インフィニットストラトスD×D   作:グレン×グレン

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超重要情報が判明します。

皆さん、覚悟はいいですか・・・?


第十三話 それが、ISコアの正体か!?

 

『さて四朗。本題は今から話すということでいいのかの?』

 

「ええ。あまりにも重要なこの話、正直かなり緊張しております」

 

 一見して緊張などかけらも感じさせない声で、四朗はオーディンに応える。

 

 そのやり取りはまるで日常の一会話にも見えるが、しかしレヴィアは警戒を怠らない。

 

 聖書の教えというのは、世界中の神話体系にとって殴り倒したい相手の中でも最上位だ。

 

 多くの神話の共通点とは、それが創作扱いになっているということ。そしてそれは現代の宗教に追いやられたということであり、率先して行ってきたのが一神教である聖書の教えである。

 

 アースガルズにとって聖書の教えは大きな敵の一人のはず。少なくとも、同盟を組むような行動をとるには、相応の大廠が請求されるであろう。

 

 一室長程度が独断で判断していいことではないはずだ。下手をすれば物理的に首が飛ぶ。

 

 その意味を理解しているのはこの中でも僅かであろうが、しかし大きな出来事だということは皆が理解しているだろう。

 

 ゆえに、視線が四朗とオーディンに集まる。

 

 その視線の中、四朗は懐からある物を取り出した。

 

 授業の一環で写真を見たことがある。あれはISコアだ。

 

「突然だが、ISコアとは何だと思うかね? ああ、誰が応えてもいい」

 

 いわれ、皆に戸惑いの表情が浮かぶ。

 

 いまだ完全な解析に成功したものが一人としていないISコア。そんなものの解明など、それこそ専門家の研究者の仕事だ。

 

 ましてや今は会談中。いきなり話が変わったことにも戸惑うし、何より自分から話すのも気が引ける。

 

 レヴィアも文句の一つも言いたかったが、しかし自分はあくまでサーゼクスの配下であると想い口をつぐむ。

 

 あくまで自分は旧魔王信仰を受け止めるための象徴。現政権の(まつりごと)に口をはさんではいけない。そうなれば冥界は大きく揺れ動いてしまう。

 

 だから口をつぐみ、皆も答えづらく、楯無は口をはさむ気がなく、ヒルデはそもそも反応を返さない。

 

 ゆえに皆を代表して、千冬は視線を四朗に合わせた。

 

「科学技術の頂点に立つ、現代の中心となる技術といったところか?」

 

『我々としては深くかかわるつもりはないよ。間違いなく専門外だからな』

 

 サーゼクスの答えを聞き、四朗は首を振った。

 

「いな、これはある意味でルシファー殿が関わらざるを得ないことで、科学の粋という答えも50点でしかない」

 

『しいていえば、うちの研究班に入ったヴァルキリーの家系が近いかの? そこの四朗が一番専門家に近いのは間違いないがのう』

 

 その言葉にレヴィアは眉をひそめる。

 

 科学技術の粋を集めたとされる物に対して、異形の側はどちらかといえば専門外だ。

 

 確かに利用できるものを積極的に取り入れているところは多い。だが、積極的に研究開発を行っている物は少ない部類だし、兵器関係であるISに関しては、手を出している物はごく少数だ。

 

 教会の技術研究だって、悪魔祓いの支援のために補助として取り込んでいるぐらいだろう。それが専門家に近いとはどういうことだろうだ。

 

 そこまで考えて、レヴィアは頭が痛くなってきた。

 

 わけのわからない謎かけに困っているのかと思い、しかし、気付いた。

 

 これはそれとは無関係だ。

 

 後ろを振り返れば、特にISコアを直視していた蘭が頭を抱えていた。

 

「なに、これ・・・。頭が痛い・・・っ」

 

「蘭!? てめえらまさか―」

 

「落ち着け、回りくどい」

 

 攻撃と判断した一夏が動くより早く、その遠回りなやり方には攻撃の意図がないと判断したアストルフォが止める。

 

 その光景を見て、レヴィアは慌てて視線をISコアへと戻す。

 

 僅かに、感じ取れるものがあった。

 

 それは、街を歩いていて間違えて教会に近づいた時のような悪寒。

 

 聖書をそらんじている人の言葉が耳に入り、不快感と共に感じた頭痛。

 

 それらを思い出し、レヴィアは嫌な予感を感じて立ち上がる。

 

 その動きに、四朗とオーディンは答えを見つけた子供を見るかのような、好印象の表情を浮かべた。

 

 そして、四朗は腕を伸ばす。その手はISコアをつかみ、そしてレヴィアに差し出していた。

 

 さらに左手には腕輪がある。見る者がいれば、それはあらゆるものに変化する擬態の力をもつエクスカリバー、擬態の聖剣《エクスカリバー・ミミック》だと気づくだろう。

 

「さあ、確かめたまえ」

 

 静かにISコアを受け取ったレヴィアは、それを擬態の聖剣と触れ合わせる。

 

 強大な聖なるオーラをISコアが放ち、レヴィアの肌を強く焼いた。

 

「ま、さ・・・か」

 

 その感触を感じながら、レヴィアはISコアの解析が進んでいない理由を察した。

 

 ああ、それなら四朗の答えは当然だろう。ISコアを科学技術の粋だといえば半分しかあってないし、興味は薄いものだろうが、軍事兵器として使用されている性質上冥界政府はもっと危険視するべきだ。ヴァルキリーの血を引く研究者は専門家に近いだろう。

 

「・・・ISコアの動力源は、異形の力なのか!?」

 

「そうだ」

 

 レヴィアの答えに四朗は頷き、しかしさらに促す視線を向ける。

 

 その答えももうすぐ理解できる。

 

 いくら危険視するとはいえ、魔王が関わることを考えねばならないほどの質を持つこと。異形の側の科学研究者が専門家だといえど、教会の人間である四朗こそが専門家に一番近いということ。

 

 その答えは今、レヴィアの肌を強く焼いていることが証明している。

 

 レヴィアの肉体的耐久度は非常に高い。もちろんそれは聖なるオーラに対する耐久度も高く、上位の悪魔の中でも特に格が高い耐久度を持つ。その気になれば聖水で水浴びしても肌が荒れる程度だろう。

 

 それだけのレヴィアを焼くほどの力を持つ程の異形の力。だが、このサイズでそれだけの力を持つのなら、わざわざISコアにする必要がない。

 

 そこまで考えてレヴィアはついに答えに辿り着く。

 

 つまり、ISコアの正体とは・・・

 

「聖遺物クラスの強大な聖なるオーラを持つ物を分割して中枢部にし、それらを電力に変換することでエネルギー源として使用する、さらにその奇跡の力を以って各種特殊能力の機能を超小型で使用させる。それが、ISコアの正体か!?」

 

「そう、教会から行方をくらませていた神の子の処刑に使われた聖遺物の一つ、聖釘(せいてい)のオリジナルを溶かし分割したものがISコアの中枢部だ」

 

 四朗の答えに、レヴィアはゆっくりと後ろに下がると、ソファーに沈むように座り込む。

 

 あまりの内容に、震えだしそうになるのを何とか抑える。

 

 その様子を心配そうに見ながら、簪が疑問の声を口にする。

 

「・・・せいていって、なんなの?」

 

「聖遺物は知っているな。神の子や聖母、そして聖人の遺骸や遺品のことをさす。その中でも、神の子を磔にする時に使われた釘のことを指す」

 

 四朗はそう答え、そして静かに目を閉じる。

 

「紛失されていたオリジナルの聖釘を捜索するなか、その一つが配送者のミスによって篠ノ之束の手に渡ったと知ったのは、もう五年も前になるな」

 

 強大な能力をもつ科学者は、自分とベクトルが違う強大な力を手にし、そして利用することに成功した。

 

 その結果生まれたのが、現代の科学では並ぶ者のいないまさに機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)、インフィニット・ストラトス。

 

『聖釘とのリンク部分などもオーバーテクノロジーでの、未だアースガルズ・コーポレーションや研究室でも科学部分の完全な複製はできておらんのよ。一部技術も大型化せざるおえん。当然、四朗が乗っておったスタリオンの性能も第一世代の平均水準を出ておらん』

 

 オーディンの言葉にさらに驚愕が走る。

 

 ISコアが未解明なのは、科学の分野では理解できない者が組み込まれているからだ。

 

 だが、それを理解できる者たちですらISコアの他の技術の完全な模倣は不可能。

 

 尋常でない技術力と、それを支える異形の力。

 

 その意味に、その場に重い空気が漂う。

 

『ならば、あなたが上層部に知らせていないのも納得だ』

 

 そして、それ以上に重い内容をサーゼクスは口にする。

 

『聖書の教えにおける至宝が、軍事兵器という道具として、よりにもよって他宗教を信じる国家にも使われている。こんな事実が世界的に知られれば―』

 

 古来より、宗教というものは正義を象徴するものであった。

 

 一神教の宗教にとって神の教えとは絶対のものであり、極端な話その意志こそが正義なのでそれが伝えられればどんな内容であっても従うものは多い。

 

 また、逆に神の意志から外れる者は敵以外の何物でもなく、場合によっては同じ生命体としてすら認識されない。

 

 古来より宗教を引き金とする戦争や紛争が起き、また、虐殺や蹂躙なども数多くおこった。聖書の教えを絶対のものと認識したものによって、その存在を創作と貶められた神話も数多い。

 

 そして聖遺物とは強大な宝であり、ことカトリックにとっては殺人や蹂躙、強奪の理由と成りえる。

 

 そしてカトリックの長たるローマ教皇は、それ以外の聖書の教えに対しても大きな発言権を持つ。

 

 もしこの教皇がこの事実に怒りを覚え、聖遺物を神の教えの下に集めようと考えたのであるならば―

 

『・・・聖書の教えとそれ以外による、ISコアをめぐった第三次世界大戦が起きかねない』

 

「加えて言えば現ローマ教皇は、表の軍事社会に対する介入を可能とするための独自戦力開発を行おうとするなど、人類社会に対してタカ派だ。こんな火種などあのニトログリセリンに近づけれんよ」

 

 同意を示す四朗の毒舌に、緊張感が一気に高まる。

 

 世界のパワーバランスをになうどころか、それらを一気に崩しかねない危険すぎる爆薬。

 

 世界を変えた白騎士事件など、序の口でしかなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数分間、その場は沈黙に包まれた。

 

 この話を聞いた者たちはその重大さに口を開けず、そして四朗たちはそれを受け止めさせるためにあえて沈黙する。

 

 レヴィアも紅茶の香りを堪能して気を落ち着かせ、そして決断した。

 

「一夏君。ちょっと死のうか」

 

「・・・あ、やっぱり?」

 

 返答は、意外とあっさりしていた。

 

 一個人の命のやり取りをあっさりと決めるかのような展開に、しかしほとんどの物が追いつけない。

 

 そんな中、千冬はいち早く理解し、そしてレヴィアに殺意を向ける。

 

「聖羅。・・・貴様、どういうつもりだ?」

 

 その胸倉をつかみかからんと一歩を踏み出すが、その行き先にアストルフォが割って入って動きを封じる。

 

「落ち着け。例えだ」

 

『その通りだ。なにも本当に一夏君の命を奪おうというわけではない』

 

 サーゼクスがとりなすように手のひらを向ける。

 

『ただし、教会の聖遺物に関わる事情に旧魔王の末裔の眷属悪魔が関わっているのはむしろこちら側の戦争の引き金にもなりかねない。ゆえに一夏君はISから・・・つまりは表社会から切り離さなければならないのだ』

 

 聖遺物というのは非常に重要なものだ。

 

 それらは聖書の教えにおける非常に重要な代物であり、それが敵対する悪魔の側にあるというのは、それだけで停戦状態の戦争を再発させかねない。

 

 ISコアに聖釘が使われている以上、その唯一の男性操縦者が悪魔などと知られれば、各種異形の業界からも大きな非難が起こりかねない。

 

 ゆえに速やかに距離をとり、自分達は知らなかった、だからもう手を引くので許してくださいと頭を下げる体制をとるべきなのだ。

 

 ましてやこの情報は未だ教会の上層部にも知らされていない。この会談で口裏を合わせて知らされてなかったことにすれば、被害を最小限にすることは不可能ではない。

 

「ただし、彼は世界中の注目を集めており、ただISから離れるといっただけでは政治的理由により止められるでしょう。ゆえに死亡したことにして社会的に抹消する必要があるんですよ」

 

 額に手を当てて頭痛をこらえながら、レヴィアは説明する。

 

 これはできれば使いたくない手段であった。

 

 使うというのなら、そもそも一夏がISを動かしたという時点で選択肢に上がっていたのだ。それをしなかったのは一夏に気を使ったからだ。一夏の生活を考えて、ある程度様子を見る期間を置いておきたかったからだ。

 

 にもかかわらず、事態がそれを許さない。

 

「この事実が知れた時に一夏君が今のままなら、教会は悪魔に対しても全面戦争を起こしかねない。そうなれば、いったい何人の罪のない存在が死ぬか想像もできない」

 

 神の子の処刑にかかわった聖遺物となればその重要さは現代科学の最上格などというレベルではない。

 

 うかつにしれられればそれこそ悪魔がほろぶほどの戦乱を生みだしかねないのだ。

 

 それは、悪魔全体のためを思い実家を裏切ったレヴィアにはできない。そんな罪を大事な眷属に背負わせるわけにはいかない。

 

「千冬さん。あなたは一夏くんに罪もない何千人もの子供を殺しかねない危険な存在になれとでもいうつもりですか?」

 

「・・・確かに、そうだが・・・」

 

 千冬と視線を交錯させ、しかし彼女は視線をそらす。

 

 彼女だってわかっているのだ。大事な弟にそんな重みを背負わせることを、彼女だって望まない。

 

 だが同時に、それをすれば別の意味で重荷を背負わせることになってしまう。

 

 だから、立ち上がって、歩み寄り、その手をとる。

 

「大丈夫です。そうでないなら、僕は必ず一夏君を守る」

 

 それは、彼を悪魔にしたその時から決断していることだ。

 

「彼が道を間違えない限り、僕は彼の味方でいるつもりです。だから大丈夫です」

 

 レヴィア・聖羅は織斑一夏の守護者であるし、セーラ・レヴィアタンは眷属悪魔を守る側だ。

 

 だから、織斑一夏は大丈夫。

 

 そういう意味を込め、レヴィアは微笑した。

 

「王の決定です。そうそう邪魔はさせませんよ」

 

「ああ、それにもう意味もないしな」

 

 レヴィアの言葉を後押しするように、しかし全く違う意味を込めて、四朗は後ろからそう言い放った。

 

 空気を大きく変えるその発言に、またその視線が四朗に注目する。

 

「全く安心できないフォローを入れよう。・・・既に事態はそんな行動で悪魔が安全圏に入れる状況を超えている」

 

 静かに立ち上がると、四朗はおもむろに服に手をかけた。

 

「いくら上に言えないとはいえ、教会にとって貴重な至宝ともいえる聖釘を勝手に溶かし、しかも異教の民に使わせるような真似をされたと知ってタダで済まそうと思うかね?」

 

 それは確かにその通りだろう。

 

 敬虔な信者なら怒り狂って殺人の動機にもなりえる内容だ。当然、敬虔な信者で構成されているであろう研究室なら当然のことだ。

 

 無論、そんなことをしてもISコアそのものがある以上問題の先送りにしかならないだろう。今の段階でそんなことをすれば、余計な憶測も生むし混乱も起きる。もう一段踏み込んだ対策が必要となる。

 

「早急に確保して代用品を作らせ、大規模アップデートと称して交換させる。そう決断し、警備のために運用していた独自戦力を動かして確保に向かったとも」

 

「大変だったろう。あいつは身体能力でも規格外だから、間違いなくただでは済まなかったはずだ」

 

 同情するように千冬が言いきる。

 

 ・・・このいろいろと規格外な人物が層まで言い切るとなると、相当の実力者なのだろう。

 

 それを思い出すかのように、四朗も微妙な表情を浮かべながらうんうんと頷いた。

 

「三回目ぐらいで対応策を組み立てて、念を入れて重装備で投入して追い込んだんだがな」

 

 そう言い終える頃には服を脱ぎ終え、四朗はそれを見せた。

 

 後遺症が残っているといわれれば信じれるほどの、深い傷跡を。

 

 胴体の三割を占めるその傷跡は、もう死んでいたといわれれば信じられるほどに重症だったのが見るだけでわかる。

 

 その痛々しい姿に沈黙が生まれるなか、四朗は服を着直しながら話を続ける。

 

「その時は私も聖剣片手に乗りこんで、あと一歩のところで邪魔が入ってこの様だ。医師からは三時間以上の全力戦闘は禁止されているし、趣味の飲酒も週に一回しかできん」

 

 心底ため息をつきながらの姿に、しかし誰も答えることができない。

 

 彼の戦闘能力は既にある程度把握している。

 

 明らかに性能で劣っていたあのISもどきを使い、四朗は千冬にも匹敵する量の異形を倒した。

 

 それだけの実力者にそこまでの後遺症を負わせるほどのけがを負わせるほどの人物など、いったい誰が行ったというのか。

 

「そして、それゆえにもはや行動は遅いのだよ。あの男が篠ノ之束を匿っている以上、一度手を出したというだけで悪魔はまきこまれて三大勢力は戦争だ」

 

『そのあの男というのは誰なのだね? 話からして、堕天使側の者である可能性が非常に高いが』

 

 サーゼクスの予測は正しいだろう。

 

 三大勢力の均衡を崩すのに、一度でもISに関わっていたことが理由となるのならば、三大勢力の重要関係者だろう。

 

 とはいえISの存在の価値を把握してなければそんなことはできないだろう。そして価値を知っているのであれば、悪魔側なら現魔王であるサーゼクスの耳に入っている可能性は非常に高い。天使側なら研究室を力づくで妨害する必要はないし、むしろ応援する側だろう。

 

 消去法で考えるのならば十中八九堕天使側。

 

 だが、その存在が想定外だった。

 

「堕天使総督、アザゼルだよ」

 




本作品における超危険物質、それがISコア。

現在の状況も含めると大きく分けて、

1 異形の存在の証拠品

2 第三次世界大戦の引き金

3 三つ巴の戦争のブースター

とになりかねないという超危険物質。

さらに聖遺物の存在に否定的なプロテスタントの価値を暴落させかねないわけであり、正体が知られた場合の影響力は本当に洒落になりません。
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