東方怪異譚ーLegend of vampireー   作:根無草

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第46話ー決戦前々夜ー

「ふむ…なる程のう」

 

 

僕の話を一通り聴き終えた一同、その中で紅茶の入ったティーカップを置いた忍が口を開いた。

 

 

 

「つまりは月の民に会い、冥界へと赴き、三途の川を越え、地底を優雅に散歩してきたと…そういう事じゃな?」

 

 

 

「優雅に散歩って…実際はそんなピクニック的なものじゃねえよ。それこそ命賭けだったし。萃香がいなけりゃ何度死んだかわからねえよ」

 

 

 

「萃香、のう…その鬼についても気になるところじゃがひとまず置いておくとしよう。して、儂とお前様のペアリングについてじゃがお前様はどう思う?」

 

 

 

「どう思うって…」

 

 

 

そもそもこのペアリングは一度だけとはいえ完全に消失している。

 

 

 

最初のペアリングは忍野メメによって施されたものだが、それはあの時…八九寺をめぐる『くらやみ』の事件で消失したのだ。

 

 

 

そして失ったペアリングは忍野メメの先輩である所の、なんでも知ってるお姉さん、臥煙伊豆湖によって復活した。

 

 

 

つまり、一度消えたペアリングは専門家の介入を無くして復活する事はないとも言える。

 

 

 

それが今回はどうだ?

 

 

 

仮に僕の知らない所でペアリングが切れたとして、それが誰の手も借りずに自然と、勝手に復活しているのだ。

 

 

 

これはおかしい。

 

 

 

いや、怪しい…怪しくて、異なる。

 

 

 

身に起こる不可解をどれもこれも怪異のせいにするつもりは無いけれど、かと言ってこれを怪異的に捉えずしてどう説明を付けたら良いものか。

 

 

 

 

「暦お兄様はどっかで死んできたの?」

 

 

 

怪異的じゃない方向で一番あってはならない説明を付けてきやがったよこの子。

 

 

 

流石に自分の気付かないうちにうっかり死んでて、今ここにいる僕は浮遊霊でしたなんてオチは無いだろう。そうなっていたとしたら怪異は僕でしたなんて、ちょっとしたB級映画のようなオチがついてしまう。

 

 

 

「ちゃんと生きてるよフラン。むしろさっきお前と美鈴さんに殺されかけたけど…」

 

 

 

「ぐっ…失礼しました暦様…」

 

 

 

「あの…失礼します忍様、私にひとつ仮説があるのですがよろしいでしょうか?」

 

 

 

フランと美鈴さんはともかくとして、レミリアの後ろに立つメイド長の咲夜さんが真剣な面持ちで進言した。

 

 

 

 

「あら、咲夜が意見するなんて珍しいわね?よっぽど自信があるのかしら?」

 

 

 

「まあ待てレミリア、人間であるところのメイド娘が心当たりか…面白い、言うてみよ」

 

 

 

この吸血鬼幼女はお世話になってる家のメイドさんに対して些か態度が不遜すぎやしないか?

 

 

上から目線が行き過ぎてふんぞり返ってる感が否めないぞ。

 

 

 

「では失礼ながら…話を伺う限り暦さんは三途の川を渡られたとか?」

 

 

 

「え?ああ、そうですけど…その先で四季映姫さんて閻魔様に会いましたよ」

 

 

 

「そこで何があり、何の話をしたかは良く覚えてないんですよね?」

 

 

 

 

「うーん…正確な所は話の内容については覚えてるけど何をされたかがわからないんだ。なんたってその時は気絶…眠らされてたからな」

 

 

 

こうして後から客観的に言ってみると危ない絵面しか想像できない。

 

 

 

どうしてもイカサマ催眠術とか、危ないカルト団体みたいな妄想が先行してしまうような内容だな…

 

 

 

「そこです、三途の川の向こうは現世とは確立された世界。ならばそこで暦さんは魂のみ現世から離れたという仮説にはなりませんか?」

 

 

 

魂のみ…って、それだと僕って死んでないか?

 

 

 

いや、肉体的には生きてるのか?

 

 

 

「なる程…確かに咲夜の仮説は信憑性があるわね。仮に四季映姫の所に行って何かのきっかけで魂を一時的にでも抜かれたならば…忍お姉様の復活もペアリングの消失も説明できるわ」

 

 

 

「ほーら!やっぱり暦お兄様は一回コンテニューして来たのよ!フランの大正解!」

 

 

 

「とりあえず一回落ち着きましょうね妹様」

 

 

 

「しかしレミリアよ、我が主様は生きておるのじゃぞ?仮にも閻魔を名乗る者が生者から魂を抜くような振る舞いをするものかのう?だとすれば職務怠慢、職権乱用も良いところじゃろ」

 

 

 

「あ、でもその話は間違いないと思うぞ忍」

 

 

 

そうだった。

 

 

 

僕の魂の在り方はーーー

 

 

 

 

「「「「白黒が平等?」」」」

 

 

 

だからハモるなっての!怖いから!

 

 

 

「そう、だから僕の魂は死んでも天国も地獄も選べずに彷徨う恐れがあったとか…それで地獄へと行って罪を償うとかって言われた気がする…」

 

 

 

「確定ですわね」

 

 

 

「ええ、確定ね。褒めてあげるわ咲夜」

 

 

 

 

レミリアに褒められてご満悦な表情の咲夜さんをよそに、僕の頭は珍紛漢紛(ちんぷんかんぷん)だった。

 

 

 

「え?結局それってどういう事なんだよ忍?」

 

 

 

「阿保かお前様は…良いか?頭の足りないお前様にもわかるように説明するとじゃな、携帯電話と同じようなものじゃ」

 

 

 

「仮にも怪異の王から携帯電話の例え話なんて聞きたくなかったよ!どれだけ浮世に染まってんだお前は!?」

 

 

 

 

「黙って聞かんか!前回のペアリングの消失はお前様にもわかるように言うと携帯電話の本体を無くしたようなものじゃ」

 

 

 

「携帯電話の本体?」

 

 

 

「左様。つまり手元には何も残らん。ゆえに切れた電波もへったくれもありはせん。じゃが今回のペアリング消失は違う」

 

 

 

「違うって…どう違うんだよ?」

 

 

 

「今回のペアリング消失は電波だけが切れた状態…つまりは電源が切れた状態になったという事じゃな。本体さえあれば電源を入れるだけで電波も自動的に受信するであろう?つまり、お前様の肉体に魂が戻った事で電源が入った。電波が戻ったという事になる」

 

 

 

なんだそりゃ。

 

 

 

つまりは携帯電話は持ってるけど圏外で使えませんでしたって事か?

 

 

 

僕と忍のペアリングってそんなデジタルな物だったのかよ!?

 

 

 

「ま、言うてはみたもののあくまで仮説じゃ。それに生きながら魂だけを地獄送りにするような芸当、閻魔でもなければ出来まい。出来たとしても枕返しあたりかの?今回限りの特例と見て間違いないじゃろ」

 

 

 

「なるほどな…そりゃ忍野でも見透かせるはずがないぜ」

 

 

 

 

何にせよ良かった。

 

 

僕の安否なんかよりも忍の存在が忍のままであってくれて。

 

 

僕が吸血鬼体質に依存しているとか、忍の事を好いているとか、そういう理由ではない。まあ、それすらも完全に否定しきることはできないけれど。

 

 

それよりも、ペアリングが切れる事で忍が復活してしまえば、それはあの春休みの再来であり、逆説的に再び襲われる人間が出る事は勿論、忍が再びハンターや専門家に追われる生活に戻る事を意味する。

 

 

 

そして何よりこれは僕の罪であり、僕の責任なのだ。

 

 

 

僕が一生をかけてでも背負っていくべきものであって、簡単に荷を降ろすような事ではない。

 

 

 

たとえ僕の人間としての余生を棒に振ったとしても。

 

 

 

「まあ今回は特例続きじゃからの、心配はしすぎるくらいで丁度良いのかもしれん。特にお前様のような抜けた奴は」

 

 

 

「何だよ、まだ怒ってんのか?いや、それについては本当に悪かったよ。心配かけたな忍」

 

 

 

僕はそっと忍の頭を撫でる。

 

 

どんなに強がっていてもわかるのだ、忍が僕を心配してくれていた事、僕の身を案じてくれていた事が。

 

 

 

こういう部分はツンデレというよりは単純にお子様って感じだけどな。

 

 

「ふん!まったく…気苦労ばかりかける主様を持つと疲れるわい。おまけにこんな大量な怪異の匂いまで持ち帰りおって。おかげで鼻が曲がりそうじゃ」

 

 

 

「え!?匂いってなんだよ!?僕ってまさか臭いのか!?」

 

 

 

 

そりゃ今日だけで相当な運動量をこなしているしある程度は汗もかいてるだろうけども、臭いって言われる程か!?

 

 

 

思春期のど真ん中を闊歩しているこの身としては体臭なんて最も気にする項目のひとつである。

 

 

 

一頃は『不動の寡黙』だなんてあだ名まで付けられていた僕だが、ここで阿良々木暦は臭い奴なんて不名誉なレッテルを貼られたならば僕の残り僅かな青春は一気にその期待値を下落させるだろう。

 

 

 

消化試合も良いところだ!

 

 

 

「違う違う、勝手に焦っとるとこ悪いが儂が言うとるのはお前様の体臭ではない。お前様にこびりついた怪異の匂いじゃ」

 

 

 

「怪異の匂いって…そんなのまでわかるのかよ?」

 

 

 

「無論、とりわけ吸血鬼は鼻が利くからのう。特に怪異殺しとまで呼ばれ数多の怪異を喰うてきた儂ならば尚更じゃ。その匂いから察するに余程の数の人外と会ってきたのじゃろうよお前様は」

 

 

 

「改めてすげえ奴だなお前は…でもそれって僕のプライバシーなんて無いに等しくねえか!?」

 

 

 

「何を今更な事を言うておるのじゃお前様よ?そんなもの儂がお前様の影に縛られておる時点で無いようなものではないか」

 

 

 

ごもっともだった。

 

 

 

思えばこいつは僕と感情、感覚の共有までしているのだ。

 

 

プライバシーなんてものを語るのであれば僕と忍の間に限っては存在のしようがない言葉である。

 

 

 

わかってはいたけども改めて突き付けられるととんでもねえ話だな!意識こそしてなかったけどよく考えてみればトイレまで同行してるようなもんじゃねえか!

 

 

 

「ん?ちょっと待てお前様」

 

 

 

「あん?なんだよ?僕は自分の残り僅かな人権について模索する事に必死なんだ」

 

 

 

「そんなものは諦めよ、お前様の人権なんてものはこの世の法則に存在しておらん。それよりも一つ気になる事がある」

 

 

 

 

「僕の人権を世界から抹消するな!で、気になる事ってなんだよ?」

 

 

 

僕の身体の周りをくまなく調べるような素振りした忍は、珍しくも真剣な顔で唸った。

 

 

 

「うーむ…のう、レミリアよ」

 

 

 

「何かしら忍お姉様?」

 

 

 

忍は一度、僕の顔を見上げると小さく呟いた。

 

 

それはそれは言い難い事をしぶしぶ語るかのように。

 

 

 

 

「幻想郷には…蝸牛にまつわる怪異はおるのか?」

 

 

 

 

蝸牛にまつわる怪異ーーーー

 

 

 

 

 

僕にはそのキーワードで思い当たるものをたった一つしかない。

 

 

 

巡り巡る巡礼、渦の様に同じ所をグルグル回るーーー

 

 

 

迷い牛。

 

 

 

僕の親友にして二度と会えない小学五年生、八九寺真宵。

 

 

 

「おい忍、八九寺の事を言ってるならやめてくれ。あいつは成仏したんだ、世界に忘れ去られた訳でもないのに幻想郷にいる訳が無いだろ」

 

 

 

「そういう意味で聞いておる訳ではない。それにいくら儂でもお前様を前に言うて良い事と悪い事くらい弁えておる。そうでは無くてじゃな…」

 

 

 

「そうじゃないならどうなんだよ忍。歯切れが悪いぞ、お前らしくもない」

 

 

 

僕に苛立ちにも似た感情が無かったかと問われれば、確かにそんな感情を覚えていたかもしれない。

 

 

 

八九寺が僕の目の前から消えてまだ日も浅い。いや、月日が経ったからといってこの気持ちが消えるとも思えないけれども。

 

 

 

兎に角、余り無意味矢鱈と聞きたいワードではない事は確かだった。

 

 

 

しかし、そんな僕の感情を読み取る事ができる筈の忍が放った二の句は、僕を驚愕させるに充分な意味を孕んでいた。

 

 

 

「ならばハッキリと言おう…お前様が持ち帰った怪異の匂い、その中に微かに感じるんじゃよ。あの迷子っ子の…迷い牛の匂いを」

 

 

 

「なっ…」

 

 

 

勿論だけれどそれはありえない。

 

 

 

出くわすどころかすれ違いすらしていない自信がある。自信というか事実だ。ここが幻想郷だからとかそういう意味では無く純然とした真実。

 

 

 

ましてや僕に匂いを残すほどの接触だなんてありえないというよりも、あってはならない。

 

 

何故ならば…僕と萃香は今日一日で一度たりとも道に迷っていないのだから。

 

 

 

忍は迷子っ子と言ってから言い直した、迷い牛の匂いと。

 

 

 

ならば僕が迷っていない時点でその可能性は消えるのである。

 

 

 

 

「蝸牛ってエスカルゴよね?話は読めないけど残念ながら私にも心当たりはないわ。パチェにでも聞いてみれば詳しく知ってるかもしれないけど忍お姉様の望む答えは返ってこないかもしれないわね」

 

 

 

 

「エスカルゴってのは引っかからなくもないが…ほら、やっぱり勘違いなんだよ忍。僕だって会えるものならとは思うけれど、そんな僕の感情を読み取って間違えちまったんじゃないのか?」

 

 

 

 

「ふむ…儂が間違うという事が既にありえん事じゃが、確かにあの迷子っ子がここにいる事の方がありえんか。かかっ、弘法の川流れじゃったな」

 

 

 

「新しい(ことわざ)を作ってんじゃねえよ。それはただの水難事故だ」

 

 

 

弘法も筆の誤りなのか、河童の川流れなのか。何より忍を前提にしてしまっては弘法は誤字脱字のオンパレードで河童はカナヅチになってしまうだろうけども。

 

 

 

 

「何か無礼な事を考えてはおらんかお前様よ?」

 

 

 

「考えてない考えてない。いやあ、世にも珍しい忍様の勘違いをこの目で拝見できるだなんて光栄だ。こんな貴重な光景はこの先の人生で二度とお目にかかれないだろうなー」

 

 

 

「ぶっ飛ばすぞお前様」

 

 

 

なんにせよ、これは忍の勘違いで良かったのだ。

 

 

あの日、確かに八九寺は泣きながらも笑って成仏した。その別れの果てにあいつが幻想の中で迷い続けているだなんてあってはいけないのだから。

 

 

 

そう、その事実の前で僕の後悔なんて些事でしかない…

 

 

 

 

 

「あぁ…それでもあそこにはいるのかもしれないわね」

 

 

 

呟くように咲夜さんは続ける。

 

 

 

「確か暦さんは閻魔の元で意識を失ったのよね?なら、その間に黄泉路で会っているかもしれないですわよ?聞いている限りその八九寺という子はそういう存在のようですし」

 

 

 

「黄泉路で…あの世でって事ですか?」

 

 

 

「それが天国なのか地獄なのかはわからないけれど、暦さんが会いたいと望んだのならばその可能性もあり得るって事、あくまでも可能性ですわ」

 

 

 

 

八九寺に限って地獄という事は無いだろう。

 

 

どちらにせよ忍の発言を真として捉えるならは、考えられる可能性としてはそれくらいか…

 

 

まあ、確かに記憶には残っていないけれど、もしそうだったのなら僕は八九寺に何を伝えたのだろうか?

 

 

果たしてそれは謝罪だったのか、感謝なのか、惜別なのか…挙げればキリが無い程に色んな感情が湧き出てくる。

 

 

 

そんな考察はあくまでも可能性の話であって、なんの確証もありはしないのだけれどそれが真実ならばーーーー

 

 

 

 

 

「それなら…僕はきっと幸せだったよ」

 

 

 

 

そう、幸せなはずだ。

 

 

 

最後まで笑って逝ったあいつに、僕は何も言えなかった。言いたい事は山のようにあったのに目の前に突き付けられた別れという現実に、言葉を失ってしまったのだ。

 

 

 

もしももう一度だけ八九寺に会えたのだとしたら、あの日言えなかった事を僕はきっと伝えている事だろう。

 

 

 

だから、僕はきっと幸せだ。

 

 

 

 

「ならそういう事にしておきましょう。所詮は可能性の話、これくらいの事なら都合良く解釈してしまった所でバチは当たらないわよ」

 

 

 

机上の空論に結論を出してくれたのは笑顔でウインクしたレミリアだった。

 

 

 

そうだ。確かに可能性の話…机上の空論なのだとしたら、そういう可能性を信じても良いのかもしれない。少なくともそれが真実なら一番良いと思える空論を。

 

 

 

 

「さあ、戦いまで残す所一日…今日はもう夕飯をとって休みなさい。夜行性の吸血鬼と違って暦は人間なんだから。勿論、昨夜と美鈴もね」

 

 

 

「ああ、ありがとうレミリア。確かに今日は色々な事がありすぎてクタクタだ…悪いけど早目に休ませて貰うよ」

 

 

 

「なら私は夕食の準備をしてまいります。しばらくお待ち下さい」

 

 

 

 

「じゃあ暦お兄様はフランと一緒にパチュリーを呼びに行きましょ!」

 

 

 

「なら私は門の警備に戻ります、夕飯にはまた戻って来ますので。あ、あと暦様…わかってますね?」

 

 

 

「はは…わかってるでございます…」

 

 

 

 

だからバラさないっつーの…

 

 

 

 

こうして僕の種々雑多な一日はようやく終わりを迎える。

 

 

 

無事、みんな揃って夕飯をいただき、相変わらずスカーレット姉妹の入浴にはひと騒動あったけれど、それすらも平和な日常風景として流れていった。

 

 

 

まるで明後日には命懸けの決戦が待ってる事が嘘かのように。

 

 

 

 

そして、そんな平和で暖かい光景を目にするからこそ強く思うのだ。

 

 

 

必ずこの平和へと帰って来ると。

 

 

その為にも…必ず勝つと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の深夜、博麗神社の裏山にて。

 

 

 

「やっと来たか…君達コンビときたらいつも僕を待たしてくれるんだから、困ったもんだよ全く」

 

 

 

 

「いえーい、ピースピース。久しぶりだね、忍野のお兄ちゃん。思ったよりも元気そうで何よりだ。いえーい」

 

 

 

「ほんま相変わらずやなあ忍野君。話には聞いとったけどまだアロハ服着とるとは思わんかったわ」

 

 

 

そこに集うは、幻想郷の流儀に則るならば外来人の三人。

 

 

 

 

怪異の専門家である忍野メメと影縫余弦、その式神であるところの斧乃木余接である。

 

 

 

「僕は僕だからね、相変わらずに決まってるさ。で、君達がここへ来たって事は臥煙先輩に動きがあったって事で良いのかな?まさか僕を迎えに来る為だけに君達を宛てがう必要もないだろう」

 

 

 

 

「そう言わないでよ忍野のお兄ちゃん。こっちはこっちで大変だったんだから。お姉ちゃんは迷子…僕とはぐれちゃうし無意味な戦闘には巻き込まれるし、合流してからも一悶着あったり…散々だよまったく」

 

 

 

 

「迷子はおどれやろうが余接。んー、でもまあ概ねそれで正解やな。うちとしてはこないにけったいな世界が存在するっちゅうだけでも問題や思うけども、臥煙先輩が言うにはこの幻想郷の結界について起きとる問題が明らかになったらしいわ」

 

 

 

 

「で、僕達がここへ呼ばれたんだよ。忍野のお兄ちゃんの援軍としてね。本来なら不死身の怪異を専門にしている僕とお姉ちゃんには関係の無い話なんだけど、結界の行く末を考えれば野放しにはできないって事さ」

 

 

 

 

 

「結界についての問題、ね…それはあれかい?外部から幻想郷の結界へと干渉する者が現れたとか?」

 

 

 

「なーんや忍野君、ネタバレ前から真相解明済みなん?ほんま見透かしたような事をするのが好きやね」

 

 

 

 

「ははっ、こればっかりは偶然の産物さ。見透かしたと言うより実際に見たって感じかな?いずれにせよ大まかな状況は把握できてるよ」

 

 

 

 

「なら話が早いね忍野のお兄ちゃん。早速で悪いんだけど例の三人組の居所を教えてよ。ここから先は僕とお姉ちゃんの仕事になるだろうからさ」

 

 

 

「僕とお姉ちゃんの仕事か…そりゃ具体的にどんな仕事をするつもりなんだい」

 

 

 

 

「決まってるじゃない。僕らが来たって事はそういう事さ、その三人組を殺すんだよ。既に死んでる者を指して殺すって言うのも矛盾しているけど、僕達の仕事はそれが主だからね」

 

 

 

 

「うん、そうだったね。君達の仕事はそうだった。いやあ、本当に元気が良いんだから、何かいいことでもあったのかい?」

 

 

 

 

「ええ事は無いけど悪い事が起きるよりはマシやろ?うちらは正義の味方なんやから」

 

 

 

 

「成る程、そりゃごもっともだ。でも、残念ながらこの仕事はまだ引き継ぎをする訳にもいかないんだよね」

 

 

 

 

「なんや、訳ありなん?昔から手柄にこだわるようなタイプとはちゃうやん忍野君。お得意のバランスってやつに問題でもあるん?」

 

 

 

 

「そう、バランスさ。とは言ってもその三人具とは別件で僕らに縁がある人間のバランスだけどね」

 

 

 

「やっぱり相変わらずやな忍野君は。相変わらず言ってる事が要領を得えへん。とりあえずそのバランスっちゅうやつについて話を詰めよか、時間はあるんやろ?」

 

 

 

「ああ、お世話になってる神社の巫女ちゃんはちょっと結界と霊験あらたかなお札で眠って貰ってるからね。ゆっくりと話としようか」

 

 

 

 

こうして三人は暗闇へと消えて行く。

 

 

 

暗躍と言えば暗躍なのか、正義を掲げる者とバランスを重視する者ーーー

 

 

 

それぞれがそれぞれの想いや決意を胸に時を進む。

 

 

 

悪戯に回り、止まる事を知らない時間の上をーーーー




どーも根無草です!

相変わらず進みませんねぇ僕の話…

ちょっとだけショートカットも考えてます、割と真剣にw

それでも構想はできていて、バトルのマッチングや暦の行く末なんかもできてはいます!
後は進展のさせ方なんかが悩みどころなんですが…後10話以内には完結できれば良いな(遠い目)


ではでは、興味とお時間のある方は引き続きよろしくお願いします!
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