すなわちエロ担当。イッセーと意気投合しそうですね。
大浴場で、鈴はお仕置きをされていた。
「はい鈴ちゃん。次は脇を洗うから手を上げてようね?」
「ぅう・・・分かったわよ」
具体的には、レヴィアに全身を洗われていた。
「な、なんで私がこんな目に・・・」
「いくら見ただけじゃ分からないからって、衆人環視の中で異形の力を使った鈴ちゃんが悪いよ。ISだって損傷したんでしょ?」
それを言われるとぐうの音も出ない。
ISとは、ただの人間が使うことを前提としたパワードスーツである。もちろん個人差や特訓による身体能力の差もあるので、ある程度の許容量はある。
だが、仙術と魔法による身体強化を同時に発動した鈴の出力はもはやその許容量をはるかに上回っていた。
ゆえにISのダメージが激しく、タッグトーナメントには出場不可にまでなっている。
「そこを考えたからこの程度で済ませてるんだよ。・・・マジでやってるなら君にはソープ体験(お客編)をしてもらうところだった」
「なんでそんなもんまで習得してるのよ!!」
この女のエロに対する吸収力を甘く見ていたかもしれない。
機体が損傷してなかったら公衆の面前で飛んだ恥辱をさらしているという事実を認識して、鈴は甲龍の脆さに心底感謝した。
「・・・で? なに考えてんのよアンタは」
「なにがだい?」
レヴィアはとぼけるが、あいにくそんなことでだまされるほど、自分は彼女のことを理解していないわけじゃあない。
「あのドイツの女のことにきまってるでしょ?」
レヴィア・聖羅は基本的に一夏の味方だ。
そんなレヴィアが、一夏を逆恨み的に敵視しているラウラ・ボーデヴィッヒにわざわざ力を貸し、挙句の果てにタッグトーナメントに一緒に出場するなど自分から見てもおかしいだろう。
実際一夏との仲の良さを知っているクラスメイトからは、新しい七不思議に入れた方がいいのではないかとか真剣に言っている者もいる。
「あ~・・・。なんて言うかさ」
ちょっと言いにくそうにしていたが、鈴なら言いふらさないだろうと判断した。
「あの子、一般人的な教育をほとんど受けてないんだよ。・・・ぶっちゃけ兵器として育てられたわけ」
「は? そんなの今どき見ないわよ? 親は誰なわけ?」
「研究所の試験管ベイビーらしい。ぶっちゃけ親は研究者ってわけだ」
「うわっちゃ~」
額に手を当てたかったが、目に泡が入るので我慢する。
それならあの非常識な真似にも納得できる。
軍人としてのスキルは非常に高いが、反比例して一般人としてのスキルが致命的なまでに低いのだ。
それならあのめちゃくちゃな行動にも納得だ。
「しかも試作型の技術が失敗して、失敗作扱いされたそうでね。千冬さんに鍛えられたことで出世したけど、そうじゃなかったらどうなっていたことか」
「・・・・・・」
もうなにも言えない。
と、いうか生体兵器の開発と買って国際法的にどうなのだろうか? 代表候補生だし少し勉強した方がいいのかもしれない。
しかし、それなら相当に信奉しているのは間違いないだろう。それだけの状況から救い出してくれた存在なら、もはや神といっても過言ではないかもしれない。
神の信仰とは強大なものだ。日本人的な思考が根強い鈴には分からないところも多いが、熱心な宗教家は神の命令なら喜んで命をささげることもできる。神の命令が直接下されれば、人を惨殺することができる手合いも珍しくないだろう。過激なタイプが自爆テロをするのも典型的なタイプだろう
ゆえに、神を穢すものは等しく叩きつぶす。
ラウラの行動原理はまさしくそれだ。だからこそ容赦しない。
レヴィアの交渉はまさにそこをついたものだ。だからレヴィアは彼女を制御できたのだ。
「・・・別に悪魔だから信仰する者を堕落させようとかいうわけじゃないけど、だから、ある意味でちょうど良いんだよ」
そういうと、レヴィアは苦笑する。
「一夏君はモンド・グロッソの一件で深く傷ついている。そしてそれを払しょくするために強くなったけど、振りきれてはいないんだ」
確かにそうだろう。
三人から聞いた話を思い出すだけで、一夏がどれだけ傷ついたかなんて簡単に想像できる。
あんな経験をすれば一生もののトラウマだ。一夏が守れる男になることにこだわるのも、納得できる。
だから、
「良い相手なんだよ。それがきっかけで強くなろうとしたものと、それがきっかけで強くなった者。あの二人は写し鏡なんだ」
だから、力を貸す。
「一夏君は彼女と激突することで、自分を見つめ直して少しはふっきれることができるかもしれない。ラウラちゃんも、その激情をぶつけて放出すれば、何かが新しく見えるかもしれない」
失って、力を求めた物と、失いかけて、力を得た物。
互いに織斑千冬の手で大きな影響を受けており、それゆえに激突は避けられない。
なら、せめておぜん立てしてあげよう。
「無粋な邪魔は入れさせない。たとえ専用機であろうと、叩きつぶす」
・・・レヴィアは冷たい笑顔を浮かべた。
時に自分の指示で他者の人生を狂わせることもせまられるからこそ、そういった冷たい笑顔を浮かべれるようになることを求められているのが彼女だ。
この笑顔を見ると鈴はいつも思う。
彼女はこちら側にいさせなければならない。
もし向こう側に行けば、戻れなくなる。
「あの娘とは意気投合したところもあるし、ついでだからたまったストレス発散するよ」
「・・・この世界は負かした女の子とHできないわよ?」
「違うよ!? ストレスってそっちじゃないよ!?」
そして学年別タッグマッチの当日、IS学園生徒はおろか、関連企業および軍関係者など、様々な人物がアリーナに詰め寄せていた。
学年別トーナメントは、三年は先ほど言った企業のスカウトがあり、二年は一年間の成果の確認があり、そして一年は数多い専用機の性能を確認することができる。
それゆえにこの場にいる者たちは全力でそれを確認することを望んだため死に物狂いで席を入手しているし、生徒たちの気合いも入っていた。
そしてピットには試合に臨む生徒たちが、一斉に準備をしており、ありていにいえば今までにない混雑状態に陥っていた。
そして、男性同士ということで一夏はシャルルと組んで、その試合の準備を行っていた。
「だけど第一試合って残念だね。手札を真っ先に知られるから対策が練られやすくなっちゃうよ」
「そうか? こういうのは勢いが大事だろ?」
相手の手札に対して手札を切るタイプのシャルルと、一つの技能に集中して鍛え上げる一夏では見えている物が違うが、それゆえにお互いの相性は抜群だった。
そして、それゆえにこのコンビは優勝候補の一角として数えられている。
第二世代機とはいえISの技量も優秀シャルルと、技量は未熟だが成果を発揮してきた一夏。
二人しかいない男性操縦者ということもあり、その注目度は非常に高かった。
そして、ついにトーナメント表が発表される。
第一回戦第一試合、織斑一夏&シャルル・デュノアペアVSラウラ・ボーデヴィッヒ&レヴィア・聖羅ペア。
今回は区切りが良かったのでちょっと短め。