十二月も初週が終わり、世界は急速にその色彩を失い始めた。重く垂れ込めた鉛色の雲が空を覆い、時折、ちらちらと舞う白いものがアスファルトを薄く湿らせる。そんな本格的な冬の到来を告げる一日、僕はエリの部屋の、暖かなリビングで床に座り込んでいた。
部屋の中央に置かれたローテーブルの上は、まるで森の一部をそのまま切り取ってきたかのような、生命力に満ちた混沌が広がっている。深い緑色のモミの枝、少し青みがかった銀葉が美しいブルーアイス、芳香を放つヒバ。そして、鮮やかなアクセントとなるセイヨウヒイラギの赤い実や、艶やかに磨かれた姫リンゴ。それらが、僕の手によって一つの調和ある形を与えられるのを、今か今かと待っていた。
「……ふふっ」
ソファの上で、ブランケットにくるまりながら僕の作業を眺めていたエリが、楽しそうな忍び笑いを漏らした。
「ユウ君は、この時期になると毎年、本当に楽しそうですよね。まるで、冬眠前のリスが木の実を集めるみたいに、生き生きとしています」
「まあね。年に一度の、数少ない趣味みたいなものだから」
僕は、リース台にワイヤーでヒバの枝を固定しながら答えた。自分の口角が緩んでいるのは自覚していた。彼女の言う通り、僕は今、最高に機嫌が良かった。
「中学の頃からそうでしたね」とエリは、懐かしむように目を細めた。「ユウ君のお母様が言っていました。『裕介は普段、全く物を欲しがらないのに、クリスマスの時期だけは、どこで見つけてくるのか、小難しい名前の植物のリストを渡してきて、あれこれおねだりしてくれるから嬉しい』って。わたしのご両親も、ユウ君から年に一度のリクエストが届くのを毎年心待ちにしているんですよ」
エリのご両親は、世界中を飛び回る仕事柄、各国の珍しいものに触れる機会が多い。僕が何気なく「本場のクリスマスリースって、どんな材料で作るんだろう」と呟いたのをきっかけに、彼らは毎年この時期になるとヨーロッパ各地から最高級の花材を空輸で送ってくれるようになった。あまり甘えすぎるのは良くないと思うのだけれど、本場のモミの香りの誘惑には勝てず、毎年ありがたく欲しい花材のリクエストをさせて貰っているのだった。
「日本で買える材料も多いんだけどね。でも、やっぱり本場の素材に触れると気分が上がるんだよ。このモミの木の深くて清々しい香り、日本のものとは少し違うんだ。それに、このセイヨウヒイラギの実の赤の色合いも、ほら、すごく鮮やかだろ?」
僕は、まるで宝物を自慢する子供のように、つやつやと輝く赤い実を一つ、彼女に見せてやった。エリは僕の手からそれを受け取ると、愛おしそうに指先で転がしている。
「本当ですね。宝石みたいです」
彼女の視線が、テーブルの隅に置かれたカゴの中の、白く化粧直しされた松ぼっくりに向けられた。あれも、僕が公園で拾ってきたものを丁寧に下処理し、薄めた白い塗料で雪化粧を施したものだ。エリは、その一つを指でつん、とつついて、その硬質な感触を楽しんでいるようだった。
「今年はアドベントカレンダーも用意したんだ。一日一つずつ窓を開けていくやつ。イブの日には二人でお菓子の家も作ろうね。設計図はもう僕の頭の中にあるし、材料の準備も始めてるんだ」
「まあ、ヘクセンハウスまで。ユウ君は、本当にクリスマスがお好きなんですね」
「クリスマスはやっぱり特別だよ。子供のころからずっと大好きなイベントなんだ」
僕はそう言って、次々と緑の枝をリース台に巻きつけていく。土台となる緑の環が、少しずつ豊かに、そして生命感あふれる姿になっていく。その作業に没頭していると、ふと、エリが静かな声で問いかけてきた。
「ユウ君」
「ん?」
「どうして人間は、これほどまでに『木』という素材を愛で、特別な意味を見出してきたのでしょうか。クリスマスツリーも、このリースも、その根源には、木々に対する人間の根源的な感情があるように思えるんです。それは、一体どこからやってくるのでしょう?」
始まった。僕のささやかな趣味の時間は、今、エリという名の触媒によって、人類と森林が紡いできた数万年の歴史を巡る壮大な知的冒険へとその扉を開こうとしていた。僕は、ワイヤーを持つ手を動かしながら、森の香りが満ちるこの部屋で、彼女の問いに意識を集中させた。
エリは、ソファの上で少しだけ体勢を立て直すと、まるで遠い記憶の森を散策するかのように、静かに思考の糸を紡ぎ始めた。僕は手を動かし続け、彼女の言葉に耳を澄ます。緑の葉が織りなす環が、僕の手の中で少しずつその密度を増していく。
「まず考えられるのは、生命そのものの象徴としての役割です。古代の人々にとって、森は食料や資源を与えてくれる恵みの場であると同時に、方向を見失えば二度と戻れない畏怖の対象でもありました。そして、その森の中心にそびえ立つ大木は天と地を結ぶ宇宙の柱のように見えたのではないでしょうか」
彼女の言葉は、僕たちのいるこの現代的なマンションの一室から、時空を超えて神話の世界へと僕の意識をいざなう。
「北欧神話における世界樹『ユグドラシル』のように、世界の中心には一本の巨大な樹木が存在し、その枝が天を支え、根が冥府にまで伸びている、という神話は世界中に見られます。樹木とは、人間が暮らすこの地平の世界と神々が住む天上の世界、そして死者が眠る地下の世界、その三つを繋ぐ唯一の梯子であり、宇宙の秩序そのものだったのです」
「天と地を結ぶ梯子、か。壮大な話だね」
「はい。そして、その中でも『常緑樹』は特別な意味を持っていました」とエリは続けた。「冬になり、他の木々が葉を落として死んだかのように見える中で、モミの木やヒイラギのように一年中緑の葉を茂らせている木々は決して尽きることのない生命力の象徴と見なされたんです。古代ヨーロッパの冬至祭では人々は常緑樹の枝を家に飾り、太陽の力が最も弱まるこの時期に生命力が衰えないように、そして、やがて来る春の再生を願う魔除けとしたそうです。クリスマスにツリーを飾ったり、このリースを作る習慣も、その古代の信仰が起源になっていると言われています」
エリは、僕が作っている緑の環を指さした。
「この『輪』という形もまた、重要です。始まりも終わりもない円環は『永遠』や『生命の循環』を象徴しています。つまり、私たちが今作っているこのリースは、常緑樹の永遠の生命力と円環の持つ永遠性、その二つのシンボルを組み合わせた、非常に強力な『生命賛歌』の装置なんですよ、ユウ君」
「生命賛歌の装置、ね。君らしい表現だな」
僕は苦笑しながらも、彼女のその解釈に深く納得していた。ただの飾り物だと思っていたこの緑の輪が、にわかに数千年の歴史を持つ神聖な儀式のための祭具のように思えてくる。
「でも、エリ」と僕は、少しだけ視点を変えてみた。「そういう神話的、象徴的な意味合いももちろん大きいんだろうけど、もっと単純で実用的な理由もあったんじゃないかな。つまり、木は、僕ら人類がその歴史の始まりからずっと付き合ってきた、最も身近で、最も重要な『素材』だった、ということだよ」
僕はリース台の緑の土台が完成したのを確認すると、次に雪化粧を施した松ぼっくりを手に取った。その配置バランスを考えながら、僕は自分の考えを言葉にしていく。
「火を使い始めた人類が、最初に手にした燃料は間違いなく枯れ木だったはずだ。夜の闇を照らし、獣から身を守り、そして食べ物を加熱調理することを可能にした火。その源は常に木にあった。最初の武器だって、きっと木の棍棒か、先端を尖らせただけの槍だっただろう。そして、雨風をしのぐための最も原始的な小屋も、木の枝や葉を組んで作られたはずだ。衣食住、そして安全。その全てにおいて、木は人類の生存に不可欠な、切り離せないパートナーだったんだ。人類の文明は森の中から生まれたと言っても過言じゃない」
「……なるほど」とエリは、僕のその現実的な視点に深く頷いた。「確かに、どんなに壮大な神話や信仰も、人々の具体的な生活という土台がなければ生まれません。木が生命の根幹を支える最も重要な資源であったからこそ、人々はそこに神聖さや特別な意味を見出すようになった。それは、とても説得力のある考え方です」
彼女は、僕がリースに松ぼっくりをワイヤーで固定していく様子を興味深そうに見つめていた。その瞳は、まるで僕の手の中にある松ぼっくりという小さな物体から、人類と森林の壮大な共生の歴史を読み解こうとしているかのようだった。
「そして、その『素材』としての木の特性が、それぞれの地域の文化や人々の精神性にまで深い影響を与えていったのかもしれませんね」
エリの思考は、再び彼女の得意とするより抽象的で文化的な領域へと飛翔を始めた。
「例えば日本の建築を考えてみてください。ヨーロッパが石やレンガで堅牢な建物を作ってきたのに対し、日本では伝統的に木が主要な建材として使われてきました。それは、日本が地震の多い国であることや、高温多湿な気候に適応するためだった、という実用的な理由もありますが、それだけではないように思うんです」
彼女はソファからそっと立ち上がると、僕の隣に静かに座り込んだ。そして、テーブルの上に並べられたヒバの枝を一本、そっと手に取った。
「木という素材は、石と違って永遠ではありません。どんなに頑丈な木材もいつかは朽ちていきます。ですが、それは再生することもできる。伊勢神宮が20年ごとに社殿を建て替える『式年遷宮』という儀式がありますけど、あれは技術を次の世代に継承するという目的と同時に、木という素材が持つ『死と再生』のサイクルを儀式として受け入れているようにも思えるんです。全ては移ろいゆき、やがては滅びる。しかし、また新しく生まれ変わる。そういう、仏教的な無常観にも似た思想が、日本の木造建築文化の根底には流れているのかもしれません」
「なるほどね。素材が持つ時間的な性質が、そこに住む人々の死生観にまで影響を与えた、というわけか」
僕はエリのその深い洞察に感心しながら、彼女の議論を自分の思考のフィールドへと引き寄せた。
「確かに、そういう精神的な側面もあっただろうね。でも、僕の視点から見ると、日本の建築家や職人たちは木という素材の『性能』を極限まで理解し、それを最大限に引き出すための極めて高度な技術体系を築き上げてきた、とも言えるんだ」
僕は、リースに飾る姫リンゴを手に取り、その配置を入念に吟味しながら続けた。
「例えば、法隆寺の五重塔が千年以上の風雪や幾度もの大地震に耐えて今も建ち続けているのはなぜか。それは柱や梁ががっちりと固定されず、それぞれが微妙に動くことで地震の揺れを巧みに『いなす』ように設計された『柔構造』だからだ。釘を一本も使わずに木材を組み上げる『木組み』の技術もそうだ。あれは単なる伝統工芸じゃない。木が乾燥や湿気で伸縮するという性質を逆手に取り、時間が経つほどに組み手が固く締まって強度が増すように計算され尽くした、驚異的なテクノロジーなんだよ」
「テクノロジー、ですか」
「うん。ヨーロッパの石の建築が、圧倒的な質量と剛性で自然の力に『抵抗』しようとする思想に基づいているとすれば、日本の木の建築は、自然の力を正面から受け止めるのではなく、受け流し、調和することで生き残ろうとする思想に基づいている。それはシステム設計における『剛構造』と『柔構造』の違いにも似ているかもしれないね。どちらが優れているというわけじゃない。その土地の環境と手に入る素材の特性に応じて、最適な解を導き出してきた結果なんだ」
僕がそう言うと、エリは「素材が思想を形作るのか、思想が素材を選ばせるのか……まるで鶏と卵のようですね」と、楽しそうに微笑んだ。
「そして、ユウ君の言う通り、木という素材はただ構造的に優れているだけではありません」と彼女は、僕が飾り付けたヒイラギの赤い実をそっと指で撫でた。「その手触りや温もり、香りといったものが、人間の心理に与える影響も計り知れないものがあります。木材の表面にある微細な凹凸は光を乱反射させて目に優しく、その木目は自然界の『ゆらぎ』を感じさせて人の心を落ち着かせると言います。もしかしたら木というのは、私たち人間にとって、五感を通して最も心地よく情報をやり取りできる、最高の『ユーザーインターフェース』なのかもしれませんね」
「ユーザーインターフェース、か。面白いね、その例えは」
僕はグルーガンを手に取ると、熱で溶かした樹脂で配置を決めた飾りを次々とリースに固定していく。松ぼっくり、姫リンゴ、シナモンスティック、そして乾燥させたオレンジのスライス。緑の環の上に、赤や白、茶色の色彩と、様々な質感が加わっていく。
「ユウ君の手は、まるで魔法みたいですね」
隣で僕の手元をじっと見つめていたエリが、感嘆の息を漏らした。
「バラバラだった森のかけらたちが、ユウ君の手の中で、どんどん一つの生命を宿していくようです」
「ただ、全体のバランスを見て隙間を埋めているだけだよ」
僕は照れくささを感じながら答えた。だが、彼女のその言葉は僕の心を静かに満たしていく。この作業が楽しいのは無心になれるからというだけではない。エリがこうして隣で、僕の作るものを心から楽しみに、そして嬉しそうに見守ってくれている。その事実が、僕の指先に温かい力を与えてくれるのだ。
僕たちの会話は一度途切れ、部屋には心地よい静寂が訪れた。窓の外では、いつの間にか雪が少しだけその勢いを増しているようだった。暖かな部屋の中で、針葉樹の清々しい香りに包まれながらただ黙々と手を動かす時間。隣ではエリが、静かな寝息でも立てそうなほどリラックスした様子で座っている。それは、どこまでも満ち足りた、暖かな冬の午後だった。
やがて、全ての飾り付けが終わり、僕は最後の仕上げに取り掛かった。数種類用意されたリボンの中から深紅のベルベットのリボンを選び出す。これをてっぺんに結べばこの生命の環は完成だ。
その深紅の色合いは、常緑樹の深い緑と鮮やかなコントラストを描き、祝祭の気分を一気に高めてくれる。指先で蝶結びの形を丁寧に整え、ワイヤーでリースの頂点にしっかりと固定する。
「……よし、できた」
完成したリースを持ち上げると、部屋の暖かい光を受けて、緑の葉や赤い実、そして白い松ぼっくりが生き生きと輝いた。それは、僕が思い描いていた通りの、生命力と祝祭の喜びに満ちた、完璧な冬の環だった。
「わぁ……素敵です」
隣で見ていたエリが、うっとりとしたため息を漏らした。その表情は、僕のささやかな創作活動に対する最大級の賛辞だった。
だが、僕は満足感に浸る間もなく、完成したリースをそっと壁際に立てかけると、すぐにテーブルの上に残った材料に手を伸ばし、新しいリース台を手に取った。
「ユウ君? まだ作るんですか?」
エリが、意外そうな顔で僕を見る。
「そんなにたくさん作って、どうするんですか?」
「ああ。今仕上げたのはエリのご両親に贈るぶんだよ」と僕は、次の作業に取り掛かりながら答えた。「それで、今から作るのは穣星さんに贈るぶん。あの人、意外とこういう手作りのものを喜んでくれるんだ」
「まあ! 父と母、そしてお兄様にまで……きっと、とても喜ぶと思います。ありがとうございます、ユウ君」
エリは、自分のことのように嬉しそうな、満面の笑みを浮かべた。その笑顔を見られただけで、僕の労力は十分に報われた気がする。
「あとは、僕の実家に贈るぶんと、それから、この部屋に飾るぶん、かな」
「ユウ君のお部屋のぶんは、作らないんですか?」
彼女のその素朴な問いに、僕は手を止めずに、当たり前のことのように答えた。
「エリの部屋に飾ればそれで十分だろ? 去年と同じで、どうせ本格的に寒くなってきたら、君、自分の部屋から一歩も出たがらなくなるんだから。そうなったら僕もこっちの部屋で過ごす時間の方が長くなるんだし」
僕は、去年の冬のことを思い出していた。一度ソファの上で毛布にくるまったエリが、その引力圏から抜け出せなくなり、食事も勉強も全てをこのリビングで完結させようとしていた、あの怠惰で、大変だった日々のことを。
僕のその言葉を聞いたエリは、一瞬、きょとんとした顔をした。そして、みるみるうちに、彼女の白い頬が、ぽっと、ヒイラギの実のように赤く染まっていった。なんだ急に。暖房が効きすぎている事も無いと思うのだけど。
「……そ、そうですね。確かに、冬のわたしの生活圏は、この部屋のソファから半径2メートル以内に収束しますから……」
エリは、恥ずかしそうに視線を泳がせながら、もごもごと呟いた。そして、意を決したように顔を上げると、僕に向かって言った。
「でしたら、ユウ君。この部屋に飾るぶんは、わたしもお手伝いさせてください」
「お?」
それは、少し意外な申し出だった。
「いいのかい? 君、こういう細かい作業は苦手だろ?」
「はい、苦手です。ですが、わたしたちの冬の空間を彩るものですから。少しでも、その創造に関わってみたいんです」
彼女は、真剣な眼差しで僕を見つめていた。その気持ちが嬉しくて、僕は思わず笑ってしまった。
「分かったよ。じゃあ、最後の飾り付けと、リボンを結ぶところを手伝ってもらおうかな。一番楽しくて、美味しいところだよ」
「はい!」
エリは嬉しそうに返事をすると、僕の隣にちょこんと座り直した。そして、僕が次のリースに枝を巻きつけていいる僕の腕に、そっと自分の身体を寄り添わせてきた。ふわりと、彼女のシャンプーの甘い香りが鼻をかすめる。
窓の外では雪が静かに降り積もり、部屋の中は暖かく、森の香りに満ちている。柔らかな光の中で、二人で一つのものを作り上げていく。それは、映画のワンシーンのように、ロマンチックで、穏やかな瞬間、だったのかもしれない。
「……ごめん、エリ」
だが、僕は、その雰囲気をぶち壊すように、冷静な声で言った。
「ワイヤーを巻くのにちょっと邪魔だから、もう少し離れてくれるかな」
僕のその言葉に、エリは寄り添わせた身体をぴたりと固まらせた。そして、ゆっくりと顔を上げると、心の底から呆れ果てたような、深くて、長いため息をついた。
「……この雰囲気の中で、ごく自然にそういうことを言えてしまうのが、ユウ君の本当に凄いところですよね……」
「ごめんね、でも手元が狂うとリースの形も崩れちゃうから」
「ええ、ええ。ユウ君はいつも正しいです。でも、もう少し風流を理解してくれても良いと思います」
彼女はそう言うと、僕から少しだけ距離を取り、拗ねたように唇を尖らせた。だが、その瞳の奥には、いつものことだと諦めているような、そして、しょうがないなと許しているような、温かい光が宿っていた。
窓の外の寒さとは裏腹に、僕たちの部屋には、いつもと変わらない、少しだけ不器用で、そしてどこまでも温かい空気が満ちていた。このリースが全て完成する頃、僕たちの冬は、本格的にその始まりを告げるのだろう。