インフィニットストラトスD×D   作:グレン×グレン

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ついに本番。

さて、この戦い、序盤から派手に行きますよ?


第七話 権利を得たからには義務と責任を果たしてくれ

 

 

「逃げずによく来たな。それぐらいの気概はあるということか」

 

「むしろ逃げなさすぎるところがあるからね彼。その辺は心配しなくていいよ」

 

 ラウラの挑発とレヴィアのフォローが、二人を出迎えた最初の言葉だった。

 

 シュヴァルツェア・レーゲンを駆るラウラに・ラファール・リヴァイブを身にまとうレヴィア。

 

 シールドとグレネードランチャーで装備したレヴィアは、さらにワイヤーを全身に巻いており、ワイヤーには鉄板らしきものがぶら下げられていた。

 

 さらに、その後方には増加型のブースターが取り付けられている。

 

 拡張領域を消費することなく防御と回避を固め、長時間敵を相手にするつもりなのだろう。実際一夏は知っているが、彼女は攻めることより守ることの方が得意な人物だ。

 

 ましてやラウラは単独でなら最強クラスのIS乗りだ。学園を探しても、IS部隊の隊長であるラウラより強いIS操縦者など上級生の代表候補生クラスで専用機持ちでもなければいないだろう。

 

 足を引っ張らないことを目的とした足止め用の兵士と、一対一なら最強候補。戦術としてはまあ当然の内容だった。

 

「俺は逃げねえよ。そんな真似は、弱い奴がすることだ」

 

「なら何故貴様はしない?」

 

 半ば素で返されると腹も立たない。

 

 もとより、この戦いで勝利すればそんなことも言えなくなるだろう。

 

 静かににらみ合う。

 

 モンド・グロッソの事件をきっかけに人生を変えた二人。

 

 白をベースにする不知火に、黒をベースとするシュヴァルツェア・レーゲン。

 

 あの事件がきっかけとなり人を捨て悪魔となった一夏と、あの事件が遠因となり廃棄物ではなく人であれたラウラ。

 

 まるで鏡のような二人は、今この場で静かににらみ合った。

 

「まさか第一試合でぶつかるとわね。・・・しかも専用機が相手だなんて都合がいい」

 

 レヴィアはその光景を心底楽しそうに笑い。

 

「本当に一夏向きの展開だね。僕としては困っちゃうよ」

 

 シャルルは勢いに乗りまくったこの状況に心底苦笑していた。

 

『さて、今回のゲストは専用機の故障で出場を辞退した凰鈴音さんと、生徒会長更識楯無さんです』

 

『あーどうも。なんか情けない理由でゲストになった凰鈴音よ』

 

『生徒筆頭ただ今参上♪ ・・・簪ちゃん優勝しないかなぁ』

 

 実況のための放送席では、ゲストまで用意して試合を進める準備が整っていた。

 

『さて、ボーデヴィッヒ選手が織斑選手を目の敵にしていることもあって注目のこのカード。やはり流れとしては練習機の聖羅選手がどこまで持つかが重要になるのでしょうか?』

 

 いささか酷い発言ではあるが、実況の少女の意見も最もだろう。

 

 四人のうち、専用機を持っていないのはレヴィアだけだ。

 

 そのためISに対する練習時間も少なく、そもそも自分ように調整もされていない。

 

 加えて言えば、レヴィアの実機を使った成績もそこまで優秀ではない。よくで中の上といったところであり、これもまた、代表候補性と比べれば見劣りするものでしかない。

 

 ゆえにその想像は順当であり、

 

『甘いわね』

 

『さてどうかしら』

 

 レヴィア・聖羅をしる者たちからすれば、首をかしげるものだった。

 

『生徒会長として言わせてもらえば、この戦闘能力は確かに大事だけど、それと同じぐらい戦術っていうものは大事よ?』

 

 実戦をしり、力というものを知っているからこそ、楯無はそれに否をいう。

 

『戦術ですか?』

 

『そう。拳銃どうしの戦いなら、相手を油断させて至近距離から急所を打てば、例え子供でも射撃大会優勝者を殺すチャンスはあるわ』

 

 兵器が協力になればなるほど、それはうまくすればわずかな隙で最高の結果を生み出せるという事になる。

 

 そしてIS学園はISの本場であるがゆえに、様々な武装を入手する可能性がある。

 

『正攻法で勝てなければからめ手や相性差を利用すればいい。向こうには一夏君という極めてとがった敵がいるんだし、つけ入るすきは充分にあるわ』

 

 だから、実践をしるレヴィアが何の対策も用意して無いとは考えない。

 

『だからこそのあの重武装でしょう。・・・誰が相手でもボーデヴィッヒ選手が相手の片方を倒すまで粘るのが目的ということね』

 

 それゆえに、殺し合いを生業とする側面をもつ楯無として、彼女は断言する。

 

『確かに、レヴィアを舐めないほうがいいわよね』

 

 そして、それ以上にレヴィア自身をしる鈴は断言する。

 

『あいつさ、微妙に選民思想ってのがあるのよ』

 

『選民思想ですか?』

 

『そ。選ばれた人間はそれだけの権利を得ているから、それだけの事をしなければならないっていう考え方。そしてあいつは、そうじゃない相手にはそうするべきだとしっかり教えるようにしているわ』

 

 それはある意味で傲慢であり考え方であり、しかしレヴィアにとっては当然の考え方。

 

 かつての魔王の血筋を持っているからこそ、彼女は己の立場を自覚してその立場らしい行動を取る事を己に課している。エリートはエリート意識をもち、それにふさわしい存在であることを彼女は望んでいる。

 

 そしてISとは世界のパワーバランスを担う正真正銘の時代の最前線であり、それを学ぶこの学園に入学するのは、時代のエリートであることの証明でもある。

 

 ゆえに、レヴィアは彼女たちにそうであることを求める。ゆえに、そうでなければならないと思わせるために実践する。

 

 将来的にISに関われない彼女だから。本来ISという事業に直接かかわってはいけない彼女だから。それでもIS学園に入学し、ISをつかさどるであろう少女たちと関わることになった彼女だから。

 

 文字通り時代の中心にいるISを関わる者としての義務と責任を意識して背負ってほしい。

 

『アイツ、IS学園で溜まっているストレスを発散するって言ってたわ。・・・間違いなく何かしでかす』

 

 もとより性能でも技量でも向こうの方が上だ。

 

 だがそれは、勝てて当然ということでもある。

 

『格上相手にいい勝負ができた時点で、格下にとっては勝利も同じ。・・・アイツはやるわよ?』

 

 彼女は王だ。

 

 そして王は流れを作る者でもある。

 

 ゆえに、この中で一番何かをしでかすとすれば彼女なのだ。

 

 親に良いように使われていたシャルルではなく、

 

 兵士という道具としての側面をもつラウラでもなく、

 

 そして王の手足となる一夏でもない。

 

 正真正銘使う側である彼女が、何かをしでかさないはずがない。

 

 シャルルは銃火器のロックを外し、両手で二機に照準を合わせる。

 

 ラウラはプラズマ手刀を展開し、両腕の力を僅かに加えて、いつでも振るう体制をとる。

 

 一夏はブレードを展開し、両手で構える。そのブレードは特徴的で、それ相応の対策をとっていたことが見て取れる。

 

 そしてレヴィアはシールドを身を隠すように構え、グレネードランチャーを回転させる。

 

 第一試合にして優勝候補同士の激突。

 

 二機の専用機の組み合わせと、最強候補のIS乗り。

 

「いくよ、一夏」

 

「じゃあ、始めようか一夏くん」

 

 敵と自分の相方が一夏に呼びかけ、

 

「「叩きつぶす!」」

 

 白と黒の戦乙女の系譜がにらみ合い。

 

―試合・・・開始!!

 

 決戦の幕が、ついに開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 試合開始のブザーと同時に、爆発音が鳴り響いた。

 

 このメンバーの武装でそれができるのはレヴィアのグレネードランチャーのみ。

 

 だが、爆発はレヴィアのすぐ後ろで起きた。

 

「え?」

 

「は?」

 

「何?」

 

 シャルルも一夏もラウラも、まさかそんな事故が起きるとは思わず一瞬だけだが呆ける。

 

 そして、その爆発はそのすきを突くには十分な恩恵を与えた。

 

 爆風に吹き飛ばされるように、そして誰よりも早く書けるように、レヴィアはいつの間にかシャルルの懐に潜り込んでいた。

 

 タックルをするかのようにシールドを正面に向けたままのレヴィアは、その口を開く。

 

 放たれるのは爆発の衝撃による悲鳴ではなく、確かに意味のある一つの言葉。

 

「・・・クラッシュ!!」

 

 直後、シールドの前で大爆発が起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『な、何が起こったんですかぁああああ!?』

 

 開始直後の急転直下の展開に、実況の生徒が悲鳴を上げた。

 

 それはそうだろう。

 

 確かにゲストは注目していたとはいえ、ただの一般生徒のはずのレヴィアがいきなり意味不明の事態が起こったからだ。

 

 そして、データを見てさらに混乱する。

 

『で、デュノア選手のシールドエネルギーがいつの間にかゼロに!? かかかかか解説をお願いしますゲストの方々!?』

 

 開始数秒で優勝候補の一人が戦闘不能になるなど、想定できるはずがない。

 

 しかも、データを見る限り鍵を握っているレヴィアの方はシールドエネルギーが半分以下だが残っている。

 

 この展開に悲鳴をあげても罰は当たらないだろう。

 

 ゆえに、多少は予想できていたみたいだった鈴と楯無に解説をお願いしたのだが。

 

『あの・・・馬鹿』

 

 鈴は思いっきり頭を抱えていた。

 

 何かやらかすと思ったが想像の斜め上を全速力で飛び越えている。こんなもの、教師が見たら説教の一つでも入れるだろう。

 

『なるほどねぇ・・・。長期戦狙いじゃなくて短期決戦狙いだということか』

 

 そして楯無もどういうことか完璧に理解していた。

 

『完全にだまされていたわ。彼女、いい勝負をするどころか完全に勝ちを狙っていたのよ』

 

『か、勝ちを狙っているですか?』

 

 確かに結果だけ見ればシャルルをレヴィアが負かしたことになるが、その過程が全く分からない。

 

 そしてそれはシャルルも同じだった。

 

 もともと、あまり派手に動くつもりはなかった。

 

 自分はどちらかというとサポートする側だし、そもそも今後のことを考えれば、実力をさらけ出すことは失態だ。

 

 だから美味しいところは一夏に与えるようにするつもりだったが、まさか瞬殺されるとは思わなかった。

 

 見れば、たがいに激突するつもりだった一夏とラウラも茫然と自分達の方に視線を向けている。

 

 何が起こったのだろうか?

 

『おそらく彼女が使ったのは、ISの形状を利用した特殊工作練習用の指向性爆弾ね。二年生になると一部の生徒が授業で使うわ』

 

 それと同時にレヴィアの申請した武装記録がアリーナのモニターに展開され、それが本当であることが分かる。

 

 ・・・驚くべきことに、拡張領域のほぼ全てをそれが占めていた。

 

『で、加速の種は簡単。グレネードランチャーを自分のすぐ後ろの地面に向けて撃って、その爆風で加速させたのよ』

 

 基本的な銃というものは、火薬の爆発で弾丸を加速させる。

 

 それと同じことをレヴィアは、火薬の量をはるかに多くしてやってのけたのだ。

 

 直前のスローモーション映像が流され、これも正しいことが証明された。

 

 ・・・一言言おう、頭のネジがあさっての方向に吹っ飛んでいる。

 

 爆発系の武装を移動の補助に使うという荒業に、観客全員が唖然としているのがわかる。

 

 ちなみに一夏とラウラはさらにフリーズしている。ラウラはともかく一夏はレヴィアについてよく知っているはずだが、それでも想像できなかったようだ。

 

 会場全てが水を売ったかのように静まる中、今度は鈴が次の行動の種を説明する。

 

『で、懐に潜り込んだ瞬間に指向性爆薬をシールドの前面に量子展開して、ドカン!』

 

 武器としての性能は低いだろうが、破壊するものとしての性能は破格の代物だ。直撃すればシールドエネルギーをゼロにするどころか絶対防御が発動しかねない。

 

 そこから考えればシールド自体それが目的なのがよくわかる。

 

 指向性爆薬とはいえその方向以外に全く爆風が来ないわけではない。グレネードの爆風を移動に利用する以上ダメージは直撃する。何の対策もできなければ相手を倒せても自分も相打ちになる。

 

 それではだめだ。勝負には勝てても試合には勝利できない

 

 それゆえにシールドとグレネードランチャーの組み合わせなのだ。

 

 この戦術の肝は、時間稼ぎの戦闘スタイルにも見えるということにもある。実際、敵が一般生徒ならこんな手段は使わないだろう。

 

 ラウラに任せれば問題ない時は一対一の状況下に持ち込んで時間稼ぎに終始する。それだと危険要素がある時に限り、この手段で一気にけりをつける。

 

『格上相手の対処方はいくつかあるけど、ギャンブル要素の強い一発勝負で本領を発揮させずに倒すのは立派なカードだわ。・・・まあ、教師側としてはそういう戦術をとるはめになることを勧めないからもろ手を挙げて褒めたりはしないでしょうけどね』

 

 一撃必殺と書かれた扇子を開きながら、楯無がそう補足する。実際、教師陣営はどう評価すれば良いか真剣に頭を悩ませていた。

 

『で、でも、対してISの操縦になれていない人がどうやってそんな器用なまねを?』

 

 それは確かにその通りだ。

 

 ISの量子展開は、イメージによって行われる。そして、それは意外と難易度が高い。

 

 だから一般生徒は基本的に手持ち武装で対応するし、そもそも代表候補生でも上手くいかない場合だってあるのだ。

 

 それを、指向性爆薬の向きをそろえ、さらにシールドの前面に固定して配置するなどという真似をあんな一瞬でできるなど想像もできなかった。間違いなくそういったのが得意な代表候補生でも苦労するウルトラCである。

 

『簡単よ。・・・試合開始までの行動全部使ってイメージしたんでしょ』

 

 だから、あっさりと答えた鈴の言葉に度肝を抜かれた。

 

『・・・はい?』

 

『逆に考えるのよ。そんなイメージが難しいなら、初心者用の方法をさらに突き詰めればいい。あいつ敵の目の前で武器回すなんて挑発しないもの。・・・そこまで含めてイメージの補強に使ったのよ』

 

 なるほど。武器の名前を呼びながらポーズをとるのはイメージの補強に役立つし、実際やっている者もいる。

 

 それをさらに強化して、試合開始前からイメージの補強を続けていれば、何とかなるだろう。

 

 もしかしたらこの一連の行動自体全てを使ってイメージの補強をしたのかもしれない。最初のモーションから最後の掛け声まで含めてが量子展開のための下準備なら、十分に可能性もあった。

 

『失敗した時のための備えがワイヤーにくくり付けた装甲板でしょうね。・・・それで鈍足になるのを防ぐためスラスターも増やしたってことでしょアレは』

 

『戦いは戦う前から始まっていることというわけね。全てが専用機を撃破するためのプロセスだっというわけね』

 

 徹底的にも程がある行動だった。

 

 自爆覚悟の気さくに、初心者用の技能をさらに突き詰めた方法の構築。

 

 教師というものはリスクというものを減らし、上級者にするための存在である。・・・褒めるわけにはいかないが成果を上げてしまっているレヴィアに、本当にどうしたものか頭を抱えている教師が続出した。

 

 余談だが、一番頭を抱えていたのは千冬である。

 

 教師の中では一番付き合いがあったが、まさかこんな博打を打つとは想定していなかった。ゲームとかでも守りを固めてから基本に忠実な戦闘スタイルをよくとっていたのでなおさらである。

 

『今頃千冬さん頭抱えているでしょうね。・・・千冬さんの付き合いじゃレヴィアのこの行動予測できなかったでしょうし』

 

 それを予測している鈴が、心底同情するように目を伏せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・さあ、僕は証明して見せたよ」

 

 専用機を秒殺するという異形を成し遂げた少女は、衆人環視の中その注目を利用した。

 

「技量、経験、環境。全てが上の相手にも、知恵ある者は勝算を得ることができると、証明したよ」

 

 それは、セオリーガン無視のむちゃくちゃな方法だったのかもしれない。

 

 だが、勝った。

 

「・・・たぶん、ほとんど諦めてた人ばかりだろうね」

 

 何がとは言わない。

 

 ・・・世代が一つ違う機体を専用に持ち、それはもちろん個人として調整された機体。それが代表候補生だ。

 

 そんなものに共用で一次移行すらしていない機体で挑むなど、本来なら無理ゲーだろう。

 

 だから、この試合に出てきた人たちは優勝なんて完全に諦めていた。彼女達とたたかうことを不運としか考えていなかった。

 

 それを、砕く。

 

「でもこれは試合だ。そして試合とは死なないんだ。だからムチャの一つだってできる。・・・僕らは無理できるんだ」

 

 頼りない後輩を教え導くように、彼女はクラスメイトに、学友に、諦めている物に手を差し出す。

 

 自らの手で、勝てると証明し、可能性は少なくないと断言した。

 

「僕らは試験を合格して、不合格の者を蹴落としてこの学園に来たんだ」

 

 穏やかな笑みを浮かべ、レヴィアは学園全体に言葉を放つ。

 

 その姿は神々しさすら感じさせ、まるで王者と相対しているかのような錯覚をその場にいる者に与えた。

 

「頑張るんだ。それが、蹴落として手に入れた物が蹴落とされた者にしなければならないことだ」

 

 圧倒的な絶対者の風格と共に、彼女は学園生徒に発破をかけた。

 

「絶対者として誇りは通せ。全てはそれからだ『女』だろう!!」

 

 ここに誇り高き絶対者が道を指し示す。

 

 お前たちは時代の最先端にいる。人類の半分が土俵に立つことすら許されないのにだ。

 

 ならばその権利を持つにふさわしいと証明して見せろ。

 

「IS学園生徒という権利を得たからには義務と責任を果たしてくれ。・・・少なくとも、僕はそう生きるつもりだ」

 

 たとえ傲慢とののしられようとも、それだけは言わなくてはならない。

 

 本当に男より上に立つものとしての誇りを持たねばならないのだから。

 

 それが、いつか必ずその権利と責務を捨てねばならないものとして、責務を果たすことになる者たちへの選別だった。

 

「・・・さあラウラちゃん。僕は責任を果たしたよ」

 

 そして、ここから責務を果たすものは交代する。

 

「君と一夏君の戦いに無粋な邪魔は入れさせなかった。・・・ここから僕は、一切手を出さない」

 

 そのままどっしりと腰を落とすと、にっこりとほほ笑んだ。

 

 そう、それがこの戦いの理由の一つ。

 

 それを自覚させるために、レヴィアはその視線を一夏にずらす。

 

「一夏君。君の命は僕の物だ。その意味はちゃんと理解しているね」

 

 それは一種の親愛の証。そして一つの契約の証。そして一つの謝罪の証。

 

 しかし、それにもどうしても責任はついて回る。

 

「これは君の信念と矜持を貫くため『だけ』の戦いだ。ゆえに、僕のものらしい振る舞いをしなさい。・・・二対一なんてやり方、やってはいけない」

 

 だから、せめてお膳立て位はしてやらねばならないだろう。

 

「まったく。お前ってやつはほんとに・・・」

 

 そして、その気持ちは確かに一夏に伝わっていた。

 

 本来なら、自分が時間稼ぎをしている間にシャルルがレヴィアを撃墜して、二対一に持ち込む予定だった。

 

 そうでもしなければ勝てない相手だったし、なにより負けるわけにはいかない戦いだったからだ。

 

 だが、レヴィアはその予想をおおしてシャルルを撃破。そしてこういっているのだ。

 

 勝てなくていい、負けるのだけはいけないと。

 

 たとえ結果として撃墜されようとも、これは織斑一夏の意地を証明する戦いだ。

 

 そういう意味では試合の勝敗は勝利条件とは無関係であり、何より自分自身で証明しなくてはならないと、レヴィアは言っているのだ

 

 ゆえに、数を使って攻める無粋な真似はむしろその時点で敗北だと、レヴィアは切って捨てたのだ。

 

「やれやれ。厄介な主を持つと下僕は大変だな」

 

「先ほどからわけのわからんことを言ってくれるな。・・・まあいい、これで憂いなく貴様を叩き潰せる」

 

 一般入試の生徒が起こした偉業の動揺が、ようやく抜け始める。

 

 これより始まるのは、白と黒の一騎打ち。

 

 片方の相方は戦闘不能。もう片方は試合放棄。

 

 妨害も邪魔も手助けも支援も一切ない、すなわちお互いの維持と誇りと実力が勝敗を決する戦いが、切って落とされた。

 




レヴィアがやらかしました。彼女の座右の銘はノブレス・オブリージュ。意味は、高貴さは義務を強制する。

実際の話、これは本来のレヴィアの戦闘スタイルではありません。あくまで生徒に発破をかけるためにかなりの無理をしました。だからこそこんな強引な方法でしか勝てなかったわけですが。

さて、これで一対一を強制された一夏君。この戦いどうなる?
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