インフィニットストラトスD×D   作:グレン×グレン

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第二巻編突入しました。

あ、アンケートはまだまだ募集中です。使えそうな設定がどんどん出てきましたが、それでも待ってます。


転校生のヴァルキリーシャドウ
第一話 お、男・・・?


 

「今日から本格的な実戦訓練に入る。ISを使う以上訓練機だからという言い訳を使わせるつもりもない。各人は気を引き締めろ」

 

『―はいッ!』

 

 千冬の言葉に気合の入った返事が返される。

 

 学園別個人トーナメントを目前に控えていることもあり、いつも千冬の姿に暴走する生徒たちも気合が入っていた。

 

「では、山田先生。ホームルームを」

 

 その姿に千冬も少しは感心したのか、少しだけ様子が柔らかくなった気がする。

 

 だが、そんなことは麻耶の放った一言で塗り替えられた。

 

「ではまずはいいお知らせから。今日からこのクラスに、二人の転校生がやってきました」

 

 その言葉にクラス中がどよめきに包まれる。

 

 事前に全く情報が無い状況下で、同時に二人も転校生が来るなど普通なら考えられない。

 

 しかもここは転入試験に国家からの推薦が必要とされるIS学園だ。

 

 一部の者は明らかに裏があると確信したが、ほとんどの生徒はそれに気づかず、ただ新しい仲間の登場に歓喜した。

 

 そして、その裏の理由最有力候補の一夏は・・・。

 

「へぇ・・・。どんな奴なんだろうな」

 

 歓喜する側だった。

 

 史上初の男性IS操縦者であり、かつ旧魔王眷属というとてつもなく危うい立場だという自覚が足りない。

 

「それじゃあ、入ってください」

 

「はい、失礼します」

 

「・・・・・・・・・」

 

 入ってきた二人はどちらも美系で、分かる者にはわかるが達振る舞いにも隙がなかった。

 

 明らかに各種訓練を積んだ代表候補生クラスだとわかるが、しかしそこには注目されない。

 

「シャルル・デュノアです。フランスの代表候補生としてこちらに来ました。日本に来たばかりで不慣れなことも多いので、ご迷惑をおかけするかもしれませんがよろしくお願いします」

 

 礼儀正しい金髪の持ち主は、制服にタイプがありある程度改造する者もいるIS学園の中でも、ひときわ異彩だった。

 

 具体的に言うと、男だった。

 

 もう一度言う。男だった。

 

「お、男・・・?」

 

 その姿を見ていたクラスメイトの一人が、茫然とそう呟く。

 

「はい。フランス政府に保護されて隠されていたんですが、織斑一夏君が既に世界に発表されたので―」

 

「「「「「きゃぁああああああっ!!!」」」」」

 

 丁寧に対応しようとしたシャルルを遮って、黄色い悲鳴が響き渡った。

 

 当然といえば当然だろう。

 

 このシャルル、誰がどう見ても美系である。

 

 それも体格がそれなりにしっかりしている一夏のようなタイプではなく、線の細い中性的な美少年だ。

 

 一瞬で少女たちのテンションはマックスになる。そのご千冬に人睨みによって一瞬で鎮静化されたが。

 

「やかましいぞ小娘ども。男が一匹増えたぐらいでいちいち騒ぐな」

 

「そ、そうですよ! デュノア君だけじゃなくてもう一人いますからね! ほら、自己紹介」

 

 麻耶に先導され、そしてもう一人の転校生が一歩前に出る。

 

 ・・・一言でいえば、彼女は軍用ナイフのような印象を与えていた。

 

 よれば切る。そう言わんばかりの冷たい気配に、ただでさえ鎮静化されていた少女たちのテンションがさらに下がる。

 

「ドイツの代表候補生、ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

 ただそれだけをいい、そして黙して語ろうとはしない。

 

 明らかにコミュニケーションを放棄している。

 

 その姿にどうしたものかとほとんどの者が思っていると、彼女の視線が一夏とぶつかった。

 

 そのとたん溢れた敵意に、一夏は本能的に戦闘態勢に入り始める。

 

「貴様が・・・っ!!」

 

 ・・・乾いた音が、鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・で? 張り手を防御したはいいがにらみ合いになったと』

 

『ああ。いつか来るとは思ってたけど、今来たって感じだな』

 

 休み時間、一夏の連絡を念話で受け取ったレヴィアは顔をしかめた。

 

 理由は大きく分けて二つ。

 

 一つは当然今のことだ。

 

 戦闘態勢に入りかけていた一夏の反応速度は、悪魔と化したこともあって常人をはるかに上回る。

 

 それがかろうじて手で防げる程度となると、いくら代表候補生でもそうはいないだろう。おそらく衝動的にやったものだと考えれば、そこまで卓越したものでもないはずだ。

 

 徒手空拳の技術がずば抜けて高いとでも考えるべきかもしれない。

 

 格闘戦にたけた潜入工作員を送り込み、一夏の身柄を確保しようとしているのかとも考えたが、それにしてはファーストコンタクトが明らかに問題がある。

 

 思いつく内容はただ一つだ。

 

『ドイツ軍で千冬さんの指導を受けて心酔した子が、モンド・グロッソの真実をしって一夏君に敵意を持っているってところかな? 軍人を送り込むとはドイツも焦っているのだろうかね?』

 

『だろうな。アイツ、千冬姉のことを教官っていってたしそれだろう』

 

 織斑千冬は日本人だが、一時ドイツに教官として行動したことがある。

 

 それはモンド・グロッソでドイツに借りができたためであり、そしてその理由は一つ。

 

 織斑一夏が、誘拐されたからである。

 

 レヴィアにとっても苦い思い出であるあの事件に置いて、ドイツは自国であることもありいち早く情報を収集、千冬に報告して一夏救出に一役買ったのだ。

 

 カリスマ性の高い千冬の指導を受けた以上、千冬に心酔するものが出る可能性は十分にある。そして千冬に二連続優勝という栄光を汚した一夏は、一部のIS関係者から逆恨みに近い者を受けている。両方重なれば当然敵意を持たれるだろう。

 

 よりにも寄って、そんな人物を送り込んだことに、レヴィアは権力行使を一瞬考えたほどだ。

 

 とはいえそんなことをすれば余計に目だつ。須弥山にまで目をつけられている状況下で、ヨーロッパ=北欧神話体系とギリシャ神話体系etcに目をつけられるのは本当にゴメンだった。

 

 それに・・・。

 

『一夏君。今回の件、僕はあまり積極的な介入はしないよ?』

 

『分かってる。これは俺が付けなければいけない問題だ』

 

 ・・・モンド・グロッソのことで一番千冬に詫びたいのは一夏だ。

 

 ぶっちゃけていってシスコンの一夏は、今でも誘拐されたことを後悔しているし、それを払しょくするために努力も重ねている。

 

 いずれ乗り越えねばならない壁が今来ただけであり、おそらく無用な介入をするのは無粋だろう。

 

 それに、もっと意識して介入するべき問題は他にある。

 

『話は変わるけど、そのシャルル・デュノアと同室になるっていうのは本当かい?』

 

『二人っきりの男性IS操縦者だし当然だろ?』

 

 一夏はなんてこともないように言うが、レヴィアは真剣にそのあたりについて考えていた。

 

 今回の件が決まってから、レヴィアはかなり真剣にISについて勉強している。

 

 もともと全体的にどちらかといえばできる方のレヴィアであったこともあり、こと自分自身の出自もあって政治的な分野にも知識はあった。

 

 だから、今回の件は明らかにおかしい。

 

 既に1人出現している状況下で、フランス政府がなぜ男性IS操縦者の情報を隠す必要がある?

 

 IS学園にまで送り込んだ以上、むしろプロパガンダとして情報を公開した方が政治的にも有効なはずだ。

 

 ・・・というより、いくらなんでもタイミング的に都合がよすぎる。

 

 しかもISでデュノアでフランスといえばデュノア社が想像できるが、この企業、第三世代ISの開発の遅れでいろいろと経営に苦労しているという事実がある。ひっくり返すにはISの常識を塗り替える何かが必要で、男性操縦者はまさにそれだ。

 

 こんなメリットを無視するとは思えない。

 

 十中八九裏がある。レヴィアはそう確信していた。

 

『一夏君。悪いんだけどこっそりシャルル・デュノアの毛髪か何かを回収してくれないか? ・・・むちゃくちゃ怪しいからDNA検査でもしないと安心できない』

 

『へ? ・・・分かったけど・・・いや、やっぱいいわ』

 

 何かあると察した一夏が、専門外の自分が詳しく聞いても意味がないと判断して素直に頷いた。

 

 政治的な分野における能力がない以上、うかつに踏み込めば足を引っ張ることになる。自分の能力をちゃんと把握しているが故に、一夏は無謀なことはしなかった。

 

『じゃ、そろそろシャルルは怪しんでるし俺はこれで。・・・そっちも授業頑張れよ?』

 

『ああ、分かってるよ一夏君。そっちも頑張って』

 

 念話を切ると、レヴィアは軽くため息をついた。

 

 クラス対抗戦の一件で、世界は一夏から注目をはずし始めるかと思ったが見通しが甘かった。

 

 出自不明のISに対抗できる兵器より、出自が判明しているISに関わるイレギュラーのほうを選ぶ国もいるということだろう。

 

 そもそも、デュノア社を含むIS中心の企業は数多い。そんな組織にとってISと戦える兵器などむしろ邪魔ものでしかない。そんな邪魔者と戦うためにもISでのアドバンテージはとるべきだったのだ。

 

 一瞬でも気を抜くべきではなかったようだ。

 

(所詮、ボクなんて若輩者ということか。・・・一度魔王さまにでも相談するべきだろうか)

 

 基本的に平和主義者の現魔王たちなら、何かいい知恵を貸してくれるかもしれない。

 

 いや、あの日常に置いては軽すぎる四大魔王たちだとあさって方向にボケる可能性も大きい。もし『魔王戦隊サタンダー3』とか作ったら目も当てられない。

 

 ちなみに、戦隊モノって五人じゃないのかとか突っ込んではいけない。魔王は四人しかいないのだから、五人戦隊など作れない。追加でいえば1人はニート一歩手前だから、三人戦隊なら簡単に作れる。

 

(やばい、本当にやりそうで怖い!!)

 

 なぜかそれ以上の事態になる可能性を思いつき、レヴィアは戦慄した。

 

 やはり本格的な相談は他の人物にした方がいい。そうだ、ルシファーの妻も魔王級で、とても真面目な人物だった。相談するなら彼女にしよう。

 

 やめよう。今の段階では考えがまとまりそうにない。

 

 レヴィアはそう考え、残り少ない休み時間を利用して、簪と話でもしてささくれだった心をいやそうと思いなおした。

 

 彼女はなんというか小動物的な可愛さがある。どうにもフラグを立てているのは問題だが、その時は同姓であることを理由に断ればいい。

 

 理論武装をちゃんと用意してから、レヴィアは簪の姿を探して・・・。

 

「・・・っ!」

 

 ・・・泣いて走り去る彼女を見た。

 




頭いいキャラが一人いると、策謀とかをかくのが楽でいいですかくのが楽でいいです。
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