必ずやストーリーに活かしてみせましょう。
『次のニュースです。銀座事件に関係しているとされるクラピカと名乗る人物の情報が入りました』
今の私は防衛省が借りた豪華なホテル内に軟禁されている。
銀座事件終息後、日本政府の方からコンタクトがあったので事情聴取に応じた。
そして私は可能な限り情報を吐いた。
だが転生や原作に関連する知識は話していない。
もしソレが世間にバレてしまえば「来世に期待」とか考えた人が自殺する可能性があるからだ。
そうなったら目覚めが悪いなんてもんじゃない。
日本政府のガバガバな防諜能力だと機密にしても絶対にバレるだろう。
ならば初めから話さないでおく。
『クラピカさんは念能力で鎖を操って『
『ですが彼のやったことは大量殺人じゃないですか。私は彼を逮捕するべきだと思いますね。一部では鎖野郎を英雄視する声も上がっているそうです。危険人物を英雄扱いするなんて寒気がしますよ』
『その意見に賛成です。彼が戦ったせいで無辜の民が殺されたんですよ。初めから日本は降伏するべきだったんです。そうすれば犠牲者は出なかった』
テレビには私が帝国兵と戦闘した事の是非について語り合っている。
殺人を犯したのは事実だし否定は出来ない。
それに
だが侵略者側の虐殺場面が抜かれて一方的に私が殺してる様な編集されてるのは引っ掛かるな。
「邪魔するで~」
「邪魔するなら帰って~」
「あいよ~」
耀司はそのまま帰っていった。
何しに来たんだアイツ。
そう思っていると戻って来た。
「お菓子に漫画を持ってきたぞ」
「助かる。流石は二重橋の英雄様だな」
「よせやい」
私が大暴れしたせいで話題は取られてしまったとはいえ、耀司が多くの人命を救った事に変わりはない。
なので本来の歴史通り二等陸尉に昇進したとのことだ。
まあ今は私のパシリになっているわけだが。
「それでいつになったら軟禁状態は解かれるんだ?」
「それは分からない。……ごめん」
「耀司のせいじゃないだろう。それに出歩いたらパニックが起きるかもしれないからな」
人助けをしたのに軟禁されるって割と理不尽だな。
自分の身を守るだけにすればよかったか?
だけど罪のない一般人を見捨てるのも目覚めが悪い。
「日本政府が約束を守るなら此方も約束を守るとしよう」
政府から要求された事は2つ、外出制限と念能力の教導だ。
後者に関しては既に耀司を念能力者にしているので彼から教わって欲しいと伝えたが「伊丹は怠け者だから応じない」と言われたら反論出来なかった。
だから代償として政府に2つほど要求させてもらった。
1つ目は私を『
予言という形で本来の歴史に介入した以上、バタフライエフェクトが発生しているかもしれない。
ならば最後まで責任を取る必要があるだろう。
2つ目は耀司も特地に連れていくこと。
これは念能力を効率的に教えるのに彼が必要だからだ。
もちろん本来の歴史通りにする為でもある。
そして政府は嫌がりながらも要求に呑んだ。
なので此方も要求に従っているわけである。
「それにしても政府が念能力の詳細を発表するとはな……」
笹倉総理は緊急記者会見で念能力についての情報を公開している。
これは余りにも拙速すぎる判断だろう。
「念能力を習得すれば若さを維持できるからな。これを餌に周辺国や財界の協力を得たいんだろ」
「だからこそ念能力の教導は急務か」
富と名声と権力を手に入れた人間が望むのは若さくらいだ。
そんな所に念能力という若さを保つ概念が現れたら飛びつきたくもなるのは当然の真理。
おかげで工作員の動きは有り得ないくらい活発化している。
しかし悪い事ばかりではない。
「中国の尖閣諸島、ロシアの北方領土、韓国の竹島。これらは念能力と引き換えにすれば戻ってくるかもしれないな」
「流石に一筋縄ではいかんでしょ。日本の防諜能力を考えれば工作員を駆使してタダで入手できるだろうし」
「だが老いた権力者には時間が無い。ならば交渉で早期に手を打つ方が良くないか?」
「確かになぁ……」
餅は餅屋、そこら辺は政治家の先生方が上手くやってくれるだろう。
でもソ連崩壊時に北方領土を獲得できなかった日本政府が信頼できるか?
「とはいえ私が『
「どちらかというとソレが主題だろ」
耀司は嘉納防衛大臣から聞いたという情報を語り出す。
曰く、銀座の『
自衛官からすれば特地へ向かうのは最悪な罰ゲームだったが、教導役の私が特地入りを発表したことで状況が変わる。
つまり特地に駐屯する自衛官は念能力を優先して習得できるかもしれない。
これにより彼らのモチベーションが少しだけ上昇したとのこと。
「なるほど、だが全員に教えるのは無理があるな」
「そこは念能力を習得した人が未習得の人に教えればネズミ算式に増えていくから」
どうやら特地は念能力者の育成施設になりそうだ。
「……そろそろ時間だな」
「だな、ボチボチ行こうか」
現在は『
その間、私を遊ばせておくほど政府に余裕はないので、先んじて一部の公務員に念能力を教える手筈になっている。
もちろん講習会の参加者は
というわけで東京にある研究施設へと向う。
「よく来てくれましたね、クラピカ参与に伊丹2等陸尉」
笹倉総理が私達に挨拶を行う。
念能力の教導役を務めるに際して政府は内閣官房参与の職に就くよう打診してきた。
つまり国家公務員にして逃がさないようにするということだ。
後々、専用の役職を新設するそうだが今は臨時で参与となっている。
ちなみに日当は26400円とのことだ。
もちろん断る理由は無い。
「では始めましょうか」
国内外問わず念の安全性を疑問視する声は多い。
要するに寿命を延ばすというのは嘘で本当は身体に害のある能力なのかもしれないと思われているわけだ。
だからこそ始めは体中に電極を装着した検査や動物実験などで安全性が証明されてから官僚(モルモット)に念を教える予定になっている。
「それでは全員集まってくれ。今から念について説明する」
1か月に渡る検査を終えた私は官僚と自衛官達の前で開始を宣言する。
……いや1人だけ例外がいたな。
それは嘉納太郎防衛大臣、通称『閣下』だ。
彼は漫画が大好きなので念能力という異能をいち早く習得したいのだろうが人体実験に志願するのは余りにも豪胆すぎる。
まあ年配の被験者も必要だから助かるけど。
「これから貴方達は念を覚えてもらう訳だが……途中の習得速度に個人差が出ても2週間後には全員が念を使えるので安心してくれ」
「2週間!? 俺の場合は半年かかったよな」
耀司が目を見開いて驚く。
彼の場合は他に念能力者がいなかったので時間がかかった。
だが今は状況が違う。
「私の念能力は他者の念能力を奪い一時的に他者へ渡すことが出来る。そして非能力者に念を渡した場合、副次効果で対象が念に覚醒する。これを使えば2週間で習得可能だ」
要するに
「つまり伊丹2等陸尉の念能力を借りることで私達が念に目覚めるということですね」
「理解が速くて助かる。そして、この念能力を発動すると1秒につき1時間も私の寿命が縮むという制約がある。だからこそ手早く作業を遂行して欲しい」
参加者は12名で1人が念能力を使うのに長くても20秒かかるだろう。
要するに12×20=240時間、大体10日くらいの寿命が削れる計算だ。
念能力者は寿命が長いとはいえ、この先も多くの人に念を教導するとしたら更に寿命が削れるな。
「それって大丈夫なのか?」
「……構わないさ」
耀司の気配りが身体に染みこむ。
前世では「寿命が減るとかメタ的にはノーリスクだろ」と思っていたが実際に直面すると寒気がする。
とはいえ一刻も早く念能力を増やした方が日本の為になるはずだ。
「だが覚醒させる前に基礎修行と座学を行う。耀司は補助を頼んだ」
「おう!」
こうして1週間が経過し全員が水見式を行う準備が完了した。
一方の日本サイドは任期の満了を伴い笹倉総理から本位総理へと政権が引き継がれ、野党と市民団体の反対を押し切り制定された通称『特地派遣法』に則り、『
名目としては特地の調査、銀座事件の首謀者の逮捕、補償獲得の強制執行の3つである。
そして現在は帝国傘下の連合諸王国軍と戦闘を行っているらしい。
「では始めるとしよう。耀司、能力の説明をしてやってくれ」
味方かつ信用できる人物達とはいえ他者に念能力を教えるという行為は非常にリスクがある。
ソレを本人の同意なく教えるのはマナー違反だ。
「俺……いや自分の系統は放出系で能力は
Fateのギルガメッシュと同じ能力にした耀司は生粋のオタクだろう。
その証拠に嘉納閣下は笑いを堪えている。
なお本人によると
「不勉強で恐縮ですが
すると1人の官僚が手を挙げて質問をしてきた。
まあ真面目なエリートがエロゲーを知らないのも無理ないな。
それを聞いた耀司は赤面しながら説明を行う。
恨むのなら過去の自分を恨むんだな。
「まずは嘉納さんから始めましょう」
念を覚醒させる儀式は何事もなく進行する。
……いや参加者の1人が念能力を使ったら収納されていたウ=ス異本が出てきて、耀司が女性陣から侮蔑の眼差しを向けられたりはしたが、重大なインシデントは発生していない。
それはともかくとして水見式を行うフェーズになった。
「うおっ!? 水が増えて色が変わったぞ!」
「それは特質系ですね」
参加者達の念系統が続々と判明していくが1人だけ特質系がいた。
その人の名は嘉納太郎、つまりは閣下だ。
ヒソカのオーラ別正確分析♥によると特質系はカリスマ性ありだったな。
大臣を務める程の人物にカリスマ性があるのは明白なので順当な結果だろう。
「特質系ってのは修得率の相性がないヤツか」
「ええ、どの系統も100%極めることが出来る特別な系統です」
「……だとしたら銀座の『
「それは難しいかと。全ては推測になりますが異世界に繋げる念能力は多数の才能のある人間がジョイントし制約を設けて出来るかどうかでしょうから」
特地へ自衛隊を派遣するのはリスクのある行為だ。
例えば『
だからこそ日本政府は念能力で『
円同士の接点が1つしかないように世界同士を繋げる穴は1つしか開けないから、仮に再現できたとしても他の異世界を探索するだけになるだろうな。
「なら銃を具現化でもするかねぇ……。特質系なら放出と具現化という相反する能力を習得可能なんだろ?」
「それは勿体ないですよ」
嘉納閣下の冗談に耀司がツッコミを入れる。
クレー射撃でオリンピックに出場した腕前を持つ閣下にはピッタリな能力ではあるが、折角の特質系を無駄遣いして欲しくない。
「じゃあクラピカみてぇに他者の念を覚醒させる能力はどうだ?」
「例え特質系だとしても多くの代償を払う制約が必要かと。お年を召している閣下がソレに耐えられるか分かりません」
例えば
だが野党や外国から倫理的な問題で批判されるかもしれないし、そもそも敬虔なクリスチャンであらせられる閣下は頭のおかしい能力を望まないだろう。
「なら何が良いと思うんだ?」
「私としては未来を予知する能力が良いかと」
「未来を!?」
ネオンの
なにせ私が原作に介入したせいで未来が見通しづらくなったからな。
「お前さんが未来を予知できるから必要ないんじゃねぇか?」
「あの未来予知は私の師匠が行ったものです」
「その師匠ってのと連絡は取れるのか?」
「それは難しいかと」
師匠の下りは全て嘘、つまりは転生した事実を隠すためのカバーストーリーだ。
それ以外にも外国勢力が存在しない師匠を探そうとして日本への工作活動に割くリソースを減らす効果まで期待できる。
もちろん日本サイドも探すだろうが他国に比べて念能力者を保持している余裕があるので積極的には探さないだろう。
「なら頑張るしかねぇな!」
「念能力はフィーリングが大事です。皆さんも気軽に考えて系統に合った能力を身につけて下さい」
耀司が好きなゲームから能力を拝借したのは良い例だろう。
なので政府が強制して『
「未来予知は政治家向けだから悪くないな」
「参考になったのなら幸いです」
私の寿命が削られたとはいえ一気に16名も念能力者が増えた。
彼らが頑張れば自衛官の犠牲者が減るかもしれない。
後は敵に念能力が漏洩しないように気をつければ完璧だ。
・内閣官房参与について
首相に情報提供や助言を行う役職らしいです。
丁度良い役職が無かったので妥協して就任させました。
間違いがあったら指摘して下さい。
・時系列のガバについて
原作では本位内閣の発足は銀座事件から2か月後ですが、この二次創作では1か月と1週間後に発足しています。
自称クラピカが介入したことでバタフライエフェクトが発生したのでしょう。
・系統と性格の関連
伊丹は奴隷にされた日本人がいると知ってゾルザルを殴るなど割と短気な一面があるので放出系にしました。
レレイは理屈屋でマイペースだから操作系、栗林は単純だから強化系かなぁ?
結局は面白さ優先なんで余り気にしないで下さい。
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