転生したらプロペラヘッドだった件   作:卍錆色アモン卍

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55日常

 

 

 

 デンジは無事にシーちゃんを説得できたらしい。といっても、それはもう数ヶ月前もの話である。

 

 今ではすっかりと季節が移り変わり、文化祭の時期がやってきていた。そして、今日は文化祭当日なのだ。

 

 

 

 賑やかな喧騒が東高校を彩る中、俺は校門前である人物を待っていた。

 

 続々と在校生の関係者がやってきていると、その中でも一際異彩を放つ存在を見つける。それはマキマさんだ。

 

「センカイ君、久しぶり」

 

「マキマさん、お久しぶりです」

 

「それで、準備は出来てる?」

 

「勿論です! 今、案内しますよ」

 

 俺はマキマさんを先導して、2-Aの教室へとやってきた。ここではメイド喫茶を出し物としているようで、メイド服や執事服を着た生徒が忙しそうに動き回っている。

 

 教室内を見回すと執事服姿のデンジと、メイド服姿のレゼを見つけた。そのため、俺は彼らに声を掛けた。

 

「デンジ、レゼ! お客様だぞ!」

 

「おお、来たか! 準備できてるぜ!」

 

「センカイ君、マキマさん。どうぞこちらへ!」

 

 二人に案内されたのは窓際の席。そこには丸テーブルがあり、椅子が四脚ある。そして、既に三脚は埋まっていたのだ。

 

「姉を待たせるなんて、いいご身分」

 

「あっ、その、久しぶり……!」

 

「チッ、私をよくも支配してくれてたな。ええ、マキマぁ?」

 

 順に死の悪魔、飢餓の悪魔、戦争の悪魔である。ここに支配の悪魔が加わり、お茶会が始まるのだ。

 なんというか、ハルマゲドンでも始まるのかと言いたいところだが、単に姉妹水入らずで食事をするだけである。

 

「待たせてごめんね。キミ達と違って、私は忙しいからさ」

 

「あああん!?」

 

「マキマさん……! もう少し穏便に……!!」

 

 どうしてそんな喧嘩腰なの!? 案の定というべきか、ヨルがマキマさんに食ってかかっている。そりゃそうだ、一時期はマキマさんに完全支配をされていたのだ。今は多少支配が緩まっているようだが、それでも続いている。そして、その時の記憶がヨルにはあるらしいのだ。

 

「お待たせしました! こちら、当店オリジナルのデザートタワーでえす!!」

 

「お飲み物を、置かせていただきますね!」

 

 その時、タイミングよくデンジとレゼが食事を持ってきた。どれもこれもが甘そうなデザートであり、用意された飲み物も、見た目からして甘そうであった。

 

「センカイ君、付き添いはもう大丈夫。遊んできていいよ」

 

「はっ、分かりました!」

 

 マキマさんから指示をもらった俺は即座に退出する。些かあの面子に不安を覚えたが、まあ姉妹だし大丈夫だろう。たぶん。

 

 

 

 

 廊下を歩いていると、俺は三人の男女を見つけた。彼らは公安のスーツを身に纏っており、顔見知りであったのだ。そのため、軽く声を掛けることにした。

 

「早川アキじゃないか。デンジに会いに来たのか?」

 

 すると、彼は驚いた様子でこちらに気付く。どうやら、学ランを着ている俺を認識できてなかったらしい。

 

「プロペラヘッドさん、お久しぶりです。それと、お言葉通りデンジに会いに来ました」

 

「そうか。デンジはこの先の2-Aにいるからな。ただし気をつけろよ、今はマキマさんが他の面子と食事をしてる」

 

「そうなんですか……」

 

 少し考える素振りを見せたアキ。そんな彼を余所に、隣にいた姫野が話しかけてきた。

 

「ねえねえ。もしよかったら、私達と話さない? 学校生活とか、凄い気になるし!」

 

「いいぞ。俺も公安から離れて久しいし、そっちの事情も聞きたい」

 

 その後、俺は適当な場所でアキ、姫野、天使と話をすることにした。

 

 公安はいつも通りなようで、忙しい毎日を送っているらしい。ただ、かつて新人だった者達は既に中堅どころに成長しており、部下を持つまでに至っているとか。また、特異五課も徐々に表に出てきているようで、他の特異課と協力して事に当たることもあるという。

 

 当たり前のことであるが、俺が知らない間にどんどんと世界は進んでいく。いずれ特異五課に戻った時には、置いてけぼりになってそうだ。

 

 

 

 午前の部が終わり、午後の部が始まった。俺は2-Bの教室で、執事服を着て配膳作業をする。というのも2-Aと出し物が被ったのだ。その名も執事喫茶。こちらはメイドの数が少なく、その代わりに男子が多く働いていた。俺の勝手な予想だが、2-Bは女子生徒の方が権力が強いのだろう。

 

「兄貴〜! 遊びに来ましたぜ〜!!」

 

「ははは。同志プロペラヘッド、よく似合ってるじゃないか!」

 

「おや、随分と気合が入ってますね」

 

「きゃはは! お前、何だその顔はよぉ!」

 

「……お前らが来るとか聞いてない」

 

 テーブルに注文が入ったのでそちらへ料理を持っていくと、ソード、バルエム、スピア、ムチコがいた。こいつら、仕事はどうしたんだ。

 

「なんでお前らがいるんだよ」

 

「少しだけ寄ることにしてねえ。なあに、すぐに仕事に戻るさ!」

 

「あっ、姉貴ー! お久しぶりでえす!!」

 

「あれ、ミリ君いるじゃないっすか。ていうか他の面子もいる!?」

 

「残念ながら、サムライソード、チャクラム、クァンシは来てませんがね」

 

「おいおいフミコ、似合ってんじゃねえか!」

 

「うぇへへ、そうすか〜?」

 

 メイド服姿のフミコとムチコが会話を始めた時、俺は脇腹をつつかれた。そのため、そちらへ振り向くとアサが話しかけてきていた。

 

「この人達、誰?」

 

「俺とフミコの同僚だ。公安対魔特異五課のメンバーだな」

 

「ふーん」

 

「言っとくが、アサは高校卒業後は公安に就職することになってるからな?」

 

「え、そうなの?」

 

「そりゃそうだろ。恐らくだが、配属先は俺と同じ特異五課になるんじゃないか」

 

「ふ、ふーん」

 

 そういえば、アサには将来についての話をしていなかったな。

 

 俺としては普通に生きて欲しいところだが、アサが戦争の魔人である以上、それは厳しいだろう。間違いなく公安の管理下に置かれるだろうし、もしも待遇が悪ければ、一生日の目を浴びることもなく監禁される羽目になる。

 

 そんなことは俺が絶対にさせないが、だからといって優遇するなんてことはできない。ならば、自身が使えると、有能であると公安に示さなければならないだろう。

 

「いずれ、アサには戦闘訓練を積んでもらうか……」

 

「え? いきなり何?」

 

「アサが可能な限り普通に生きるためには、ヨルの力を使いこなさなきゃならない。まあ、事務仕事が出来れば十分なんだろうが、それじゃヨルが満足しなさそうだしなぁ」

 

「ああ、なんとなく察した。私の人生はまだまだ苦難が続くってわけね」

 

「俺が隣に居る。そう不安に思うなよ」

 

「当たり前じゃん。困ったら、全部リュウセに押し付けるから」

 

「それは勘弁してくれ」

 

 そう言葉を交わした俺達が笑い合っていると、フミコが会話に入ってきた。

 

「な〜に二人で話してんすか〜?」

 

「嫉妬すんなよ。将来について話してただけだ」

 

「将来!? 子供が何人欲しいとかっすか!!?」

 

「ちげーよ!!? アサが公安でやっていくためには、どうしたらいいかだよ!!」

 

「あ、ああ〜。な〜んだ、びっくりさせないでくださいよ〜!」

 

「こっちがびっくりだわ!!」

 

 的はずれな事を言うフミコは安堵の息をつくと、ニヤリと笑っては俺の腕を取ってくる。そして、アサへ挑発するように見せびらかしたのだ。

 

「アサちゃ〜ん。最初は私なんで、そこんとこよろしくっす」

 

「はあ? 何言って──ちょっと! 私が最初でしょ!!」

 

「お前ら、なんで隙あらば喧嘩すんだよ……。少しはレゼとシーちゃんを見習ってくれよ……」

 

 いつものように口論を始めた二人を余所に、俺はデンジ、レゼ、シーちゃんがやってきたため、注文を受け取りに行った──。

 

 

 

 時は流れ、俺は公安対魔特異五課へと戻ってきた。そこでは以前のような日常が続いており、久々の悪魔処理の仕事に思わず悲鳴を上げてしまう。だが、毎日が充実しているのは確かだった。

 

 新しく配属されてきたアサはレゼとコンビを組んでおり、今では好成績を残すほどに優秀だ。本人が言うにはレゼが優秀らしいが、アサ自身もかなり優秀なのだろう。おかけで業務に気合が入るというものだ。

 

 

 

 俺はいつものように流星へと変形し、大空を飛んでいた。

 

 その時、搭乗しているフミコが話しかけてくる。

 

「今回の目的地は長野県にある木祖村っす。そこにある味噌川ダムにヘビの悪魔が出現したらしいっすね」

 

「分かったゾ。さては、地上で処理しろと指示を受けてるナ?」

 

「正解っす〜! ということなんで、よろしくお願いしま〜す!」

 

「面倒くせエ……」

 

 俺は手間の掛かる作業にため息がもれるが、仕方がないと割り切る。そして、目的地が近づいてきた頃。俺は機体を反転させて、高度を下げるのだった。

 




 恋するシーちゃん編、終了

 それに伴ってエピローグも消費したのでこれにて完結となります。ご愛読ありがとうございました。

 この作品を通して、多くの学びや気付きを得ることができました。これらの経験をしっかりと次に活かしたいと思います。何はともあれ、完結できてよかった〜。
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