、、ごめんなさいっ、、ぐす、、ひぐっ、、うううううっ、、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜 〜 〜

 

 

 

 

「、、、」コンコンコン

 

 

ガチャ、、

 

 

「、、こんばんは、ヒナ。」

 

 

「こんばんは、先生。」

 

 

あれから、結局先生は自分の事を他の人に知らせはしなかった。それが先生の選択なら、私は尊重する。

 

 

そのかわり、、

 

 

「じゃあ、今日は手を握ってみよう。先生。」

 

 

「、、わかった。」

 

 

ぎゅ、、

 

 

私の部屋で、秘密の特訓をするようになった。

 

トラウマに、勝つ為の特訓。

 

 

 

「手を触ってみて、、どんな感じ?」

 

 

「、、柔らかくて、白くて、、綺麗。」

 

 

「嫌な感じする?」

 

 

「今はしない、、」

 

 

ぎゅっ、、さわ、さわ、、

しゅり、、しゅり、、

 

 

 

「、、うん。手はもう大丈夫そう?」

 

 

「、、うん。もう怖くない、、かも。」

 

 

「わかった。偉いね、先生。」

 

 

「ありがとう。」

 

 

先生が笑った。それは今までの微笑みとは違って、少し不器用な笑みだった。だからこそ、本心だとわかる。

 

 

 

 

「じゃあ、次は見つめ合ってみよう。」

 

 

「、、頑張る。」

 

 

「いくよ?」

 

 

じーっ、、

 

 

「目を逸らさないで、先生。」

 

 

「そ、そうは言われてもっ、、」

 

 

「、、先生の目、綺麗だよ。汚れてないよ。だから、、もっと見せて欲しいな、、」

 

 

「、、んん、、」

 

 

 

先生は恥ずかしそうに唸って、、私の方を向き直した。

 

 

先生の目。いつもみんなを見守ってくれる、優しい目。曇ってなくて、、ちょっと、恥ずかしそう。

 

 

「先生は、、私の目。どう感じる?」

 

 

「、、綺麗な紫色で、、空みたいに澄んでる。」

 

 

「そう。怖い?」

 

 

「、、ちょっとだけ。」

 

 

「わかった。もうやめとく?」

 

 

「いや、、あと少し、、」

 

 

 

終わりというのは、こんなものなのだろう。

なんというか、、静かだ。

 

 

ただ、静かに、お互いだけを感じる。

確かに、何も変わっていないかも知れない。

 

 

でも、先生は、変わった。

私にだけだけど、甘えてくれる。

 

 

 

「、、んぅ、、」

 

 

「眠いの?先生、お仕事頑張ってるからね。」

 

 

「どう?私の膝、、使う?」

 

 

 

ぽんぽんと、膝を軽く叩いた

 

 

 

「、、、うん。」

 

 

ぽすっ、、

 

 

「ふふっ、、先生、かわいいね。」

 

 

「、、かわいくないよ、、」

 

 

「、、ん。お耳、汚れてるよ。ちゃんと掃除しておかないと、、」

 

 

綿棒を取り出す。

 

 

「、、恥ずかしいよ。」

 

 

「、、ダメ?」

 

 

「、、ううん、ヒナなら、、」

 

 

 

 

 

「ふふ、ありがと。じゃあ、動かないで。」

 

 

 

こし、、こし、、

 

ぞり、、ぞり、、

 

 

「どう?気持ちいい?」

 

 

「、、きもちい。」

 

 

 

今まで、見たこともない先生。

でも、どんな先生も、先生なんだ。

 

 

先生は、いつかきっと自由になれる。

だって、先生は誰かを助けれる人だから。

 

 

みんな、先生を大切に想ってる。

 

 

 

もちろん、、私もだけれど。

 

 

 

 

 







終わりです。

この小説を見てくれた、全ての人に感謝を。

そしてあなたの日々が、少しだけ幸せになりますように。

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