ここはヤババ刑務所。人里離れたほとりにあるこのヤババ刑務所は無駄に有り余った土地を活用し、なんと囚人収監可能数約60万人という凄まじい収監を可能とした超大規模刑務所である。
そんな刑務所の中は綺麗に掃除され、超絶大規模刑務所とは思えないほどに綺麗ピカピカ。大罪人たちが跋扈できるこの空間は、どこかの優等生集まるハナヒラ高校なぞよりもよっぽど綺麗である。
日々日々行われそうな罪人たちの荒らし行為や糞尿を撒き散らす汚行為で汚れることもなく、この刑務所は綺麗である。きっと、罪人たちはこの綺麗な刑務所に魅了され、犯罪を犯すような汚心から改心したのでしょう。
「まっ、そもそもいないんだが。」
私、花摘 ヤンは、このヤババ刑務所、正式名称地獄大公刑務所の刑務官兼管理人兼水やり係兼世話係兼その他色々である。このヤババ刑務所は前記の通り綺麗である。60万人の人がいるとは思えないほどに綺麗で騒がしくもない。それもそのはず、このヤババ刑務所は先代によって収監可能数だけ無駄に広げられたにもかかわらず、罪人がそのうち0.1%も存在していないのだ。都市部の刑務所の方がよっぽどいる。というか辺境の地なのでわざわざここに収監されることもないのだ。たまに来ることもあるがたまにしかない。
「あー、暇だ。」
そんなここでは私はあまり仕事がない。色々兼任している私だが、その仕事はあまりない。他の奴らに取られたりしている。朝起きて自分の飯作って食って花畑の水やりをして……いや、最近じゃ水やりの仕事も取られている。
もちろんヤババ刑務所職員は私1人ではない。鬼いちゃんと呼ばれる人かどうかもわからない体格の良い先輩や先代からその地位を引き継いだロリっ娘の所長、あとみんなのペットポチーン、タマーン、ハムーン。あとその他モブとか。
彼らは非常に優秀であり、それは私の職をとっていくほどだった。故に私は仕事があまりない。
「いや、あんた片付いてない書類があるだろ」
「黙れ罪人」
牢屋棟に銃声が鳴り響く。
「おいまて!なに当たり前のように鉛玉ぶち込んできた?!?」
「うるさいぞ罪人。私語をつつしめ罪人」
そして、ここにはもちろん罪人もいる。60万人の0.1%、つまりは600人。それを更に下回る人数しかいないが、まぁいる。そういえば、罪を犯すような奴は人ではないので〜人という数え方でよいのだろうか。花摘ヤンは疑問に思った。
「いや、俺、鬼いちゃん刑務官からあんたが見張と称して仕事サボってたら注意しろって」
「私語を死語にしたいかゴミ。そもそも、今は見張りでもなく普通にサボってるだけだから注意される言われもない。次喋ったら脳天ぶちまけるぞ。」
「……」
「ふん。それでいいのだよ。処分対象5353」
まぁ私は現在することがないので適当に見張りをしているふりをしてサボっている。一応ちゃんと見張りはしているので問題はない。
「……」
「む?普段ならここで逆らってでも口を出し無様にも脳天をぶち抜かれる貴様が黙っているとは、珍しいな。」
「……」
「?私の後ろに指を刺してどうした?あぁそうか、私の視線を逸らさせて脱獄する気だな?残念だったが、見張りの私の前でそんなこと」
「いや、後ろに」
「とうとう喋ったな愚図が、刑務官に逆らったからには死罪だっ」
腰から拳銃を取り出し、刑務官に逆らった罪人という名のゴミに鉛玉をぶち込もうとする。しかし、なにか大きな手のようなものが、我が愛銃を持つ手を掴んだ。
「……」
「……」
「……」
「もしかしてだが、もしかしなくとも、鬼いちゃんか?」
「……」
「おい5353、答えろ。発言を許可する」
「鬼いちゃん刑務官ですね。」
「……ふぅ、真面目な私は仕事に戻ギィヤァァァァァァア」
今日も収監可能数60万人のヤババ刑務所はその数に反して平和である。それもそのはず、なんたって囚人数が収監可能数の0.1%にも満ちていないのだから。しかし、それでも騒がしい。その理由はいくつかあり、そのうちの一つにはとある女性刑務官の悲鳴があげられる。
それでも、ヤババ刑務所は平和である。
続きはまたいつかあるかもしれない