インフィニットストラトスD×D   作:グレン×グレン

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ついにレヴィアが真の意味で戦闘を開始します。

彼女の戦闘スタイルは結構とがってるのでどうぞご覧ください。


第七話 それが僕の王道だ

 

「よくもまあ好き勝手にやってくれるよ。割と本気で怒ってる」

 

 状況があまりにも変化したことに、レヴィアは頭痛すら感じていた。

 

 福音を叩き潰すために魔法使いと連絡をとって速度支援の魔法をかけてもらおうと行動していたら、いつの間にやら福音が叩きのめされる。

 

 だから仕方がないと諦めようとしたら、いきなりヒルデから緊急事態を伝えるメールが送られ、急行したらこのありさまだ。

 

 まさか魔王アスモデウスの血筋をひく者が、ISを狙って行動するとは思わなかった。

 

「いや、僕の下僕()である一夏君がボコボコにやられただけでも機嫌最悪なのに、僕の友人()である鈴ちゃんまでやってくれるとは本当にいい度胸しているね」

 

 正直な話、こんな展開は予想などしていなかった。

 

 ISの戦闘能力は確かに高い。だがそれだけだ。

 

 敵のすべての攻撃を回避して最後まで削りきるか、攻撃を耐え続けて一撃当てて一気に勝負を決めるかになりやすいのが、実力者がISと戦う時の流れである。

 

 ゆえに最上級の存在ならばてこずることはあっても苦戦することはない。だからまさか自分を狙うならともかくISそのものを狙うとは想定していなかった。

 

 とはいえ、ISの機動力が上の上クラス以上の機動力を与えるのは事実だ。速さの部門に置いては、素で勝てる者は少ないだろう。

 

 そこに目をつけ、機動力を高めるための乗り物として狙うというのは、確かに考えられるところではあった。

 

 全ては、それを想定できなかった側であるこちらのミスだ。

 

 それをぬぐうために鈴が犠牲になった。

 

 ああ、許せることではない。

 

「僕はねえ、自分の物が傷つけられるのが意外と我慢ならないタイプなんだ。ぶっちゃけ、権力フルに使うのってほとんど僕の物の利益のためなんだよねぇ」

 

 かつて、自分は致命的な失敗をした。

 

 癇癪を晴らすための行動で、してはいけない失敗をした。

 

 それを反省し、次に生かして行動していたにもかかわらずこの失態だ。

 

 ・・・何より自分のうかつさに腹が立つ。

 

「よく言うな。・・・真なる魔王の血を継いで置きながら、偽りの魔王の配下としてその政治をみださぬよう行動するなど、へどがする真似をしておきながら?」

 

「当然だろう? 魔王とは冥界の政治をつかさどる(まつりごと)の長にして、戦場に置いて勝利をつかさどる勇猛たる戦争の長だ。僕らのようなかつての血の力を活かすこともできない愚かで愚昧なできそこないが立とうなど一万年早い」

 

 ジーコンの言葉は一刀両断する。

 

 すでに自分にとって、彼らは滅びた方が世界のためになる過去の遺物だ。

 

 その誇りという名の原石を、磨くことをせず錆つかせたおろか者。

 

 現政権側に置いても代々続く上級悪魔の大半がその手の類だが、ちゃんと上がしっかりしているのでまあ及第点だ。

 

 だが旧魔王は上も下もそんな感じだ。救いようがない。

 

 政治的にもそれどころではないのに、種族が滅びるか否かの瀬戸際の状態で戦闘行動を継続しようなどと愚の骨頂にも程がある。戦争とは利益を得るための交渉活動の一環なのに、明らかに損をする状況下で長続きする意味がない。それがわからない者が政治を語っていいわけがない。

 

 しかも実力不足なのが見てわかるにもかかわらず、自分達がその立場に付けるなどと信じて疑わないその性根。見ていて吐き気すら催す。実際一度はいたことがある。

 

 それが、今自分の物に手を出した。

 

 ゆえに滅ぼす。

 

 そんな決意を胸に秘め、レヴィアは努めて笑顔で後ろを振り向く。

 

「セシリアちゃん。いろいろと一夏君のことでも面倒をかけたね。後はまかせて」

 

「れ、レヴィアさん・・・? と、というよりもどうやって飛んで・・・?」

 

「ラウラちゃん。今回の作戦はすごかったと思うよ。君は君の役割を果たしたから、ここから先は僕の番だ」

 

「お姉さま・・・?」

 

「山田先生。すいませんがあまり距離をとりすぎない程度で下がってください。早めに終わらせますが、流れ弾の危険性があるのでちょっとかばえる範囲内にいてください。・・・あ、詳しい説明が聞きたいなら山田四朗氏に連絡すると良いかと」

 

「え!? な、なんでここでおじさんが出てくるんですか!?」

 

「千冬さん。生徒としてではなく知人として言います。・・・荷が重いので下がってください。これは、僕の役目です」

 

「・・・よくはわからんが一度下がるべきか。任せて、いいんだな?」

 

 その場にいる者たちに声をかけながら、最後にレヴィアは簪に視線を向ける。

 

 最低限の情報は調べているが、今だ未完成の機体でよくやったと思う。

 

 こんなルームメイトを持てて、自分は誇り高い。

 

「・・・簪ちゃん、無理しすぎだよ。いや、要になったのはすごいと思うけど、生徒会長マジ卒倒しかけてたから気をつけて」

 

「れ、レヴィア。・・・頑張って」

 

 声援までもらってしまったならば、頑張るしかない。

 

 ゆえに―

 

「吹き飛べ下郎。その驕りのままに消えていけ」

 

 初手から全力の魔力砲撃を叩きこんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どす黒い色の蛇の群れが、ジーコンを一瞬飲み込んだ。

 

 そして次の瞬間、膨大な力がその蛇を弾き飛ばす。

 

「ほざくなよ!! 白龍皇の力を手にした今の私を、貴様風情がどうやって倒す!?」

 

 蛇の群れをはるかに凌駕する用の豪雨が、反撃として放たれる。

 

 一発一発がISを撃墜するのに十分すぎるほどの火力を持つ。

 

 その豪雨は、しかしレヴィアには当たらない。

 

 強大な力でできた壁が、そのすべてを防ぎきっていた。

 

「忘れてもらっては困るね。確かに僕の才能は、基本的には中の上から上の下といった、魔王の血筋を継ぐものの中でも下位の部類だ」

 

 まるでティータイムをたしなんでいるかのような雰囲気で、レヴィアはジーコンに告げる。

 

「だが、僕は僕の王道にふさわしい実力を発揮するために努力をちゃんと積んでいる」

 

 単騎で都市を瞬時に崩壊させかねないほどの攻撃を、しかし単独で完全に防いでいる。

 

 それはしいて言うならば核シェルターを戦車大隊が破壊しようとするかのようだ。

 

 規格外の猛攻を規格外の防壁で防ぎきる。そんな光景が今目の前で繰り広げられていた。

 

「これがお姉さまの本来の力。・・・なんという防御力だ」

 

 ラウラの言葉がその場にいた物たちのほぼ総意だった。

 

 しいて言えば簪はレヴィアの力の一端を目にしていたが、しかしここまでとは思いもよらなかった。

 

 圧倒的な力に対し、圧倒的な防御でそれを封殺する。

 

 それに対してジーコンはついに高速移動を開始、全方位から砲撃を行い、さらには近接戦すら行って反撃を開始した。

 

 ISに次ぐ速さを発揮するそれらに対して障壁を展開しつつ、しかし間に合わずレヴィアの体には何度も攻撃が叩きこまれる。

 

 近接攻撃で幾度となく後ろへと下がりながら、しかしレヴィアも蛇を生みだし反撃を叩きこんでいた。

 

 総合的に見てジーコンが僅かに有利の状況下だ。

 

 しかし、そこに介入はできない。

 

 先ほどの戦闘で、こちらの攻撃では意にも介されないことが証明されている。

 

 しかも弾幕の数が多すぎて、うかつに介入すればむしろあたりに行くようなものだ、。そしてそうなれば一撃で終わるのは目に見えている。

 

 そもそも、そういった介入自体できそうにない。

 

 今、自分達の周囲には薄い膜のようなものが張られている。

 

 おそらくはレヴィアが張ったものだろう。あの豪雨の流れ弾が何発も直撃しているが、敗れる様子はない。無論、そんな頑丈なものを破る火力もこちらにはない。

 

 手出し無用の状態で完全に守られている。この事実に、代表候補生と教師としてのプライドは完全にずたずただった。

 

「で、でもこのままだとまずいですよ。何とか力にならないと・・・」

 

 麻耶のいうことは最もだろう。

 

 現状、劣勢なのは誰がどう見てもレヴィアの方だ。

 

 防御面では確かに上回っているだろうが、それ以外のすべての面でジーコンの方が優勢。普通に考えればそのまま押し切られる。

 

 追加でいえば鈴の回収もしなくてはならない。

 

 シールドエネルギーは完全に切れているだろうし、彼女は腕をちぎられている。

 

 ほおっておけば、確実に死亡する。

 

「レヴィア・・・」

 

 簪は不安を隠せずにレヴィアを見守る。

 

 自分が求めるヒーローを体現したかのような彼女が、いま自分達を助けるために不利な戦いを強いられている。万が一がないようにするためにこちらを守るという行動まで同時に行ってだ。

 

 それは確かに自分にとっては幸せな展開なのかもしれない。だけど、本当にそれでいいのか。

 

 自分の大切なものが苦しんでいるときに、それを伏してみるようなまねが本当に許されるのか?

 

 それは違うだろう。

 

 そして、こんな状況を黙って見ていられるような性分な者はここにはいない。

 

 ゆえにこの、助けてはくれるが邪魔な障壁を打ち砕こうと努力を開始するために武器を構え。

 

「・・・ハイハイストップデス。自分たちが出てもなにもいいことないからデス」

 

 後ろから拍子を外された。

 

 殺意すら感じる視線を向けられながら、拍子を外したヒルデは肩をすくめた。

 

「世の中には適材適所って言葉があるデス。この激戦じゃ鈴をさがす余裕もないから、ちょっと落ち着くデス」

 

 ISの両腕を除装して、ヒルデはどうどうと両手を広げる。

 

「何を悠長なことを言ってますの!?」

 

「貴様も福音撃破に協働したなら分かるだろう!! 同じ失敗を二度も繰り返すつもりか!!」

 

 セシリアとラウラが食ってかかるが、ヒルデは取り合わず肩をすくめた。

 

「・・・なにか変な勘違いをしてないかデス?」

 

「勘違い、だと?」

 

 緊張感すら無くなっているヒルデの様子に、千冬は振り返って戦闘を確認する。

 

 攻撃を防御しながら放つレヴィアの反撃を、それをはるかに上回る量の攻撃で封殺しつつ、防御障壁を潜り抜けて何度も格闘攻撃を叩きこむジーコン。

 

 見た通りの光景に、しかし千冬は違和感を感じた。

 

「圧倒的有利なの、レヴィアのほうデス」

 

 きっぱりと、ヒルデは断言した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉のとおり、あせっているのはジーコンの方だった。

 

 攻撃は当てられる。防御は潜り抜けれる。速さなら上回っている。反撃は自分よりはるかに格下だ。

 

 だがしかし、だがしかし・・・。

 

「なぜ通用しない!!」

 

 自分の攻撃は命中してもダメージにはなっていない。

 

 防御障壁に防がれずにあたっているはずなのに、まったくもってそれが成果になっていなかった。

 

「単純な話だよ。これでも僕は同世代じゃ、障壁の頑丈さも肉体の頑丈さもレーティングゲームトップランカーに並ぶという超隔絶された規格外だというだけさ」

 

 なんてことも無いように、レヴィアはきっぱりと言い放つ。

 

 あくびすら出そうなその様子は、正真正銘今までの攻撃がレヴィアにダメージと認識されていないことの証明だった。

 

 攻撃力ではジーコンが上。機動力でもジーコンが上。

 

 しかし、総計ではレヴィアが上であり、それは防御力が隔絶しているからにほかならない。

 

 他のステータスで数割以上引き離していても、防御力が十割以上引き離されている。ゆえに総計ではこちらが下回り、その一点特化ゆえにこちらの攻撃は通用していない。

 

 まるで紙でできたナイフで装甲板を切ろうとするかのような徒労を感じ、ジーコンは心理面で圧倒的に不利になった。

 

 ISと上級クラスの戦闘は、いくら当たってもなかなか効かない上級クラスが、いかにISに攻撃を当てるかに集約される。

 

 最上級クラスである真なる魔王の血筋ならば、そもそもあたっても無意味なのでダメージを意識する必要がない。

 

 それがそっくりそのまま自分とレヴィアに置き換わっている。

 

「・・・王というのは、どういうものだと考えている?」

 

 静かに、レヴィアが見えぬ民衆を見渡すかのように視線を回す。

 

 ジーコンにとって王とは、自分達がもつ当然の権利だ。

 

 偉大なる王の血筋に生まれ、その恩恵と栄光を受けるべきなのは自分達である。本来なら全ての悪魔の忠誠心を保有し、その栄誉と共にあるべきなのが自分達だ。

 

 だが、レヴィアはそれを首を振って否定する。

 

「王にもいろいろあるだろうが、少なくとも、真に民衆を導いた者たちは等しく持っている物がある。それこそが王が持つべき必須のもの、王道だ」

 

 力強く、十二の翼を広げ、レヴィアは真正面からジーコンを睨みつけた。

 

「己の足で立つことを不安に思う人々に、その杖となり立ち上がる力と負担の支える心の柱となること。それが、僕が『魔王』として始めた最初のことだ。・・・そして、もっと大事なことを僕は知った」

 

 目を閉じて思い出すは、モンド・グロッソでの己が失態と、それで手に入れた二人の剣。

 

 あの二人は人生の支えとして自分という元凶を利用するのではなく、自分がきっかけで変わった人生を、どう進むか真剣に見据えていた。

 

 魔王レヴィアタン直系の血筋にすがった者たちは、真なる魔王という光に向かって進みたがっていた者たちだった。

 

 自分達が生きるためにその光が選んだ徹底抗戦から逃れた。だが、それでも輝く道を、照らされた道を歩きたいという願望は強く、自分はそれを現政権で叶えることで、輝きながらも汚物にまみれた道へ間違って進むことを防ごうとした。

 

 そんな中、あの二人の在り方はとても輝いていた。

 

『レヴィアは力をくれるんだろ? それで、俺にも守ることってできるかな?』

 

『レヴィアさんがくれた力、使ってみます。それであの人を振り向かせて見せます!!』

 

 人を守れる力が欲しい。好きな人に好かれる自分になりたい。

 

 それは、ちっぽけな願いだったのかもしれない。

 

 だが、自分という光を進んだ上ではなく、自分という光に照らされた物を拾って自分で進むその姿に、救われたのは自分だった。

 

「自らの道を選ぶ者に、その道を照らして間違いや判断基準を照らす街灯となる。それも一つの在り方だと知った」

 

 あの時、自分の王道は一つの完成を見た。

 

 それを四人の指導者に伝えた時、形は違えど認めてくれたことは涙が出るほど嬉しかった。

 

「光を求める者には、迷走させぬよう正しき位置で光り輝き、その光によって己が道を進む者の足元を照らす、人々のための輝きとなること。それが僕の王道だ」

 

 そして、そのためには一つの絶対条件がある。

 

 道を、そして人々そのものを照らす輝きが消えれば、それは大変なことになるだろう。

 

 王とは絶対の指針であり、人々の心を集わせる象徴であり、後ろから見守る保護者であり、それは失われると大変なものだ。

 

 故に失われない。砕かれない。壊されない。倒されない。

 

 そのための耐久力と障壁能力。

 

 努力という肥料をその二つを育てるために特化して鍛え上げた。たとえ勝てなくても、輝きが弱くても、そこにあることだけは気付かせ続けられるように。

 

「この守りはその王道の証明。王であることにこだわるあまり、そもそも王道すら持っていないおろか者達が、この道を壊すことなどありえぬと知れ!!」

 

 砕けぬ揺るがぬ汚されぬ。

 

 絶対不変の輝きを体現する王が、今この場にその王道を指示した。

 




レヴィアの戦闘スタイルは一言で言うならば、超重装甲。ネットゲームなら典型的タンク。

才能のほとんどをとにかく防御方面へと割り振った結果、障壁の堅さでも肉体の頑強さでも桁違いです。既にこの年代で、両方突破してダメージを与えられるのはかなり少ないレベル。

さらにこの話で示した通り、離れたところにも障壁を張れるためサポートも得意。防御型サポートタイプの雄として名をはせております。

しかもまだ本気出してません。一点特化型のチートが多いというのがD×Dの特徴ですが、彼女もまたその例に乗っ取っております。
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