死に物狂いで仲間を庇ったらメンヘラ激重パーティー化したんだが 作:蓼沼
「…ここは…?」
意識が朦朧とする…まるで長い夢から覚めたように。徐々にぼやけた視界が開けてくる。
知らない天井だ。視界に入るのは真っ白い天井の真ん中に光り輝く電球。
「カ、イト…?カイト…!カイト!カイトカイトカイト!!!!」
慣れ親しんだ顔。驚いた表情で目尻に涙を浮かべている茶髪ボブの少女の姿。
「目……覚ましたんだね………よかった、、ほんとうによかった…!ボク、もうカイトが一生目を覚まさないんじゃないかなって、もうお別れなんじゃないかなってずっとずっと考えてて、だから…ほんとに……うぇぇぇええええん!よがったよぉおおおおお!!」
「うぉ、ど、どうした?らしくないじゃないか。」
いつもの自身満々無邪気にはしゃぎ、口を開けば文句ばかりのわんぱく少女が大泣きしながら擦り寄ってくる。…そうか、あのあと命からがらなんとか逃げ切れて今目が覚めたわけか。
「…あだりまえじゃん!!だっで、みっがもねむって、ぐずっ、たんだよ?からだにおっぎなあなあけぢゃってさ!えぐっ、もう…ほんとに…このままめをさまさないんじゃないかなっで、ずっとかんがえちゃって、うっぐ、うぅ。」
3日。どうやら3日も眠っていたらしい。そんなにも長い間眠りについていたなんて、自分でも信じ難いが、涙を流しながら擦り寄るように手を握ってくる彼女の言葉が嘘には思えない。
「俺そんなに眠ってたのか…心配かけてごめんな。大丈夫大丈夫、どこにも行かないから泣き止んでくれ。」
「うぅ、えっぐ。ほんどぉ…?」
「本当だ。大丈夫。」
優しく彼女の頭を撫でてやる。もう短くもない付き合いだからこのくらいのスキンシップなら許されるだろう。実際涙の中にすこしばかり微笑みの表情が見受けられた。
「やぐそぐだから…!やぶったらおこるから!!」
3日も待たせてしまったんだ。今はこうして慰めてあげるのが筋といったものだろう。
「完全復活しました!ボクです!」
「やっぱいつもの騒がしい方がパメラって感じがしていいな。」
見事復活をなしとげた少女が、いつものように身の丈に合わない大きな杖をビシッと掲げ、ドヤ顔で宣言してくる。うるさくて騒がしいのが彼女のアイデンティティといっても差し支えはないだろう。
「なんだよ騒がしいって!ボクはいつでも冷静沈着なスーパー天才な魔法使いだからね!えっへん!」
「はいはいすごいなぁ。ところで…他2人は大丈夫そうか?」
あの激闘の最中、しっかりとみんなを守れていたか正直分からない。見たところパメラは、目の下のクマこそ気になるが身体的な被害はなさそうで一安心だ。ただ、他2人の安否も気になるところ。
「あーえぇっと…ちょっとまずいかも。いやだいぶ?ものすごく。怪我的な意味じゃなくて精神的な!ボクもカイトが心配でずっと治癒魔法で看病してたからあんまり詳しくはないんだけど、2人とも自分のことを責めて自暴自棄…?みたいになっちゃってて…やばそう。それに、2人とも居場所が分かってなくて…。」
「ほ、ほんとうか?あのメルもか…?」
ああ見えて意外と責任感が強いリズならまだしも、普段冷静沈着で落ち込んでる姿すら見たことないメルまでも…?
「うん、特にメルは今回の討伐依頼自分が提案したからって理由で相当追い込まれてるかも。…ただ、カイトはまだようやく意識が戻った段階でまともに歩けないだろうから外出はダメだよ!肉体もほとんど完治はしてるけど筋肉の細胞が再生に時間がかかるから…心配な気持ちは分かるけど、あと何日かは安静にしてて!付きっきりで治癒魔法をかけ続けたら3日くらいあれば完治するはずだから!」
確かにようやく意識が返ってきたばかりで、辛うじて手を動かすのがやっとなくらい筋肉が破損してる。今の状態じゃ一人でトイレに行くことすらままなそうだ。
「なるほど…。ごめんな、俺が眠ってた時もずっと治癒魔法かけてくれてたんだろ?無理しないでくれよ。」
「ううん、大丈夫だよ!ボクは天才だからあんま寝なくても活動出来るのだ!だからカイトはゆっくり休んでて!」
頼りっぱなしで申し訳ない。あの日から今日までずっと看病してくれてたなんて感謝でしかない。目にクマが出来てることからあまり眠れてないだろうし、心配だ。
「ありがとう。ちょっと、また、眠くなってきたから…お言葉に甘えて……」
ずっと眠っていたはずなのに徹夜した日のように疲労感と眠気に襲われている。目を閉じれば…もうすぐに眠ってしまいそうな…そんな気…分…
「大丈夫だよ、おやすみ………♡」
次回:パメラちゃん裏パート