インフィニットストラトスD×D   作:グレン×グレン

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VS シュヴァルツェア・レーゲン

さあて、我らが魔改造軍団の本領発揮です。


第五話 可能な限り正しいやり方でやるべきなんだよ

 

 

 あまりに怒り狂っていたのが逆に功を奏したのか、鈴はその怒りを相手を叩き潰すためのパワーでなく、いかに相手を叩き潰す方法を考えるためのエンジンの始動キーとして利用していた。

 

 レヴィアはドS的下僕愛を持つが、基本的には味方に甘いタイプだ。一夏の入学を認めて、人間としての側面を残すために我がままを通したところから見てもそれはわかる。だからあの言い分が間違っているなどとは考えない。

 

 だいたい自分はISにのって一年ぐらいしかたっていないのだ。何年も前からISをのり、軍人として鍛えられ、そして織斑千冬の指導を受けたラウラが強敵なのはわかっている。

 

 こういう時こそ冷静になれ。対策を考え、そしてそれを実行に移せ。

 

 さあどうする? 自分の手札でどうやって対処する?

 

 人間の戦闘者としてもISの操縦者としても格上の相手を倒すには、どんな手段を取ればいい?

 

 決まっている。『ただ』の人間が取れない手段を取ればいい。

 

 所詮は人の世界の実力者だ。異形の世界の戦い方を叩きこまれた自分からしてみれば、付け入るすきは十分にある。あの世界は銃を持っただけの人が戦うには余りに厳しいのだ。

 

 故にそうした。

 

「喰らいなさい」

 

 自分の肉体を魔法と仙術で強化して桁違いの筋力を引き出し、甲龍の手持ち武器である双天牙月を分割してから地面にたたきこむ。

 

 刃が完全に地面に埋まった状態で、そのまま力任せに振り上げる。

 

 ショベルで土を掘り起こすように、固く整地された地面が一気に引き起こされ、勢いよくラウラに襲いかかる。

 

 同時に、それ以上の速度で鈴は踏み込み加速した。

 

 想定されてない内側からのパワーにISが悲鳴を上げるが叶わない。

 

 こいつは一夏の努力を一切見ずに、彼の信念を否定した。

 

 そんな相手を殴り殺すのに、手加減をしてやる必要はどこにもない。

 

「ちっ!」

 

 ラウラは土の塊をレールガンを地面に放つことで衝撃で吹き飛ばし、そのままプラズマ手刀で双天牙月を受け止める。

 

 ―かかった。

 

 鈴はそのまま関節から力を抜き、その懐に得物を打ちあったままはいりこむ。

 

 その勢いを利用して、肘をラウラに叩き込んだ。

 

「とったわ」

 

「この程度で? 舐めるなよ数だけ多い国の分際で!!」

 

 すぐに持ち直し、幾度となく切り結ぶ。

 

 時折衝撃砲を放つものの、それらはラウラの眼前で受け止められる。

 

「それが第三世代武装? へぇ・・・だったら生身はどうかしら!!」

 

 やはり近接戦闘で叩きこんだ方がいいだろう。そう想い突進したが、その動きが突如止められた。

 

「残念だったな。我が停止結界の前にはあらゆる敵が無力だ」

 

 ラウラは平静を取り戻すと、勝利宣言をするようにレールガンの銃口を鈴へと向ける。

 

 だが、それを見ても鈴は動揺しなかった。

 

 所詮ISの戦闘など、シールドエネルギーと絶対防御に守られた安全な場所の戦闘でしかない。

 

 自分は、本当に命が奪われる殺し合いを知っている。

 

 血が流れ、死ぬかも知れなくても立ち上がって自分を守ってくれた背中を知っている。

 

 そのことを悔やみ、並びたてる強さを得るために死に物狂いの努力をしている男を知っている。

 

 ああ、だからこんなもの恐ろしくもなんともない。当たったところで死なないものを必要以上に恐れる必要がどこにある。

 

 それに・・・。

 

「馬鹿ねアンタ。()()にケンカを売ったか忘れたの?」

 

 レールガンが閃光に打ちぬかれる。パージしたレールガンが暴発するのを視界に納め、ラウラは自分の失態をようやく悟ったようだ。

 

「・・・人を忘れて一対一とは、このセシリア・オルコットをなんだと思ってますの!?」

 

 二機のビットを展開させ、セシリアはレーザーライフルを油断なく構えていた。

 

「イギリスの骨董品《アンティーク》風情がよくもやってくれる!!」

 

 ラウラはワイヤーブレードを展開してビットを迎撃。

 

 それをビットは正確に回避するが、そのすきにさらに二本のワイヤーがセシリアを狙う。

 

 ビットと本体の同時制御ができないのがセシリアの弱点。ゆえにビットが展開されたのならばそのすきに本体に攻撃を叩きこむのが彼女の攻略法だ。

 

 戦闘データをちゃんと収集していたラウラは確かに間違いなく正しい判断をとっていた。そのあたりは、正規の軍人なだけあるだろう。

 

「・・・残念ですわ」

 

 ただ、情報がはるかに古かっただけだが。

 

「なんだと!?」

 

「おあいにくさま。親切な方の助言もあり、ビットも二機に抑えれば移動しながら撃てますのよ?」

 

 レヴィアの提案に感謝しつつ、セシリアはワイヤーをかわしつつ的確にビットを操作し、三方向からの銃撃を叩きこむ。

 

 射撃は的確に、しかし正確にしすぎないように移動させながら。

 

 これだけで、命中精度が下がることを引き換えに、相手に迎撃される可能性を減らすことができる。

 

 正確に射撃してピンポイントで当てることができるのは、確かに有能な証拠だろう。

 

 だが正確な射撃は一夏の戦いのときで実感したが、かわされやすさも上がる。追加でいえば、ISはどこに当たってもシールドエネルギーはある程度減らせるのだ。一撃必殺が成立しないことも考えれば、ちょっとぐらい狙いがずれても問題はない。

 

 追加でいえば精密に狙いをつければ動きは止まる。そのすきを突かれで撃墜される可能性も確かにあった。

 

 これまでの模擬戦をみたレヴィアの提案だったが、それはしっかりと効果を発揮していた。

 

(ありがとうございます。レヴィアさん)

 

 内心でレヴィアに感謝の意を浮かべ、セシリアはラウラを睨みつける。

 

 あの女は、自分にとって初めての強い男である一夏をとことん罵倒した。

 

 1人の恋する乙女としても、一人の立派な貴族としても、ただで済ますわけにはいかない。

 

 それだけの意を込めたその攻撃を、しかしラウラは何とか回避できていた。

 

「なるほど。まあ仮にも第三世代を名乗るのだからこれぐらいはできねば困るか」

 

 彼女は敵を上方修正した。

 

 敬愛する教官の栄光に泥をぬるくだらない男に懸想する、あまりにも理解できない女だとばかり思っていたが、それでも代表候補生ではあるのだ。

 

 実力と精神が伴っていないとすら思ったが、しかし腹立たしいことにゆえに実力は高いと認めざるをえなかった。

 

「良いだろう、なら本気で相手を・・・!?」

 

 気を引き締めたラウラが、しかし体が言うことを聞かなくなっていく。

 

 体調は万全の態勢だった。軍人として自分の体のコンディションは正確に把握している。

 

 ならばこれはどういうことだ? 未だ直撃したのはあの攻撃にもならないひじ打ち一つ。

 

 どこに当たってもダメージが入るわけがない。そもそもこれは、まるで肉体の機能自体が衰えているようではないか。

 

 その光景があまりにも突然だったため、周囲の生徒はおろか、セシリアすら動きが止まる。

 

 そんななか、唯一戸惑うことなく動く影があった。

 

(ようやくきいてきたわね)

 

 その光景を見て、鈴は勝機を確信した。

 

 仙術の訓練を積むなか、護身のために対IS戦闘も習得している。

 

 ゆえに、シールドエネルギーごしに気を叩きこんで相手の生命力をみだすなど鈴にとっては余裕にひとしい。

 

 ああ認めようラウラ・ボーデヴィッヒ。お前はIS操縦者としては自分よりはるかに上だ。そもそも二対一で戦って互角という時点でその実力は証明している。

 

 だが、これはISの戦闘じゃない。誇りと意地をかけた戦いだ。

 

 ゆえに、それ以外の手段での攻撃を想定しなかったお前が悪い。

 

「ベッドの上で反省してなさい」

 

 そのままたたみかけるため双天牙月を振り下ろし・・・。

 

「そこまで!!」

 

 割って入ってきたレヴィアを救うため、強引に身をひねって機動をそらした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・いい加減にしてくれないか? ただの模擬戦ならまだしも、こんな大騒ぎ国家の威信はおろか面目丸つぶれだろ」

 

 未だ眠気が残っているのか少しふらつきながら、レヴィアはその場を見渡すと肩をすくめた。

 

「あと鈴ちゃん。『あれ』は不味い」

 

「ぐ・・・っ!?」

 

 仙術と魔法の使用のことだろう。

 

 この女、いったいいつから見ていた!?

 

「あとであのおじいさんと一緒に反省会しようか」

 

「ぇえ!? ちょ、ちょっと待って!!」

 

 そ、それは不味い。

 

 だがレヴィアはそれには取り合わず、ラウラ・ボーデヴィッヒに鋭い視線を向ける。

 

 それに敵意をこめたまなざしがぶつかるが、レヴィアはそれにも取り合わなかった。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ。織斑千冬の名誉に泥を塗るのもいい加減にしてもらおうか?」

 

「なんだと?」

 

 言っている意味が理解できないラウラだったが、その視線の鋭さに、攻撃ではなく拝聴を選ぶ。

 

「他者の名誉を汚された報復をしたいのならば、それは他者の名誉を尊重するための行動でなければならないのは考えれば分かるだろう。・・・SHRでいきなり張り手でたたくやら、公式に許可を得ずに乱闘をするやら、それじゃあ織斑『教官』の栄光は地に堕ちるぞ」

 

「!!」

 

 自分が千冬の栄光に泥を塗っているなどとは思っていなかったラウラに、この言葉は想像以上に聞いたようだ。

 

「いいかいラウラちゃん。いま君が身勝手な行動を繰り返し続ければ、それは織斑先生のためではなく、織斑先生のせいになってしまう。・・・正義を遂行するためには、可能な限り正しいやり方でやるべきなんだよ」

 

「ふ、ふむ。確かに一理あるな」

 

「幸いもうすぐトーナメントだってある。一夏君の実力なら十分勝ち抜けだってできるし、それで無理だったら僕の方から模擬戦の申し込みを手伝ってもいい。ここは誇り高いドイツの民として、誇り高いやり方を選んでもらえないかな?」

 

「し、しかしだな・・・」

 

「と、いうかこれ以上動くと織斑先生が怒るよ? ラウラちゃんはあの人を怒らせたいのかい?」

 

「いや、そんなわけがないだろう!!」

 

「だったらもっと正しくいこう。少なくとも、ちゃんとそういう風にやってくるというのであれば、僕は積極的に行動するよ?」

 

「そ、そうか・・・すまない」

 

「ありがとう」

 

「なに?」

 

「こういうときはありがとうって言った方がいいよ? はい、サンハイ」

 

「あ、ありがとう」

 

「うん」

 

((あれ? なにこの可愛い生き物?))

 

(ぶぅ・・・)

 

 突如始まる小動物とのふれあいタイムに、鈴とセシリアがキョトンとし、そして簪が嫉妬の炎を燃やし始める。

 

 ・・・数時間後、謎のIS襲撃などの理由により、安全確保のため学年別トーナメントはタッグマッチへと変更される。

 

 それに真っ先に書かれたコンビ名を紹介しよう。

 

 ラウラ・ボーデヴィッヒ レヴィア・聖羅

 

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