悟飯はカービィに向かって走る。悟飯はカービィに向かって攻撃していくが、攻撃を軽く躱していくカービィ。悟飯はカービィが距離を取った途端、気功波を放って牽制する。カービィは悟飯の気功波を口から吸い込んで、星型の弾丸に変えて吐き出した。
悟飯は星弾を避けて、カービィの出方を伺う。
カービィは体を光らせて、ピンク色の道着を身に纏う。
カービィ「コピー能力、『ファイター』!」
カービィは新たな姿となって、悟飯の元へ走る。悟飯はカービィの繰り出す攻撃を素手で巧みに受け流していくが、最短で効率のよい動きで悟飯を攻撃してくるカービィに、武術の達人の動きだと理解した。
悟飯(動きがさっきよりも良くなってる!?)
悟飯はカービィの動きの良さに戦慄した。
悟空「彼奴、姿だけでなく戦い方も変わりやがった!」
ピッコロ「格闘の達人になれるとは……大将になるわけだ」
クリリン「ああっ、いい腕だぜ。悟飯も苦戦してる」
すると、カービィの口からとんでもない事が語られる。
カービィ「まあファイターコピーしても、接近戦で苦戦するファイターがプププランドに居るけどね」
悟飯「何ぃ!?」
ベジータ「な、なんだと!?」
第七宇宙側は、言葉を失った。アレほど強いカービィが、なんと接近戦を拒みたがる相手が居る。そう言いたいのか。
カービィは戦闘中に、見学に来てるバウファイターを見る。バウファイターはプププランド屈指の格闘家だ。カービィも迂闊な接近戦はしたくないのだ。
カービィ「『スマッシュパンチ』!」
拳から衝撃波を放ち、悟飯を攻撃。悟飯は腹に衝撃波を受けてしまい、そのまま足を引きずる形で後退。
悟飯(やりづらい!相手は悪意の無い敵だ!)
悟飯は何度もカービィの攻撃を受け流しながら、少しずつ追い詰められていく。
カービィもファイター能力による連続攻撃を繰り出すが、悟飯はギリギリで凌いでいた。
悟飯「くっ……!」
第6宇宙側の勝利は、最早確定的に思えた。
フーム「良いわよ!カービィ!」
ブン「よっしゃ!カービィの勝ちだ!」
ナックルジョー「やれやれー!」
エスカルゴン「陛下、やっぱりカービィってとんでもないでゲス」
デデデ「なあに!すぐに追い抜いてやるわい!」
プププランドの皆も、カービィの勝利を確信していた。
カービィ「まだまだ行くよ!」
カービィが拳を構え、踏み込もうとした――その瞬間。
ひらり。
何処からともなく、一匹の赤い蝶が現れる。何処から入ってきたのか、誰かについて来たのか、そもそも『名前の無い星』に張られたガラスをどうやって潜り抜けてきたのか?
カービィ「……蝶?」
悟飯「え?」
それは、悟飯の腕に止まった。
悟空「……!」
ピッコロ「孫!」
悟空「ああ!」
悟空とピッコロの表情が変わる。赤い蝶から感じる、禍々しい力を。あれは放置してはならない脅威だ。
悟空「悟飯! そいつから離れろ!」
悟飯「えっ!?」
ベジータ「何をしている! 早く振り払え!!」
悟飯「は、はい!」
悟飯が腕を振る。
しかし、赤い蝶は悟飯の身体へ吸い込まれる。
悟飯「なっ……!?」
カービィ「悟飯!?」
悟飯の身体から、禍々しい気が膨れ上がる。悟飯の全身から赤とオレンジのオーラが放たれていき、彼の体を蝶の羽のようなエネルギーが包みこんでいく。
カービィは目を見開く。
カービィ「……この感じ……」
その気配を、カービィは知っている。
かつて自分達を苦しめた、あの存在と同じ――。
カービィ「……バルフレイナイト……?」
そして、蝶のようなエネルギーが開いて、其処に居たのは孫悟飯ではなかった。いや正確には、孫悟飯の姿を借りた異形だった。
蝶の羽を背中に生やし、全身から赤いオーラを放ち、髪もオレンジ色に染めて逆立たせた、人の姿をした異形。
???『我はバルフレイゼノ。バルフレイナイトに非ず。審判を下す、夢見鳥』
悟飯の声を借りて、バルフレイゼノは語る。
カービィ「悟飯!」
カービィは走り出して、体を捻って跳んだ後に蹴りを放つ。跳び後ろ蹴りだ。蹴り技最高の威力を誇る技を放ったのだ。
しかし、バルフレイゼノは片手でカービィの足を掴み、頭上へ投げ飛ばした
そのままバルフレイゼノはカービィの元まで追い付き、両手を戦鎚のような形に握り締めた後、そのままカービィの背中を叩く。そして、武舞台に叩き付けた。
カービィはコピー能力が解けて、元の少女の姿に戻ってしまう。
カービィ「いてっ……」
カービィは両手で体を起こし、そのまま起き上がる。
カービィ「なら………『ソード』!」
カービィは覚悟を決める。
特徴的な帽子に、自身の体と同じくらいの長さを持つ刀身の剣を持った。
カービィ「試合なんかどうでも良いよ。悟飯、助けてあげるからね!」
カービィは降りてきたバルフレイゼノに向かって走る。
バルフレイゼノ「……来るか」
カービィ「はあああああっ!」
一気に間合いを詰める。カービィが剣を振り上げる。バルフレイゼノは右腕を掲げた。
ガキィィン!!
剣と腕がぶつかる。
金属音にも似た凄まじい衝撃音が武舞台に響き渡った。
カービィ「くっ……!」
バルフレイゼノ「その程度か」
バルフレイゼノが腕を振り払う。
カービィの身体が弾き飛ばされる。
しかし、カービィは空中で身体を捻った。
そのまま着地。
ほとんど間を置かずに再び走り出す。
カービィ「まだまだ!」
ズバァッ!!
横薙ぎ。
バルフレイゼノは身体を反らして回避。その直後、カービィは剣を逆手に持ち替えた。
カービィ「そこっ!」
下から斬り上げる。
バルフレイゼノは後ろへ跳んでかわす。
その瞬間、カービィが跳躍した。
カービィ「スパイラルソード!」
身体ごと回転しながら、剣を振り抜く。
バルフレイゼノ「……!」
ズガァン!!
バルフレイゼノの身体が吹き飛ぶ。
武舞台の端まで滑っていく。
観客席がどよめいた。
悟空「おおっ!」
ベジータ「……あの小娘、まだあれだけ動けるのか」
ピッコロ「違う。さっきまでとは戦い方そのものが変わっている」
クリリン「剣を持っただけで、ここまで変わるのかよ……!」
それは、第6宇宙も同じだ。
キャベ「カービィさんが、あそこまで強かったとは……」
ボタモ「す、スゲェ……」
マゲッタ「シュポォ〜……」
ヒット「流石だな。俺が大将になれんわけだ」
第6宇宙の選手達も、カービィとバルフレイゼノの試合を見届けていた。
カービィは剣を構え直す。
その表情には、いつもの朗らかさがない。
悟飯を救う。
その一点だけを見据えていた。
バルフレイゼノ「……面白い」
立ち上がったバルフレイゼノの身体から、赤いオーラが噴き上がる。
ドンッ!!
武舞台の床が震える。
カービィの髪が風圧で大きく揺れた。
カービィ「……来る」
バルフレイゼノが消えた。
カービィ「!?」
次の瞬間。
ドゴォン!!
カービィの目の前にバルフレイゼノが現れた。
拳が迫る。カービィは咄嗟に、剣の腹で受け止める。
ギィィィン!!
「ぐっ……!」
衝撃で足が後ろへ滑る。
さらに二撃目。
三撃目。
四撃目。
更に拳の連打が剣の腹に放たれる。
バルフレイゼノの拳が連続して叩き込まれる。
カービィは剣で受け、逸らし、躱す。
しかし――
速い。
カービィ「くっ……!」
怯んで剣が逸れた、一瞬の隙。
バルフレイゼノの掌がカービィの胸元を捉える。
ドンッ!!
カービィの身体が吹き飛ぶ。
カービィ「うわあああっ!」
武舞台を転がる。だが、すぐに立ち上がる。
カービィ「……まだ!」
バルフレイゼノ「何故立ち上がる?」
カービィ「悟飯を助けるまで……倒れるわけにはいかない!」
再び突撃。
バルフレイゼノも迎え撃つ。
ドガッ!
拳。
ガキィン!
剣。
ドンッ!
蹴り。
ズバァッ!
斬撃。
二人の姿が武舞台の上を縦横無尽に駆け巡る。一瞬で数十回もの攻防が繰り広げられる。
悟空「すげえ……!」
ピッコロ「互角……いや、違う」
悟空「?」
ピッコロ「カービィが合わせているんだ」
悟空「!」
ピッコロ「バルフレイゼノの動きを見て、攻撃の瞬間に最適な対応を選んでいる」
悟空「なるほど……!」
カービィは戦いながら学習していた。
相手の踏み込み。肩の動き。視線。拳の軌道。気の流れ。
一つ一つを見極め、次の攻撃を予測していく。
カービィ「……右!」
バルフレイゼノ「!」
拳を回避。
カービィ「次は左!」
二撃目を剣で受け流す。
そして――
カービィ「今!」
ズバァァッ!!
斬撃がバルフレイゼノを捉えた。バルフレイゼノの身体が大きく後退する。しかし、その顔には笑みが浮かんでいた。
バルフレイゼノ「なるほど」
カービィ「……?」
バルフレイゼノ「貴様は戦えば戦うほど、相手を理解するのか」
カービィ「うん」
カービィは剣を握り直す。
カービィ「だから……僕は負けない!」
バルフレイゼノ「ならば――」
赤いオーラがさらに膨れ上がる。
バルフレイゼノ「理解する暇すら与えなければいい!」
ズドォォォン!!
爆発的な気が放たれる。武舞台全体が大きく揺れる。
カービィ「うわっ!?」
バルフレイゼノが一瞬で間合いを詰めた。
拳。カービィは避ける。
肘。剣で受ける。
蹴り。身体を低くして回避。
回転。斬撃。拳。蹴り。突進。
二人の攻撃が何度も交錯する。
そして――
ドォン!!
カービィが吹き飛ぶ。
ガキィン!!
剣が武舞台に突き刺さる。
その瞬間、ソードの能力が解除される。
カービィは何度も転がっていき、止まった後に立ち上がるが、ノーマル状態に戻っていた。
カービィ「……はぁ……はぁ……」
それでも立つ。
バルフレイゼノ「まだ立つか」
カービィ「……当然だよ」
カービィは顔を上げる。その瞳には、恐怖ではなく決意が宿っていた。
カービィ「悟飯は僕の友達だから」
そして、新たな姿へ変身する。
カービィ「絶対に……返してもらう!」
その両手には、ヨーヨーを握り締めていた。
バルフレイゼノ「そのようなもので勝てるつもりか?」
カービィ「勝つよ」
カービィは容赦しない。洗脳された相手が友達だろうと、簡単にボコボコに出来る精神だ。純粋無垢だが、甘さは無い。
例え友達だろうと、裏切られたり利用されたと分かれば処す。その後、また友達になろう。それが、星のカービィだ。
バルフレイゼノとの戦い。そして第6宇宙と第7宇宙との試合は、最後の局面に至る。