インフィニットストラトスD×D   作:グレン×グレン

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本作品の簪ちゃんは、姉に対してちょっとヤンデレが入ってます。


第二話 今回の対価はそれでいいよ

 

 最近、簪は機嫌が良かった。

 

 ルームメイトのレヴィアは本当にいい人だ。

 

 自分のことを姉の付属品ではなく、姉と違った才能をもつ女の子だと評価してくれて、それどころかいろいろと世話を焼いてくれる。

 

 しいて言えば、昔からの付き合いの本音や虚もそうだったが、彼女たちは更識に使えている一族で、追加でいえば姉に使えている。そういったこともあって気を使われているのではないかと邪推してしまい、どうしても素直に受取れなかった。

 

 どう考えても甘えているが、自分から能動的に動いていないということもあり、ついついそれに甘んじてしまう自分がいた。

 

 彼女が自分の心を癒してくれているからか、これまで一向に進まなかった打鉄弐式の開発も少し進展してきたかもしれない。メンタルが重要だという話は聞いていたが、ここまで変化するものだとは思わなかった。

 

 もしかしたら、彼女に手伝ってもらったらあっという間に開発できるかもしれない思いそうになり、簪は首をふってその考えを追い出す。

 

 あれは自分の力で開発させるべきものだ。ISを開発させたという異形を再現してこそ、簪は姉と並びたてる存在になれるだろう。

 

 姉とは違う才能を持っているとはいえ、姉に大きく差をあけられているのは事実なのだ。ちゃんと超えるための努力と成果を見せるべきだろう。

 

 そう気合を入れ直す簪の耳に、クラスメイトのひそひそ場なしが聞こえてくる。

 

「・・・そういえば、クラス代表戦は台無しになったけど、もしあったらうちの代表の更識さんって勝てたかしら?」

 

「どうだろうね? 専用機持ちの代表候補生相手だと難しいかも」

 

「え? でも更識さんって代表候補生で専用機持ちだって聞いたけど」

 

「いや、私の姉が倉持技研に勤めてるんだけど、あの子専用機の開発が一時停止になってから、自分で作ろうとかしてるみたいなのよ」

 

「え、冗談でしょ? 無謀じゃない?」

 

「だよねぇ。ちょっとムチャだって」

 

「そういえば、生徒会長の専用機って自分で作ったて噂があったけど、もしかして対抗意識感じちゃってるのかな?」

 

「まっさか~。それはいくらなんでも無理があるでしょ?」

 

 ・・・高揚していた感情が一瞬で冷めた。

 

 やめて言わないでお願いだから。

 

 本当はそんなことわかってる。だけど、それを認めたらきっと自分が許せなくって、耐えられないからお願いだからそれだけは・・・。

 

「・・・会長みたいな天才、比べる方がどうかしてるって」

 

 それ以上は聞けなくて、その場から逃げだした。

 

 周りの光景など全く見えずに、ただ感情の赴くまま走り出す。

 

 自分がどこをどういう風に走っているのかさえ分からない。

 

 ・・・レヴィアに褒められて浮かれていたのかもしれない。

 

 彼女は自分の才能を認めてくれた。評価してくれた。姉とは別の才能だと言ってきてくれた。

 

 泣き出しそうになるほど嬉しかった。自分のことを自分として認めてくれる人が目の前にいて、しかも彼女は姉を知ってもなおそうしてくれていた。

 

 だけど違う、違うのだ。

 

 何より姉と別個で評価してほしいのではなく姉と比較して評価してほしいの自分自身だ。

 

 姉が嫌いなわけではなく、楯無のことを大好きな自分がいるからこそ、嫌いになりたくない自分がいるからこそ、完全に別にして考えるのではなく、セットにして考えたうえで自分を同格だと評価してほしい。

 

 そういう意味で姉に負けない自分だと評価されなければ、自分は姉と断絶してしまうだろうから。

 

 姉の後ろで隠れる妹でもなく、姉とは別個の存在としての妹でもなく、姉と一緒にいられる妹でいたかった。

 

 姉とは別方向の道を走るのではなく、姉と同じ方向で走って並びたかったから、自分はISの道に進んだのだ。

 

 比べて下に見るのではなく、比べなくで同格に見るのでもなく、比べたうえで同格と見てほしかった。

 

 ああ、なんて我がままで醜いのだろう。

 

 後者から遠く離れたところまで走り、激しくなった息を整えながら、簪は自分が恨めしくて恨めしくて殴りつけたい衝動に駆られた。

 

「こんな醜いの。・・・やだよ」

 

 姉にも悪い、レヴィアにも悪い。

 

 もともと他人に能動的に何かを求めることを甘えだと思う簪は、今間違いなくドツボにはまっていた。

 

 誰かに弱音を吐くことも出来ないことが、通常以上に彼女の心をさいなんでいた。

 

 ・・・ゆえに、例え代表候補生であろうとこの襲撃に気付かなかったとして非はないだろう。

 

「へぇ・・・。誰かと思えばできそこないの代表候補生じゃねえか」

 

「え?」

 

 後ろから男の声がして、簪は疑問に思った。

 

 IS学園はその性質上男性の数が極端に少ない。用務員などの一部の作業員を除けば、生徒は一夏だけだ。

 

 ましてやこんなところで男の声が聞こえてくるなどおかしい以外の何物でもなく、だから簪は振り返って―

 

「―ひっ」

 

 ・・・即座に後悔した。

 

 そこにいたのは人間ではなかった。

 

 人間は毛皮など持っていないし人を殺せるような鋭い爪など持っていないし、何よりオオカミの顔をしていない。

 

 なんだコレは? なんでISを含めた科学万能のこの時代に、オオカミ男なんて幻想の産物が存在している?

 

「依頼で生徒を1人売りさばけっていわれた時は面倒だとも思ったが、専用機も出来てないたぁいえ代表候補生なら大手柄だ。・・・悪いな嬢ちゃん。アンタの人生は真っ暗だぁ」

 

 心底罪悪感など抱いていないとわかる表情で、オオカミは舌舐めずりする。

 

 ・・・簪は、いっそ意識を失ってしまいたいとすら思った。

 

 これはいったいどういうことだ? なんで自分の目の前にこんな化け物が現れた。

 

 ああそうか。これはきっと天罰なんだ。

 

 ちゃんと自分のことを自分として見てくれる人がいるにもかかわらず、変な意地をはってわがままな願望を抱いたから、神様が天罰を与えに来たんだろう。

 

 天罰なら仕方がない。だって神様がそう決めたんだから、人間はちゃんとそれに従わないと。

 

 そう思って簪は全て甘んじて受けようとして目を閉じ・・・。

 

『お姉さんが羨ましいよ。僕も簪ちゃんみたいな可愛くてすごい妹が欲しかったね』

 

 ・・・あのルビーみたいな髪の少女を思い出し。

 

 あ、やっぱり嫌だな。

 

 力を求めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 思えば、更識簪は誰かに頼ることができない人だった。

 

 更識簪にとって、他人に対して能動的な行動をとることが甘えになっていることもあってか、弱音を漏らすことも誰かに当たり散らすこともできない。

 

 姉と比較したうえで並び立つ存在だと認められたいと考えても、それを人に対していうことができない彼女は、どこまでも人に頼れない人種だった。

 

 だから自分の能力でISを開発しようとしたし、しかしそれができないことにいら立った。

 

 そういう意味では、彼女は彼女自身にも頼っていなかったともとれる。

 

 姉にはない力を姉とベクトルが違うという理由で完全に信を置くことができなかった彼女は、自分自身の力すら、よりどころには仕切れなかった。

 

 そう思うと、彼女は改めて頼ることを覚えたのだろう。

 

 自分自身の力の中に、この窮地を打破するものが欲しいと、彼女はまず自分自身に強い意志で頼ったのだ。

 

 そして、この世界には人の想いに答える力が存在する。

 

 それは、持ち主に答えてちゃんと目覚めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前に届いていた爪が、はじかれた。

 

「んなっ!?」

 

「え?」

 

 疑問の声は同時、しかし、その流れは簪の方に向いていた。

 

 簪の周囲に、紫電が放たれていた。

 

 慌てて周りを見れば、経年劣化で破損したのか、伝統の一部が壊れて電線が見えている。

 

 そこから電流が簪に向かって放たれ、しかし簪を守るように展開されていた。

 

「え・・・? これ、なに?」

 

 簪はこの現象がどういう理屈か全く理解することができず、ただ困惑するばかりだった。

 

 だが、目の前のオオカミはその現象に辺りを付けていた。

 

 異能に関係していない女が、いきなり妙な力を使えるわけがない。そして打鉄弐式の第三世代武装は未完成だし、なにより断じて雷を操るものではない。

 

 ではこの現象は何か?

 

 一つしかない。

 

神器(セイクリッド・ギア)だと!? なんの冗談だよ!?」

 

 これは想定外だった。

 

 元々この男は、男尊主義者たちの依頼でIS業界のイメージをダウンさせるべく、誘拐からの人身売買を依頼されたのであり、ゆえに学生達はこちら側と一切関係ない連中だとふんでいた。

 

 それがまさか科学万能の象徴ともいえるIS学園で、人間の神秘の極致ともいえる神器を目にすることになるとは思わなかった。

 

 だが、分かってしまえば怖いものでもない。

 

 みれば彼女自身自分の能力を理解しきれていない。

 

 使い方もわからない神器の使い手などそこまで恐ろしいものでもない。自分の耐久力と攻撃力なら、あの程度の電撃は力押しで行ける。

 

「ざけんなよ・・・コラァ!!」

 

 だから驚かせた報復をしようと力を込め―

 

「『僕の』友達になにをしてるのかな?」

 

 それは完全に遅れていた。

 

「遅くなってゴメンね、簪ちゃん」

 

「え、レヴィア!?」

 

 オオカミの爪が雷を貫くより早く、その雷を無理やり突っ切って簪を抱き寄せたレヴィアが、その爪をはじく。

 

 簡単に裂けそうな柔らかい肌は、しかしその爪に傷つけられることは一切なかった。

 

「この子は僕の物だ。・・・はぐれ風情がよくも手を出してくれたね?」

 

 レヴィアは鋭い視線でオオカミを睨むが、すぐに表情を変えると簪にほほ笑んだ。

 

「大丈夫だよ簪ちゃん。じゃ、この雷をとめようか」

 

「え、でも、なにもわからなくて・・・」

 

 何でもないように雷を耐えるレヴィアに、簪はなにがなんだかわからない。

 

 そもそもこの現象を起こしているのが自分だという自覚もなく、混乱していた。

 

 そんな簪をあやすように、レヴィアはより一層深く抱きしめる。

 

「大丈夫。これは君の身を守りたい想いに君の力が答えたんだ。もう大丈夫だって思えば、すぐに止まってくれるよ」

 

 その言葉は今の状況をなんとも思っていないことが分かって、そう思うと自分ももう大丈夫だと安心してしまって・・・。

 

「・・・ふぇ」

 

 雷と一緒に意識も止めてしまった。

 

「お休み簪ちゃん。いい夢を」

 

 そんな簪を優しく抱き直し、レヴィアはオオカミに視線を戻す。

 

 そして、オオカミはそのころになってようやくレヴィアの正体に感づいた。

 

「き、旧魔王レヴィアタンの末裔、セーラ・レヴィアタン!?」

 

「その名は好きじゃないんだけどね。・・・さあ、さっさとうせな」

 

 そういうと、レヴィアは簪を抱きかかえたまま踵を返す。

 

 その反応にオオカミは疑念を浮かべたが、これ幸いと急いで駆けだす。

 

 魔王の血族を敵に回して勝てると思うほど、自分に力があるとうぬぼれてはいない。手を出す気がないようなら気が変わらないうちに逃げ出すべきだ。

 

 だから急いで距離を取ろうと、オオカミは足に力を込め―

 

「―ま、逃がすつもりはないみたいだけどね、『彼女』は」

 

―力を解放するより先に、切断された。

 

「な、なぁあああああ!?」

 

 オオカミはそのまま地面に倒れ、そしてようやく気付く。

 

 異形の世界のオーラを放った日本刀をもった女生徒がそこにいた。

 

 そう、レヴィアが自分を見逃したのは、別に許したわけではない。

 

「・・・このIS学園で狼藉を働いて、生徒会長が見逃すと思ったのかしら?」

 

 ただ単に、自分よりはるかに怒り狂っている相手がいるから譲ったというだけで、

 

「なにより、簪ちゃんに手を出して私が許すと思ってるのかしら?」

 

 先に手を出せば自分がただでは済まないと、承知していたからにほかならないのだ。

 

 生徒会長ではなく、更識簪の姉として、更識楯無が怒り狂っていたから譲っただけにほかならないのだ。

 

 楯無は静かに微笑みながら、いつものように扇子を開く。

 

 因果応報。その四文字が今の彼女のすべてだった。

 

「な、さ、更識はあくまで『表』の家系のはずだろぉ!?」

 

 暗部用暗部に表という言葉を使うことは適切ではないが、この場合表の意味が違う。

 

 あくまでこの場合の表とは科学が万能だという意味の社会という意味で表だ。その意味では、神秘と魔導が渦巻く異形の社会である自分たちこそ真の裏だろう。その領域に更識は踏み込んでいないはずだ。

 

 だが、今目の前にいる女は間違いなく裏の世界の住民だ。

 

「情報不足ね。昨今の政治情勢を反映し、そして私の能力もあって、私の代で更識は裏の力も借りているの」

 

 その手に持つ刀は、まるで自分から水を生み出しているかのごとくしずくが滴り落ち続けていた。

 

「だから彼女の入学を認めたのよ? だって私がいれば対処できるのだもの」

 

 絶対零度の声色で、楯無はオオカミの目の前にまで辿り着いた。

 

 はるかに離れたところから両足を切断するような刀が、目の前に立っている状態で振るわれればどうなるか、そんなものは火を見るより明らかだ。

 

「・・・人の妹に手を出すな」

 

 そして、身を持って体験した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう、簪ちゃん」

 

 目がさえて見えたのは、自分を助けてくれた赤い髪だった。

 

 そして、最初に思ったのは、自分を守ったあの力のことだった。

 

「レヴィアは、あれを知っているの?」

 

「ああ。あれは神器(セイクリッド・ギア)っていって、聖書の教えの神様が、人間の力になるように作ってくれた、正真正銘の天から授けられた才能だよ」

 

 簪の髪をなでながら、レヴィアは当たり前のことのように続ける。

 

「この世界にはISにだって負けない不思議な力がいっぱいあるんだ。僕もその力の一端を持っている血筋なんだよ」

 

 そんなものがあるだなんて想いもしなかった。

 

 世界は不思議に満ち溢れているだなんて言葉を聞いたことはあるが、それを実感したのは今日が初めてかもしれない。

 

「簪ちゃんが使ったのは万象の融合(オーラ・キマイラ)っていってね、自分の周りにある魔力やらエネルギーを取り込んだり使ったりする能力なんだ。今回は取り出しやすかった電線から電気エネルギーを引き寄せたんだね」

 

「じゃあ、もしかしてシールドエネルギーも操れるの?」

 

「実例がないからわからないけど、練習次第ではいけるはずだよ」

 

 それはとてもすごい力だ。

 

 シールドエネルギーはISが頂点に立つ理由の一つでもある。そんなものを操れればISでの戦いで有利に立つ。

 

「あ、ISとの戦闘で使うのはだめだよ? そんなことしたら簪ちゃんがそういうところをつかさどる組織に狙われちゃうから」

 

 どうやら上手くはいかないらしい。

 

「僕は神器は持ってないけど、神器の使い方は少しぐらいは知ってる。これからどうすればいいのかはともかく、せっかくだし使い方を練習するのもいいかもね」

 

 才能あふれる弟子を指導する教官のような表情を浮かべるレヴィアを見てくると、なんだか涙が出てきた。

 

「・・・ねえ、レヴィア」

 

「なんだい、簪ちゃん」

 

「私、お姉ちゃんに負けたくない」

 

 自分の力に頼ることを覚えた簪は、次にルームメイトに頼ることを始めてみた。

 

 であって間もない関係だけど、彼女は自分を助けてくれた。自分のことを信頼してくれている。

 

 だから、少しだけ甘えてみよう。

 

「ISでお姉ちゃんにも負けないって証明したい。一度でいいから、ISでお姉ちゃんにも負けないって認めさせたい。お姉ちゃんがやれたことを私だってやってみたい」

 

 アドバイスぐらいもらっても罰は当たらないだろう。

 

「ふむふむ・・・」

 

 それを聞いたレヴィアは少しの間考え込む。

 

「だとするなら、可能な限り条件は同じように持ち込むべきだよ。今の簪ちゃんは致命的なミスがある」

 

 ミス?

 

 いったいどこをミスしたというのだろう。

 

 まさか、才能とか言われたりしないだろうか。そんなことを言われたらさすがに立ち直れない気がする。

 

「別に生徒会長は1人で組み立てたわけじゃないよ?」

 

 ・・・・・・え?

 

「どうも情報が独り歩きしてるみたいだけど、確かに組み立て作業を終了したのは会長だけど、機体自体が重要部分はほぼ完成してたし、整備関係の生徒から指導された状態で作られているんだよ、あれは」

 

 自分でも知らないようなことをよくもまあ知っているなこの人は。

 

 もしかして、この人は姉にも負けないぐらいすごい人なんじゃないだろうか?

 

「だから、完成度が違う機体の組み立てで勝負するっていうのはどうだろうね。簪ちゃんの機体じゃそもそも勝負が成立しない」

 

 確かにそうだ。第三世代兵装など、重要部分が手つかずになっているといってもいい打鉄弐式では、そもそも条件が違いすぎた。

 

「だから、簪ちゃんがISで会長と並びたいなら、会長にも出来なかったことを簪ちゃんがすることで並び立つべきだと、僕はそう思うね」

 

 困った笑顔で言われて、簪は初めて自分の無理がそもそも見当違いの方向に行っていたことに気がついた。

 

 それはそうだ。同じISといっても、運用方法も性能も違う機体で、同じことをしようというのが間違っていた。

 

 少なくとも、これで意味のない方向に進んで無駄な労力を消費することはなかったわけだ。

 

 誰かに相談するだけでここまで状況が変わるだなんて思いもしなかった。

 

「じゃあ、どうすればいいの?」

 

 だから、つい続けてそう聞いてみた。

 

「そうだね、だったら最初にしてほしいことがある」

 

 そういうと、レヴィアは今度は満面の笑みを浮かべると、頭を下げて、自分と額をくっつけた。

 

 急に恥ずかしくなって顔が真っ赤になるが、レヴィアはそれを見るとさらに笑みを深くする。

 

「・・・まずは僕でもいい、頼れる人を用意することだ」

 

 その後、ゆっくりと、泣いた子供をあやすように抱き寄せてくる。

 

「1人で完成している物なんてそうはいない。少なくとも知的生命体の本質は、連携をとることにあると僕は思う」

 

「連携・・・?」

 

「うん。後方支援っていうのはとても重要だよ。世の中のすごい存在って言うのは、下や隣に相応の人材がいてこそ、真価を発揮するようにできてるからね」

 

 まあ、時々単独で超すごいのとかもいるけど、と前置きしたうえで、レヴィアは続ける。

 

「だから、簪ちゃんがお姉ちゃんに勝ちたいなら、お姉ちゃんに負けないサポート陣営を作るべきだ。条件付きで協力してもいいよ、僕は」

 

「え、じょ、条件!?」

 

 これは少し意外だった。

 

 まさかここで対価を請求してくるとは。いや、ものすごい勢いで迷惑をかけ続けているし、それは当然なのか。

 

 とはいえ、いったい何を要求してくるのか。まさか楯無の後ろ盾が欲しいとか言われたらどうしようと思う中、レヴィアは唇に手を当てて考えた後、にっこり笑って口を開いた。

 

「僕に、簪ちゃんを自慢させてくれるようになること。今回の対価はそれでいいよ」

 

 ・・・その笑顔をみて、簪は彼女に向けている思いを自覚した。

 

 これは恋だ。草津の湯でも治せないとか言われている、あの重病だ。

 

 まさか自分の初恋が同姓に向けられるとは思わなかった。

 

 そして、同性同士の恋愛だなんて蒼上手くいくわけがないとも分かっている。

 

 だけど・・・。

 

「さ、まずは教室に戻ろう?」

 

 ・・・彼女を好きになったことを、後悔だけはしたくなかった。

 




この万象の融合、駒でたとえるなら五つぐらい必要になるほどのチート神器です。

具体的には、

1 科学だろうが異形だろうが、様々なエネルギーを操作可能。

2 IS学園のアリーナとかなら、シールドに触れることでそのエネルギーをビームにして撃ったりとかもできるぐらい汎用性が高い

3 相手がエネルギー系の障壁を張っていた場合、それを無効化するどころかこちらの攻撃に転用することも理論上可能(難易度は高い)

4 こちらも難易度は高いが、生命エネルギーそのものを操作することで仙術と同等のことができる

 などと、神滅具に匹敵する行動が可能なチート神器です。下手な禁手を凌駕しています。まあ、簪が使いこなせるようになるころにはこの話は終わってますが。
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