東方怪異譚ーLegend of vampireー   作:根無草

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第32話ー地獄入りー

「駄目です。諦めなさい」

 

 

失礼ながら、その見た目にはおよそ不釣り合いな豪華な木製机を前に、これまた豪華な革張りの椅子に腰掛けた少女は少しだけ不機嫌そうな表情でそう告げた。

 

 

 

ーーーーあれから三途の川を渡りきった僕と萃香さんは、小野塚さんから是非曲直庁という場所への道程を教えられ(一本道だった)その建物を見つけた。

 

 

ちなみに道程を告げた小野塚さんは、足早に元来た道を(正確には川を)戻って行った…まるで何かから逃げるように。

 

 

 

その建物は入ってみるとなんというか、国会でも開かれるんではなかろうかというレベルの厳格な雰囲気に満ちた内装で、荘厳な格式高さを醸し出している…羽川あたりが好みそうな雰囲気で、どちらかと言うと僕は苦手な感じである。

 

 

そして、その最深部に当たる一際大きな木製の扉の部屋ーーー

 

 

その中で佇んでいた人物こそが四季映姫・ヤマザナドゥ、その人だった。

 

 

「ようやくお出ましですか…貴方方の事は他の死神から報告が入ってます。私に用があるそうですね?」

 

 

 

不躾ながら突然やって来た僕達を一瞥した彼女の第一声はあまりに単刀直入なものだった。

 

 

 

「なんだ、相変わらず情報が早いねぇ。なら話も早い、ちょいとこの人間をーーー」

 

 

萃香さんが余計な手間が省けたとばかりに話し始めるがしかし…それを遮るように目の前の少女は告げたのだ。

 

 

 

「駄目です。諦めなさい」

 

 

と。

 

 

そして話しは冒頭へ戻る。

 

 

「おいおい…まだ要件すら満足に伝えもしてないのにお堅いねぇ。どこまで把握してるのかわからないけど話くらい聞いたらどうなんだい?」

 

 

この人の性格を知ってなのか、萃香さんは分かってはいたけど呆れてると言った感じだ。

 

 

「話を聞けというのならまずは自己紹介のひとつもしたらどうなんですか?貴方は知った顔とはいえそちらの外来人の方は初対面ですよ?そもそも初対面どころか本来なら閻魔である私との謁見などあってはならないのです。それをここまで招き入れているというのに挨拶もできない上に一方的に話を聞けとは言語道断、良いですか?まず対話というのはーーー」

 

 

 

「おい!さっさと自己紹介!!じゃないと面倒になるぞ!!!」

 

 

目の前の四季と呼ばれる少女が饒舌に語り始めたところで萃香さんが青ざめた顔で僕に叫んだ。

 

 

成る程…小野塚さんも言っていた無駄に長いお説教とはこの事か…

 

 

 

「と、突然押し掛けてすいません!僕は阿良々木暦、高校三年生です!ここ最近幻想入りした外来人で半人半鬼の人間です!」

 

 

「ふむ…まあ支離滅裂な感はありますが大きな声での自己紹介は良しとしましょう。私は四季映姫・ヤマザナドゥ。この幻想郷エリアを管轄にする閻魔です」

 

 

閻魔と名乗る四季映姫さん。

 

そもそも地獄に担当区画がある事が既に驚きなのだけど、しかし閻魔と名乗る人物がまさか少女だとは…

 

 

いや、最早その事に関しては驚くまい。

 

逆説的に言えば当然なのだから。

 

 

不自然ながらも、ここに至るまでに男性という男性に会ってはいないし、なんなら死神なんていうレベルの存在までもが容姿端麗な女性だったのだ。

 

ここにきて閻魔様だけはあの万人がイメージするであろう髭を蓄えた大男だったとしたらとんだ逆転劇である。

 

 

「えっと…閻魔っていうとあの閻魔大王の事ですよね?」

 

 

こんな少女を前に大王だなんて言えば余りに陳腐ではあるがーーー

 

 

大王よりは女王か?

 

閻魔女王…なぜかマニアック感が増した気がするぞ。

 

 

 

「いえ、閻魔と貴方の言う閻魔大王では全くの別物です。正確には閻魔王と言って閻魔の上に立つ者を指して呼ぶのですよ」

 

 

 

なんと!地獄という一つのコミュニティーは縦社会だったのか!?

 

 

そうなると小野塚さんのような死神は差し詰め外回りの営業サラリーマンのようなポジションなのだろうか?

 

 

いや、どちらにせよ目の前の少女が閻魔であり幻想郷の地獄を支配している事には変わりない。

 

 

ならば今の僕に課せられた使命は、八九寺との再会を果たすためにこの閻魔様を説得する事だ。

 

 

 

「あの…無理を承知でお願いします!僕を地獄にーーー」

 

「無理だと言った筈です!」

 

 

突然声を荒げ僕を見据える四季映姫さん。

 

その眼は僕を見ながらに僕を見透かしているかのような不思議な視線だ。

 

 

「貴方はまだ死んでいませんね?ならば死後の世界へと立ち入れる筈がないでしょう?良いですか?身近な大切な人を亡くした者は誰しももう一度だけ会いたいと願います。でもそれが叶わないのが現世と黄泉の確固たる線引き…貴方だけを特別扱いはできません」

 

 

それはあまりにも正論ーーー

 

後追い自殺なんて言葉すら普通に通じてしまう世の中なのだ、自分の命を投げ打ってでも死者との再会を果たそうとする者までいる中で僕だけが特別扱いされる理由はーーー確かに無い。

 

 

 

「それに幻想入りまでした上に人外の力まで持っている…残念ですが遅かれ早かれ貴方の魂が導かれる時にはどれだけ拒んでも地獄に送られるでしょうーーーその証拠に」

 

 

突如、四季映姫さんの体を眩いまでの光が包む。

 

後に萃香さんに聞いたところ、四季映姫さんの能力は

 

 

『白黒はっきりつける程度の能力』

 

 

彼女は文字通り全ての善悪にはっきりと白黒はっきりつけて魂の行き先ーーー天国か地獄かを決める裁判官をしているらしい。

 

 

その肩書き、二つ名は『地獄の最高裁判長』

 

 

 

今思えば、彼女はこの時に僕の魂の善悪をはっきりさせようとしていたのだ。

 

そして、その行為が事態を思わぬ方向へと進ませる

 

 

 

「そ、そんな!?これって…」

 

 

四季映姫さんを包む眩いばかりの光が収まったと思うと、それまで余裕と威厳を持っていたその表情は一転。

 

とても信じられないといった感じの顔をしていた。

 

 

「おい、どうしたってんだよ?仕事のしすぎで能力に不備でも出たかい?」

 

 

その様子は同じ幻想郷出身の萃香さんから見ても腑に落ちないようで、酒を飲みながらではあるが訝しげに尋ねる。

 

 

「そ、そうかもしれません…少し失礼します」

 

そういうと四季映姫さんは萃香さんに向き直って先程と同じように能力を発動する。

 

するとーーー

 

 

 

「鬼は真っ黒…では能力の不備ではないようですね」

 

 

「誰が真っ黒だ!ほっといとくれ!!」

 

横でぎゃーぎゃー騒ぐ萃香さんを他所に四季映姫さんは俯いて何かを考えるている様子。

 

 

「あの…僕は何かおかしいんですか?」

 

 

僕に対する反応があまりにも異常性を感じさせるものすぎたせいもあり、考え事をしているところに口を挟む形ではあるけど質問してしまう。

 

 

そして、その質問に対する四季映姫さんの返答こそが奇天烈だった。

 

 

 

「貴方の魂は…いえ、貴方の存在は白でもあり黒でもある。こんな事は前例を見ませんが貴方は白と黒を綺麗に半分ずつ宿しています」

 

 

「半分ずつ…?」

 

 

「ええ、本来であればどんな者でもその差はあれど白黒はっきりしています。こんなバランス良く白黒平等な人は見た事がありません」

 

 

 

考えたところで答えが出ないのか、見たままの現実をそのまま告げてくる四季映姫さん。

 

 

しかしそれを言われた僕は自分の事ながら全く理解が追いつかない。

 

 

 

「良くわからないんですが、それって具体的にどういう風に困るんですか?」

 

 

「そうですね、貴方の魂の善悪は今すぐ付けられるものではありません。故に今後の余生の中での行いで白くもなるし黒くもなり得ます。言わば産まれたての赤子のようなものです。しかし問題はそこではなく…」

 

 

 

「そこでは無く…?」

 

 

 

「縁起でもない話ですが、仮に貴方が今死んだとすれば地獄にも天国にも行けない…それこそ妖や半妖の様な存在として再び幻想郷の住民になる事すらあり得ます」

 

 

「いろいろ本当に縁起でもない!?」

 

 

思わずツッコンでしまったけどこれは一大事だ。

 

それでなくても二日後には最悪の場合死ぬかもしれないような戦いを控えているのに、こんな所でさらに死ねなくなる理由を付加されるとは…

 

 

これがフラグになったらどうしてくれるんだ!

 

 

「しかし不思議です…何故こんな事が起きるのか…少し見せてもらいますよ」

 

 

そう言うと四季映姫さんは懐から一つの手鏡を取り出す。

 

 

「これは浄玻璃(じょうはり)の鏡。本来はここに来た魂の生前の行いを映す鏡です。要するに貴方のこれまでの行いをこれで見る事ができます」

 

 

 

「僕のプライベートが詳らかになるじゃないですか!?」

 

 

「安心して下さい、私が見た物は口外しません。守秘義務というものです、こういった物を持つ責任として当然です」

 

 

「守秘義務って言われるとますます信用できねえ…」

 

 

「ん?なんですか?」

 

 

「いえ!何でもありません!じゃあお願いします!」

 

 

 

危うく小野塚さんの失態を口外しそうになりながらも思い留まり、僕はその過去を四季映姫さんに委ねた。

 

 

そして何が映し出されているかはわからないけど四季映姫さんは難しい顔をしてまま浄玻璃の鏡と呼ばれる鏡を睨んでいる。

 

 

 

 

 

少女鑑定中

 

 

 

 

少しの間、その場を沈黙だけが支配していた。

 

そして沈黙は破られるーーー

 

 

 

「成る程…そういう事ですか。しかしこれでは…」

 

鏡を懐へとしまいながら絞り出すように呟く四季映姫さん、その顔は苦悶ともとれる難しい感情を露わにしている。

 

 

「どうしたんだい四季?あんたがハッキリとものを言わないなんて珍しいなんてもんじゃないよ。何かおかしなもんでも見たのかい?」

 

 

「いえ、原因はハッキリとしました。そちらの方が白と黒を宿す理由もーーーですが、これは特例事態ですね…」

 

 

「特例?」

 

 

ここに至るまでに普通と呼べるような体験はおろか、最早受験生としての生活らしい事から懸け離れすぎている自分を思っても確かに特例というか異質な部分があるのは自覚できる。

 

 

しかし、それはあくまでも僕の考え方が人間のそれだからこそ出てくる解釈であり、この目の前の少女は他でもない閻魔様なのだ。

 

 

閻魔をして特例とまで言われる事態とはいったいどのようなことなのか?

 

 

そしてその特例は思わぬ方向へと話を進展させる。

 

 

 

「貴方には地獄へと行ってもらいます」

 

 

 

 

「「へ?」」

 

思わず僕と萃香さんもハモってしまう。

 

 

先程までは威厳と威圧を丸出しにしていたのが一転、突如として地獄行きを許されたのだ。

 

 

こちらとしても戸惑いはあるし挨拶に困る部分は否めない。

 

 

 

「コロコロと言い分が変わってちゃ話が見えないよ?それともまだ生きてるこいつをこの場で地獄送りにでもするのかい?」

 

 

 

「僕の人権が行方不明!」

 

 

単純明快に生きている鬼だからこその直球な質問。

 

いや、最後の方は正直とんでもない事を言ってた気がするけど確かにそれすらも危惧されるような発言ではあるのだ。

 

 

「いえ、何も地獄送りにする訳ではありませんよ。それはあくまでも肉体が死に、魂が導かれた時の話です。まぁ順序立てて説明するので聞いて下さいーーー」

 

 

こうしてありがたいお説教ではないが、四季映姫という閻魔様の長い説明が始まる。

 

 

 

「本来であれば、何人たりとも地獄へと足を踏み入れる事はなりません。ですが貴方は違います」

 

何がと言われれば、人間でありながらも人間ではない所です」

 

貴方の黒い部分、つまり罪の部分とは伝説とまで謳われた吸血鬼を助けた事…その果てに人間としての生命を放棄し、神に与えられた人生を書き換えた。命を書き換えた事こそが大罪の所以です」

 

そして普通ならその段階で地獄送りになるのですが、貴方には白い部分、すなわち善の部分も見られます」

 

それこそが人間としての部分、貴方の吸血鬼以外の部分です。貴方はどうやら多くの人々が送るような人生では体験し得ない出来事や、出会う筈の無い者との遭遇を数多く経験していますね?」

 

そしてその経験の中で多くの者を救っている。およそ神々では干渉しないような事態ですら貴方は自らその渦中へ飛び込み、己の身を盾にして人を助けている」

 

それも、普通であれば悪用するであろう異形の力、吸血鬼の力を一度も悪用せずに善行のみに使っている」

 

その行いが本来なら黒い筈の貴方を白黒平等にしている。半分は黒い吸血鬼、半分は白い人間とゆう具合に」

 

え?僕は助けてません、あいつらが勝手に助かっただけですって?」

 

ふふ、貴方は優しいのですね。ですがそれは人間の価値観です、良くも悪くも地獄において魂を裁く者の前では平等なのですよ」

 

さて、話を戻します。ここまでは白か黒の理由について大まかに話しただけですが、一つ問題があるのです。白黒平等と聞けばバランス良く聞こえますし、いっけん何の問題もないように思えますが…」

 

これが実は大問題なのです」

 

貴方の魂は今、吸血鬼でも人間でもない不安定な状態にあります」

 

このままの状態で貴方にもしもの事があれば、魂は永遠に彷徨い続けるか、最悪の場合は黒い部分に重点を置いて裁かれ…阿鼻地獄まで落ちてもおかしくはありません」

 

確かに貴方には理不尽に聞こえるかもしれませんが、限りなく黒く限りなく白い魂の判決を迫られれば閻魔といえども黒い部分を先ずどうにかしなければならないのです」

 

そして、貴方の罪は地獄の最下層、阿鼻地獄の刑になっても不思議ない罪でした…」

 

ですが、幸か不幸か貴方はまだ生きていて、この先の行いでは白くなる事も可能」

 

本来、魂を裁くのが我々閻魔の仕事ではありますが、救える魂を救う事も立派な我々の仕事なのです」

 

そこで地獄に行ってもらう事になるのですが、その理由は簡単に言うと償い」

 

白か黒で不安定な貴方の魂に、何かひとつ地獄で償ってもらい、白に傾けるのが目的です」

 

今から貴方には眠ってもらい、その間に魂だけの状態で地獄に入ってもらいます。その中で、貴方が思い当たる罪のうち、どれかを強く念じて下さい。そうすればその禍根となっている事象の元で貴方は目覚めるでしょう」

 

そしてそこからは貴方次第、犯した罪を償う心があれば貴方の黒は白へと戻る筈です」

 

これが貴方の地獄入りを許した理由です、わかりましたか?」

 

 

 

こうして四季映姫さんの長い説明が終わった。

 

 

「なんだか僕の知らない所で僕の魂ってとんでもない事になってたんですね…」

 

 

正直なところ、確かに無条件で天国に行ける程僕のこれまでの人生は正しくもなければ偉いものでもないと思う。

 

 

しかし、地獄の最下層に落ちる程の罪人である自覚も等しく無かった。

 

 

そして、今の僕は文字通り天国か地獄かこ両極端にして崖っ淵ーーー

 

 

気分はもうどこか遠くの知らない誰かの話を聞かされているような、全く自分事とは思えない内容だった。

 

 

 

「でも、どうして僕だけを特別扱いできないと言った四季映姫さんが特別扱いを許してくれたんですか?」

 

 

思考を停止したのか、それともあまりの出来事に頭が追いつかなくなっていたのか、僕は全く関係ない質問をしてしまう。

 

 

しかしそれこそ、僕を現実に引き戻す質問になるのだけれど。

 

 

 

「浄玻璃の鏡で見ましたよ、貴方が幻想郷にいる理由も、数日後にぶつかる障害も」

 

 

そうだった。

 

確かに先の説明で四季映姫さんの鏡はこれまでの行いを映すと言っていた。

 

 

つまりは、僕がここにいる理由も戦う運命にある事も説明する必要もなく知っているのだ。

 

 

実際に見たのだからーーー

 

 

「今の貴方が万が一、その戦いの中で散ってしまえばその魂は幻想郷で死んだ魂として私が裁く事になります。もしくは未来永劫、幻想郷で彷徨い続ける事にもなりかねません。ですがそうなれば先程の説明の通り、最悪の結果しか待っていないでしょう…重ねて言いますが、救える魂を救う事も我々の仕事なのです。だから今回は特例なんですよ」

 

 

成る程ーーー

 

どうやらどれだけ気を付けていても偏見や先入観というのは恐ろしいものだ。

 

 

閻魔の名を聞いただけで有無を言わさず裁かれるかのようなイメージを持っていた僕だか、それはとんでもない…

 

 

この閻魔様は…なんて優しいんだろう。

 

 

「とりあえずまどろっこしい説明はやめにしてさっさとやっちまわないか?私は難しい話はダメなんだよ」

 

 

さっきまで無言で酒を飲んでた萃香さんも、これ以上のお喋りは耐えられいと言いたげに話しかけてくる。

 

 

「貴方は本当に人の話を聞きませんね…そんな事ではいつか貴方がここに送られて来た時に後悔しますよ?」

 

 

「はっ、鬼はいつだって今を後悔しないように生きてるからこれで良いのさ。まだわかりもしない未来についてあれやこれやと言う事はないね」

 

 

あくまでも我が道を行く萃香さんと白黒はっきりの四季映姫さんとでは一生かかっても分かり合えないのかもしれないな…

 

 

いや、この人達の一生がどれ位なのかわからないけど。

 

 

「では、初めてましょうか」

 

 

やれやれと言った風に溜息をつくと、四季映姫さんは僕に向き直る。

 

 

そして手に持った木の板を両手で構えた。

 

 

「これは悔悟の棒と言って本来は裁きを与える為に使う物なんですが、今回はこれで貴方の魂だけを肉体か叩き出します」

 

 

「叩き出す!?ちょっと待ってください!いきなりやり方がシンプルイズベストになってません!?」

 

「安心して下さい、痛いのは一瞬です」

 

 

「やっぱり痛いんだ!?」

 

 

閻魔様だからと言って不思議な力で魂を送るとかではないらしい。

 

 

どちらかというと力技でガテン系な雰囲気がとめどない。

 

 

「良いですか、では目を閉じて頭の中に貴方が地獄で償う罪について強く思って下さい」

 

 

僕の背後に立った四季映姫さんは声のトーンを少し落として、まるで諭すように語りかける。

 

 

「目が覚めたら貴方の魂は貴方の描く罪と向き合う事になります、償う心を忘れず己の罪を正面から受け止めてくださいーーーでは」

 

 

 

四季映姫さんがそう告げると腕を振り上げるような衣擦れの音が聞こえる。

 

 

そしてーーーーー

 

 

 

 

 

ッパァァァァァアアアン!!!

 

 

 

これが眠りにつくように意識を手放す僕が最後に聞いた音と、感じた激痛だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー「でも良かったのかい?万人に対して平等で白黒はっきりの四季がこんな事をして」

 

 

「良かったのですよ、少なくともこの幻想郷においてはこれしか出来ませんから」

 

 

「幻想郷において?そりゃどういう意味さ」

 

 

「同じ地獄の裁判官とは言ってもここは特殊なんですよ。外界での魂の在り方や裁かれ方を言えばあの方は間違いなく地獄行きでしょう、それも最下層、阿鼻地獄に」

 

 

「なんだって!?じゃああいつの魂が白黒平等だって言ってたのは…」

 

 

「あくまでもあの方が幻想郷で亡くなった場合の話です。ここでは半人半妖や半人半霊が普通に人々と共存してますからね、とうぜん半人半鬼の裁き方も変わってくる」

 

 

「成る程ね…だから特例って訳かい」

 

 

 

「それに特例とは言っても害はありません、あの方が地獄から戻った時にはそこであった全ての記憶はないのですから」

 

 

「なんだそりゃ、それは本人に言わなくて良かったのかい?」

 

 

「こればかりは言っても変わらないですしね…おいそれと地獄のあれこれを持ち帰られては世界のバランスに関わります、あくまでもあの方の償いの手助けであって観光ではないんですから」

 

 

「そりゃ随分と手厳しい事だよ、まぁ少なくとも当初の目的とは違うけどあいつもこれで少しは救われるって訳か」

 

 

「そう…あの方が後日の戦いでどうなるかはわかりませんが、この幻想郷で死ぬ危険があるのであれば閻魔としては対処しない訳にはいかないのですよ。くれぐれもこの事はあの方は勿論、誰にも他言しないようお願いします」

 

 

「それも守秘義務ってやつかい?まぁ言われるまでもなく他言はしないさ。鬼は約束は守るよーーー」

 

 

「しかし難儀な奴だねぇ…幻想郷で死んだ方が救いがあるってのも…」

 

 

独り言のように呟いた萃香は瓢箪の酒を一口煽る

 

 

 

「ふん…面白くないねぇ…」

 

 

この会話は阿良々木暦という一人の外来人が知る事のない会話となるのだった。




更新遅れてすいませんσ(^_^;)
そして今回は派手な展開がなく、なんなら説明的な文章にせざるを得なかったので面白くなかったかもしれませんがご容赦を!(。-_-。)
暦を地獄に行かせるに当たってネックになったのは原作の阿鼻地獄の件がある所ですかね…
おかげで今回の話は多少無理矢理な設定があります、地獄の記憶を持ち帰れないとかその代表みたいなアホ設定です。

頑張って構想を練ったんですが、作者のボンクラ頭ではこれが限界でした…
さて、次回からは少し物語が動く予定です!
新たなキャラとか展開も考えてます!

なので興味と時間のある方は引き続きよろしくお願いします!

追記
おかげさまでお気に入り数や観覧数が共に大台に乗りそうで感謝感激の今日この頃です!
コメントも徐々にではありますがついてきて嬉しい事この上ない!!!

なのでお気に入り登録が100を超えたら原作に擬えてではありませんが、少し番外編とゆうか遊び心とゆうな…副音声的なノリで中語りでも書いてみようかと思っております!
ご意見ご感想ありましたら気兼ねなくコメント下さい!
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